第5章 育児休業等終了時改定

第5章
1
育児休業等終了時改定
育児休業等終了時改定とは
育児休業等を終了した組合員が、育児休業等の終了後に当該休業等に係る 3 歳未満の子を養育する場
合で、勤務時間の短縮等により報酬が低下したときは、組合に申出を行うことにより、標準報酬を改定することが
できます。この改定を「育児休業等終了時改定」といいます。
改定された標準報酬は、育児休業等の終了日の翌日から起算して 2 月を経過した日の属する月
の翌月からその年の 8 月 31 日(7 月から 12 月までのいずれかの月から改定されたものについて
は、翌年の 8 月 31 日)までの適用となります。(法第 43 条第 12 項、第 13 項、厚年法第 23 条の
2)
注 「子を養育する場合」について
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成 3 年法律第 76 号。
以下「育休介護法」という。)第 2 条に定義する「育児休業」の規定における「子を養育する」ことと同趣旨
になり、以下のとおり整理される。(厚労省通知H21.12.28 職発 1228 第 4 号。日本年金機構 HP(疑義照会
(厚生年金保険 適用)14.養育期間標準報酬月額特例申出書))
・「子」
労働者と法律上の親子関係がある子の意であり、実子のみならず養子も含む。
・「養育」
同居し監護するとの意であり、監護とは民法第 820 条に規定する「監護」と同義である。病気、旅
行により短期間同居に欠けていても「養育している」ことに変わりはない。
※ 転勤等の事情による場合で、1 年程度の以上の期間同居しない状態が続くときは同居に該当
しない。
◇ 育児休業等終了時改定の具体例
第5章 育児休業等終了時改定
-1-
(1)対象者
育児休業等(注 1)を終了した組合員で、当該育児休業等を終了した日において、当該育児休業
等に係る 3 歳に満たない子を養育する場合で、組合に申出(注 2)をした者が対象となる。
ただし、育児休業等の終了日の翌日に産前産後休業(注 3)を開始している組合員は、育児休
業等終了時改定の対象とならない。(法第 43 条第 12 項)
注1
育児休業等
以下に掲げる休業等が該当する。
① 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成 3
年法律第 76 号)関係
・第 2 条第 1 号の規定による育児休業
・第 23 条第 2 項の育児休業に関する制度に準ずる措置
・第 24 条第1項(第 2 号に係る部分に限る。)の規定により同項第 2 号に規定す
る育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業
② 地方公務員の育児休業等に関する法律(平成 3 年法律第 110 号)関係
・第 2 条第 1 項の規定による育児休業
注2
「標準報酬育児休業等終了時改定申出書」による組合員からの申出が必要となる。
注3
産前産後休業
出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前 42 日(多胎妊娠の場
合は 98 日)から出産の日後 56 日までの間において勤務に服さないこと(妊娠又は出産に関する事
由を理由として勤務に服さない場合に限る。)をいう。(法第 43 条第 14 項)
※ 産前産後休業を出産日の 42 日前から取得した場合についても、育児休業等終了時改定の
対象とならない。((P)確認中のため、変更の可能性あり。)
(留意点)
① 申出が遅れた場合は、厚生年金の取扱いに準じ、育児休業等が終了した日から 2 年間は遡及
を認める。(総務省見解(地職)p.20)
② 地方公務員の育児休業等に関する法律第 10 条に規定する「育児短時間勤務」や同法第 19 条
に規定する「部分休業」により給与が減額されて支給される場合等を想定しているが、育児に
より報酬が低下したことに限定していないため、以下の例の場合にも育児休業等終了時改定を
行うことができる。
例 ・復帰後に時間外勤務手当が減少した場合
・休業中の移転により、通勤手当が減少した場合。
なお、復帰後に、復職時調整等により報酬が上がった場合も、育児休業等終了時改定の対象
となる。
③ 育児休業等終了時改定の申出を行わなかった者について、随時改定の要件に該当する場合
(復職時調整により給料表の級号給や固定的給与に変動があった場合、育児短時間勤務等への
勤務形態の変更があった場合)は随時改定の対象となる。
第5章 育児休業等終了時改定
-2-
(2)算定基礎月
育児休業等終了時改定の算定基礎月は、育児休業等が終了した日の翌日が属する月以後の 3
月間(育児休業等を終了した日の翌日において継続して継続した組合員であった期間に限るもの
とする。)である。(法第 43 条第 12 項)
(3)報酬月額の算定方法
算定基礎月に受けた報酬の総額を、その期間の月数で除して得た額を「報酬月額」として、標
準報酬を決定する。ただし、算定基礎月のうち、「支払基礎日数」が 17 日未満である月の報酬
は除いて算定する。(法第 43 条第 12 項)
(留意点)
① 育児休業等を終了した日の翌日の属する月以後 3 月間の報酬の平均額により算定した標準
報酬の等級が、現在の標準報酬の等級と比べて1等級以上の差があるときに改定する。
② 算定基礎月の 3 月間の支払基礎日数がいずれも 17 日未満の場合には、育児休業等終了時改
定は行わない。
③
算定基礎月の 3 月間に「報酬の全部が支給されない場合」である日の属する月がある場合は、
当該月の支払基礎日数が 17 日以上であれば、算定基礎月に含める。
「報酬の一部が支給されない場合」である日の属する月がある場合は、支払基礎日数に関
わらず、当該月は除いて算定する。
④ 育児による部分休業の取得状況が毎月異なる場合
固定的給与の変動に当たり、随時改定の対象となる。
育児休業等終了時改定の申出を行った場合、育児休業等が終了した日の翌日の属する月以
後 3 月間の報酬による算定を行い、育児休業等が終了した日の翌日の属する月の翌月以降、
固定的給与の変動があれば、変動があった月以後 3 月間の平均により随時改定に該当するか
どうか算定する(実際には育児休業等終了時改定以降は 2 等級以上の差が生じないと想定さ
れるので随時改定の実施はあまり発生しないと考えられる。)。
なお、育児短時間勤務の勤務形態の変更も随時改定の対象となる。
* 育児短時間勤務により勤務を要する日数が 17 日未満とされた者の場合の取扱いは、第 1 章
「3 報酬月額の算定に含める報酬」(2)を参照。
第5章 育児休業等終了時改定
-3-
◇参考 育児短時間勤務と部分休業(地方公務員の育児休業等に関する法律(平成 3 年法律第 110 号))
◇ 育児休業等終了時改定の時期等
第5章 育児休業等終了時改定
-4-
◇ 育児休業等終了時改定のイメージ
◇ 育児休業等終了時改定のイメージ
第5章 育児休業等終了時改定
-5-
◇ 育児休業等終了時改定と随時改定の違い
2
特別な算定方法(保険者算定)
組合員の報酬月額の算定が困難であるときや著しく不当であるときは、同様の職務に従事する
職員の報酬月額その他の事情を考慮して共済組合が適当と認めて算定する額をその組合員の報酬
月額として標準報酬月額を決定することになります。(法第 43 条第 16 項)
3
育児休業等終了時改定の見直し
育児休業等終了時改定を行った後に、発令誤りや手当等を遡及して支給すべきことが判明し、
当該育児休業等終了時改定の算定基礎月における報酬が誤っていた場合は、支給すべきであった
正しい報酬の額により再計算し、当該育児休業等終了時改定の標準報酬を見直します。
※ 再計算の結果、従前標準報酬(当該育児休業等終了時改定の直前の標準報酬)の等級と再計
算による標準報酬の等級との差が1等級以上生じなくなった場合は、当該育児休業等終了時改
定を取り消すことになる。
(留意点)
① 給与改定が遡及して行われた場合は、差額が支給された時点で随時改定に該当するか算定す
る。(第 1 章参照)したがって、給与の遡及改定による育児休業等終了時改定の見直しは行わ
ない。
② 給与改定が遡及して行われた後に、更に支給誤りや遡及して申出があった等の理由により、
遡及して育児休業等終了時改定の標準報酬を見直す場合や、遡及して育児休業等終了時改定を
行う場合の算定基礎月となる各月の報酬は、給与改定後の報酬により算定して差し支えない。
例:H28.10 月に育児休業等終了時改定が実施されており、H28.12 月に H28.4 月に遡及する給
与改定の実施後、H29.2 月に H28.9 月の報酬の額が誤っていたことが判明した場合、正し
い 9 月の報酬月額により改めて育児休業等終了時改定の算定することになるが、給料月
額等を算定する場合は、給与改定後の額になる。
第5章 育児休業等終了時改定
-6-
4
育児休業等終了時改定の事務処理
(1)組合員の申出
「標準報酬育児休業等終了時改定申出書」に所属所長の証明を受けて、組合に提出する。
(施行規程第 101 条の 2 第 4 項、第 101 条の 4 第 1 項)
※ 厚生年金保険の第三号被保険者である者が、退職等年金給付の給付算定基礎額について申出
を行ったときは、厚生年金保険についても申出をしたものとみなされる。(施行規程第 101
条の 5)
(2)給与支給機関の事務処理
① 組合から申出があった旨の連絡を受けたのち、当該申出を行った組合員が受けた報酬を固
定的給与・非固定的給与に区分し、これを基に報酬月額の算定・標準報酬等級表への当てはめ
を行い、「標準報酬育児休業等終了時改定基礎届」又は当該基礎届に係るデータを組合に提出
する。(施行規程第 101 条の 2 第 4 項)
なお、データにより提出する場合は紙による基礎届の提出の必要はない。
② 併せて、組合における標準報酬の決定を待たずに、掛金等の徴収及び組合員への標準報酬
の通知を行う。
③ 組合から基礎届に係るデータについて誤りの連絡があった場合は、当該データの訂正を行
い、再度、誤りのあった組合員に係る基礎届又は当初提出した当該基礎届に係るデータで修正
後のものを組合に提出する。
④ 組合から標準報酬の決定の連絡を受けたのち、誤りのあった組合員に対して、すでに通知
した標準報酬の訂正を行い、次回の掛金徴収時に誤った分の掛金等を追徴・返戻を行う。
(3)組合の事務処理
①
給与支給機関へ申出があった旨の連絡を行う。
② 組合は、給与支給機関から提供された基礎届に係るデータを組合員情報管理システムに取り
込み、標準報酬の等級及び月額のチェックを行う。
③
チェックの結果、誤りがあった場合は、エラーリストにより給与支給機関に修正を依頼する。
④ 給与支給機関から提供された修正後の基礎届に係るデータを、再度、組合員情報管理システ
ムに取り込み、標準報酬の等級及び月額のチェックを行う。
⑤
標準報酬の決定を行い、給与支給機関へ決定の連絡を行う。
第5章 育児休業等終了時改定
-7-
◇ 育児休業等終了時改定の事務の流れ
第5章 育児休業等終了時改定
-8-
標準報酬育児休業等終了時改定申出書
(フリガナ)
申出者氏名
申 出 者
生年月日
所 属 所
職
昭和
平成
年
月
日
組合員証
記号番号
名
休業開始日
育児休業等
承認期間
平成
年
休業終了日(復職日の前日)
月
日
平成
年
(フリガナ)
氏
名
育児休業等
に係る子
月
日
男
性 別
生年月日
平成
育児休業等終了前の標準報酬
等
年
月
級
級
女
日
月
額
千円
地方公務員等共済組合法第43条第12項の規定により、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3
月間に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬を改定すること
の希望を申し出ます。
公立学校共済組合○○支部長 様
平成
年
月
日
住
所
氏
名
職
名
氏
名
申出者
㊞
上記の記載事項は、事実と相違ないものと認めます。
平成
年
月
日
所属所長
備
考
㊞
「育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間」とは、育児休業等終了日の翌日において継続して組合員で
あった期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が17日未満である月がある場合、その月は育
児休業等終了時改定の算定に使用しません。
共済組合
記 入 欄
標準報酬改定月
改定後標準報酬
平成
年
月
級
固定的給与
千円
第5章 育児休業等終了時改定
-9-
非固定的給与
円
円
第5章 育児休業等終了時改定
- 10 -
⑪
③
⑪
③
⑪
③
⑪
③
⑪
③
支部コード
平成 年 月
平成 年 月
平成 年 月
平成 年 月
平成 年 月
⑰
⑯
⑮
⑭
⑬
⑫
⑰
⑯
⑮
⑭
退
厚
短
退
厚
⑫
短
⑬
級
⑯
退
⑰
級
級
級
⑥
級
級
級
⑥
級
⑭
厚
⑮
⑥
級
級
級
⑥
級
級
級
級
退
厚
短
退
厚
短
⑥
従前の標準報酬等級 / 月額
⑥
基礎届種類
⑫
短
⑬
⑰
⑯
⑮
⑭
⑬
⑫
⑰
⑯
⑮
⑭
⑬
⑫
⑰
⑫
~
組合員番号
⑪ 従前の適用年月
③
共済組合コード
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
⑳
⑲
⑱
⑳
⑲
⑱
⑳
⑲
⑱
⑳
⑲
⑱
⑳
⑲
⑱
⑳
⑲
⑱
㉔
④
㉓
月 ㉓
月 ㉒
月 ㉑
月 ㉓
月 ㉒
月 ㉑
月 ㉓
月 ㉒
月 ㉑
月 ㉓
月 ㉒
月 ㉑
月 ㉓
月 ㉒
日 ㉖
日 ㉕
日 ㉔
④
日 ㉖
日 ㉕
日 ㉔
④
日 ㉖
日 ㉕
日 ㉔
④
日 ㉖
日 ㉕
日 ㉔
④
日 ㉖
日 ㉕
日 ㉔
④
㉖
㉒ 支払基礎日数 ㉕
㉑
月 ㉑
算定基礎月
組合員氏名
共済組合名 / 支部名
みなし
17日
性別
㉙
㉘
㉗
⑤
㉙
㉘
㉗
⑤
㉙
㉘
㉗
⑤
㉙
㉘
㉗
⑤
㉙
㉘
㉗
⑤
㉙
㉘
㉗
⑤
平成
平成
平成
平成
平成
⑦
㉜
㉛
㉚
⑦
⑦
⑦
⑦
⑦
円 ㉜
円 ㉛
円 ㉚
年 月 日
円 ㉜
円 ㉛
円 ㉚
年 月 日
円 ㉜
円 ㉛
円 ㉚
年 月 日
円 ㉜
円 ㉛
円 ㉚
年 月 日
円 ㉜
円 ㉛
円 ㉚
年 月 日
固定的給与
生年月日
所属所名
平成
平成
平成
平成
平成
⑧
㉟
㉞
㉝
⑧
⑧
⑧
⑧
⑧
円 ㉟
円 ㉞
円 ㉝
年 月 日
円 ㉟
円 ㉞
円 ㉝
年 月 日
円 ㉟
円 ㉞
円 ㉝
年 月 日
円 ㉟
円 ㉞
円 ㉝
年 月 日
円 ㉟
円 ㉞
円 ㉝
年 月 日
非固定的給与
適用年月日
平成
平成
平成
平成
平成
㊱
㊳
㊲
㊱
㊱
㊳
㊱
㊳
㊱
㊳
㊱
㊳
円
㊳
円 ㊲
円
年 月 日
円
円 ㊲
円
年 月 日
円
円 ㊲
円
年 月 日
円
円 ㊲
円
年 月 日
円
円 ㊲
円
年 月 日
合 計
事由発生年月日
標準報酬育児休業等 終了 時改 定基 礎届
修正平均額
平 均 額
報酬の総額
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
退
厚
短
退
厚
短
㊻
㊺
㊹
㊸
㊷
㊶
⑨
㊻
㊺
㊹
㊸
退
厚
短
退
厚
㊶
短
㊷
⑨
㊺
退
㊻
㊸
厚
㊹
㊶
短
㊷
⑨
㊻
㊺
㊹
㊸
㊷
㊶
⑨
㊻
㊺
㊹
㊸
㊷
㊶
⑨
㊻
㊶
~
㊴
㊴
㊴
㊴
㊴
級
級
級
級
級
級
級
級
級
級
級
級
級
級
級
㊵
㊵
㊵
㊵
㊵
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
円
千
改定事由コード
標準報酬等級 / 月額
⑨ 処理区分 ㊴ 算定コード ㊵
平 成
㊿ 退
㊾ 厚
㊽ 介
㊼ 短
㊿ 退
㊾ 厚
㊽ 介
㊼ 短
㊿ 退
㊾ 厚
㊽ 介
㊼ 短
㊿ 退
㊾ 厚
㊽ 介
㊼ 短
㊿ 退
㊾ 厚
㊽ 介
㊼ 短
㊿
㊽
㊾
㊼
年
掛 金 額
月
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
円
日