栽培育種学レポート1 僕の地元、富山県ではチューリップの栽培が盛んで

栽培育種学レポート1
僕の地元、富山県ではチューリップの栽培が盛んで、県花もチューリップです。中でも県
西部の砺波市では毎年四月下旬から五月上旬あたりにチューリップフェアと称し一面チュ
ーリップで埋め尽くした展示を行っています。
(写真)もともと、雪解け水を利用して水田
での稲作が中心だった富山県ですが、冬は積雪が多く就労者があまりおらず農業所得が今
一つ上がりませんでした。そこで大正7年当時、稲の裏作としてチューリップが導入され
ました。
(1)
(2)昭和39年には生産の7割に当たる1900万球が輸出されていまし
た。しかし、最近はオランダからの安価な球根が出回り、富山は安価なもの、または珍し
いものや品質のいいものを作らなくてはいけなくなりました。
富山でチューリップを開発している現状ですが、富山県のホームページ(1)で育種のペ
ージだけ作成中だったので、少し古い2000年代の記事になりますが(3)によると一
つの品種育成に20年かかるとの事でした。この方は記事の最後で青いチューリップや夜
間にぼんやり光るホタルイカのようなチューリップの揮発を目指していたようなので現在
開発された色を調べてみると、赤、ピンク、白、黄、紫、オレンジの系統に分けられるの
が自然です。品種の数は多いのですが、現状この色彩の範囲内での新品種開発が主になっ
ているようです。この、色をつかさどる遺伝子を把握していけば、狙った新品種を育成で
きる可能性は高くなると思います。
ただ、ゲノム育種や GS 育種などの最新技術を取り入れ、短期間での育種を目指すのは富山
県にとってリスクが高いと思われる。理由は、育種自体は長年続いており、似たような色
ではあるが新品種は毎年出てくるので新色のニーズが急を要さない為や、チューリップは
あくまで儲けを狙った作物で優先順位が他より低いから、というのが考えられる。
ですので、まずは何百とあるチューリップそれぞれを色系統別に分け DNA 解析をし、色に
関する遺伝子情報をデータ化することを提案します。交雑し、偶然に頼った育種から少し
でも狙い通りの育種が出来るようになれば、長い目で見て他県や海外からの要望を受けて
からの育種が可能になり受注型の産業として県に貢献できるようになっていくと説明しま
す。
その過程で新色の系統が生まれることに期待しながら、目的を持った育種を続けていく事
になりそうです。
まとめると富山、チューリップ、砺波チューリップフェアへの出品または要望のあった品
種を作成するシステムの構築、色系統別に DNA 解析をする、期間は設けず現在の育種と並
行しながら。というのが地方で行える現実的な育種だと思います。他の作物(稲など)よ
り育種が進んでおらず、開発の環境整備に投資することが最優先になりそうです。
(3からの引用)交配時には「こんな花が咲いて欲しい、あんな花が咲くはずだ」との思
いを巡らせながら交配を行いますが、いざ開花したものは、
「こんなはずではなかった」と
いう花がほとんどです。育種目標に沿った花はなかなか咲いてくれません。これは、現在
のチューリップの栽培種が長い間の交配の繰り返しによってできたものであるため、既に
いろいろな遺伝情報が含まれてしまっているからです。
この様な事を減らす為に予算を回して貰えるよう、先の提案をしました。
以上になります。
1.とやまのチューリップ
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1613/kj00014132-002-01.html
2.砺波市 チューリップ
http://www.city.tonami.toyama.jp/hana/tulip/tulip.html
3.チューリップ新品種開発にかける夢
http://www.pref.toyama.jp/branches/1133/derukui/vol200303/46.htm
写真 砺波チューリップフェア 富山観光公式サイト
http://www.info-toyama.com/event/40007/
植物育種学レポート2
ゲノム育種と GS 育種だが、まずゲノム育種から。
ゲノム育種は、交雑してできた世代を解析して遺伝子の置換効率の高いものを選択して、
従来の方法より交雑を早く進めるものだと認識している。(1の71~72P を主に読んで
確かめた。
)
GS 育種はゲノムセレクション育種のことで、大量の DNA 解析を基にコンピュータによる
交配のシミュレーションを行い、優良な品種を開発しようとするものだと認識している。
(2)
ゲノム育種は従来よりも短い期間で育種が可能という長所がある一方で、形質のチェック
が毎回必要となるのが GS などと比べて短所になるだろうか。
GS 育種はコンピュータにお任せする分、始めてしまえば人手はかからないが、大量の DNA
解析という下準備が必要なうえ、コンピュータを信頼しなければならない危うさもある。
これらの育種に分子メカニズムの理解が必要かどうか、という議論に入る前に将棋ソフト
の話をしておきたいと思います。すでに広く知られている事ですが、将棋の世界でも、あ
らゆる局面の優劣を【解析】し数値による評価値を出し、自分の側をどう動かせばより優
れた状態に持っていけるか検討するコンピュータソフトの改良が進んでいます。GS 育種と
似たようなプロセスを踏んでいると思われるこれらの将棋ソフトは、現在公開されている
ものも多く学生棋界でもよく利用されています。
将棋ソフトは、人間よりはるかに多くの事を考える(計算する)ことが出来るので、ケー
スによってはプロ以上の力を発揮します。育種の分野でも人間の理解を超えた優れた結果
を生み出す可能性はあると思います。しかし将棋ソフトが時に水平線効果(意味のない手
を繰り返す事態)を起こすことがあるように、GS 育種の分野でも役に立たない形質を生み
出すことは考えられます。ただ将棋と育種では人命への影響など、とりまく環境が全然違
うことは理解しています。
問自体が非常に難しくちゃんと答えられている自信はありませんが、
その上でコンピュータとどう向き合うかですが、分子メカニズムを完全に理解することよ
りも、大量の DNA 解析データからより精密な交配が出来るシステムを練り上げる方が DS
育種などの進歩には役立つと考えます。理解はコンピュータを動かすうちに進み、人間は
コンピュータが正常に働くよう努めるのが現状での最善手に思います。
次第に理解は進んではいくと思います。
となると、分子メカニズムの理解が必要というより、その時点での理解度に合わせた育種
方法が開発されていくというのが主流なのではないでしょうか。
自分で書いていてもさっぱり分かりません。
1.
ゲノム育種の現在、未来
【株】植物ゲノムセンター長 美濃部侑三
http://www.academy.nougaku.jp/annual%20report/kaiho10/13_sympo3.pdf#search='%E
3%82%B2%E3%83%8E%E3%83%A0%E8%82%B2%E7%A8%AE'
2.ゲノム表現型多型のモデル化に基づく新しい育種システムの確立に向けて 岩田洋佳
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/22_letter/data/news_2014_vol3/p18.pdf#search='GS
%E8%82%B2%E7%A8%AE'