医界サロン 希望 - 大阪府医師会員へのお知らせ

 超高齢社会を迎え、地域医療の充実に向けた
っている。 昭和の時代は、 何かの行事やお正
施策や在宅医療が大きく報じられている。厚生
月、誕生日には、一家総出で集合し、料理し、
労働省は在宅医療を推し進めているが、現状で
食卓を囲んで話し合うのが通例であった。両親
はなかなか難しい。医療現場においては、今の
から厳しく躾を受け、一人前の大人に成長して
若者に意識変革を求めることが重要と考える。
いき、その中で礼儀、あいさつ、言葉を学び成
新入職員が入社しても3カ月で退職する場合が
長していく。しかし、社会情勢や住宅事情で昔
ある。色々な事情があるだろうが、耐えながら
からの習わしが少なくなっている。
仕事に励んでこそ人生の成長の糧につながって
医療の現場においても、人工知能、ロボット
いくと理解を求めたい。
技術はすばらしい発展がみられる。 学会では
最近、「家族」という言葉があまり聞かれな
「超高齢者に対するがん治療」というワークシ
くなってきた。核家族が中心となり大家族が減
ョップもある。いかに人生が長くなっているか
希 望
広報委員
大野 良興
が証明されている。一方、若者が年長者に触れ
か。異業種の経営は一時的に成功するかもしれ
る機会が減っている中で、超高齢者と若者との
ないが、継続は難しい。
更なる接点があっても良いのではないか。 教
今まで築きあげた礎(いしずえ)を見直し、
育、人生、人間関係を伝承することも若者の成
患者さんのご意見を賜り、更に前へ進める。近
長に大きくかかわってくる。
隣の病院、開業医との交流がいかに大切かを実
近年、若者が関与する事件が散見されるが、
感している。
その過程で大人や家族の一言があれば、最良の
診療所を継承された二代目の先生方も増える
解決策につながったのではないかと思う。若者
など、若い世代との話し合いが重要な視点とな
があまりにも社会から孤立化している。元気に
る。病院においても若き職員の育成が大きな命
活動してもらうことが未来の発展につながる。
運になるのではないか。 学会や研修会に参加
もう一度、家族や周囲に感謝して、若者が大
し、 情報を提供し、 職場の活性化に結び付け
きく飛躍し、成長することを期待する。
る。職員を成長、発展させ、未来の幹部候補に
医療機関でもたくさんの若者が活躍してい
育てあげるのも仕事である。
る。医療機関の安定的な経営の持続は大きな課
事業の継続にはサービス精神をもう一度見直
題のひとつでもある。その上で、患者さんやご
す必要性を感じる。「攻める経営」 ではない
家族のみならず、職員および家族、地域の方々
が、患者さんからのアクセスを待つだけではな
の理解や強力なバックアップが必要である。長
く、医療においても積極的な行動が必要ではな
く地域医療に取り組むことで、大きな喜びや希
いか。老舗企業の精神から学ぶところも多い。
望につながってくると思われる。いかなる事業
患者さんの人間性を尊重し、心のふれあいと徹
にもあてはまると思うが、長期にわたり経営を
底したトータルケアで人々の健康への願いに応
続けるには、まず本業を重視することではない
えていきたい。
大阪府医師会報7月号
(vol.391)