さらなる創造的自己改革と真の骨太の農業政策 ◆ Outlook by Shigeshi Oonishi 展 望 JAの進むべき道 さらなる創造的自己改革と真の骨太の農業政策 参議院選挙も終わり、政府・与党 ための需要に応じた流通・加工や販 は秋に向けて農林水産業骨太方針、 売力や生産力の強化、輸出や地理的 関連法案の環太平洋連携協定(TPP) 表示保護制度(GI 制度)などの知的 関連対策の具体化、さらに農林水産 財産の活用、国産農畜産物の消費拡 業・地域の活力創造プランの見直し 大、指定生乳生産者団体制度の機能 と予算・税制に着手します。また、 の維持などです。 平成30年産米対策や指定生乳生産 者団体制度のあり方も大きな焦点と なります。 大西茂志 (JA全中常務理事) 第 2 は、 「 1 円でも安く生産資材を 供給する」で、肥料、農薬、農業機 械などの生産資材価格の引き下げ、 一方、英国の EU 離脱などによる世界的な 施設の有効活用、物流の合理化、その他人材 経済の不安定、わが国の経済や国民生活もデ 育成、労働力確保、農村振興などの新たな具 フレ脱却とは言えず不透明、さまざまな自然 体策の実践が挙げられます。 災害もあり、国民も組合員も営農と暮らしに そして、これらを後押しする政策提案を 大きな不安を抱えています。 行っていくことが必要です。 こうした中で、現在、第27回JA全国大会 第 3 は、グローバル化や規制緩和が進む中 決議の「農業者の所得増大」 「農業生産の拡大」 で、依然国民や農業者に残る不安を払 拭する ふ っしょく 「地域の活性化」のためJAの営農経済を中 ためには、 「真の骨太の農業政策」である食 心とする創造的自己改革の実践が取り組まれ 料自給率を拡大する食料・農業・農村基本計 ています。 画の実現、法制化や恒久的な財源の確保によ しかし、先に述べたとおり世界や日本の経 る長期安定の政策、産業政策と地域政策の両 済の不透明さが一層増す中で、国民や組合員 輪の確立、農業者の経営所得を支えるセーフ の不安を解消するためには、日本の農業や農 ティーネット、中山間地などの総合的な地域 村の魅力を発信・維持しているJAグループ 政策の拡充などの確立を政府に求めていくこ のさらなる創造的自己改革の具体策の実践と、 とです。 それを後押しする政策と提言、その実現のた 併せて、さらなる組織挙げての創造的自己 めの運動と国民理解の促進が重要となってい 改革を通じ、継続的にJAグループも中長期 ます。 的な視点で、組織・事業の改革を進めていく 具体的に、第 1は「 1 円でも高く販売する」 ことが必要です。 2016/08 月刊 JA 15
© Copyright 2024 ExpyDoc