高温に対する農作物等の当面の技術対策 平 成 2 8 年 8 月 9 日 秋田県農作物異常気象対策本部 農作物異常気象対策指導班長 <農作業中の熱中症対策> 『農作業中の熱中症に対する指導の徹底について(平成28年6月13日付け水田- 784)』で通知しておりますが、特に、下記について注意してください。 ○ 作業は、日中の気温の高い時間帯を外して行うとともに、休憩をこまめにとり、作 業時間を短くするなどの工夫をします。特に、気温が高くなりやすいハウス等の施設 内での作業では注意します。 ○ 水分をこまめに摂取し、汗で失われた水分を十分に補給します。 ○ 帽子の着用や汗を発散しやすい服装とします。 ○ 作業場所には日よけを設けるなど、できるだけ日陰で作業をするように努めます。 ○ 屋内では、遮光や断熱材の施工等により、作業施設内の温度上昇を抑えるとともに、 風通しを良くして室内の換気に努めます。 水 稲 (1)水管理の徹底 水管理の徹底により稲体の活力を維持して登熟の向上を図ります。特に、登熟が高 温条件下で経過すると、白未熟粒やクサビ米(黒点症状米)等の被害粒の発生が多く なることから、水管理を徹底して被害軽減に努めます。 ○ 出穂後、最高気温が30℃以上になる場合は、用水の確保が可能であればかけ流しか ん水を行います。かけ流しかん水が困難な場合(開花期後)は、落水期間の短い、間 断かん水や入水を日中に行うなど、水分供給と地温の低下に努めます。 ○ フェーン現象等で乾燥した風が強い日は、湛水管理を行い、蒸散による水分の消耗 を軽減します。 * ただし、カドミウム含有米の発生が懸念される地域では、出穂3週間後までは常 時湛水管理とし、カドミウムの吸収を抑制します。 ○ 近年、コンバインの収穫作業等に備えるため、早期に落水しているほ場がみられま すが、落水時期は出穂後30日以降とし、早期落水はしないでください。 (2)斑点米カメムシ類防除の徹底 斑点米カメムシ類のすくい取り数、発生地点率がともに高くなっており、8月8日 に斑点米カメムシ類の多発注意報が発令されました。高温条件下では、斑点米カメム シ類の活動が活発になると予想されることから、以下の技術対策を徹底します。 ○ 1回目のスタークル剤又はアルバリン剤による薬剤防除7日後までに畦畔や農道の 草刈りを必ず行ってください。 - 1 - ○ 水田内に出穂したノビエやホタルイ等が発生しているほ場やイネ科雑草が主体の牧 草地や休耕田等の発生源に隣接しているほ場では、2回目の薬剤防除として出穂後24 日後頃に、キラップ剤による茎葉散布を実施します。 ○ 薬剤を散布しない法面や休耕田等の雑草地は、稲の収穫2週間前までは草刈りを控 えます。 大 豆 (1)畝間かん水等の実施(開花期後) ○ 暗きょの栓を閉めて、土壌中の水分の保持に努めます。 ○ 大豆は、開花期~子実肥大期にかけて最も水分を必要とする時期であり、畝間かん 水や明きょへのかん水などにより干ばつ防止に努めます。 ○ 畝間かん水を行う場合は、畝の高さの1/2程度とし、30a以上の大きなほ場の場合、 ほ場を2~3区画程度に分け、1日1区画ずつ2~3日に分けてかん水し、畝の崩壊 と水口付近の湿害を防ぎます。 ○ ほ場(区画)全体に水が行き渡ったら水口をしっかり止め、速やかに排水します。 ○ かん水は、気温・地温が低下する夕方から夜に行ってください。 (2)病害虫防除の徹底 ○ 高温年は害虫の発生が多くなることから、ほ場をよく観察して適切な防除に努めま す。 野 菜 (1)適切なかん水、換気等による地温上昇防止 ○ 露地野菜では、早朝または夕方の涼しい時間帯にかん水を行います。ただし、畝間 かん水では停滞水が無いように注意します。 ○ 施設野菜では、天窓及び施設側面の開放や換気扇の活用により十分な換気に努める とともに、寒冷紗等の被覆資材により遮光・遮熱し、施設内温度の上昇を防ぎます。 ○ 敷きわら等により、土壌表面からの水分蒸発と地温上昇の防止に努めます。 (2)病害虫防除の実施 ○ 高温乾燥時は、ハダニ類、アブラムシ類、アザミウマ類等の害虫が発生しやすいの で、発生動向に十分注意し適期防除に努めます。 (3)収穫時間の徹底 ○ 収穫は、気温の低い時間帯に行い、速やかに調整・出荷するか、予冷庫に入れるな ど、高温による品質低下の防止に努めます。 (4)秋冬野菜の管理の徹底 ○ 秋冬野菜では、育苗中の温度、かん水、 病害虫に注意して適切な管理を行います。 播種及び定植は、朝または夕方の涼しい時間帯に行い、適期作業に努めます。定植後 は、活着まで適宜かん水を行います。 - 2 - 花 き (1)適切な換気、遮光等による品質確保 ○ 施設栽培は、露地栽培に比べ高温による生育障害を受けやすいので、換気扇などを 利用した強制換気により、日中の施設内温度の上昇を極力抑えます。 ○ 葉温や地温を下げることを目的に、寒冷紗等による遮光(遮光率30~50%を目安と する)を行います。 ○ かん水は、施設・露地栽培ともに早朝または夕方に十分行い、高温・乾燥による生 育障害などを防ぎます。 (2)病害虫防除の実施 ○ ハダニ類、アブラムシ類、アザミウマ類などが発生しやすいので、防除を徹底しま す。なお、薬剤散布は、高温時に行うと薬害が発生するおそれがあるため、気温の低 い早朝または夕方に行います。 (3)収穫時間の徹底 ○ 収穫は、気温の低い早朝に行い、高温による萎れなどの品質低下が発生しないよう にします。 果 樹 (1)果樹園の乾燥防止 ○ 幼木や樹勢の弱い樹などは、土壌の乾燥により衰弱することがあるため、かん水や 敷きわら・敷き草により、土壌水分の保持に努めます。 ○ 乾燥が続くと果実の肥大が抑制されるため、かん水施設を有する園地では、適宜か ん水を行います。 ○ 草生園においては、樹体と草との水分競合を防止するため、草刈りを行います。 (2)りんごの日焼け果防止 ○ りんごの早生種は摘葉時期を迎え、高温と強い日差しによる日焼け果の発生が懸念 されるので、過度に摘葉しないよう留意し、作業は曇天時か果実温度が高くなった日 中に実施します。 ○ 猛暑日など、極端な高温が予想される日には、摘葉や玉回しなどの着色管理作業は 行いません。 (3)病害虫防除の実施 ○ 高温乾燥時は、ハダニ類などが発生しやすいため園地をよく観察し、適切な防除を 行います。なお、薬剤散布は、高温時に行うと薬害が発生するおそれがあるため、朝 方また夕方の気温の低い時間帯に行います。 ○ 日焼部位への炭疽病の発病がある果実は二次感染防止のため、摘み取って土中に埋 めます。 - 3 - 畜 産 (1)直射日光が畜舎に入らないよう南・西に日除けを行います。 (2)畜舎内の風通しを良くし、家畜に十分風があたるようにします。 (3)飼育密度の緩和や飼育家畜等への散水・散霧により、体感温度の低減を図ります。 (4)夜間の換気によって涼しい環境をつくり、体内に蓄積した熱を翌日に持ち越さない ようにします。 (5)いつでも新鮮な水が飲めるようにします。 飼料作物 ○ 草地については、過放牧、過度の低刈りや短い間隔での刈取りを避け、貯蔵養分の 消耗を軽減するなど草勢の維持に努めます。 - 4 -
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