合計収入高 1590 億円、前期比 7.5%増

2016/7/27
名古屋支店
住所:名古屋市中村区名駅 5-17-10
TEL:052-561-4846(情報部)
URL:http://www.tdb.co.jp/
特別企画: 第 6 回 東海 3 県のレジャー施設経営 42 社の実態調査
合計収入高 1590 億円、前期比 7.5%増
~当期利益は前期比 7.1%減、優勝劣敗が顕著に~
はじめに
夏休みに入り、遊園地やテーマパーク、博物館、動植物園などのレジャー施設は新たなアトラ
クションの導入やイベントの実施などによる集客に力を注いでいる。当地区では、日本初となる
「レゴランド」
(愛知県)の開業が 2017 年 4 月に決定して機運が高まっているほか、
「ラグーナテ
ンボス」
(愛知県)や「牧歌の里」
(岐阜県)が事業主体者の変更後、業績を好転させているなど、
事業者各社は「コト消費」に対する意欲の高まりに乗り遅れまいと知恵と工夫を凝らす。
帝国データバンク名古屋支店では、企業概要ファイル「COSMOS2」
(146 万社収録)を基に愛知、
岐阜、三重(以下、東海 3 県)に本社を置くレジャー施設経営業者 42 社の収入高など経営実態を
調査した。本調査は昨年に続いて 6 回目。
※帝国データバンク産業分類で「公園」「動・植物園・水族館」
「博物館、美術館」
「遊園地」などに該当する企業
を中心に抽出して分析した。
※最新期は、原則として 2015 年度(2015 年 4 月~2016 年 3 月)だが、それ以外は判明している最新期を用いた。
調査結果(要旨)
1.レジャー施設 42 社の最新期の年収入高合計は 1590 億 3500 万円で、前期の 1479 億 6400 万円か
ら 7.5%の増収。増収率としては調査開始以来、最高を記録した。最新期はアベノミクス効果や
可処分所得の増加、インバウンド需要などが追い風となったが、個別でみると「増収」19 社、
「減
収」11 社、
「横ばい」12 社となり、まだら模様の結果となった。
2.42 社の最新期の当期損益合計は 42 億 5800 万円の黒字で、前の期と比べて 7.1%の減益。リーマ
ン・ショック以降、2008 年度と 2009 年度は 2 期連続で赤字を強いられたが、景気の回復やコス
ト削減、さらには設備投資など集客強化に向けた取り組みが奏功している一方で、優勝劣敗の構
造はさらに加速していることも窺わせる。
3.レジャー施設 42 社の県別内訳は「愛知」が 21 社でトップ(
「岐阜」11 社、
「三重」10 社)とな
り、全体の半数を占めた。当期損益では中部国際空港をはじめ年商上位企業が順調に利益を伸ば
したことから、
「愛知」が増益、
「岐阜」は黒字転換した。
「三重」は赤字転落を強いられた。
4.42 社の県別の収入高は、
「愛知」が 901 億 6500 万円でトップ(金額ベース構成比 56.7%)とな
り、次いで「三重」が 664 億 5300 万円、金額ベースで 41.8%を占めた。
「三重」は‘観光立県’
を裏付けるように、
『ナガシマスパーランド』
『鈴鹿サーキット』
『志摩スペイン村』などの大型
施設を擁するとともに、施設数そのものが少ないこともあり、1 社あたりの収入高は 66 億 4500
万円と 2 位の「愛知」
(42 億 9400 万円)の約 1.5 倍の水準に達している。
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特別企画:第 6 回 東海 3 県のレジャー施設経営 42 社の実態調査
1.最新期収入高――収入高 1590 億 3500 万円、前期比 7.5%増は調査開始以来最高
東海 3 県のレジャー施設経営業者 42 社の最新期の合計収入高は 1590 億 3500 万円で前期比
7.5%の増収、伸び率は調査開始以来最高となった。中部国際空港、長島観光開発、モビリティラ
ンドの上位 3 社で 1061 億 6000 万円、全体の 66.8%を占めた。
前の期との比較では、
「減収」が 11 社
となり、前期から 1 社増加。アベノミクス
表1.収入高の前期比較
効果によりマインドは好転しているが、そ
の恩恵は上位企業に集中し、中堅以下企業
との 2 極化が進んでいる。
増収
減収
横ばい
合計
前期
24
10
8
42
構成比
57.1%
23.8%
19.0%
100.0%
(単位:社)
最新期
19
11
12
42
構成比
45.2%
26.2%
28.6%
100.0%
2.最新期損益――42 億 5800 万円の黒字、6 期連続の黒字確保
42 社の最新期の当期損益合計は 42 億 5800 万円の黒字で、
「増益」となった企業は 23 社(構成
比 54.8%)
、
「減益」は 12 社(同 28.6%)で、リーマン・ショック以降の多方面での施策や集客
のための知恵を凝らした経営戦略によって明暗が混在する結果となっている。
(単位:社)
表2.当期損益の前年比較
前期
構成比
最新期
構成比
増益
38.1%
54.8%
16
23
減益
50.0%
28.6%
21
12
不明
11.9%
16.7%
5
7
合計
100.0%
100.0%
42
42
※赤字幅の縮小も増益としてカウントした
表3.個別企業の損益
前期
最新期
黒字
22
22
赤字
12
8
不明
8
12
表4.赤字企業の分析
前期
最新期
連続赤字
赤字転落
5
7
7
1
3.収入高トップは中部国際空港、上位 3 社で全体の 7 割弱を占める
年収入高 1 位は中部国際空港の 545 億 4000 万円で前期比 12.2%の増収となった。2005 年に開
港した国際空港「中部国際空港(セントレア)
」の事業主体で、空港事業収入が 5 割強だが、物販
や飲食店、温浴施設などからの賃貸収入も重要な収益の柱になっている。最新期はLCCを中心
に新規就航が相次ぎ、旅客数が増えたほか商業施設も好調だったため、増収となった。
2 位は遊園地「ナガシマスパーランド」や日帰り温泉施設「湯あみの島」
、花のテーマパーク「な
ばなの里」
、ホテルやアウトレットモールなどのナガシマリゾートを運営する長島観光開発の 258
億 5100 万円。最新期は新規アトラクションが人気を集めたほか、日帰り事業、ホテル事業、その
他の事業ともに堅調だったことから、前期比 2.9%の増収となった。
3 位はモビリティランドの 257 億 6900 万円で前期比 2.7%の増収。
『F1』や『8 耐』など国際
レーシングコースで知られる「鈴鹿サーキット」
(三重県鈴鹿市)や敷地内でのりもの遊園地「モ
ートピア」を運営する。モータースポーツ部門が好調だったほか、ホテルと遊園地部門も天候に
恵まれたことから、2 期ぶりに増収計上となった。
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4 位は近鉄レジャーサービス。近鉄グループの資産運営・管理会社で、
「志摩スペイン村」を中心
にホテルやゴルフ場などレジャー施設を経営している。ローコストオペレーションを徹底してい
るほか、近鉄グループとタイアップした集客作戦を展開、さらに 2016 年 5 月の伊勢志摩サミット
開催を追い風に集客増加を見据える戦略である。
5 位は名鉄インプレスの 50 億 9100 万円。名古屋鉄道(株)の 100%子会社で、
「日本モンキー
パーク」
「南知多ビーチランド」のアミューズメント施設、
「博物館明治村」
「野外民俗博物館リト
ルワールド」などの文化施設を運営。地元での知名度は高く、安定した集客力を誇っている。
表5.収入高上位10社
順位
(単位:百万円)
商号
1 中部国際空港(株)
所在地
愛知県常滑市
主な運営施設
セントレア
前期収入高 最新期収入高 前期比増減率
48,616
54,540
12.2%
2.9%
2 長島観光開発(株)
三重県桑名市
ナガシマリゾート
25,118
25,851
3 (株)モビリティランド
三重県鈴鹿市
鈴鹿サーキット
25,103
25,769
2.7%
4 近鉄レジャーサービス(株)
三重県志摩市
志摩スペイン村
9,036
9,000
▲ 0.4%
5 (株)名鉄インプレス
名古屋市中村区
日本モンキーパーク
4,916
5,091
3.6%
6 (株)ラグーナテンボス
愛知県蒲郡市
ラグーナテンボス
1,368
4,351
218.1%
7 (株)げんきの郷
愛知県大府市
げんきの郷
3,513
3,545
0.9%
8 (公財)名古屋みなと振興財団
名古屋市港区
名古屋港水族館
3,208
3,175
▲ 1.0%
9 刈谷ハイウェイオアシス(株)
愛知県刈谷市
刈谷ハイウェイオアシス
2,333
2,642
13.2%
10 (株)合歓の郷
三重県志摩市
合歓の郷
2,400
2,500
4.2%
4.当期純利益、トップは中部国際空港
当期純利益の 1 位は、中部地区の空の玄関「セントレア」を運営する中部国際空港で 44 億 300
万円。LCCの就航とインバウンド需要に恵まれて、空港事業と物販の両部門が伸展した恩恵に
牽引され、前期比 63.0%の増益となった。2 位は、当地区を代表するアミューズメントパークを
運営する長島観光開発の 6 億 7300 万円。最新期は新規アトラクションの投入が奏功し、日帰り事
業やホテル事業も堅調に推移するなど、毎期概ね安定した利益を維持している。3 位は、ラグーナ
テンボスの 4 億 4300 万円。HISの傘下で再生を実現した。4 位は国内モータースポーツの先駆
けとして知名度が高く、
「鈴鹿サーキット」「ツインリンクもてぎ」を運営するモビリティランド
で 4 億 3900 万円。5 位の刈谷ハイウェイオアシスは伊勢湾岸自動車道のサービスエリア内で運営
する複合施設。物販に加え温浴施設や遊園地事業も手がけ、年間約 1000 万人の集客を誇る。
表6.最新期税引後利益上位5社
(単位:千円)
順位
商号
所在地
主な運営施設
1
2
3
4
5
中部国際空港(株)
長島観光開発(株)
(株)ラグーナテンボス
(株)モビリティランド
愛知県常滑市
三重県桑名市
愛知県蒲郡市
三重県鈴鹿市
愛知県刈谷市
セントレア
ナガシマリゾート
ラグーナテンボス
鈴鹿サーキット
刈谷ハイウェイオアシス(株)
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刈谷ハイウェイオアシス
前期
最新期
税引後利益 税引後利益
2,702,000
514,000
143,000
213,000
177,000
4,403,000
673,000
443,000
439,000
265,000
前期比
増減率
63.0%
30.9%
209.8%
106.1%
49.7%
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特別企画:第 6 回 東海 3 県のレジャー施設経営 42 社の実態調査
5.県別内訳――「愛知」21 社で収入高 901 億円、最終黒字確保は 4 年連続
東海 3 県のレジャー施設経営業者 42 社の本社所在地を県別にみると、
「愛知」が 21 社で全体の
50.0%を占めてトップ、
「岐阜」は 11 社(構成比 26.2%)、
「三重」が 10 社(同 23.8%)だった。
最新期の合計収入高をみると、
「愛知」が 901 億 6500 万円(前期比 12.3%増)
、以下、
「三重」
(664 億 5300 万円、同 1.8%増)
、
「岐阜」
(24 億 1700 万円、同 1.6%増)と 3 県とも増収となっ
た。愛知県の施設では設備投資や広告宣伝効果、大型イベントの開催や景気マインドの好転など
が奏功して大規模事業者を中心に集客は増勢傾向を辿っており、増収となる施設が目立った。
「岐阜」を分析すると、過年度に破綻した事業者の第二会社などが身軽な経営へ転換したこと
もあり、これまで縮小基調を辿っていた傾向から底打ちした。
「三重」は 2 大施設(ナガシマスパ
ーランドと鈴鹿サーキット)の順調な業績の伸びが全体を牽引、増収を達成した。
1 社あたりの収入高は「三重」が 66 億 4500 万円でトップ。
「愛知」は 42 億 9400 万円、
「岐阜」
は 2 億 2000 万円にとどまった。東海 3 県には年収入高 100 億円を超えるレジャー施設運営会社は
中部国際空港、長島観光開発、モビリティランドの 3 社があるが、そのうち 2 社が「三重」に所
在。このほかにも上位企業が多く、これらの大型施設が「三重」全体の収入高を下支えしている。
一方、
「岐阜」は博物館や美術館などの文化的な施設は散見されるが、大型テーマパークがなく、
1 社あたりの収入高は「三重」の約 30 分の 1 の水準となった。
当期損益では、
「愛知」が中部国際空港、ラグーナテンボス、刈谷ハイウェイオアシス、名鉄イ
ンプレスなどの上位企業が軒並み増益、中堅も概ね堅調に推移したことから、損益額合計は前期
比 80.0%の増益となった。
「三重」は、長島観光開発、モビリティランドが利益を伸ばした一方で、
鳥羽水族館が特別損失の発生から 24 億 9600 万円の単年度赤字計上となり、
全体を押し下げた。
「岐
阜」は大型施設の運営事業者が少ないなか、最終赤字企業は 1 社のみで、上位企業の健闘が目立
った。
表7.県別内訳
社数
愛知
岐阜
三重
合計
構成比
50.0%
26.2%
23.8%
100.0%
21
11
10
42
最新期
収入高
前期比
90,165
2,417
66,453
159,035
12.3%
1.6%
1.8%
7.5%
収入高
構成比
56.7%
1.5%
41.8%
100.0%
(単位:百万円)
前期比
増減率
1社当たり 最新期
収入高 当期損益
4,294
220
6,645
3,787
5,738
22
▲ 1,502
4,258
80.0%
黒字転換
赤字転落
▲ 7.1%
【内容に関する問い合わせ先】
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FAX 052-586-5774
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