賢い発言の論理学 ゲーデル文入門 ロボットRの約束 • Rは千円札と万札を1枚ずつ持っている • 貴方はRに発言する • 発言が偽ならば、どちらもくれない(約束1) • 真であれば、少なくとも1枚くれる(約束2) – 千円札だけ/万札だけ/両方、いずれかは分か らない 問題1 • 貴方が賢い発言をすれば、Rは貴方に万札を あげざるをえない • さて、貴方は何と言えばよいか? 解答1 • 「Rは私に千円札をくれない」と言えばよい – この発言が偽ならば、Rは貴方に千円札をくれる、と いうことになる – しかし、約束1により、偽なる発言には千円札も万札 もくれないので、矛盾 – よって、上の発言は真 – つまり、千円札をくれないのは真 – すると、約束2により、真なる発言に対し、Rは少なくと も1枚はあげなければならない – したがって、Rは貴方に万札をあげざるをえない 記号化 • 「Rは千円札をくれる」を J • 「Rは万札をくれる」を K • 貴方の発言を Sとすると、 • 約束1: ¬S⇒¬J∧¬K • 約束2: S⇒J∨K 解答1の真偽表 • S=¬J 約束1 約束2 J K ¬J∧¬K J∨K S ¬S⇒¬J∧¬K S⇒J∨K T T F T F T F F T F F T F T T F F T F T 解答1の真偽表 • S=¬J 約束1 約束2 J K ¬J∧¬K J∨K S ¬S⇒¬J∧¬K S⇒J∨K T T F T F F T F F T F F F T F T T T F F T F T T 解答1の真偽表 • S=¬J 約束1 約束2 J K ¬J∧¬K J∨K S ¬S⇒¬J∧¬K S⇒J∨K T T F T F F T T F F T F F T F T F T T T T F F T F T T F 解答1の真偽表 • S=¬J 約束1 約束2 J K ¬J∧¬K J∨K S ¬S⇒¬J∧¬K S⇒J∨K T T F T F F T T F F T F F T F T F T T T T F F T F T T F 解答1の真偽表 • S=¬J 約束1 約束2 J K ¬J∧¬K J∨K S ¬S⇒¬J∧¬K S⇒J∨K T T F T F F T T F F T F F T F T F T T T T F F T F T T F 問題2 • Rが貴方に千円札と万札の両方をあげざるを えないような発言が可能である • さて、貴方は何と発言すればよいか? 解答2 • 「Rは両方くれるか、両方ともくれないかのどち らかだ」と言えばよい – この文が偽になる唯一の方法は、Rが貴方に千 円札だけか万札だけをあげることだ – 約束1により、偽なる発言には両方ともくれない – よって、上の文は偽になりえず、真となる – 一方、約束2により、真なる発言には少なくとも1 枚はあげなければならない – したがって、Rは貴方に両方をあげるしかない 問題3 • Rが約束を守ることが不可能な発言がある • さて、貴方は何と言えばよいか? 解答3 • 「Rは両方ともくれない」と言えばよい – Rが貴方に1枚以上あげると、偽の発言なのにあ げる、ということになって約束1違反 – 両方ともあげないと、真の発言なのにあげない、 ということになって約束2違反 – 何れにしても約束違反するしかない 問題4 • 約束を守る限り、Rが貴方に1億円をあげざる をえなくなる発言が可能である • さて、貴方は何と言えばよいか? 解答4 • 「Rは貴方に千円札も万札も1億円もあげない」と 言えばよい – この発言が真ならば、約束2により、千円札か万札を あげなければならないが、そうすると発言内容が偽 になってしまい、矛盾 – よって、上の発言は偽 – すると、発言内容から、少なくともどれかはあげなけ ればならない – しかし、約束1により、偽なる発言に対しては千円札 も万札もあげるわけにはいかない – したがって、1億円をあげるしかなくなる
© Copyright 2025 ExpyDoc