7章 チームワーク 64.マネジメントをやってみよう wowo 1 マネジメントとは 〔1〕マネジメント 「マネジメント」とは一般的には企業等の組織体の経営を想定して使 われる概念で、 「ヒト(人的資源) ・モノ(原材料や生産設備) ・カネ(資 本)・情報を駆使して、組織体の目的を効率的に運営すること」あるい は「組織体を効率的・効果的に運営し維持、発展させること」などと定 義されます。 抽象的に考えてみると、あるがまま、なすがままに自身(自組織)を 取り巻く環境や物事の変化を受け入れるのではなく、自らが主体的、積 極的に保有する資源に関わり、コントロールや調整をし、最小の資源で 最大の効果をあげる、ということになります。「マネジメントをする」 と言った場合には、どのような方向に進むかという意思や判断を持つと 下記の書物などを参考に して、ぜひマネジメントに ついて勉強を深めてくだ さい。 ピーター・F・ドラッカー ( 著 ), 上 田 惇 生 ( 翻 訳 ) 参政権 『マネジメント[エッセン 政治に参加する権利の総 シャル版] - 基本と原則』 称。代表的なものとして、 ダイヤモンド社。 選挙権と被選挙権がある。 日本においては、選挙権は 楽しみながら読んで学べ 20 歳以上、被選挙権は衆 る『もし高校野球の女子マ 議院議員・市長村長が 25 ネージャーがドラッカー 歳以上、参議院議員・知事 の「マネジメント」を読ん が 30 歳以上、都道府県及 だら』(岩崎夏海著・新潮 び市町村議会議員が 25 歳 文庫)などもあります。 以上である。 いうことと、そこに向かうために4つの資源(ヒト・モノ・カネ・情報) を最適に組み合わせて物事に取り組んでいくということがポイントに なります。 〔2〕マネジメントの結果や効果の「正しさ」 次にマネジメントの結果や効果の「正しさ」について考えておきたい と思います。最小の資源で最大の効果をあげる、と言ったときの「効果」 が果たして「正しい」のかについて吟味する必要があります。 車を例にとって考えてみましょう。「環境への負荷」が考慮に入って いなかった時代には、ある意味では、大きなエンジンとそれを支えるボ ディ(シャーシ)で最大の馬力や速度を出せることが重要でした。しか し、21 世紀に生きる我々の思う車のあり方は異なってきています。馬力 や速度も重要ですが、同じ燃料を使って同じ距離を移動するのであって も、どれだけ地球環境に対する不可を最小限に抑えることができるのか といった要素がとても重要になってきています。 こうしたことと同様に、マネジメントをすることによって求める結果 や効果についても、何が正しいのかということについては長期的な視点 で見れば絶対ということは必ずしもなく、相対的なこともあるのです。 ステークホルダー 日本語では「利害関係者」 という。 注(1) 出典はウィキペディア http://ja.wikipedia.org/ したがって、マネジメントに取り組むにあたっては、その目標や方向 性が正しいことなのかということについて、常々振り返りをしたり社会 の動きに敏感になって考えたりするということも大切になります。間違 った方向にマネジメント能力を働かせてしまっては、社会にとっても自 分にとってもいいことはありません。 2 大学生活の中での「マネジメント」 大学生活の中でのマネジメントについて考えてみます。マネジメント やマネジメント・サイクルを重視した物事への取り組みは、何もビジネ スの世界に限って重要性を持つというのではありません。みなさんがま さにいま乗り出した大学生活においても、実践する価値のある考え方で す。次に2つのマネジメントについて考えます。 〔1〕セルフ・マネジメント 一つ目は「セルフ・マネジメント」です。セルフという言葉の通り、 自分で自分自身をマネジメントするということ、自己管理をするという ことです。大学生になると、高校までとは異なり、自分自身で判断した り決断したりする場面が多くなります。大学での学びの基本となる時間 割についてもそうです。高校まではクラスの皆が基本的には同じ時間割 のもとで勉強を進めてきたことでしょう。一方、大学においては、皆さ んそれぞれが自己の関心に沿って時間割を自分で組みます。それだけ自 由度が高くなるわけですが、他方でセルフ・マネジメントが求められる ということになります。時間割の組み方によって、何時限目から授業に 出なければならないかも変ってきます。自分なりに生活リズムを整えて いくということも必要になります。 〔2〕チーム・マネジメント 二つ目は「チーム・マネジメント」です。大学生活において、授業の 他に部活動や各種課外活動に取り組むひとも多いことと思います。そう した諸活動の中では、学生同士が協力してチームで取り組むことが求め られる場面も増えるでしょう。そんなとき、チーム・マネジメントの考 え方が重要になります。一緒に活動に取り組むことになったメンバーそ れぞれの長所や能力を把握して、チームとして最大限の力を発揮するた めにどのように調整するかという視点でチームビルディングを行ってい くことが重要となります。先頭に立ってチームを引っ張る役割を担う人 もいるでしょうし、チームの屋台骨となって後方から支える役割を担う 人もいるでしょう。大学生活ではこうしたことを実践的に修得するチャ ンスが数多くあります。積極的に取り組みましょう。 3 記録と振り返りの大切さ マネジメントを実践するにあたって重要なことの一つに記録をつける ことがあります。記録なしにすべてを記憶することは不可能です。記録 を残すことによって、何をどのように行いどのような成果が出たのか、 あるいは出なかったのかを後から客観的に認識することができます。た とえ成果が出なかったとしても、その振り返りをする材料を残しておく ことが重要なのです。 記録のポイントは5W1H です。 「いつ」 「どこで」 「誰が」 「何を」 「ど うして」 「どのように」これらを明確にしておくとよいでしょう。さらに 「どう思ったのか」 「どう感じたのか」「どのように考えたのか」という 自己の思いや解釈、評価も書き加えておきましょう。
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