7月の星空案内(212KB)

2016年7月に見頃の天体
★木星(もくせい):Jupiter
※前半の時間帯のみ
西の空に沈みゆく木星は太陽系最大の惑星で、直径は地球の約11倍もあ
★二重星(にじゅうせい):Double star
はくちょう座のくちばしのところに輝くアルビレオは、肉眼で見ると1つ
り、望遠鏡を使うとしま模様と周りを回る衛星のうちの数個を見ることが
の星ですが、望遠鏡で覗くと金色と青色の2つの星が寄り添って見える二重
できます。このしま模様の正体は、木星の雲の模様です。木星の自転周期
星です。色の対比が美しいので、宮沢賢治の作品「銀河鉄道の夜」では、宝
は約10時間と非常に速く回っているので、上空には常に東西方向に強風が
石のトパーズとサファイアにたとえられています。
吹き、雲も東西方向に流されてしま模様となって見えるのです。
2つの星の色の違いは、星の表面の温度の違いを表しています。青い星の方
が温度が高く、青い光を強く出しています。近年、この2つの星は、お互い
★火星(かせい):Mars
の周りを回る連星であることがわかってきました。また、詳しい観測による
南の空に、真っ赤な火星がひときわ明るく目立っています。火星が赤い
のは、地表に鉄サビのような成分を多く含むからです。 火星は約2年2カ
と、金色の星は、少し暗い別の星とも連星系になっていて、アルビレオは実
は三重連星のようです。
月ごとに地球に近づきますが、火星の公転軌道は楕円ですので、地球との
この他にも、北極星や、うしかい座のイプシロン星(プルケリマ)、りょ
接近距離が年によって変わります。今年はかなり近づきましたので、火星
うけん座のアルファ星(コル・カロリ)など、二重星は多いです。こと座に
は2年前より大きく見えます。
は、二重星がさらに2つずつの二重星となっている、ダブル・ダブル・ス
ターと呼ばれる星もあります。
★土星(どせい):Saturn
人気の土星が観望シーズンとなり、南の空に黄色っぽく輝いています。今
年も環の開き方が大きいため、環のすきまのカッシーニの空隙が見易く
★赤色巨星(せきしょくきょせい):Red giant
南西の空でオレンジ色に輝く うしかい座のアークトゥルスの直径は太陽の
なっています。よく晴れていれば、土星の周りを回る衛星タイタンなども
約20倍大きく、南の低い空に見えるさそり座のアンタレスの直径は太陽の約
見られるでしょう。
700倍も大きいことが観測されています。
土星探査機カッシーニは、土星の衛星エンケラドスの表面を覆う氷の下
恒星は、安定して輝く時期が長く続きます。しかし、恒星の内部の水素を
に、海があることを確認しました。海があるなら、生命がいる可能性も考
使い果たすと、恒星は自身の重力で縮み始め、その際に発生する熱によって
えられるため、天文学者たちが注目して
外側のガスはさらに外へと膨張し、巨大な星になります。ガスが膨れると表
います。(なお、エンケラドスは土星の
面の温度が低くなるため、赤色に見えます。
衛星の中で6番目に大きいですが、観望
会で見ることはできませんので、ご了承
ください。)
探査機「カッシーニ」が撮影した土星
©NASA/JPL/Space Science Institute