The GRAND アルトバイエルン

第43回
日本人の嗜好と共に進化を続ける
The GRAND アルトバイエルン
定番名品は、
こうして生まれた
伊藤ハム
ソーセージは、たいていの人が好
程度しましたが、爆発的に売れたの
きだ。なぜ好きなのか。The GRAND
です」と、今回The GRAND アルトバ
アルトバイエルンの歴史を振り返り
イエルンについて教えてくれたのは、
ながら、その理由をちょっと探って
加工食品事業本部副事業本部長の米
みよう。
田雅行氏と、事業戦略統括部部長の
消費者の成長とともに進化
伊藤ハムのソーセージづくりは、
上段左は、店頭でおなじみの2パックタ
イプの「 The GRAND アルトバイエルン
セミロングタイプ127g」と、1パックで
浦田寛之氏。
量が多い「セミロングタイプ169g」(右)。
「手造りウインナーがヒットした後、 下段左は「カクテル(ミニサイズ)タイプ
85g」と、下段右「ロングタイプ187g」。
バブル時代に入って高級感が求めら
まず1934年のセロファンウインナー
れるようになり、牛肉をブレンドし
ま日本の消費者嗜好の変化といって
(現ポールウインナー)の誕生に遡る。
ましたが、その後、お客様はもっと
いい。誰もがソーセージを好きな理
1983年には豚肉100%のドイツ風ウイ
本物を求めるようになりました。本
由は、このへんにもあるのかもしれ
ンナー「手造りウインナー」を発売し、 場ドイツでソーセージを食べたり、
ない。
85年に「手造りウインナーバイエル
さまざまな体験を積んだお客様が増
ところで、多くが茹でるか焼くだ
ン」へと進化。さらに1987年には牛肉
えたことによると思います。そこで
けで“そのまま食べる”ことが多いソ
をプラスした「ポーク&ビーフバイエ
“昔ながらの”という意味を持つ“アル
ーセージだが、The GRAND アルトバ
ルン」となり、98年に大ヒット商品と
ト”を冠して、オールポークの『アル
イエルンの美味しい食べ方は、やは
なる「アルトバイエルン」が誕生した。 トバイエルン』が誕生したのです」と
り「フライパンでコロコロところがし
そして、2014年には「 The GRAND ア
米田氏。
ルトバイエルン」となって、さらに磨
このとき重視したのが「 72時間熟
(浦田氏)こと。それが「皮はパキッと、
きがかけられた。
成」という製法。味の深みを出すため
中はジューシーで、食べた後にふわ
「 1980年代、皮なしウインナーが主
に、しっかりと熟成させることにこ
っと余韻を感じられる食べ方」
(同氏)
流で1袋の平均単価が約150円前後だ
だわり続けている。
だそうだ。朝食やお弁当に欠かせな
った時代、手造りウインナーは250円
その後、さらに舌が肥えてきた消
いソーセージ、焼くだけというその
費者を納得させるために、本物志向
手軽さも、みんなに好かれるもう1
をより強めた「The GRAND アルトバ
つの理由のだろう。
イエルン」へと進化したという。
「肉
最後に、浦田さんは「弊社は、おい
は歯ごたえを残して粗挽きにし、塩
しいものを、真面目に、愚直につく
はドイツ・バイエルン地方の塩の量を
る会社です。どこよりおいしいソー
増やし、削りの粗さにもこだわりま
セージだと自負していますが、まだ
した。もちろん熟成にもこだわって
まだお客様への浸透は弱いと感じて
います」
(浦田氏)
。
います。これからの夢は、やはり業
このように時代とともにソーセー
界ナンバーワンを目指していきたい
ジは進化を続けており、The GRAND
と思っています」と、力強く語ってく
アルトバイエルンの歴史は、そのま
れた。
「店舗・エリアごとに課題が違います。その、
それぞれの課題を私たちに投げかけてくださ
い。その店舗・エリアの皆様と一緒になって、
個別解答を見つけていきたいと考えています」
(浦田氏・右)。「動物性タンパク質をきちんと
摂ろうという気運が高まっています。ソーセー
ジは手軽に摂れる動物性タンパク質として活
用していただきたいと思います」
(米田氏・左)。
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2016年7月夏号 日本小売業協会発行
ながら、弱火で6分間ゆっくり焼く」