新 技 術 が タ ッ チ ス ク リ ーン の 可 能 性 を 拡 げ る ア ンド リ ュ ー ・モ リ ソ ン 博 士 技 術担 当 者 Zytronic 社 投影型タッチスクリーン市場に静かな革命が起こっています。急速な産業の発展によって 、 よ り薄 い 、 高 性能 ・ 高 信 頼 性・ 低 コ ス トの タ ッ チ ス クリ ー ン が 提供 さ れ て い ます 。 こ れ ら の 開発 の 原 動 力 に は 、 ITO と呼 ば れ る 携帯 電 話 や タ ブレ ッ ト の タッ チ ス ク リ ーン に 使 わ れ る 長寿 命 導 電 性材 料 に は 限 界が あ り 、 結果 と し て 代 替材 料 に 取 って 代 わ ら れ てい る と い う 事 実が あ り ま す。 ITO は 大型 AV や キ オ スク で は あま り 使 用 され て い ま せ んが 、 代 替 とし て 開発 さ れ て いる 技 術 が 広 く使 用 さ れ る可 能 性 が あ りま す 。 技 術担 当 者 は 、 選 択 し た タ ッチ ス ク リ ーン で 使 用 さ れる 下 地 材 料に は 、 外 観 や最 も 重 要 と な る野 外 で の パフ ォ ー マ ン スに 大 幅 な 差を 生 じ さ せ る可 能 性 が ある た め 、 十 分に 注 意 す る 必要があります。ある用途に非常に有効な技術は 別の深刻な制限を受ける場合があります。 本 稿で は 、 6 つの 主 要 な 代 替材 料 の 技 術を 検 討 し 、 各々 の 長 所 と短 所 を 見 る こと で 、 担 当者 が 情報 に 基 づ いた 選 択 を す る手 助 け と なる こ と を 目 指し て い ま す。 ま ず 、 ITO が い く つか の用途において使われなくなっている理由から始め、その代替案を検討することとします。 な ぜ ITO か ら 離 れ て い く の か ? 投 影型 タ ッ チ 技術 の 変 化 に 大き く 関 わ って い る の は 、別 々 の タ ッチ ス ク リ ー ン・ オ ー バ ー レ イ( 個 別 タ ッチ ・ オ ー バ ーレ イ ) の 必要 性 を 排 除 し、 LC D パ ネル 自 体 ( 「セ ル 内 」 テク ノ ロジ ー ) に タッ チ を 統 合 する と い う 動き で す 。 こ れを 実 現 さ せる こ と に よ り、 統 合 が 容 易 でよ り 薄 く 、よ り 軽 い タ ッチ 対 応 デ バイ ス の 使 用 が可 能 と な りま す 。 光 学 性能 や 輝 度 も LC D と ユ ー ザ ー間 の 距 離 およ び 層 を 減少 す る こ と によ っ て 改 善 さ せ る こ と がで き ま す 。 し かし 、 「 セ ル内 」 タ ッ チ スク リ ー ン 製造 の プ ロ セ スは 、 い ま だ発 展 途 上 で ある た め 、 業 界 にお け る 広 範囲 で の 採 用 が制 限 さ れ てい ま す 。 結 果的 に 、 少 なく と も ス マ ート フ ォ ン や タ ブレ ッ ト 、 ウェ ア ラ ブ ル 端末 等 の 小 さな 携 帯 型 端 末に お い ては ITO 導 体 を使 用 し た 個別 投 影型 タ ッ チ スク リ ー ン ・ オー バ ー レ イが 主 要 な 技 術と し て 残 って い ま す 。 しか し 、 デ ィ ス プレ イ サ イ ズが 約 20 イ ンチ を 超 え て大 き く な る につ れ 、 比 較的 高 い 電 気 抵抗 に よ り パフ ォ ーマ ン ス が 妨げ ら れ る た め、 い く つ かの 用 途 に 対 する 材 料 の 選択 肢 と し て は適 し て い ま せ ん。 そ れで は 、 ど のよ う な 導 電 材料 が 大 型 タッ チ ス ク リ ーン に 利 用 でき る の で し ょう か ? 現 在、 銅 マ イ クロ ワ イ ヤ ー 、シ ル バ ー メタ ル メ ッ シ ュ、 シ ル バ ーナ ノ ワ イ ヤ ーと い う 3 つ の 主要 な 材 料 技術 と 、 現 在 開発 中 で 今 後数 年 の 間 に 登場 す る 可 能性 の 高 い カ ーボ ン ナ ノ バ ッ ド、 導 電 性 ポリ マ ー 、 グ ラフ ェ ン が あり ま す 。 こ れら の 中 か ら初 め の 5 つ につ い て 、 経 済 性 、 電 気 抵 抗、 可 視 性 お よび 可 用 性 とい う 4 つ の 重要 な 点 を 見て い き ま す 。最 後 に グ ラ フ ェン に つ い て述 べ ま す が 、こ れ は 開 発の 早 期 段 階 にあ る た め 現時 点 で は 市 販さ れ て い ま せ ん。 経済性 タ ッチ ス ク リ ーン の コ ス ト を考 え る 際 、主 に 問 題 と なる の は 、 初期 費 用 ( ツ ーリ ン グ コ ス ト ) と そ の 後 に続 く 材 料 に 関わ る 要 件 です 。 マ ス ク なし で 直 接 、基 板 材 料 に 書き 込 む こ と の でき る 技 術 は、 ツ ー リ ン グに 関 わ る 要件 が 少 な く 、少 量 を よ り安 価 に 製 造 する こ と が で き ます 。 マ ス クや 他 の ツ ー ルを 必 要 と する 場 合 に は 、少 量 の 異 なる サ イ ズ の スク リ ー ン を 柔 軟に 製 造 す る能 力 が 制 限 され ま す が 、大 量 の 標 準 サイ ズ 製 造 時に 費 用 を 削 減で き る 可 能 性 があ り ま す 。 ツ ーリ ン グ に 関し て は 、 銅 マイ ク ロ ワ イヤ ー が 柔 軟 性の 点 で 有 利で す 。 電 極 を直 接 、 基 板 に 書き 込 む こ とが で き 、 レ ーザ ー や マ スク 、 薬 品 、 エッ チ ン グ 、ツ ー リ ン グ を必 要 と し ま せ ん。 銀 ナ ノ ワイ ヤ ー は 、 レー ザ ー 切 断に よ っ て あ る程 度 カ ス タマ イ ズ す る こと が で き ま す が、 境 界 に ある 導 体 を コ ント ロ ー ラ ーに つ な げ る 追加 の 処 理 が必 要 と な り ます 。 導 電 性 ポ リマ ー も ス クリ ー ン 印 刷 を用 い て 比 較的 容 易 に 使 用で き ま す が、 シ ル ク ス クリ ー ン 印 刷 の 段階 ま た は エッ チ ン グ や レー ザ ー の 適用 後 に パ タ ーニ ン グ す る必 要 が あ り ます 。 そ れ と は 対照 的 に 、 銀金 属 メ ッ シ ュ材 料 は 初 めか ら パ タ ー ニン グ さ れ てい る の で 、 セン サ ー の サ イ ズを 先 行 指 定す る 必 要 が あり ま す 。 これ に よ り 、 セン サ ー の 設計 ご と に ス クリ ー ン サ イ ズ に応 じ て約 1 万 ド ルか ら 2 万 ド ルの ツ ー リ ング 費 用が か か り ます 。 カ ー ボ ンナ ノ バ ッ ド を 被覆 す る 手 順は 、 「 ナ ノ バッ ド リ ア クタ ー 」 を 使 用後 、 レ ー ザー パ タ ー ニ ング 工 程 で 電 極 を作 成 す る とい う 複 雑 な もの で す 。 ま た、 製 造 コ スト に 関 す る 重要 事 項 と して 、 必 要 と なる 層 の 数 があ り ま す 。 銅マ イ ク ロ ワ イ ヤー は 、 x お よび y 電 極 を単 一 層 で 形成 す る た め に絶 縁 さ せ るこ と が 可 能 です 。 カ プ セル 化 絶縁 は ま た 、野 外 に て 高 熱や 湿 気 に 晒さ れ た 際 に タッ チ ス ク リー ン の パ フ ォー マ ン ス を 急 低下 さ せ る 、材 料 の 酸 化 を防 止 し ま す。 銀 ナ ノ ワ イヤ ー お よ び金 属 メ ッ シ ュ、 導 電 性 ポ リ マー の セ ン サー 構 造 で は 一般 的 に 単 層の 設 計 上 の 材料 含 有 量 を増 加 さ せ る ( x およ び y ) 導 体を 絶 縁 さ せる た め に 、 2 層 以 上 が 必要 と な り ま す。 カ ー ボ ンナ ノ バ ッ ド も ま た 2 層 技 術 です 。 さ ら に、 上 記 の 酸 化や タ ッ チ スク リ ー ン の 故障 を 引 き 起こ す 可 能 性 があ る た め 、 材 料へ の 水 分 浸入 を 防 ぐ よ う注 意 し な けれ ば な り ま せん 。 電気抵抗 タ ッチ ス ク リ ーン の 電 気 抵 抗は 、 タ ッ チ感 度 や 「 信 号対 ノ イ ズ 」比 ( SN R ) を決 定 す る 際 の 主要 因 と な りま す 。 高 抵 抗の 材 料 は 、導 体 を 流 れ る電 流 量 を 制限 す る た め 、デ ィ ス プ レ イ や電 源 、 そ の他 の 電 子 機 器か ら 発 生 する 周 囲 の 環 境妨 害 ( EMI ) か ら タ ッ チイ ベ ン ト を 正確に検出することが困難になります。この電気抵抗は明らかに、大型タッチスクリーン、 特 にマ ル チ タ ッチ や パ ー ム リジ ェ ク シ ョン 、 近 接 検 知( 指 が 実 際に 画 面 に 接 触す る 前 に タ ッ チを 識 別 す る) の よ う な 機能 が 必 要 な場 合 に 問 題 とな り ま す 。 上 記に 示 し た よう に 、 ITO は平 方 あ たり 100 Ω ま での 比 較 的 高い 電 気 抵 抗 を有 す る た め、 一 般的 に 小 型 タッ チ ス ク リ ーン で の 使 用に 限 定 さ れ てお り 、 結 果的 に 同 材 料 を使 用 す る ほ と んど の タ ッ チス ク リ ー ン は約 22 イ ンチ 以 下 で 、 それ を 超 え ると パ フ ォ ー マン ス に 大 幅な 制 限が か か り ます 。 銀 ナ ノ ワイ ヤ ー は 、 ITO よ り も 優れ た 電 気 抵抗 ( PE T フ ィ ル ム基 板 上 の 平方 あ たり 30 か ら 50 Ω ) を 有 して い ま す 。そ の ため 、 同 技 術を 使 用 す る 投影 型 タ ッ チ セ ンサ ー は約 42 イ ン チ ま で( そ れ を 超え る と タ ッ チ性 能 が 低 下) 適 用 可 能 です 。 銀 金 属メ ッ シュ は 、 さ らに 低 い 平 方 あた り 約 15 Ω か ら 30 Ω の電 気 抵 抗 を有 し 、 そ の結 果 と し て最 大 約 65 イ ン チ のタ ッ チ ス クリ ー ン で の使 用 が 可 能 です 。 銅 マ イク ロ ワ イ ヤ ーは 、 最 も 低い 平 方あ た り約 5 Ω 以 下 の 電 気抵 抗 を 有 して お り 、 サ イズ が 100 イ ン チ を 超 える 巨 大 タ ッチ ス クリ ー ン の 作成 に 使 用 す るこ と が で きま す 。 さ ら に、 非 常 に 低い 電 気 抵 抗 は最 良 の 信 号 対 ノイ ズ 比 を もた ら す た め 、高 電 圧 で の制 御 装 置 の 稼働 や 、 複 数リ ン ク さ れ たコ ン ト ロ ー ラ ーを 使 用 し たス ク リ ー ン の連 結 ( 両 方と も 、 他 材 料の 技 術 に よっ て 大 型 タ ッチ ス ク リ ー ン を実 現 さ せ るた め に 用 い られ る 変 則 的な 方 法 ) を 必要 と せ ず 、手 袋 を し た まま で も 非 常 に 厚い オ ー バ ーレ イ ・ ガ ラ スを 介 し て タッ チ を 検 出 でき る タ ッ チス ク リ ー ン が実 現 可 能 と な りま す 。 可視性 す べて の 個 別 オー バ ー レ イ 投影 型 タ ッ チ技 術 に は 、 それ が い か に小 さ な も の であ れ 、 画 像 に 対し て 光 学 的な 差 を 生 む ユー ザ ー と スク リ ー ン 間 への 材 料 導 入が 含 ま れ ま す。 銅 マ イ ク ロ ワイ ヤ ー を ベー ス と し た 技術 で は 、 10um 導 体 の グリ ッ ド は 、特 に デ ィ ス プレ イ が オ フ に なっ て い る 場合 に は 視 認 が可 能 で す 。と は い え 、 光透 過 性 は 反射 防 止 処 理 前で も 優 れ て お り、 90% の 範 囲 内 に 収 ま り ま す 。 そ れ と は 対 照 的 に 、 銀 ナ ノ ワ イ ヤ ー お よ び 金 属 メ ッ シ ュ 技術 は 、 よ り見 え に く い 導電 性 ト ラ ック ( 5~ 10um 範 囲の 金 属 メ ッシ ュ )の 作 成 を 可能 に しま す が 、 ナノ ワ イ ヤ ー およ び 導 電 性ポ リ マ ー コ ーテ ィ ン グ は、 ス ク リ ー ン全 体 に わ ず か な色 か ぶ り や曇 り を 発 生 させ 、 標 準 的な 光 透 過 性は 85% 前 後 に な り ま す 。 可用性および寿命 銅 マイ ク ロ ワ イヤ ー の タ ッ チセ ン サ ー は、 一 握 り の 専門 メ ー カ ーに よ っ て 20 年 近く 生 産 さ れており、過酷な環境での大型サイズ用投影型タッチスクリーン技術として実証済みです。 銀 金属 メ ッ シ ュお よ び ナ ノ ワイ ヤ ー を ベー ス と し た タッ チ 技 術 は、 多 く の メ ーカ ー が 必 要 と なる 印 刷 お よび レ ー ザ ー パタ ー ニ ン グ装 置 を 導 入 した た め 、 過去 数 年 間 で 急速 に 主 流 技 術となりつつあります。タッチスクリーン業界において比較的新しいこれ ら2つの技術は、 長 期的 な 信 頼 性、 特 に 屋 外 等で 厳 し い 温度 や 湿 度 に 晒さ れ た 際 の電 気 抵 抗 ( およ び タ ッ チ 性 能) の 変 化 に関 し て は い まだ 証 明 さ れて い ま せ ん 。 グラフェン 近 い将 来 、 業 界に 変 化 を も たら す 可 能 性の あ る 新 た なタ ッ チ ス クリ ー ン 材 料 の技 術 が グ ラ フ ェン で す 。 2004 年 に マ ンチ ェ ス タ ー大 学 で 初 め て発 見 さ れ て以 来 、 そ の 強度 や 透 明 性、 導 電性 に 関 す る有 望 な 結 果 が示 さ れ て きま し た が 、 開発 は ま だ 始ま っ た ば か りで す 。 厚 さ 1 原子 の カ ー ボン 層 と し て 被覆 し た 場 合、 銅 マ イ ク ロワ イ ヤ ー と同 等 の 低 抵 抗性 と 「 不 可 視 な」 導 体 の 可能 性 を 有 し ます 。 し か し、 投 影 型 タ ッチ ス ク リ ーン 用 の 材 料 とし て の 可 能 性 があ る に も かか わ ら ず 、 この 期 待 さ れる 新 技 術 に は水 の 浄 化 や電 池 、 太 陽 電池 等 、 そ の 他 多く の 用 途 が存 在 し 、 開 発者 の ほ と んど は こ れ ら の分 野 に 集 中的 に 取 り 組 んで お り 、 タ ッ チス ク リ ー ン 用 途 へ 開 発 は進 ん で お りま せ ん 。 大局的な展望 結 論と し て 、 投影 型 タ ッ チ スク リ ー ン 用の 「 完 璧 な 」導 電 性 材 料の よ う な も のは 存 在 し ま せ ん。 そ し て 設計 者 は 常 に 、タ ッ チ ス クリ ー ン の 用 途に 合 わ せ てパ フ ォ ー マ ンス や 光 学 、 耐 久性 、 拡 張 性、 信 頼 性 の 最適 な 組 み 合わ せ を 探 す 必要 が あ り ます 。 携 帯 電 話お よ び タ ブ レ ット 用 タ ッ チス ク リ ー ン の世 界 市 場 は、 商 業 AV 市場 を 凌 駕 して い ま す 。 目安 と し て 、 Touch Display Research 社 は ITO 代 替 市場 が 2023 年 ま でに 130 億 ドル に 達 す る可 能 性が あ る と 推定 し て い ま す。 結 果 と して 、 こ の 巨 大市 場 は 必 然的 に 新 た な タッ チ ス ク リ ー ン用 材 料 の 開発 に 焦 点 を 当て て い る ので す 。 ま た 一方 、 投 資 もほ ぼ 確 実 に 商業 お よ び 産 業 市場 に 利 益 をも た ら す で しょ う 。
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