「アクティブ ラーニングと ICT 活用」 校長室通信 H28.4.4 1.授業の発想

「アクティブ
ラーニングと ICT 活用」
校長室通信 H28.4.4
1.授業の発想の転換
〇戦後~高度経済成長期
大量の知識を暗記し,間違えの
ないよう再生すること。
一方的に価値を与えられ,その
価値を伝承していくこと。
最良の教育とされた時代
余計な思考を停止させる。
↓
戦
後
の
授
業
(
一
斉
指
導
)
〇21 世紀(未来)型授業
正確で大量の情報が瞬時に届く。
知識を暗記し,再生するより,
それらの知識を実際の生活の場面
で,いかに活用できるか,新しい
知識(解決法)を生み出すか。
社会が求めている人材
(PISA 型学力)
未
来
型
授
業
いろいろな思考を持たせる。
誘導するのが難しい。
一斉指導:効率的に知識を伝える
↓
受身で実社会では役に立たない能力を
育成する恐れがある。
思考を停止させ、暗記する
21 世紀型授業
①友だちからの情報受信(INPUT)
②友達への情報発信(OUTPUT)
③情報の再構築(PROCESS)
一斉授業から協働(協同)学習へ ~アクティブ・ラーニング~
「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は,大学卒業時に今は存在していな
い職業に就くだろう」
(ニューヨークタイムズの記事:アメリカの研究者キャシー・デビッドソン)
フューチャー
戦後~高度成
スクール
長期
PISA 型学力
我々が受けて
↓
きた授業
協働学習
↓
(協同学習)
暗記・再生型
アクティブラーニング
学習
↓
21 世紀
暗記はスマホ等
生徒同士の話し
が代役
合い・発表など
に ICT を活用
◎
発想を変えるポイント
「不易と流行」
〇不易:話し方・板書・提示 ⇒ 優れた技術
そのまま継承・発展
〇流行:協同・アクティブラーニング・ICT 等
好き勝手な放任主義はダメ(例:総合学習の失敗)
1.昭和の時代の教育:スットプ・ラーニング(思考の停止)
昭和脳の大人
2011 年,アメリカの小学校に入学した児童の65%は,現在ない職業に就く(米有名紙)
⇒ ユーチューバーなどの新しい職業,3人に2人は存在しない職業に就く。
日本:高度経済期の効率の良い教育,余計な考えを持たせない一つの考えにする:(思考の停止)
非正規雇者40%:ゆとり教育・キャリア教育の失敗?
2.これからの子どもたちにどのような力が必要か?いろいろな国の定義
(1)キーコンピテンシー(主要能力):OECD の PISA 調査
『知識基盤社会』に求められる能力
①社会・文化的,技術的道具を相互作用的に活用する力
②自律的に行動する力
③社会的に異質な集団で交流する力
(2)汎用的能力
「仕事に就くこと」に焦点を当て,実際の行動として表れるという観点から,
「人間関係形成・社会形成能力」
「自己理解・自己管理能力」
「課題対応能力」
「キャリアプランニング能力」の4つの能力
(3)21世紀型スキル
3.3つの要素
(1)読み書き計算
⇒
基礎的リテラシー
(2)学び方(思考力・判断力・表現力) ⇒
認知スキル
(3)人間関係づくり(関心・意欲)
社会的スキル
⇒
4.
「ラーニングピラミッド」改善すべき指導法
勉強といえば、教師や講師が一方的に説明する講義形式の授業を受けてするものというのが一般的。
しかし、これは伝統的な学習方法の一つにすぎません。勉強の仕方には、効果の度合いによってランクが
あります。
<学習効果をランク付けした「ラーニングピラミッド」>
勉強の仕方を、効果(定着率)に応じて並べたのが「ラーニングピラミッド」と呼ばれるものです。こ
れは、アメリカ国立訓練研究所(National Training Laboratories)によって考えられたものです。
ラーニングピラミッドは、
「講義を受ける」から「教える」までの、7 つの段階に分かれており、下段
に行くほど学習の定着率(効果)が高いと考えられます。
次図:勉強の仕方をランク付けした「ラーニングピラミッド」
まず、1 段目:
「講義を受ける」とは、教
従来の
師や講師があるテーマについて話してい
授業形態
るのを聞いて学ぶことです。しかし、ラー
ニングピラミッドでは、学習の定着率は
5%と最も低くなっています。
次いで、2 段目:テキストなどを「読む」
が 10%、3 段目:映像などを「視聴する」
アクティブ
ラーニング
が 20%、4 段目:誰かに「実演してもら
う」が 30%と、順に定着率は上がってい
きます。
教師や講師がただ一方的に話す講義形
式の授業は、これまで一人が多数に教える
時に効果的と思われてきた方法です。それ
で、学校などで広く行われてきた授業形態ですが、学習効率の観点からはあまり効果は期待できないの
です。ただ講義を受けるだけでは不十分なので、様々な方法で学びを深める必要があるのです。
講義が上手な教師や講師は、ただ話すだけでなく、学習者に何かの文章を読ませたり、映像を取り入れ
たり、実演して見せたりといった工夫をしているものです。ラーニングピラミッドによると、
「講義を受
ける」よりも、
「読む」
「視聴する」
「実演してもらう」の方が学習の定着率は高いとされています。
この定着率は、実験などによって確かめられた数字ではありませんが、おおよそ的を射ていると考えら
れます。講義が上手な人は、経験的にそういったことを理解していて、取り入れているのでしょう。
ですから、ICT活用の場面としては、
「資料やスライドをよく見る(読む)
」⇒プロジェクターで映す、
「具体的にどうすればよいのか質問して実演してもらう」⇒実物投影機、などを活用することが考えら
れます。こうした工夫をすることで、学びがより深まると思います。
<受け身の姿勢から主体的な学びへ
~アクティブラーニング>
さらに学びを深めるには、5 段目:グループで「議論する」、6 段目:実際にやってみて「練習する」ま
たは「実験する」、7 段目:誰かに「教える」という方法を取り入れると有効です。これらは、学習者が
主体的に取り組むという点で、先の 4 つとは異なります。
満足度の高い研修や講座では、参加者が主体的に取り組めるような活動を取り入れていることが多い
ようです。その理由は、活動を入れることでより学びが深まるからです。
「習うより慣れよ」という言葉
があるように、これは誰かに教えてもらうという受け身の姿勢よりも、実際にやってみたり,練習したり
して身につけるという主体性をもって取り組むことが重要であることを示しているのです。
ただ,最近の研修では,参加者にグループを作らせ,土台も無しに話し合わせるだけの研修が多くみら
れます。やはり,教えるところはきちんと教えてから,まとめとして、学んだことについてグループで
(誰かと)
「議論する」
、実際に「やってみる(練習する)」
、誰かに「教える」など、の流れをつくり工夫
をすることで学びがより深まると考えられます。誰かに「教える」ことが、最も学習効果が高いと考えら
れるのは、教えることで学んだことを一通り整理することができるからです。もちろん、学んだことを上
手に整理しないと人に教えることは出来ませんが、
「学ぶ→教える→また学ぶ」という循環が生まれるこ
とで、効果的に学ぶことにつながります。(つづく)