論文内容要旨 論文題名 Changes in apolipoprotein B and oxidized low-density lipoprotein levels in gingival crevicular fluid after initial preparation. (歯周基本治療による歯肉溝滲出液中の apoB、酸化 LDL の変動解析) 掲載雑誌名(巻・号・頁・掲載年) Journal of Periodontal Research (投稿中) 歯周病学 石塚元規 内容要旨 【目的】歯周病は口腔内細菌の感染による炎症性疾患で、歯を喪失する主 な原因であり、糖尿病など全身疾患との関連性が報告されている。当教室 では、歯肉溝滲出液(GCF)中に、低比重リポタンパク質(LDL)の主要構成タ ンパクである apoB および酸化 LDL を初めて検出した。 しかし、GCF 中 apoB、 酸化 LDL と歯周病の病態との関連はこれまで明らかにされていない。そこ で本研究では、歯周基本治療[スケーリング・ルートプレーニング(SRP) ] による GCF 中の apoB、酸化 LDL 変動を解析した。 【方法】対象は昭和大学歯科病院歯周病科に通院する患者11名。同一被験 者の歯周病罹患部位と健全部位を選択し、歯周治療前、SRP後4、8週にGCF 採取した。GCF量,GCF中のタンパク濃度、apoB濃度、酸化LDL濃度を測定 した。本研究は昭和大学歯学部医の倫理委員会承認の下に遂行した(承認 番号2014-006号)。 【結果】GCF量は約1.3倍、GCF中タンパク濃度は約4倍、apoB濃度は約12 倍、酸化LDL濃度は約17倍、歯周病罹患部位で健全部位に比べ有意に高い 値を示した。また、GCFを採取した歯周ポケット深さ(PD)とこれらの値 には正の相関が認められた。SRP処置後、歯周病罹患部位のGCF中apoB、酸 化LDL濃度は減少した。 【結論】GCF 中の apoB,酸化 LDL は、歯周病罹患部位で高値を示し、歯周 治療による歯周組織の治癒に伴い、それらの値は減少した。これらのこと より、GCF 中の apoB および酸化 LDL は、歯周病に伴う歯周組織の傷害の 状態を示すマーカーとして有用性が示唆された。
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