基礎数学 (7/12) 略解, 補足等 今日の授業では, フェルマーの小定理

基礎数学 (7/12) 略解, 補足等
今日の授業では, フェルマーの小定理について学習しました. これは, 素数 p と p で
割れない整数 a に対し,
ap−1 ≡ 1
(mod p)
が成り立つというものでした.
問題 12.1 はフェルマーの小定理を確認する, と言う問題です. いろいろと方法があ
りますが, 整数 k に対し,
a ≡ a + km
(mod m)
(1)
が成り立つことを用いると, 例 12.6 の計算に帰着できます. なお, 合同式 (1) ですが,
(a + km) − a = km は m で割り切れることから, 合同式の意味を考えると従います.
問題 12.1 の解答. 4 ≡ −3 (mod 7) ですので,
46 ≡ (−3)6 = 36
(mod 7)
となります. すでに例 12.6 で計算したように, 36 ≡ 1 (mod 7) ですので, 46 ≡ 1
(mod 7) を得ます.
同様に, 5 ≡ −2 (mod 7), 6 ≡ −1 (mod 7) を用いると, 56 ≡ 1 (mod 7), 66 ≡ 1
(mod 7) が確認できます.
問題 12.2 の解答. フェルマーの小定理を活用する問題でした. 29 は素数, 6 は 29 で
割り切れないので, フェルマーの小定理から,
628 ≡ 1 (mod 29)
(2)
が分かります. これを活用して 6100 ÷ 29 の余りを計算しましょう. 100 ÷ 28 を計算
して
100 = 28 × 3 + 16
に注意します. すると, 指数法則から
6100 = 628×3+16 = 628×3 × 616 = (628 )3 × 616
を得ます. 後は合同式 (2) を活用すると,
6100 ≡ 13 × 616 = 616
(mod 29)
を得ます. 62 = 36 ≡ 7 (mod 29) だから,
616 ≡ (62 )8 ≡ 78
1
(mod 29).
72 = 49 ≡ 20 ≡ −9 (mod 29) だから,
78 = (72 )4 ≡ (−9)4 = 94
(mod 29).
92 = 81 ≡ 81 − 29 × 3 = −6 (mod 29) だから,
94 = (92 )2 ≡ (−6)2 = 36 ≡ 7 (mod 29)
となります. 以上の計算から,
6100 ≡ 7 (mod 29),
つまり, 6100 ÷ 29 の余りは 7 となることが分かりました.
今日の授業では, 合同式では一般には割り算はできないが, 適切な条件がつくと割
り算できる, ということも学びました. 具体的に言うと, gcd(d, m) = 1 かつ da ≡ db
(mod m) が成り立つなら a ≡ b (mod m) が成り立つ, ということを学びました. 割
りたい数 d が法 m と互いに素の時, 割り算をしていい, ということになります. この
ことについて, 次の問題を考えてみましょう.
問題. 次の合同式を d で割ることはできるか.
• 定理 12.2 を使うことができて, d で割った結果が正しいものは○,
• 定理 12.2 を使うことはできないが, d で割った結果が正しいものは△,
• 定理 12.2 を使うことができず, かつ d で割った結果が間違っているものは×
をつけよ.
(1)
(2)
(3)
(4)
5 ≡ 25
4 ≡ 28
4 ≡ 28
9 ≡ 72
(mod
(mod
(mod
(mod
4),
4),
4),
7),
d = 5,
d = 2,
d = 4,
d = 9.
解. まず, 割りたい数 d と法 ( mod の直後の数字) が互いに素であるかをまずチェック
すると, gcd(4, 5) = gcd(7, 9) = 1 ですので (1) と (4) は互いに素となっています. よっ
て, (1) と (4) は○, つまり, 定理 12.2 を適用することで合同式 (1), (4) をそれぞれ 5,
9 で割った
1 ≡ 5 (mod 4),
1 ≡ 8 (mod 7)
も正しい, ということが分かります.
(2) を考えてみましょう. gcd(2, 4) = 2 ですので定理 12.2 を適用できません. 定理
12.2 を使うことはできませんが (2) の両辺を強引に 2 で割ってみると,
2 ≡ 14
(mod 4)
2
となり, これは正しい合同式であることが分かります. よって, (2) は△となります.
(3) を考えてみましょう. この場合も gcd(4, 4) = 4 ですので定理 12.2 を適用できま
せん. (3) の両辺を強引に 4 で割ってみると
1 ≡ 7 (mod 4)
となりますが, もはや正しい合同式ではありません. よって, (3) は×となります.
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