記者会見要旨 日 時 :平成 28 年8月5日(金)午後2時 30 分~2時 50 分

記者会見要旨
日
場
記
出
時
所
者 数
席 者
:平成 28 年8月5日(金)午後2時 30 分~2時 50 分
:名証記者クラブ記者会見室(名古屋証券取引所ビル5階)
:7人
:稲野会長、森本副会長、岳野専務理事
冒頭、稲野会長から挨拶が行われた後、大要次のとおり質疑応答が行われた。
(記者)
愛知県は個人の金融資産が全国平均よりも高く、比較的、株式等への投資
が活発な地域かと思う。今後、
「投資の日」イベント等が予定されていると思
うが、この地域に対して期待するところがあればお話しいただきたい。
(稲野会長)
御指摘のとおり、愛知県は個人の金融資産が多く、その厚みは、歴史とと
もに着実に積み重ねられてきたものと思う。東海地区の証券会社や各金融機
関においては、個人のお客様に「どのようなサービスを提供していくか」に
ついて競争が激しいこともあり、全国的にもサービスレベルが非常に洗練さ
れていると思う。
東海地区に本社を置く証券会社は 17 社で、それぞれが独自のサービスも含
めて幅広く営業活動を展開している。
また、NISA の利用状況等を見ても、特に愛知県が突出しているというわけ
ではないが、保有する金融資産に比例して、かなり大きな成果を上げており、
今後も大いにビジネスチャンスがあると考えている。
加えて、先日公表された日銀の「さくらレポート」にもあったように、愛
知県あるいは東海地区の経済状況は非常に順調で、特に大企業における設備
投資は大幅に増加しており、全国の他地区と比較しても、最もポジティブな
判断となっている。この地位は、製造業を中心とした強固な企業ネットワー
クが存在し、かつ、上場会社も多く、株式を中心とした投資対象も非常に多
いことから、特に証券ビジネスでは、今後とも順調な発展が期待できるであ
ろう。さらに、リニア中央新幹線の実現は、東海地区にとって大きなアドバ
ンテージになるのではないか。それは全体の経済活動、そして企業活動にも
大きな好影響をもたらすことから、この東海地区の持つポテンシャルについ
ては非常に注目している。
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(記者)
証券取引所に関してみると、東京証券取引所と大阪証券取引所が統合され
てから、東京への集中が加速するような流れかと思うが、一方で、東海地区
を地盤にする会社は非常に多く、名古屋証券取引所に単独上場されている地
元の企業も比較的あろうかと思う。この地域の証券取引所及び証券市場の活
性化に関して、何か期待するところや要望等があればお話しいただきたい。
(稲野会長)
昨年度で申し上げると、名古屋証券取引所への新規上場銘柄は4社であり、
うち3社は東証1部あるいはマザーズとの重複上場で愛知県に本社を置く会
社だったと思う。今後も様々なポテンシャルのある企業が多いことから、そ
ういった企業を発掘する意味でも名古屋証券取引所の活動には期待するとこ
ろである。
もちろん、新規上場会社数が爆発的に増えるということではないが、名古
屋証券取引所としてみれば地道な誘致や広報活動が、そのような結果につな
がっていくことになる。
そういう観点で申し上げると、今年も「名証 IR エキスポ」が7月に開催さ
れ、聞くところによると前回を上回る 120 社の企業がブース出展し、個人投
資家で賑わったということである。このように地元の上場企業と投資家が直
接触れ合う機会をもつことは、企業にとっても非常に良いことであるし、そ
ういった地道な活動を通じて投資家の裾野が拡大していくものと考えている。
「名証 IR エキスポ」は今回で 23 回目を迎えたとのことであるが、この蓄積
によって個人投資家の裾野は着実に拡大してきているのではないかと感じて
いる。
国内の証券取引所に関しては、かつて取引所間競争ということがよく言わ
れ、取引所間が切磋琢磨して競争することにより、サービスが向上し、利用
者の利便性が増すという図式が想定されたわけだが、現在は必ずしもそうで
はなく、東京証券取引所にかなりの商いが集中する一方で、デリバティブ取
引は大阪取引所に集中しており、以前とは違う様相になっている。しかし、
一種の補完関係は成立し、取引所は金融資本市場及び株式市場へのゲートキ
ーピングの役割を果たすわけであるから、これだけのポテンシャルの大きい
地域に取引所が居を構えていることは非常に大きな意味があると思う。マー
ケット機能のみならず、地域経済を活性化させるというその礎としての役割
を果たしていただくことも、私どもとしては大いに期待したい。
(記者)
日銀の金融政策決定会合から1週間が経った。ETF の買入れ等、株式市場
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を刺激するという面が打ち出された反面、足下の株価でみれば、昨年同時期
と比較するとむしろ下がっているという位置付けだと思うが、ここまでの1
週間の効果をどう見られているか。また、今後についてどのように見ておら
れるのか、会長のお考えをお聞かせいただきたい。
(稲野会長)
日銀の金融政策決定会合を受けた結果について、1週間で総括するのは少
し早いと思っている。特に ETF の買入れは、3兆 3,000 億円から6兆円と、
大幅な増額になったわけだが、これはあくまでも年換算ベースであって、1
度に6兆円買うわけではないが、需給関係上、6兆円の買付けは結果的には
かなり大きなインパクトをもたらすのではないかと思っている。もちろん日
銀は高値で ETF を買い上げていくことはなく、じっくり慎重に買い入れてい
くと思うが、需給関係からみると非常に好影響であるので肯定的に評価して
いる。
今後については、9月にかけて一連の今までの金融政策、特にマイナス金
利政策等について総括するということで、その先の金融政策がどうあるべき
かについては、さまざまな観測が流れているが、現時点でそれを判断するの
は早計である。いずれにせよ、きちんとした総括が行われてそれに基づいて
今後のしかるべき方針が決定されていくことは、ラストリゾートとしての日
銀に大いに期待したいところである。
(記者)
8月3日に安倍内閣の内閣改造があったが、何となく、金融市場に関する
国際競争力の強化のような話がトーンダウンしているというか、あまり聞か
れなくなった気がするが、政府の政策に期待するところ、あるいは求めてい
きたいところがあればお話しいただきたい。
(稲野会長)
政策については継続性が重要であって、この瞬間の施策だけを見るべきで
はないと思っている。そういう意味では、アベノミクスという命題の下、今
までの政策はかなり一貫してきたのではないかと思う。そして 28 兆円の経済
対策であるが、過去3番目の規模であるということだが、経済の好循環を生
み出して個人消費を喚起していく観点から期待の持てる政策ではないかと肯
定的に評価している。
ただ政策全般で申し上げると、当然我が国としては、一方で財政の問題を
抱えていて、一方では社会保障制度をどう持続可能なものとして確保してい
くかという問題を抱えている。この二つの問題を両立させていくことは容易
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ではないし、今までも様々な議論があったわけだが、特に持続可能な社会保
障制度の確立と財政規律の維持、財政再建というテーマについては、より一
層真剣に取り組む必要があると思うので、この政権下でそのような動きが前
進することに期待したい。
以
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上