移 転 価 格 文 書 の 種 類 と 提 出 義 務

平成
りかかる必要がある。
本 連 続 特 集 で は、 現 時 点 で 法 令 の
要求するミニマムの水準を満足する
レベルを想定して文例を作成、紹介
していく予定であるが、あくまでミ
ニマムレベルであり、移転価格文書
調査の際にはより詳細な説明や資料
提出を求められる可能性があること
については、十分にご留意いただき
たい。
本連続特集は全3回を予定してお
り、租税特別措置法の一部が改正さ
年度税制改正によ
「多国籍企業の企業情報の文書化」
を
D」
という)
の
「税源浸食と利益移転」
経済協力開発機構
(以下、
「OEC
も 同 様 の ル ー ル を 導 入 し つ つ あ り、
が国だけでなく、諸外国の税務当局
る。同じことは外国でもいえる。わ
ないとの指摘を受ける可能性があ
は、次回の税務調査で対応が十分で
雑になった程度との軽い捉え方で
め、従来の「移転価格文書」が若干複
労力を費やす必要があろう。そのた
要十分なレベルを見極め、作業に取
必要なリソースを用意したうえで必
の求める内容を十分理解し、作成に
りかねない。それを防ぐには、法令
不利な扱いを受けることにもつなが
ろう。その結果、税務調査において
いえないとの評価を受けることもあ
ないような代物では、作成したとは
である。 イ ル )に つ い て 詳 細 に 説 明 す る 予 定
要と認められる書類
(ローカルファ
独立企業間価格を算定するために必
は国別報告事項(CbCレポート)
と
ス タ ー フ ァ イ ル )に つ い て、 第 3 回
明し、第2回は事業概況報告事項(マ
概要と作成すべき各文書の概要を説
年度税制改正で導入
移転価格文書の
種類と提出義務
る。せっかく要員を確保して時間を
費やして文書を作成しても、ミニマ
れ、移転価格文書化制度が整備され
なかにはわが国よりも厳しい基準を
はじめに
年度税制改正の
た。本連続特集では、2016年6
設ける国もあるだろう。今回の移転
り、第1回は平成
月に公表された移転価格文書の記載
価格文書化の新たな動きは、これま
ムレベルの要求水準すら満たしてい
要領に関する国税庁通達等、および
でとは異なる次元の移転価格コンプ
踏まえて、平成
クトの勧告の1つである行動計画
(以下、
「BEPS」
という)
プロジェ
OECDから公表されている移転価
ライアンスの時代に入ったと捉え
今回の改正で要求されている事実
現実には困難な面があり、当面は法
で当初から完璧な対応を目指すのも
が 1、0 0 0 億 円 以 上 の 多 国 籍 企 業
直前会計年度の連結総収入金額
れた。
により税務署長
3 つ の 文 書 を e-Tax
に提出しなければならないこととさ
と い う )を 有 す る 外 国 法 人 は、 次 の
法人および恒久的施設(以下、「PE」
ループ」という)の構成員である内国
移転価格文書に係る
平成 年度税制改正の概要
格文書に関するガイドラインに基づ
関係の記述や分析の水準は、かなり
令が要求するミニマムなレベルを満
新たに作成すべき
文書
詳細で精緻なものであり、この要求
グループ(以下、「特定多国籍企業グ
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たすことを目指すのが現実的であ
ともに、モデル文例を示す。
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を100%満たすには相当な時間と
しかし、限られたリソースのなか
て、十分な対応を取るべきである。
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いて、作成上の留意点を説明すると
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第1章
10
経理情報●2016.8.10(No.1454)