平成 26 年度 春期 プロジェクトマネージャ 午前Ⅱ 解答と解説 □問 1 ア □問 11 ウ □問 21 ウ □問 2 ア □問 12 ア □問 22 ウ □問 3 エ □問 13 ウ □問 23 ア □問 4 イ □問 14 エ □問 24 イ □問 5 エ □問 15 イ □問 25 イ □問 6 ウ □問 16 ア □問 7 ア □問 17 エ □問 8 イ □問 18 イ □問 9 エ □問 19 イ □問 10 ウ □問 20 ウ ©2014 Yasuyuki Miyoshi 1 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 1:正解(ア) SPA に関する問題。選択肢を順番に見ていく。 ア:これは SPA の説明。これが正解。 イ:共通フレーム(→第 8 章参照)に近いものの説明。誤り。 ウ:ISO9000 シリーズ(→試験に出る用語集)の説明。誤り。 エ:PMBOK(→第 8 章参照)の説明。誤り。 問 2:正解(ア) プロジェクトライフサイクルに関する問題。プロジェクトライフサイクルとは, プロジェクトの開始から組織編成と準備,作業実施,プロジェクト終結までの一連 のフェーズの集合のことをいう。選択肢を順番に見ていこう。 ア:ステークホルダの影響力は,時間の経過とともに低下していく。これは, “ス テークホルダの主張がどこまで通るか?”というように,シンプルに読み替 えればいい。そう考えれば,成果物をこれから作り上げていくプロジェクト 開始直後が最も高く(要件定義の頃には様々な要求を出してくるなど) ,成 果物が固まってしまっているプロジェクト完了直前には最も低くなる(確認 するだけ)。一方,要件変更への対応コストは,プロジェクトが進むにつれ 上昇する。一般的に手戻りは後半になればなるほど大きくなる。外部設計フ ェーズでの変更なら要件定義書や外部設計書だけの変更で済むが,システム テストフェーズでの変更だとプログラムの修正や再テストも必要になる。 イ:要員数は,開始直後の上流工程では少人数で進められ,プログラミング・単 体テストをピークに増加していく。そこからは徐々に減少していくため, (横 軸に日程,縦軸に要員数を示したグラフでは)ちょうど“山”のような形に なるのが一般的である。また,リスクはプロジェクトが進むにつれ減少する。 プロジェクトに存在するリスクは,プロジェクトの立ち上げ段階では多い が,プロジェクトが進むにつれて(時間の経過とともに),それらは“確定” していくからだ。いずれも誤り。 ウ:要件変更への対応コストはプロジェクトが進むにつれ上昇する。プロジェク ト要員数のグラフは,プログラミング・単体テスト工程を頂点にした“山” のようになる。いずれも誤り。 エ:リスクはプロジェクトが進むにつれ減少する。ステークホルダの影響力は, 時間の経過とともに低下していく。いずれも誤り。 ©2014 Yasuyuki Miyoshi 2 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 3:正解(エ) PMBOK に登場する用語の意味を問う問題。個々のプロセスが,9 つの知識エリ ア及び 5 つのプロセス群(第 4 版)のどこに位置づけられるかを知っているかどう かが試されている。ここで問われているプロセスは,プロジェクト憲章(→第 1 章 参照)。9 つの知識エリアは「統合マネジメント」 ,5 つのプロセス群は「立上げプ ロセス群」なので,正解は(エ)になる。 問 4:正解(イ) PMBOK の用語, “組織のプロセス資産”に関する問題。組織のプロセス資産と は,過去のプロジェクトのデータや,それを分析して,プロジェクト計画作成時に 活用するなど資産化したもので,問題文にもあるように“プロセスと手順”と“企 業の知識ベース”の二つに大別される(次表参照) 。ざっくり言うと,前者は“標 準化されたドキュメント”で,後者は“収集されたデータ”になる。次表のように 細かく記憶していない場合は,選択肢を“標準化されたドキュメント”か, “収集 されたデータ”かで考えていけばいいだろう。 “標準化されたドキュメント”は(イ) だけ。残りの選択肢は全て“プロセスと手順”の資産になる。 組織のプロセス資産 対象物の例 1.プロセスと手順 ・組織の標準プロセス ・標準化されたガイドライン,作業指示書,提案評価基準, パフォーマンス測定基準 ・テンプレート ・ガイドラインや基準 ・組織のコミュニケーション要求事項 ・プロジェクト終結のガイドラインまたは要求事項 ・財務管理手順 ・課題と欠陥のマネジメントの手順 ・変更管理手順 ・リスク・コントロールの手順 ・作業認可のための優先順位決定,承認,認可書発行等の手順 2.企業の知識ベース ・プロセス測定データベース ・プロジェクト・ファイル ・過去の情報と教訓の知識ベース ・課題と欠陥のマネジメントに関するデータベース ・コンフィギュレーション・マネジメントに関する知識ベース ・財務データベース ※ PMBOK ガイド第 4 版 P.33 より一部引用 ©2014 Yasuyuki Miyoshi 3 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 5:正解(エ) PMBOK に登場する用語の意味を問う問題。ステークホルダ(→第 8 章参照)に ついて問われている。選択肢を順番に見ていこう。 ア:サプライヤは,プロジェクト外部から,プロジェクトに必要な構成部分やサ ービスを契約に基づいて行う企業である。誤り。この選択肢の説明は,顧客 やユーザの説明である。 イ:スポンサは,プロジェクトに対して資金や現物にて財政的資源を提供する人 やグループのこと。誤り。この選択肢の説明は,サプライヤの説明になる。 ウ:納入者とサプライヤは同じもの。したがって誤り。この選択肢の説明は,ス ポンサの説明になる。 エ:これが正解。 問 6:正解(ウ) WBS(→第 8 章参照)に関する問題。WBS 作成プロセスにおけるローリングウ ェーブ計画法について問われている。ローリングウェーブ計画法とは,プロジェク ト計画書を段階的に詳細化していく手法のことで,短期的に完了しなければならな い作業は,WBS の下位レベルに至るまで詳細に計画するが,遠い将来実施される 作業については,上位レベルの WBS にとどめておく(詳細が明確になってから要 素分解して詳細な WBS を作成する)計画立案方法になる。したがって,正解はウ になる。ちなみに選択肢はすべて, “WBS 作成”プロセスの用語である。 ア:WBS 辞書の説明。誤り。 イ:WBS テンプレートの説明。誤り。 ウ:正解。 エ:要素分解の説明。誤り。 ©2014 Yasuyuki Miyoshi 4 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 7:正解(ア) RAM(→第 5 章,第 8 章参照)に関する問題。RACI(Responsible,Accountable, Consulted,Informed)チャートについて問われている。RACI チャートとは下表 のようなもので,要員の役割と責任を明確にするために用いる。 要員 アクティビティ 要件定義 阿部 伊藤 佐藤 鈴木 田中 野村 C A I I I R 設計 R I I C C A 開発 A — R — R I テスト I I C R A C それぞれのアルファベットの持つ意味は次のようになる。この組み合わせは,選 択肢アになる。 Responsible:実行責任(者) 。当該アクティビティを実行する責任者。 Accountable:説明責任(者) 。当該アクティビティの全体責任者。各アクティビ ティに 1 名だけ設定することが望ましい。 Consulted:相談対応(者) 。当該アクティビティにおいて,その作業に必要な情 報や能力を持っていて,必要に応じてアドバイスを提供する役割。 Informed:情報提供(者) 。情報共有等を目的にした情報提供先。進捗や成果に ついての連絡や報告を受ける側。 ©2014 Yasuyuki Miyoshi 5 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 8:正解(イ) 工程管理に関する問題。アローダイアグラム(→第 8 章参照)を用いた作業計画 について問われている。この設問に解答するには次の手順で考えなければならない。 ・ このプロジェクト全体の所要期間を求める ・ 3 日短縮するために,どのプロセスを短縮するのかを考える ・ 追加費用を計算する 現在のクリティカルパスは(B,E)の 15 日である。3 日短縮して 12 日にするた めには,次の 4 パターンの方法がある。全組合せ(A → C,A → D → E,B → E) の中からクリティカルパスの変化に注意しながらピックアップする。 ・ A → C がクリティカルパス…11 日なので該当しない ・ A → D → E がクリティカルパスになるようにするには,B を最低でも 2 日短 縮しなければならない。その上で,E を 1 日短縮すると 12 日になるし,B を 3 日短縮するとともに,A もしくは D を 1 日短縮しても 12 日になる。 ① B を 2 日間,E を 1 日短縮する ② B を 3 日間,A を 1 日短縮する ③ B を 3 日間,D を 1 日短縮する ・ B → E を,そのままクリティカルパスになるように 3 日短縮するには,E を 3 日短縮するか,B を 2 日と E を 1 日短縮する。 ④ E を 3 日短縮する ⑤上記の①に同じ 最後に追加費用を計算してみる。 ① 12 万円(3 万円× 2 日,6 万円× 1 日) ② 11 万円(3 万円× 3 日,2 万円× 1 日) ③ 14 万円(3 万円× 3 日,5 万円× 1 日) ④ 18 万円(6 万円× 3 日) 以上より,B を 3 日間,A を 1 日短縮するパターンの時が追加費用は最小で 11 万円で済む。イが正解。 ©2014 Yasuyuki Miyoshi 6 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 9:正解(エ) クリティカルチェーン法に関する問題。クリティカルチェーン法は,PMBOK に おけるスケジュール作成プロセスのツールと技法のひとつで,作業の前後関係や依 存関係を考慮して作成したスケジュールネットワーク図(ADM や PDM など)に, 人や設備などのリソースの確保状況(制約)を加味して,最もクリティカルな工程 を重点的に管理していこうとするプロジェクト管理手法になる。エリヤフ・ゴール ドラットが提唱した。選択肢を順番に見ていこう。 選択肢のアからウは,いずれも作業期間を短縮するための技法になる。クリティ カルチェーン法とは,クリティカル・パスに,制約のある資源を加味して修正し, それを計画通りに管理していって,プロジェクトを成功に導こうとする考え方にな る。作業期間をどうやって短縮するのかを考えるものではない。そうではなく,ク リティカルチェーン法では,不確定要素(リスク)をマネジメントするために所要 期間バッファを設ける。そのひとつはフィーディングバッファ(もしくは合流バッ ファ)というもので,クリティカルパスではないプロセスが,クリティカルパスに 合流する部分に持たせるバッファを意味する。また,クリティカルチェーンの最後 に置かれるバッファをプロジェクトバッファという。したがって,エが正解になる。 問 10:正解(ウ) プロジェクトマネジメントの実績報告のプロセスにおいて,スコープ,コスト, スケジュールに関して,ベースラインと実績の乖離を明確にするために使用される 技法は,差異分析(→試験に出る用語集)になる。したがってウが正解。 ア:what-if シナリオ分析(→試験に出る用語集) イ:傾向分析(→試験に出る用語集) ウ:正解 エ:モンテカルロ法(→試験に出る用語集) ©2014 Yasuyuki Miyoshi 7 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 11:正解(ウ) 見積りに関する問題。問題文に書いている条件の通りに計算していけばいい。 ・1 人で開発する時のコスト 440 人時 ・10 人で開発する時のコスト 最初に,1 人当たりのコミュニケーションの工数を計算する。条件(2)では, “チ ームのメンバが総当たりでとる”としている。メンバは 10 人なので,1 人当た り 9 人と 1 人当たり 1 週間に 2 時間コミュニケーションをとるようである。つま り,1 週間のうち,1 人あたり 18 時間がコミュニケーションにとられてしまう。 社員は 40 時間働くので,コミュニケーションの 18 時間を差し引くと,実働 22 時間になるので,開発期間は 2 週間必要になる。 440 人時÷ 10 人÷ 22 時間/週= 2 週間 1 週間にコミュニケーション工数は,18 時間× 10 人= 180 時間必要で,それが 2 週間になるため,360 時間がコミュニケーション工数になる。元の開発工数 440 時間を加えると,800 時間になる。 800 / 440 ≒ 1.8 したがって,正解は(ウ)になる。 問 12:正解(ア) EMV に関する問題。EMV(Expected Monetary Values:期待金額価値)とは, リスク分析を行うときの考え方の一つで,PMBOK では“定量的リスク分析”プロ セスのツールのひとつとして定義されている。 “定性的リスク分析”プロセスにお ける発生確率・影響度マトリックスを,期待値を使って定量化するものなので, “リ スク事象の発生確率”に“リスク事象発生時の影響金額”を乗じたものになる。し たがって正解は(ア)になる。 ©2014 Yasuyuki Miyoshi 8 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 13:正解(ウ) PMBOK に登場する用語の意味を問う問題。PMBOK では,今回ここで問題にし ているリスク対応戦略は,リスク対応計画プロセスのツールと技法で,次のように 定義している。 マイナスのリスクもしくは脅威に対する戦略 ・ 回避:リスクそのものを回避する ・ 転嫁:保険や保障,契約などの工夫で責任を転嫁する ・ 軽減:対応策をとってリスクそのものを軽減する ・ 受容:積極的に動くわけではなく現状のリスクを受け入れる プラスのリスクもしくは好機に対する戦略 ・ 活用:確実に好機を掴むためそれを妨げる不確実性を除去する ・ 共有:好機を掴む確率を上げるため第三者と共有する ・ 強化:プラス要因を増加させる ・ 受容:積極的に動くわけではなく現状のリスクを受け入れる 上記より正解は(ウ)になる。今回の問題なら,以前から(あるいは実際の現場 で考慮している)マイナスのリスクさえ知っていれば消去法で正解には辿りつける だろう。但し,この問題は「今後は,プラスのリスク対応戦略についても,説明を 求める問題を出していくぞ。 」という試験センター側の強い意志の表れだと思われ る。これを機会に,プラスのリスクに対する対応戦略も覚えておこう。 ©2014 Yasuyuki Miyoshi 9 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 14:正解(エ) 見積り技法のひとつ COCOMO(→第 8 章参照)に関する問題。ただし,この問 題は COCOMO の知識がなくても,数学の基礎知識さえあれば解ける。 開発規模に具体的な数値を入れてみて比較してみると良い。例えば,今回,10k, 20k,30k の 3 パターンを使って比較してみる。 1 0.12 0.12 =3×10 1 ×10 0.12 =30 1 0.12 0.12 =3×10 1 ×10 0.12 =30×10 0.12 0.12 1 ×10 0.12 =30×10 =3×10 1 ×10×10 0.12 =30×10 0.12 =3×10 =3×10 =30×10 =3×10 ×10 =30×10 1 0.12 0.12 0.12 開発規模が 10k の場合,MM ここで, 10 0.12 2 1 0.12 =3×10 ×10 =30×10 10 2 1 0.12 0.12 10 2 1 0.12 10 2 1 10 2 1 10 1020.12 1 21 10 10 10 生産性= 10 0.12 1 0.121 10 = = 1 1 0.12 = 生産性= 生産性= 10 1 30×10 0.12 0.12 生産性= = 生産性= = 10 生産性= 30×10 0.12 0.121 0.12 0.123×10 30×10 3×10 = 0.12 0.12 30×10 3×10 30×10 生産性= = 3×10 30×10 3×10 0.12 1 0.12 0.12 0.12 0.12 =3×20 1 ×20 0.12 =60 1 30×10 0.12 3×10 =3×20 開発規模が 20k の場合,MM 1 ×20 0.12 =60×20 0.12 0.12 1 ×20 0.12 =60×20 =3×20 1 ×20×20 0.12 =60×20 0.12 =3×20 =60×20 =3×20 ×20 =60×20 =3×20 1 0.12 0.12 20 ×2020 =60×20 =3×20 20 1 生産性= 20 1 20 = = 1 1 0.12 = 生産性= 生産性= 20 0.12 1 0.12 0.12 30×20 0.12 生産性= = 生産性= = 20 30×20 0.12 0.121 0.12 0.123×20 30×20 3×20 生産性= = 0.12 0.12 30×20 3×20 30×20 生産性= = 3×20 30×20 3×20 0.12 1 0.12 0.12 0.12 0.12 =3×30 1 ×30 0.12 =90 1 30×20 0.12 3×20 =3×30 1 ×30 0.12 =90×30 0.12 0.12 1 ×30 0.12 =90×30 =3×30 1 ×30×30 0.12 =90×30 0.12 開発規模が 30k の場合,MM =3×30 =90×30 =3×30 ×30 =90×30 =3×30 0.12 30 ×3030 =90×30 0.12 =3×30 1 30 1 生産性= 30 1 30 = = 1 1 0.12 = 生産性= 生産性= 30 1 0.12 0.12 90×30 0.12 0.12 生産性= 生産性= = 3×30 30 = 90×30 0.12 0.121 0.12 0.123×30 90×30 生産性= = 0.12 0.12 90×30 3×30 90×30 3×30 生産性= = 90×30 90×30 0.123×30 3×30 0.12 以上より,生産性の大小を比較すると,次のようになる。 開発生産性(KDSI / MM)の値の大小関係は次の通り。10k > 20k > 30k すなわち,開発規模が大きくなればなるほど開発生産性は悪化する。そのため, (ア)と(イ)のようなグラフ傾向は示さない。また,開発規模(X 軸)に上限は ないため(ウ)のようなグラフにはなりえない。よって, (エ)が正解になる。 問 15:正解(イ) QC7 つ道具(→第 8 章参照)に関する問題。選択肢を順次チェックして,その 中からパレート図(→第 8 章参照)の説明を探す。問題文の中に「大きさの順に並 べるとともに累積和を示した図」という記述があるため正解は(イ)になる。 ア: 管理図や, (管理限界線が無い場合だと)ランチャートの説明になる。誤り。 ウ: 「 (測定値を)打点」 , 「それらの相関を判断」とあるので散布図の説明になる。 誤り。 エ:特性要因図の説明になる。誤り。 ©2014 Yasuyuki Miyoshi 10 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 16:正解(ア) テスト設計・管理手法に関する問題。エラー埋込み法(→試験に出る用語集)に ついて問われている。 ①予め 100 個のエラーを埋込み,そのうち 20 個(そのエラーの存在を知らない 検査グループが発見した 30 個のうちの故意に埋め込んでおいたものの個数) を検出したわけだから,その割合 20/100 = 20%検出完了。これがテストの進 捗率になる。 ②テストの進捗率が 20%で,これまで発見された真のエラーが 10 個(そのエラ ーの存在を知らない検査グループが発見した 30 個から,故意に埋め込んだ 20 個を減じた個数)なので,全体の潜在的バグ数は,以下の式で求められる。 10 ÷ 0.2 = 50・・・全体の潜在的バグ数は 50 個。 ③最後に残存バグ数を求める。 残存バグ数=全体の潜在的バグ数-既検出真のバグ数= 50 - 10 = 40。よって 正解はアになる。 問 17:正解(エ) システム開発方法論(→第 8 章参照)に関する問題。XP について問われている。 選択肢のうち“ペアプログラミング”は代表的なプラクティスのひとつで,二人一 組で実装(一人がコードを書き,もう一人がチェックする)を行っていく手法を指 す。したがって正解はエになる。 ©2014 Yasuyuki Miyoshi 11 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 18:正解(イ) システム開発方法論(→第 8 章参照)に関する問題。選択肢を順番に見ていく。 a:要求が明確で,全機能を一斉に(大人数で)開発するのに向いているのはウ ォータフォールモデルになる。大規模開発に向いている。 b:選択肢の中で“順次機能を追加していく”のは,段階的モデルと進化的モデ ルの両方になるが, “c”が進化的モデルになるので,こちらは段階的モデル になる。この記述だけでは決めきれないが,段階的モデルは全体の仕様は決 まっている場合で,その順番を段階を経る方法を指す。 c:要求に不明確な部分があって,これから要求内容を洗練していかないといけ ない場合には進化的モデルが使われる。 以上より,正解はイになる。 問 19:正解(イ) ITIL(→第 8 章参照)に関する問題。問題文の説明を頼りにあてはめていく。 a: 「戦略」というキーワードから「サービスストラテジ」だと判断できる。スト ラテジは“戦略”という意味である。 b:事業が求める品質を作り出すのは, 「サービスデザイン」になる。 c:サービスを実際に提供するのは「サービストランジション」である。トラン ジションは「移り変わり」を表す単語。本番環境に展開するのがここに該当 する。 d:リリース後は安定的に運用する。これが「サービスオペレーション」になる。 以上より正解はイになる。 ©2014 Yasuyuki Miyoshi 12 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 20:正解(ウ) 採点結果表の案 1 から案 4 までをそれぞれ順番に,算出式に合わせて計算してい けばいい。 案 1: セキュリティ強化:3 × 4(重み付け)= 12 システム運用品質向上:2 × 2 = 4 作業コスト削減:5 × 3 = 15 効果の総評価点 31 スケジュールリスク:2 × 8 = 16 技術リスク:4 × 3 = 12 リスクの総評価点 28 効果の総評価点-リスクの総評価点= 21 - 18 = 3 同様に計算すると,それぞれ次のようになる。 案 2:1,案 3:7,案 4:- 13 以上より案 3 のウが総合評価点が最も高くなる。 問 21:正解(ウ) 知的財産権(→第 8 章参照)に関する問題。ランニングロイヤリティについてと 問われている。ランニングロイヤリティとは,ライセンス料の支払い方法のひとつ で,当事者間の話し合いで決められるもので,特許発明の実施の実績(その特許を 使用している製品の販売量や販売額)に応じて額が決まる使用料になる。したがっ てウが正解になる。 ア:ライセンス料の支払い方法ではなく,技術サポート料になる イ:ライセンス料の支払い方法のひとつで,イニシャル・ロイヤリティである エ:保守費用 ©2014 Yasuyuki Miyoshi 13 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 22:正解(ウ) 下請代金支払遅延防止法(→第 8 章参照)に関する問題。選択肢を順番に見てい く。 ア:これは正しい。継続的に行われる場合で,取引条件(支払方法や検査期間等) が一定している場合には,これらを共通記載事項として別の書面で通知して おくことで,個々の発注に際しては記載が不要になる。したがって禁止行為 ではない。 イ:下請法では,仕様変更に際して,買いたたき(見積書提出後の変更)や不当 な給付内容の変更を禁じているが,このケースは発生する費用の増加分を下 請代金に加算し,下請事業者と協議もしているので問題はない(禁止行為で はない) 。 ウ:仕様が確定していない場合で,正当な理由がある場合には,仕様が未確定で ある旨を伝えて発注する事に問題はないが,仕様が確定した段階で速やかに その内容を書面で交付しなければならない。したがってこれが禁止行為に該 当する。正解。 エ:下請法では下請代金の減額を禁止しているが,発注前に振込手数料を下請事 業者が負担することに関して書面で合意がある場合には,それは減額には相 当せず認められている。したがって禁止行為ではない。 問 23:正解(ア) コンティンジェンシープラン(→試験に出る用語集)に関する問題。選択肢を順 番に見ていく。 ア:正しい イ:コンティンジェンシープランでは,大規模な災害が発生した時を想定してい るため,バックアップデータの保管を考える場合には遠隔地の方が好まし い。誤り。 ウ:バックアップの対象は,業務再開に必要かどうかという視点で優先順位を決 める。機密度ではない。誤り。 エ:コンティンジェンシープランは,予防策策定手順ではなく,被害が発生した 時の事後対策手順が中心になる。誤り。 ©2014 Yasuyuki Miyoshi 14 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説 問 24:正解(イ) 情報セキュリティ分野の問題。メールサーバについて問われている。SMTP サ ーバの不正利用というのは,SMTP サーバの持つ第三者中継機能を悪用するもの になる。したがって,それを禁止するイが正解になる。そのほかの対策は,いずれ もメールとは無関係な対策になる。 ア:DNS サーバに関する設定。ゾーン情報にはネットワークの構成情報が含ま れているので,そのドメインのセカンダリサーバ以外には転送しない設定に しておくのが普通である。誤り。 ウ:ディレクトリに存在するファイル名を表示する設定にしていると,そのディ レクトリ配下のファイルが攻撃対象になることもあるので,禁止した方がいい。 エ:意図しない場所で CGI プログラムが実行されるのを禁止する。 問 25:正解(イ) 情報セキュリティ分野の問題。SSL(→試験に出る用語集)について問われてい る。SSL の技術というよりも,SSL を使ったサーバ認証やクライアント認証に関し て問われている。解答に当たっては,選択肢を順番にみていく。 ア:ディジタル証明書にサーバの IP アドレスを組み込むことはない。誤り。 イ:正しい。住基カードや社員証など,IC カードに格納して使用しているケー スも多い。 ウ:Web サーバで SSL を使ってサーバ認証する場合,クライアント側は不特定 多数の利用が可能で,特に事前の登録処理は不要である。したがって誤りで ある。 エ:そのような制限はない。誤り。 ©2014 Yasuyuki Miyoshi 15 PM-H26 午前Ⅱ解答・解説
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