『個人主義』 朴贊奎(201248048) 第一部 「個人主義」の語義の歴史 第一章 フランス フランス語の「個人主義(Individualisme)」 ―フランス革命やその源泉といわれる啓蒙主義への反動が広まる時期。 19世紀初頭の保守的思想(反革命的思想家)は、「個人」に重きを置いて個人の理性、利益、 権利の主権を主張した18世紀の思想家を激しく非難するとともに、「社会」を強調した点で 実質的に一致。 サンシモン主義 ―反革命的な人々の思想―個人を賛美する啓蒙主義を批判し、社会的原子価や無秩序状態に ヒエラルヒカル 対して恐怖を示す一方、有機的で安定し、 階 統 的 に組織された、調和的な社会秩序を要求 する思想―と共通性をもっていた。 望ましい社会秩序:過去の教会的、中世的社会秩序ではなくて、未来の産業的秩序 ⇒資本主義+プロテスタント倫理の結語させたイデオロギーへ体系化 歴史区分 「危機的」時代 「有機的」時代 ・混乱に満ちた時代で、人々は既 ・統一され、組織化され、安定し 存の社会関係を破壊し、至る所で た時代 エゴイズムへ向かう傾向がみられ ・「普遍的な協同社会」 た。 ・近代、宗教改革の時代 個人主義:近代の危機的時代の弊害を底にひそむ、有害で「否定的な」思想を示すもの ⇒(混乱、無神論、個人主義、エゴイズム)VS(秩序、宗教、協同社会、献身) フランスにおける「個人主義」 ①批判的な意味合い ②個人に関心を集中することは社会の重要性の優位を損なうとする強い暗示を含む ③現在までその意味が含まれている ④フランス学士院『辞書』:一般的利害を個人の利害に従属させること ⑤著述家:英語には存在しない「常軌を逸した態度」といった意味合いも含んでいる 「個人主義」VS「個性」 アレクサンダー・ヴイネー(Alexander Vinet):互いに両立しがたい存在 ・個人主義:あらゆる社会にとって、障害物でありまた破壊者である。 個人主義の進展はそれによりエゴイズムがしだいに支配的となってくるため、「社会的統一 1 性の弛緩」を意味 ・個性:社会が、その特質や生命や実体を依存している原理。 個性がしだいに消滅していくことは(個人の)精神そのものが世論や時代精神と考えられて いるもの屈する傾向が徐々に増大すること 第二章 ドイツ 「個性(Individualitat)」 ・個人の独自性、独創性、自己現実の観念 ・ロマン主義的観念:「量的」、「抽象的」、「思想的に貧困」 カール・ブリューゲマン ・フランスの意味合いを受けながら ・ドイツ特有の「無限」、「全霊」の意味をこめて個人主義という言葉を用いた。 ゲオルク・ジンメル ・新しいドイツの「個人主義」 ・個性を、資質の点でも業績の点でも「神命を受けた(Called)」個人の無類性(Incompar ability)にまで深化させている。 ・個人:独自の、かけがえのない、天賦の個人 18世紀の個人主義 VS 新しい個人主義 量的な個人主義 VS 質的な個人主義 単一性の個人主義 VS 唯一性の個人主義 ドイツ特有の世界観あるいは宇宙観 ⇒「西欧」;永遠の、合理的で、神聖な、道徳と法律とを含む体系的秩序 ⇒ドイツ:個人的で、生き生きとした常に新たな歴史的想像を具現する精神 「有機的全体」 ⇒個人の個性から国民あるいは国家の個性へ移行。より高い位置へ移行。 集合体の観念を異質的諸要素を統一する有機体 第三章 ヤコブ・ブルクハルト スイスの歴史家 『イタリアにおけるルネサンス文明』 ・当時のイタリア的性格の重要な特徴を要約 ・ルネサンス期のイタリア人を「半自覚的な民族的生活から脱皮し、個に目覚めた 2 ・道徳の自律性、プライバシーの洗練、及び個性的性格 ・個性の叢生のはじまりを見せた。 フランスの「個人主義」総括 役割:フランス革命当時の「個人主義的」立法の大成功、社会の中間的諸集団や諸機関の排除、それ にその結果としての国家の政治的、行政的中央集権化に帰せられる。 フランス思想の主流:19世紀において、デュルケムが「アノミー(anomie)」と「エゴイズム(egoism)」 という二つの概念によって識別された事象―個人の社会的、道徳的政治的独立、社会的目的や社会的 規制からの個人の離脱、社会的連帯の崩壊―を、「個人主義」によって表現してきた。 ドイツの「個人主義」総括 ・フランスの「個人主義」の特徴と同様、否定的な意味合いがみられる。 ・個人の自己実現と個人と社会との有機的統一を目指す。 ⇒ 個人と社会、自由と義務とを調和 コメント ・個人主義について我々が考えたものとは異なる個人主義が見えて興味深かった。フランスの個人主 義は当たり前のようにエコイムズ的な個人主義であろうと考えたが、より具体的にみてみると、(社 会との関係を考える際)批判的な意味合いを含まれていた。 ・また、ドイツはフランスと隣接していることから多くの影響を受けたが、その独特なドイツの思想 と結合してドイツ特有の新しい個人主義が出たことから考えてみると、我々が考える日本の個人主義 というものが持っている特徴について議論してみたい。 3
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