西宮上ケ原キャンパス講座 <くらしの中の心理学—生活場面における人間の行動とこころ—> 親と子どもの心理学 ○講師プロフィール 桂田 恵美子(かつらだ えみこ) 1956 年、北海道生まれ。早稲田大学第一文学部英文学専攻卒業後、一般企業に就職。その後、アメリカに留 学し、オレゴン大学にて修士号(心理学と教育学)、オレゴン州立大学にて博士号(人間発達・家族学)を取得。 留学中 2 年間、ユニセフ・マラウイオフィスにて国連のジュニア・プロフェッショナル・オフィサーとして勤務。専門 は発達心理学、特に乳幼児期の発達。近年は愛着と虐待、社会適応との関連について研究している。 ○講義概要 今年 5 月末に北海道で起こった児童置き去り事件は、しつけと児童虐待との違いについて物議を引き起こしま した。この事例をもとにしつけと虐待の違いについて、なぜ虐待がおこるのか、虐待の愛着への影響などについ て講義したいと思います。また、愛着は乳幼児期だけの問題ではなく、一生涯続くものとされているので、縦断研 究を基に成人の愛着ついても触れたいと考えています。 ○参考文献等 ・藤岡孝志「愛着臨床と子ども虐待」, ミネルバ書房, 2008. ・川﨑二三彦「児童虐待‐現場からの提言」, 岩波新書, 2006. ・杉山春「ネグレクト 育児放棄‐真奈ちゃんはなぜ死んだか」, 小学館文庫, 2007. ・杉山春「ルポ 虐待‐大阪二児置き去り死事件」, ちくま新書, 2013. ・内田伸子・見上まり子「虐待をこえて、生きる~負の連鎖を断ち切る力~」, 新曜社, 2010. ***** 対人コミュニケーションの心理学 ○講師プロフィール 三浦 麻子(みうら あさこ) 関西学院大学文学部総合心理科学科・教授。専門は社会心理学。創造的活動や意思決定に際するコミ ュニケーションの役割について実証的に検討しており、特にインターネットを介したコミュニケーショ ンに注目している。また、心理データの収集や統計解析に関する方法論にも関心がある。 ○講義概要 私たちは、日常生活で多種多様な対人関係を経験します。そこでは、常に誰かとコミュニケーション,つまり情 報のやりとりをしています。情報化社会と言われてかなりの年数が経ち、私たちは膨大な情報に取り囲まれてもい ます。人を介してうまく情報がやりとりできると、われわれの人生はより豊かなものになり、また周囲の人たちの役に 立つこともできますが、少しでもそれがうまくいかないと、時には深刻なトラブルを生んでしまう危険性すらあります。 この講義では、まず人と人のコミュニケーションの心理的な特徴を明らかにした上で、特に携帯電話やパソコンを 介したインターネット・コミュニケーションに注目します。ネットを介したコミュニケーションは対面とは何が違うのか、 それは何によって生じるものなのかをよく知った上で、それをうまく使って効果的な情報のやりとりをする方法につ いて考えましょう。 ○参考文献等 研究室 Web サイト:http://team1mile.com/asarinlab ***** ことわざに見る心理学 ○講師プロフィール 今田 寛(いまだ ひろし) 1934 年兵庫県生まれ。1957 年関西学院大学文学部心理学科卒業、1963 年アイオワ大学大学院卒業(Ph.D.、 哲学博士)、1968-69 年ロンドン大学精神医学研究所留学、1977 年文学博士(関西学院大学)。元関西学院大 学文学部教授(現関西学院大学名誉教授)。専門は学習・情動・動機づけの実験心理学。著書:『恐怖と不安』 (誠信書房、1975)、『心理学の基礎』(共著:培風館、1986、2016 四訂版)、『学習の心理学』(培風館、1996)、 『ことわざと心理学』(有斐閣、2015)他。訳書:W.ジェームズ『心理学』(岩波文庫・上下、1992)他。元関西学院大 学学長、元広島女学院大学学長。 ○講義概要 ことわざは人類の叡智の結晶である。その中には人間の行動や心に関するものが数多くある。例えば「親は無 くとも子は育つ」、「目は口ほどに物を言う」、「備え有れば憂い無し」、「笑う門には福来る」等々、また最近では 「赤信号皆で渡れば怖くない」などもある。では、これらのことわざの正当性を支える心理学の実証データや事実 はあるのだろうか。それをまとめたのが参考論文に挙げる拙著である。今回はこの書物を軸に、特に「目は口ほど に物を言う」を具体例として、このことわざの正当性を裏づける実験心理学の諸事実を紹介する。 ○参考文献等 今田寛 ことわざと心理学 有斐閣 2015
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