第 15回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会

第 15回厚 生 科 学 審 議 会 疾 病 対策 部 会 指 定 難 病 検 討 委 員会
議 事 次 第
平 成 2 8年 7 月 13 日 (
水)
1 6 : 0 0 - 1 8 :0 0
場所 :労働委員会会館講堂 (
7階)
1. 開
会
2. 議
事
(1)
個 別 疾 病 の検 討 に つ いて
(2)
その他
3. 閉
会
<配 付 資料 >
資 料 1- 1 第 15回 指 定 難 病 検 討 委 員 会 に お い て 検 討 す る疾 病 (一 覧 )
資 料 1- 2
第 15回 指 定 難 病 検 討 委 員 会 に お い て 検 討 す る疾 病 (
個票)
参考 資料 1
指 定 難 病 (平 成 29年 度 実 施 分 ) と して 指 定 難 病 検 討 委 員 会 で
検 討 を行 う疾 病 (一 覧 )
参考 資料 2
指 定 難 病 の要 件 に つ い て
厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会委員名簿
氏 名
所属 .
役職
飯野 ゆき子
東京北医療センター顧 問兼耳鼻咽喉科
大津 真木子
東京女子 医科大学
千葉 勉
京都大学大学院総合生存学館思
名誉教授
直江 知樹
国立病院機構名古屋
錦織 千佳子
神戸大学
平家 俊 男
京都大学 大学院
医
医学研究科教授
◎ 水洋 美洋
宮坂
和田 隆志
信之
科長
修館特定教授
医療センター院長
学部発達小児科学講座教授
国立精神 .
神経
医療研究センター理事長 .
総長
東京医科歯科大学名誉教授
第 15回指定難病検討委員会において検討する疾病 (
一
、
∝
覧)
滞′ ,
1
、
g
m
129 先天性 GPⅠ
欠損症
Q
A
∼
29 pケ 卜チオラ
90 三頭酵素欠損症
ーゼ欠損症
1
2
97 シ 卜リン欠損症
1
86 非ケ
セ ピアプテ
リン還元酵素
(
sR)欠損症
トーシス聖高グ
リシン血症
204 芳香族アミノ
発
㌔
好
釣
W
、
1
l
6
l
17
24
3
0
怪 料 1-2l
第 15回指定難病検討委員会において検討する疾病 (
個票)
先天性 GPI
欠損症
匡二
重頭
1. 概要
アンカーは、ほ乳類の細胞においては 1
50種以上の蛋白質の膜結合に用いられてい
糖脂質からなる GPI
る。GPIが欠損するとこれらの全ての蛋白質が細胞表面に発現できない。現在までに 27個の遺伝子が GPI
アンカー型蛋白質の生合成や、修飾に必要であることがわかっている。最近、これらの遺伝子の変異によ
る先天性 GPI欠損症 (
I
nhent
edGPIde
f
i
ci
ency .
I
GD)
が次々と見つかっており、現在までに 1
4種類の遺伝
子 による I
GDが報告されている。従来 Mabr
y症候群として知られていた、高アルカリホスファターゼ(
ALP)
血
GDであることが明らかになっているが、今後もオーバー
症 、精神運動発達遅滞 ・
てんかんを呈する疾患が I
ラップする疾患が見つかってくると考えられる。
2.原因
GPIが欠損すると 1
50種以上の GPlアンカー型蛋白質が細胞表面に発現できないので GPI生合成遺伝
子の完全欠損は胎生致死になる。I
GDは 27個の GPI
生合成や修飾に関わる遺伝子のうちのどれかが様々
アンカー型蛋白質の発現低下や構造
な程度に活性が低下した部分欠損症である。症状は細胞膜上の GPI
異 常によって起こる、変異遺伝子やその活性低下の程度により多様な症状を示す。症状のうち、てんかん
アンカー型蛋白質である ALPの発現低下が挙 げられる.
の原因の一つとしてGPl
3.症状
必須症状は、精神 ・
運動発達の遅れで、多くはてんかんを伴う。大田原症候群 .ウェス ト症候群など乳
児早期発症の難治性てんかんと診断された患者のなかにも見つかっている。他によく見られる特徴として
顔貌異常 (
両眼解離、テント状の口)、手指 ・
足比の異常 (
末節骨の短縮、爪の欠損等)、難聴、その他の奇
形(
紅門∴
直腸の異常、ヒルシュスプルング病ヾ水腎症等)等がある。-部の患者では高 ALP血症がみられ
るので、診断の良い指標となっている。末梢血額粒球のフローサイトメトリー検査で GPlアンカー型タンパク
質である CD16の発現低下があることで診断が確定するが、責任遺伝子の同定のためにターゲットエクソ
ーム、あるいは全エクソーム解析 による遺伝子解析を必要とする。
4 治療法
王
GDにみられるてんかんの原因の 1つとして、神経細胞表面に発現する ALPの発葺
引珪下によりビタミン B
6の脱リン酸化がおこらないため、細胞内に取り込めないことがあげられる。細胞内のビタミン B6が欠乏す
ると、神経細胞の興奮を押さえる GABA 合成が低下するのでけいれん発作がおこる。リン酸化のないビタミ
ピリドキシン)の投与がてんかん発作に有効な症例がある。その他にも有効な補充療法の開発にむ
ン B6(
けて研究が行われている.
5.予後
遺伝子異常による疾患で、発生初期からの発達異常を伴うので根本治療は今のところないO症状の程度
は軽度の知的障害等から、最重度は多舷器の奇形や難治性てんかん、重度の精神 ・
運動発達の遅れを呈
して新生児 ・
乳児期 に死亡する。また胎内死亡の症例も報告されている。最重度の症例 以外の多くは成人
期 まで生存し、けいれんのコントロール等の対症療法を中心とする長期の療養を要する。
1
L
o 要件の判定に必要な車 頑
1.患者数
1
00人未 満
2.発病の機構
未解 明 (
遺伝子異常による疾 患であるが病態については未解 明)C
3. 効果的な治療方法
未確立 (
根本的な治療法 はない。種 々の対症療法。ピリドキシンの補 充療法が有効な症例がある。)
4 長期の療養
必要 (
発症後、生涯にわたって治療の継続を要する)
5.診断基準
あり(
学会承認の診断基準あり)
6 重症度分類
B
a
r
t
h
ell
n
d
e
xを用 いて、8
5点以下 を対象 とす る.
】
○情報提供司
「先天性 G
Pl欠損症の症例登鐙 システムの構築 と実態調査及び早期診断法の確立」
代表者 大阪大学微生物病研究所 准教授 村上 良子
r先天性 G
Pl欠損症の診療ガイ ドライ ンの整備 と病態解析及び治療法の開発 」
代表者 大阪大学微生物病研究所 准教授 村上 良子
2
<診断基準 >
De
f
i
ni
t
e,Pr
oba
bF
eを対象とする。
A 症状
1 主症状
周産期異常を伴わない知的障害 .
運動発達障害(
必発)
O多くはてんかんを伴い、時に家族性に見られる.
2.他 に頻度の高い症状として以下の症状がある。
(
か 新生児期、乳児期早期発症の難治性てんかん
② 顔貌異常 .両眼解離 ・
幅の広い鼻梁・
長い眼裂 ・
テント状のロ・口唇、口蓋裂 ・
耳介の形態異常
③ 手指、足蝕の異常 .末節骨の短縮 ・
爪の欠損、低形成
④ その他の奇形
肛門、直腸の異常 ・
無ガングリオン性巨大結腸 .
水腎症 ・
l
L
l
奇形など
(
9 難聴 ・
眼、視力の異常
⑥ 皮膚の異常 魚鱗癖など
⑦ 筋緊張低下、関節拘縮 、四肢の短縮
B 検査所見
1
. 多くは末梢血黒粒球のフローサイトメーター解析によりcD1
6の発現低下を示す.
2. 以下の検査所見が見られることがある。
ALP)
血症 (
年齢別正常値の上限を超える)
(
か 高アルカリホスファターゼ(
(
参 手指 ・
足蝕のX線写真で末節骨欠損
ABR)の異常
③ 聴性脳幹反応 (
の拡散強調画像 (
DWりにて基底核に高信号 、進行性の小脳萎縮、髄浄化の遅延
④ 脳 MRI
C 遺伝学 的検査
GPI
アンカー型タンパク質の生合成および発現 ・
修飾 ・
輸送に関与する遺伝子
(
PI
GAPI
GY,
PI
GQ,
PI
GH.
PI
GC,
PI
GPPI
GL,
PI
GW.
PI
GM.
PI
GX.
PI
GV,
PI
GNPJ
GB.
PI
GB.
PI
GO,
pI
GF,
PI
GG,
PI
GZ,
PI
GK,
PI
GT.
PI
GS,
GPAAl
,
PI
GU.
PGAPl
,
PGAP2,
PGAP3
,
等のいずれかに変異を認める。
D 鑑別診断
欠損症が原因でない大田原症候群、ウェスト症候群、ヒルシュスプルング病。
先天性GPl
<診断のカテゴリー>
pr
oba
bE
e:
A-1とB-1を満たすもの
De
f
i
ni
t
e:
A-1とCを満たすもの
3
<重症度分類>
Ba
r
t
heHndexで 85 点以下を対象とする。
質問内容
1 食事
部分介助
自立、自助具などの装着可、
(
たとえば、おかずを切って細かく
標準的時間内に食べ終える
してもらう)
行 自立も含む)
軽度の部分介助
2 車椅子か
らベッド
の移動 へ
3
整容
点
5
1
0
数
1
5
0
0
または監視を要する
座ることは可能であるがほぼ全介助
全介助
自立、ブレーキ、フットレストの操作も含む (
歩
1
0
立(
洗面、整髪、歯磨き、ひげ
全介助または不可能
自
5
む、
ポータブル便器な
4
トイレ動作
どを使用している場合は
その洗浄も含む)
部分介助または不可能
自立 (
衣服の操作、後始末を含 剃り)
部分介助、体を支える、衣服、後始末に介助を
全介助また
要する
0
1
0
5
5
45m以上の歩行、補装具 (
車椅子、歩行器は除く)の
5
6 入浴
歩行
45m以上の介助歩行、歩行器の使用を含
部分介助または不可能
自立
は不可能
歩行不能の場合、車椅子にて 45
m以上の操作
む
上記以外
使用の有無は問わず
可能
0
0
1
5
5
ー
0
5
7
階段昇降
自立、手すりなどの使用の有無は問わない
1
0
8
着替え
自立、靴、ファ
部分介助、
介助または監視を要する
不能
標準的な時間内、
スナー、装具の着脱を含む
1
5
0
9
排便コント 上記以外
半分以上は自分で行える
ときに失禁あり、
なし、涜腸、涜腸
坐薬の取り扱いも可能
ロール
失禁
上記以外
、坐薬の取り扱いに介助を要する者も含む
排尿コント
0
0
5
1
0
5
0
※診断基準及び重症度分其の適応における留意事項
1. 病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期
のものを用いても差し支えない (
ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限
る)。
2. 治療開始後における重症度分矧 こついては、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態で、直近 6カ
月 間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3. なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必
要な者については、医療費助成の対象とする。
5
β-ケトチオラーゼ欠損症
匡逐司
1. 概要
ミトコンドリア・
アセトアセチル-Co
A チオラーゼ (
T2)
の欠損症で、反復性の重篤なケトアシドーシスをきた
す疾患である。常染色体劣性遺伝形式をとる。イソロイシンの中間代謝のステップとケトン体の肝臆外組織
での利用ステップが障害される。
2.原因
ACATl遺伝子の変異によりT2活性の低下が原因である0
3 症状
生後数ヶ月から 2歳頃に飢餓、発熱、感染などのストレス時に、著しいケトアシドーシスで発症することが
多い。重篤な場合は急性脳症で発症し、後遺症として発達障害を来したり、ケトアシドーシス発作中に死亡
することもある。
なお、症状が出る前 (
発症前)に、新生児マススクリーニングで発見されることがある。本疾患はタンデム
マスによる新生児マススケ)一二ングの2次対象疾患である。
4.治療法
根本的な治療法はない。対症的な治療としては、空腹時間を長くせず、発熟や畷吐などケトン体産生スト
レス時には早期のブドウ糖輸液で、発作を未然に防ぐことが重要。カルニチンの補充、イソロイシン制限の
ための蛋 白制限食も行われるo 成人期以降は、カルニチン補充療法を継続することが望ましいが、食事
制限は不要と一般に考えられている。本疾患は症例数が限られており、個別対応が必要である。
5 予後
発作の後遺症として発達の遅れを来して成人となることも多い。発作時に基底核病変が生じ、寝たきりと
なる例も海外では報告されている、成人ではケトアシドーシスの発作の頻度は少なくなるが、同様の有機酸
代謝異常症では1回の重篤なケトアシドーシス発作で成人期でも死亡することがあるo偏頭痛椋症状を訴
える症例も報告されている。
○ 要件の判定に必要な事項
1 患者数
1
00人未満
2.発病の機構
不明 (
ACATl遺伝子異常が原因であるが、発病の機構、病態が未解明である部分が多いO)
3.効果的な治療方法
未確立 (
対症療法があっても根本治療法が確立していない)
4 長期の療養
6
必要 (
臨床的に安定していても酵素欠損は存在し、潜在的なリスクがあり、定期受診、検査が必要である。
また成人期合併症について不明な点が多い)
5.診断基準
あり (
研究班が作成し、学会が承認した診断基準)
6.重症度分類
日本先天代謝異常学会による先天性代謝異常症の重症度評価を用いて中等症以上を対象とする。
Z
o 情報提供
j
t
l
・日本小児科学会、日本先天代謝異常学会
当該疾病担当者 岐阜大学大学院医学系研究科 教授 深尾敏幸
・
厚生労働科学研究費補助金子ども家庭総合研究事業「
タンデムマス等の新技術を導入した新生児マススクリ
ーニング体制の研究」
研究代表者 島根大学小児科 教授 山口清次
・
厚生労働省難治性疾患政策事業「
新しい先天代謝異常症スケノーニング時代に適応した治療ガイドラインの
作成 および生涯にわたる診療体制の確立に向けた調査研究」
研 究代表者 熊本大学大学院 教授 遠藤文夫
・日本 医療研究開発機構 難治性疾患実用化研究事業「
新生児タンデムマススクリーニング対象疾患の診療ガ
イドライン改定、診療の質を高めるための研究 J
研 究代表者 岐阜大学大学院医学系研究科 教授 深尾敏幸
7
<診断基準>
De
月ni
t
eを対象とするo
A.主要症状および臨床所見
ケトアシドーシス発作 (
飢餓や感染を契機に曜吐,多呼吸,意識障害をきたす。)
B.参考となる一般検査 ・
画像所見
①代謝性アシドーシス
本症では急性期のケトアシドーシスが強いO従ってアニオンギャップ関大性の代謝性アシドーシスとなる。典型
例では pHく7.
2.HCO3く10r
nmoVLを示す。
②強いケトーシス
総ケトン体 >7mM
遊離脂肪酸 <<総ケトン体
遊離脂肪酸/総ケトン体比は0.3を切ることが多い.
③高アンモニア血症
軽度の高アンモニア血症 (
200-400〃g/dl程度)
を呈することがある。
(
参低血糖 :
基準値 く45mg/dL
本症では高血糖∼
低血糖まで様 々であるが,著しい低血糖は稀である
C.診断の根拠となる特殊検査
① 血 中アシルカルニチン分析 (
タンデムマス法)
C5:
1かつ C5-OHの上昇が特徴的である。しかし本検査は有機酸代謝異常症においては確定診断ではなく、
スクリーニング検査であるo
(
診 尿中有機酸分析
典型例ではチグリルグリシン,2-メチル-3-ヒドロキシ酪酸,2-メチルアセト酢酸の排滑増加がみられる 2一メチ
ルアセト酢酸は不安定で検出されないこともある
③ 酵素活性測定
T2)
リンパ球や皮膚線維芽細胞、臓器を用いて酵素活性測定で.ミトコンドリアアセトアセチル-CoAチオラーゼ (
の著しい低下 (
正常の 2
0%以下)が認められれば確定診断となる.
④ 遺伝子解析
ACATl遺伝子の 2アレルに病因となる変異が同定される
D 鑑別診断
(
か サクシニルーCoA・
3-ケト酸 CoA トランスフェラーゼ欠損症
2M3HE
i
D.HSDI
O)
欠損症
② 2-メチル-3-ヒドロキシブチリルICoA デヒドロゲナーゼ(
<診断のカテゴリー>
Pr
obabl
e:
(1)
A+C(
丑を満たす。
(
2)
新生児マススクリーニング症例においては Aを認めなくても C
(
彰を満たせばよい.
8
De
f
i
ni
t
e:
(1)
A+C(
診、A+C③ 、A+C④のいずれかを満たす。
(
2)新生児マススケノ
ーニング症例においては C①+C② 、C①+C③ 、C①+C④のいずれかを満たす。
<重症度分類>
先天性代謝異常症の重症度評価 (日本先天代謝異常学会)を用いて中等症以上を対象とする。
点数
Ⅰ
薬物などの治療状況 (
以下の中からいずれか 1つを選択する )
治療を要しない
対症療法のために何らかの薬物を用いた治療を継続 している
疾患特異的な薬物治療が中断できない
急性発作時に呼吸管理、血液浄化を必要とする
食事栄養治療の状況 (
以下の中からいずれか 1つを選択する )
食事制限など特に必要がない
軽度の食事制限あるいは一時的な食事制限が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの中程度の食事療法が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの疾患特異的な負荷の強い(
厳格な)
食事療法の
継続が必要である
経管栄養が必要である
酵素欠損などの代謝障害に直接関連した検査 (
画像を含む)の所見 (
以下の中からい
ずれか 1つを選択する)
特に異常を認めない
軽度の異常値が継続している
SDの逸脱)
(目安として正常範囲から 15
.
5
SDから 2
.
OSDの逸脱)
中等度以上の異常値が継続している (目安として 1
高度の異常値が持続している
(目安として 20SD以上の逸脱)
現在の精神運動発達遅滞、神経症状、筋力低下についての評価 (
以下の中からいず
れか 1つを選択する)
a
異常を認めない
b
軽度の障害を認める
(目安として、I
Q7
0未満や補助具などを用いた自立歩行が可
1
能な程度の障害)
C
中程度の障害を認める (目安として、I
Q5
0未満や 自立歩行が不可能な程度の障害) 2
d
高度の障害を認める
(目安としてJQ3
5未満やほぼ寝たきりの状態)
現在の臓器障害に関する評価 (
以下の中からいずれか 1つを選択する)
a
肝臓、腎臓、心臓などに権能障害がない
b
肝臓、腎臓、心臓などに軽度機能障害がある
(目安として、それぞれの臓器異常による検査異常を認めるもの)
9
肝臓 、腎臓 、心臓などに中等度楼能障害がある
(目安として、それぞれの肢器異常による症状を認めるもの)
d
肝臓 、腎臓、心臓などに重度梯能障害がある、あるいは移植 医療が必要である
4
(目安として、それぞれの臓器の機能不全を認めるもの)
生活の 自立 .
介助などの状況 (
以下の中からいずれか 1つを選択する)
自立した生活が可能
何らかの介助が必要
日常生活の多くで介助が必要
生命維持医療が必要
総合評価
ⅠかⅥまでの各評価 及び総合点をもとに最終評価を決定する。
(1)4点の項 目が 1つでもある場合
重症
(
2)2点以上の項 目があり、かつ加点した総点数が 6点以上の場合
重症
(
3)
加点した総点数が 3
6点の場合
中等痩
(
4)加点した絵点数が 0-2点の場合
軽症
注意
1
診断と治療 についてはガイドラインを参考 とすること
2
疾患特異的な薬物治療はガイドラインに準拠したものとする
3
疾患特異 的な食事栄養治療はガイドラインに準拠したものとする
※診 断基準及び重症度分類の適応 における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状 、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規 定がない場合 には、いずれの時期
のものを用いても差し支えない (
ただし、当該疾病 の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限
る)。
2.治療 開始後における重症度分矧 こついては、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態で、直近
6カ月
間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分業頁等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必
要な者については、医療費助成の対象とする。
1
0
三頭酵素欠損症
匝:
重要
1 概要
ミトコンドリアの β-酸化系のうち、ミトコンドリア内膜に結合した長鎖脂肪酸の β 酸化回路を形成する2
酵 素 の 1 つで、長 鎖 脂 肪 酸 β 酸 化 回路 の 第 2 の酵 素 enoy卜CoA hydr
a
t
ase (
LCEH)、第 3 の
3-hydr
ox
ya yトCoA dehydr
ogenas
e(
LCHAD)
、第4の 3-ket
oacyトCoA t
hi
ol
ase(
LCKT)の 3つの機能を持
c
った三頭辞素 の欠損 症で、常染色体劣性遺伝の疾患である。発症 時期で、新生児期発症 型、乳幼児期発
症 型、幼児期 以降に発症 し骨格 筋症状を主体 とする遅発型に分類される。新生児マススクリーニングで診
断された、もしくは家族検 索で発見された無症状の症例 はどの病 型かに分類されるまで、発症前型と暫 定
的に分類する。
2.原因
三頭酵素の 2つの遺伝子 HADA、 HADBのどちらかの変異 による.
3 症状
新生児期にけいれん 、意識障害、呼吸障害 、心不全などで急性発症し、致死率が高い新生児期発症型
か ら、幼児期 から成人期に間歓的な横紋筋融解症 、筋痛 、筋 力低下で発症する骨格筋型まで、臨床像 は
幅 広い。本症では長期経過のなかで末梢神経障害 (
80
%)、網膜障害 (
5-1
3%)
をきたす症例がある。
本症 はタンデムマスを用いた新生児マススクリーニングの対象疾患であり、症状が出る前 (
発症前 )に、
新生児マススケJ一二ングで発見されることがある。
4 治療法
根本 的治療法 はなく、末梢神経障害 、網膜 障害 は各種対症療法で防 げない。食事 間隔 の指導、中鎖脂
肪酸トリグリセリドの使 用による急性発作予防が主である0
5.予後
新生児期発症型の予後 は厳 しいO乳児期発症型では発作後遺症として発達障害をきたすことも多く。骨
格筋型では、横紋筋融解を反復するほか末梢神経障害 (
80%)、網膜 障害 (
5-13%)
をきたす症例 がある。
○ 要件の判定に必要な事項
1. 患者数
1
00人未満
2 発病の機構
不明 (
HAD
Aあるいは HADB遺伝子異常が原因であるが、同じ遺伝子変異 でも未発症例 や重症例 がある
ことなど、発病の機構 、病態が未解明である部分が 多いo)
3. 効果的な治療方法
未確立 (
対症療法である飢餓 予防を行っても急性発症する事が 多く、根本治療法が確立 していない)
i
F
4. 長期の療養
必要 (
心筋、骨格筋の障害は継続しており、末梢神経障害、網膜障害の合併もあり十分な経過観察を必
要とする。また、臨床的に安定していても酵素異常は継続しており、疾病が潜在しているので生涯にわた
り経過観察、検査、食事療法を必要とする。また、重大な障害を残すこともある。)
5.診断基準
あり (
研究班が作成し、学会が承認した診断基準)
6.重症度分類
日本先天代謝異常学会による先天性代謝異常症の重症度評価を用いて中等症以上を対象とする。
l
o 情報提供元
・日本小児科学会、日本先天代謝異常学会
当該疾病担当者 岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学 教授 深尾敏幸
・
厚生労働科学研究費補助金子ども家庭総合研究事業「
タンデムマス等の新技術を導入した新生児マススケノ
ー二ング体制の研究」
研究代表者 島根大学小児科 教授 山口清次
・
厚生労働省難治性疾患政策事業「
新しい先天代謝異常症スケノーニング時代に適応した治療ガイドラインの
作成および生涯にわたる診療体制の確立に向けた調査研究」
研究代表者 熊本大学大学院 教授 遠藤文夫
暮
日本医療研究開発機構
難治性疾患実用化研究事業「
新生児タンデムマススクリーニング対象疾患の診療ガ
イドライン改定、診療の質を高めるための研究 」
研究代表者 岐阜大学大学院 教程 深尾敏幸
1
2
<診断基準>
De
f
i
ni
t
eを対象とする。
三頭酵素欠損症の診断基準
1 臨床症状
各病型で高頻度に認められる急性期の所見は以下の症状があげられる0
①意識障害、けいれん
新生児期発症型、乳幼児期発症型でみられる。急激な発症形態から急性脳症、ライ様症候群と診断される場
合も多い。
②骨格筋症状
主に遅発型でみられるO横紋筋融解症やミオパテ-、訪痛、易疲労性を呈するO感染や儀餓 、運動、飲酒など
を契機に発症することが 多く、症状が反復することも特徴であるOまた一部の症例では妊娠中に易疲労性など
がみられる。
③心筋症状
新生児期発症型、乳幼児期発症型、遅発型にもみられる。新生児期発症型では、重度の肥大型心筋症とそれ
に伴う心不全、致死的な不整脈などがみられるD
④呼吸器症状
新生児期発症型を中心として多呼吸、無呼吸、努力呼吸などの多彩な表現型を呈する。
6)
消化器症状
特に乳幼児期発症型において、喧吐を主訴に発症することがある。
⑥肝腫大
新生児期発症型、乳幼児期発症型で多くみられる。病勢の増悪時には著しい腫大を認めることもあるが、間歌
期には明らかでないことも多い。
2 参考となる検査所見
①非∼低ケトン性低血糖
低血糖の際に血 中や尿 中ケトン体が低値となる.但し、完全に陰性化するのではなく、低血糖、全身状態の程
度から予想される範囲を下回ると考えるべきであるo強い低血糖の際に尿ケトン体定性で±-1
+程度 、血中ケト
ン体が 1
,
0
0
0〃mo
】
/1程度であれば、低ケトン性低血糖と考える。血中ケトン体分画と同時に血 中遊離脂肪酸を
測定し、遊離脂肪酸/総ケトン体モル比 〉2.
5、遊離脂肪酸/3ヒロドキシ酪酸モル比 〉3
.
0であれば脂肪酸 β酸
化異常が疑われる。
(
多肝逸脱酵素上昇
種 々の程度で肝逸脱酵素の上昇を認めるが、脂肪肝を合併していることが多く、画像診断も参考になる。
③高 cK血症
〉1
0,
00
0I
U/l
)になることが 多い
非発作時に軽度高値でも、急性期には著明高値 (
④高アンモニア血症
急性発作時に高値となる事があるが、輸液のみで改善することが多い。
⑤筋生検
診断に筋生検が必須ではないが、筋生検の組織学的所見から脂肪酸代謝異常症が疑われることがある0
1
3
3 診断の根拠となる特殊検査
①血 中アシルカルニチン分析
6,
C1
6
:
1
.
C18
,
C1
8:
1とそのヒドロキシ体 C1
6
-0日.
C1
8:
1
-OH等の上昇が特徴。新生
長鎖アシルカルニチン、C1
6
-0日〉0.
05かつ C1
81
-0日〉0.
05(
施設によって若干
児マススクリーニングでの診断指標は、ろ紙血において C1
異なる).二次検査では、ろ紙血および血清が用いられる.遅発型の一部では安定期のタンデムマス所見では
生化学的異常が乏しいことに注意が必要である。
② 尿中有機酸分析
-ヒドロキシジカルボン酸を含む)を示す d 間歌
低血糖発作時には非もしくは低ケトン性ジカルボン酸尿 (
とくに 3
期などは所見がない場合が多いと思われる。
(
卦 酵素学的診断
e
t
opa
l
mi
t
yトCo
A を用いたチオラ-ゼ活性測定がなされ
培養皮膚線維芽細胞などを用いた LCHAD活性 、3-k
る。
④i
nvi
t
r
opr
obeas
sa
y(
β酸化能評価)
培養 リンパ球 や培養皮膚線維芽細胞を用いた i
nvI
L
t
r
OPr
o
bea
s
s
a
yでは、培養上清のアシルカルニチンを分
析することによって、細胞の脂肪酸代謝能を評価する。疾患特異的なアシルカルニチンプロファイルを確認でき、
酵素診断に準 じる。
⑤ イムノブロッティング
酵素 に対する抗体を用いたイムノブロッティングでタンパクの欠損や明らかなタンパク量の減少により診断す
るO
(
参 遺伝子解析
HADA,
HADB遺伝子の解析を行う。本邦では 5名報告があるがすべて HADB遺伝子の変異であった。日本人
のコモン変異 はまだ同定されていない。
<診断のカテゴリー>
Pr
oba
bl
e.
(
1) 発症前型以外では、1の①から⑥のうち1つ以上 +3の① を認めるもの
(
2) 新生児マススケノ
ーニング等による発症前型においては、3の① を認めるもの。
De
f
i
nl
t
e:
(
1) 発症前型以外では 、1の①か ら⑥の うち 1つ以上 + 3の① + 3の③ ∼⑥のうち 1つ以上
(
2) 新生児マススク リーニング等による発症前型においては、 3の① + 3の③∼⑥のうち1つ以上
1
4
<重症度分類>
先天性代謝異常症の重症度評価 (
日本先天代謝異常学会)
を用いて中等症以上を対象とする。
点数
薬物などの治療状況 (
以下の中からいずれか1つを選択する )
治療を要しない
対症療法のために何らかの薬物を用いた治療を継続している
疾患特異的な薬物治療が中断できない
急性発作時に呼吸管理、血液浄化を必要とする
食事栄養治療の状況(
以下の中からいずれか1つを選択する )
食事制限など特に必要がない
軽度の食事制限あるいは一時的な食事制限が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの中程度の食事療法が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの疾患特異的な負荷の強い(
厳格な)
食事療法の
継続が必要である
経管栄養が必要である
Ⅲ
酵素欠損などの代謝障香に直接関連した検査 (
画像を含む)の所見 (
以下の中からい
ずれか1つを選択する)
特に異常を認めない
軽度の異常値が継続している
(目安として正常範囲から 1
.
5
SDの逸脱)
中等度以上の異常値が継続している (目安として 15
SDから 20SDの逸脱)
高度の異常値が持続している
(目安として 2
.
OSD以上の逸脱)
現在の梼神運動発達遅滞、神経症状、筋力低下についての評価 (
以下の中からいず
れか 1つを選択する)
a
異常を認めない
b 軽度の障害を認める
(目安として、I
Q70未満や補助具などを用いた自立歩行が可
1
能な程度の障害)
C
Q5
0未満や 自立歩行が不可能な程度の障害)
中程度の障害を認める (目安として、I
d
高度の障害を認める
(目安として、I
Q35未満やほぼ寝たきりの状態)
現在の臓器陣香に関する評価 (
以下の中からいずれか 1つを選択する)
a
肝臓、腎臓、心臓などに機能障害がない
b 肝臓、腎臓、心肢などに軽度機能障害がある
(目安として、それぞれの臓器異常による検査異常を認めるもの)
C
肝随、腎臓、心臓などに中等度梯能障害がある
(目安として、それぞれの臓器異常による症状を認めるもの)
d
肝臓、腎臓、心臆などに重度機能障害がある、あるいは移植医療が必要である
(目安として、それぞれの肢器の機能不全を認めるもの)
1
5
2
Ⅵ
生活 の 自立 ・
介 助などの状況 (
以下の 中か らいずれ か 1つを選 択する)
自立 した生活が可能
何 らかの介 助が必要
日常生活の 多くで介助が必要
生命維持 医療 が必要
絵合評価
ⅠかⅥまでの各 評価 及び総合 点をもとに最 終評価を決 定する。
(
1)
4点の項 目が 1つでもある場 合
重症
(
2)
2点以上の項 目があり、かつ加 点した総 点数が 6点以上の場合
重症
(
3)
加 点した絵 点数が 3
-6点の場合
中等症
(
4)加 点した総 点数が 0-2点の場合
軽症
注意
1
診 断と治療 についてはガイドラインを参考 とすること
2 疾 患特異 的な薬物 治療 はガイドラインに準拠 したものとする
3 疾患特異 的な食事 栄養治療 はガイドラインに準拠 したものとする
※診 断基準及び重症度分類 の適 応 における留 意事項
1.病 名診断に用 いる臨床症状 、検査所見等 に関して、診 断基 準上 に特段 の規 定がなし場 合 には、いずれの時期
のものを用 いても差 し支えない (
ただし、当該疾病 の経過を示す臨床症状 等であって、確認可能 なものに限
る) 。
2.治療 開始後 における重症 度分業頁については、適切な医学的管理 の下で治療が行われている状 態で、直近 6カ月
間で最も悪 い状態 を医師が判 断することとする。
3.なお、症状の程度 が上記の重症度分類等で一定以上 に該 当しない者であるが、高額 な医療を継続することが必
要L
j
:
者 については、医療 費助成 の対象 とする。
1
6
シトリン欠損症
匝二
重璽
1. 概要
シトリンは肝ミトコンドリア膜に存在するアスパラギン酸 ・
グルタミン酸キャリアであり、リンゴ酸 ・
7スパラギ
ン酸シャトルの一員として細胞質で生じた NADHの還元エネルギーをミトコンドリア内への輸送しミトコンドリ
ア内に NADHを産生する反応 に関与する。
シトリン欠損症では年齢依存的に 2つの病型が存在することが知られている。新生児から乳児の病型で
ある NI
CCD(
neona
t
aEl
nt
r
ahepat
i
cchol
es
t
asi
scausedbyci
t
r
E
ndef
i
ci
enc
y)
、および成人期の成人発症 l
I型
シトルリン血症(
cTLN2)
である。
/6
5
東アジアから東南アジアで歩度が高く、少数ながら欧米からの報告もある.本邦での保因者頻度は 1
であり、理論上の有病率 は 1/17.
000となる。CTLN2の発症頻度 は 1
/1
0万であり、シトリン欠損症の約 20%
の 患者が cTLN2を発症することとなる。
2.原 因
シトリンをコードする遺伝子 は SLC25
A7
3 であり、シトリン欠損症 は両アレルの機能喪失型変異を原因と
す る。日本人患者では代表的な 11個 の変異で変異頻度の 95%を占めるo
シトリンの機能低下による細胞質内 NADH の蓄積がシトリン欠損症の病態 の根底にあると考えられてい
るo糖類を嫌う食癖が 多数の症例 に認められる。過剰な無負荷によりさらに細胞質の NADH過剰 ・
NAD+枯
渇 状態に陥るため、これを避けるための 自己防衛反応と考えられるO
遺伝学的に推定される理論上の有病率とcTLN2の実際の発症率には前述 のように奉離があるため、遺
伝 的要因とともに CTLN2を顕在化因子として食事などの環境的要因の関与が推定されている。
3.症 状
シトリン欠損症は年齢依存的に 2つの病型が存在することが知られている。
(1)NI
CCD.
新生児期から乳児期早期に黄症 や体重増加不良がみられ 、検査上肝 内胆汁うっ滞、肝障害 、
ガラクトース血症、多種アミノ酸血症、低蛋 白血症 、低血糖 、凝固能異常 、脂 肪肝などを呈する。多くは 1歳
までに改善するが、肝障害が進行し肝移植 が必要となる症例も存在する。
(
2)CTLN2:思春期以降の病型であるD意識障害、失見 当識 、急性脳症様症状 、行動異常、精神症状で発
症 し、検査 にて高アンモニア血症 、高シトルリン血症 、脂肪肝を呈する。飲酒などが引き金 になることがあ
る。一回の発作 は数 日か ら数 か月にわたり、再燃を繰り返すことがある。
(3)この 2 つの病型の間に「
見かけ上健康」
な適応 .
代償期が存在する。高蛋 白・
高脂肪の食事を好み 、糖
質 を好まない特異な食感が現れる。
同一患者において NI
CCDから適応 ・
代償期を経て CTLN2へと移行 しうることが推測されている。
4 治療法
病 型毎の治療を示すが 、小児期の患者 は NI
CCD及び適応 ・
代償期の状態であり、成人期の患者 は、適応 ・
代償 期の患者と CTLN2を発症 した患者である。
(1)NI
CCD
1
7
中鎖脂肪酸トリグリセリド(
MCT)含有フォーミュラ、乳糖制限、脂溶性ビタミン、利胆剤 (
ウルソデオキシコ
ール酸)。多くは 1歳までに改善するが、肝障害が進行し肝移植が必要となる症例も存在する。
(
2
)
適応 ・
代償期
適応 ・
代償期 は、低糖質 ・
高蛋 白質食による治療を行うC体重増加不 良や易疲労感を呈する症例には
MCTオイルも併用する。これは CTLN2の発症予防を目的としている。
(
3)CTLN2
高脂肪食、
cTLN2 で意識障害を発症している罷患者については、現在ある脳症の軽快のため低糖質 ・
MCT オイル、静注用脂肪乳剤 、アルギニン、カナマイシン、ラクツロース、ピルビン酸ナトリウム (
試薬)を授
与し、内科的治療不応例には肝移植が適応となる。 一般に高アンモニア血症の治療としてはr
蛋 白負荷
糖質による)
高カロリー輸液」がなされるが 、cTLN2 においては禁忌である。脳浮腫の治
の軽減」および「(
療薬としてのグリセロールも病状を悪化させる。
以上の治療で軽快した場合には、再燃防止を目的として低糖質・
高蛋白質食による治療にもどる.なお、
この治療 は生涯を通じて継続されなければならない。
5.予後
NI
CCD の多くは 1歳までに改善するが、肝障害が進行し、肝移植が必要となる症例も存在する。cTLN2
は一旦発症すると重篤な経過をたどり、生命予後不良の疾患と考えられていた.近年、肝移植の有効性が
認められている。また、cTLN2発症例に対しても低糖質 ・
高脂肪食 (
MCT オイルを含む)、ピルビン酸ナトリ
ウムで軽快した例も報告されている。
1
8
○ 要件の判定に必要な事項
1.患者数
5
0
0人
約1
2 発病の機構
S
LC2
5
A1
3権能喪失変異が原因であるが、同じ遺伝子変異でも未発症例や重症例があることなど、
不明 (
発病の機構、病態が未解明である部分が多い)
3.効果的な治療方法
未確立 (
症状の進行を遅らせる対症療法はあるが、根治のための治療方法はない)
4. 長期の療養
再燃のリスクは常
必要 (
臨床的に安定していてもシトリンの異常は継続しており、潜在的な cTLN2 発症 ・
にあり、生涯にわたる治療を要する)
5 診断基準
あり (
研究班が作成し、学会が承認した診断基準)
6. 重症度分類
日本先天代謝異常学会による先天性代謝異常症の重症度評価を用いて中等症以上を対象とする。
l
o情
報提供司
・日本小児科学会 、日本先天代謝異常学会
当該疾病担当者 東北大学大学院医学系研究科小児病態学分野 准教授 坂本修
・
厚生労働科学研究費補助金子ども家庭総合研究事業「
タンデムマス等の新技術を導入した新生児マススクリ
ーニング体制の研究」
研究代表者 島根大学小児科 教授 山口清次
・
厚生労働省難治性疾患政策事業「
新しい先天代謝異常症スクリーニング時代に適応した治療ガイドラインの
作成および生涯にわたる診療体制の確立に向けた調査研究」
研究代表者 熊本大学大学院 教授 遠藤文夫
・
日本医療研究開発機構
難治性疾患実用化研究事業「
新生児タンデムマススクリーニング対象疾患の診療ガ
イドライン改定、診療の質を高めるための研究」
研究代表者 岐阜大学大学院 教授 深尾敏幸
1
9
<診断基準 >
De
¶n)
t
eを対象とする。
A症状
NI
CCD
1
.新生児から乳児期 .
(
か遷延性黄痘
②体重増加不良
2
.適応 ・
代償期
(
》特異な食癖 (
高脂肪 ・
高蛋 白食を好み、糖質を忌避)
② 易疲労感 、倦怠感
③体重増加不 良
④低血糖
3.思春期から成人期 :
CTLN2
①意識障害 、失見当識 、急性脳症様症状
②行動異常 、精神症状
B検査所見
1
.新生児から乳児期 NI
CCD
①複数のアミノ酸 (
シトルリン、チロシン、フェニルアラニン、スレオニンなど)の一過性の上昇
(
さガラクト-スの-過性の上昇
③胆汁うっ滞性肝障害 :
総胆汁酸上昇(
1
0
0n
mo
】
/
ml
以上)
、直接ビリルビン上昇
(
卦凝固能低下
④ 低蛋白血症
⑤AFP高値
⑥脂肪肝
2
.適応 ・
代償期
①慢性肝障害
②低血糖
③高脂血症
3 思春期から成人期 :
CTLN2
(
丑シトルリン高値 、スレオニン/セリン比の上昇
(
塾高アンモニア血症
③脂肪肝
C鑑 別診断
以下の疾患を鑑別する。
1 新生児から乳児期
新生児 肝炎、胆道 閉鎖症 、 ガラク トース血症 (Ⅰ型 、 Ⅱ型、 Ⅲ型)、門脈体循環 シャン ト、 シ トル シン血
症 Ⅰ型、アルギニノコハ ク酸尿症
2
0
2
.適応 .
代償期
慢性肝炎、肝型糖原病、脂肪酸代謝異常症
3
.思春期から成人期
慢性肝炎、肝硬変、門脈体循環 シャン ト、シ トルシン血症 Ⅰ型、アルギニノコハク酸尿症
D遺伝学的検査
1
.S
LC
25
A1
3遺伝子の両ア レルに病因変異 を認める
2
.末梢血でのウェスタンブロッ ト:シ トリン分子が検出されない
<診断のカテゴリー>
新生児から乳児期 ・
NI
CCD
De
f
i
ni
t
e:A-1もしくは B-1のうち1項 目以上を満たし、C-1の鑑別すべき疾患を除外でき、Dのいずれかを満た
したもの
適応 ・
代償期
De
f
i
ni
t
e:A-2もしくは B-2のうち1項 目以上を満たし、C-2の鑑別すべき疾患を除外でき、Dのいずれかを満た
したもの
思春期から成人期 :
cTLN2
De
f
ni
t
e:A-3のうち1項 目以上および B-3 ①および②を満たし、C-3の鑑別すべき疾患を除外でき、Dのいず
れかを満たしたもの
21
<重症度分類>
先天性代謝異常症の重症度評価 (日本先天代謝異常学会)を用いて中等症 以上を対象とする。
点数
薬物などの治療状況(
以下の中からいずれか1つを選択する )
治療を要しない
対症療法のために何らかの薬物を用いた治療を継続している
疾患特異的な薬物治療が中断できない
急性発作時に呼吸管理、血液浄化を必要とする
食事栄養治療の状況(
以下の中からいずれか1つを選択する )
食事制限など特に必要がない
軽度の食事制限あるいは一時的な食事制限が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの中程度の食事療法が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの疾患特異的な負荷の強い(
厳格な)
食事療法の
鮭続が必要である
経管栄養が必要である
酵素欠損などの代謝時事に直接関連した検査 (
画像を含む)の所見 (
以下の中からい
ずれか1つを選択する)
特に異常を認めない
軽度の異常値が継続している
(目安として正常範囲から 1
.
5SDの逸脱)
中等度以上の異常値が継続している (目安として 1
.
5SDから 20SDの逸脱)
高度の異常値が持続している
(目安として 2.
OSD以上の逸脱)
現在の精神運動発達遅滞、神経症状、筋力低下についての評価 (
以下の中からいず
れか1つを選択する)
a
異常を認めない
b
軽度の障害を認める
(目安として、I
Q7
0未満や補助具などを用いた自立歩行が可
1
能な程度の障害)
C
中程度の障害を認める (目安として、I
Q50未満や 自立歩行が不可能な程度の障害)
d
高度の障害を認める
(目安として、I
Q35未満やほぼ寝たきりの状態)
現在の廃寮障害に関する評価 (
以下の中からいずれか1つを選択する)
a
肝臓、腎臓、心臓などに桟能障害がない
b
肝臓、腎抜、心臓などに軽度機能障害がある
(目安として、それぞれの臓器異常による検査異常を認めるもの)
C
肝臆、腎臓、心臓などに中等産後能障害がある
(目安として、それぞれの騰器異常による症状を認めるもの)
d
肝臓、腎臓、心臓などに重度機能障害がある、あるいは移植医療が必要である
(目安として、それぞれの臓器の槻能不全を認めるもの)
22
2
Ⅵ
生活の 自立 ・
介助などの状況 (
以下の中からいずれか 1つを選択する)
自立した生活が可能
何 らかの介助が必要
日常生活の多くで介助が必要
生命維持医療が必要
絵合評価
ⅠかⅥまでの各評価及び総合点をもとに最終評価を決定する。
(1)4点の項 目が 1つでもある場合
重症
(
2)
2点以上の項 目があり、かつ加点した総点数が 6点以上の場合
重症
(
3)
加点した総点数が 3
-6点の場合
中等症
(
4)加点した総 点数が 0
-2点の場合
軽症
注意
1
診断と治療についてはガイドラインを参考とすること
2
疾患特異的な薬物治療はガイドラインに準拠 したものとする
3
疾患特異 的な食事栄養治療はガイドラインに準拠 したものとする
※診 断基準及び重症度分類の適応 における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状 、検査所見等に関して、診 断基準上に特段の規 定がない場合には、いずれの時期
のものを用 いても差し支えない (
ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限
る)0
2.治療 開始後 における重症度分矧 こついては、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態で、直近 6カ月
間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3,なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者である力で
、高額な医療を継続することが必
要な者については、医療費助成の対象とする.
23
セピアプテリン還元酵素 (
sR)欠損症
匝二
重頭
1 概要
sR 欠損症は3種の芳香族アミノ酸水酸化酵素 の補 酵素テトラヒドロビオプテリン(
BH4
)
の生合成に関わ
るS
Rをコー ドする遺伝子の異常により、BH4の欠乏をきたす遺伝性の先天代謝異常症である。肝臓では
sR以外の還元酵素 の働きで BH4が合成されるため、高フェニルアラニン血症 はきたさないが、脳では SR
以外の還元酵素の働きが弱く必要な B
H4は合成されないため、カテコールアミン及びセロトニンの合成障
害が 引き起 こされる。その結果 、
BH4欠損症 と同様の 中枢神経症 状を発症するが、高フェニルアラニン血
痕をきたさないため新生児マス・
スケ)-ニングでは発見できず、診断と治療 が遅れることが問題となる。
患者数は、本邦では 2
0
1
4年に第 1例が報告されているに過ぎず、世界でも5
0例程度の極めて希な疾患
である0
2,原因
発病 の機構 は、培養 皮膚線維 芽細胞 の分析 により、セピアプテリン還元酵素 (
SPR)
の不活性化が明ら
かにされ 、
2
p
l
4
p
1
2.
=位置する S
PR遺伝子異常が病因として解明された6
診断基準 は髄液 中のホモバニリン酸 (
H
VA)
と 5ヒドロキシインドール酢酸 (
5
HI
AA)
の低下を認めれ ば、
髄液 中プテリジン分析を行い、ビオプテリンとセピアプテリンの上昇を認めれ ば疑診例とする。この場合、髄
液申ビオプチ ノ
ンは上昇しているが活性型の B
H4は低下している。確定診断は SPR遺伝子解析で両方 の
アレルに変異を認め、培養皮膚繊維芽細胞で S
R活性の低下を明らかにする。
3.症状
乳児期からの運動発達遅滞と言語発達遅滞を含む認知機能発達遅滞を示し、日内変動を伴う運動障害
や早期からの眼球回転発作を示し、初期 に低 緊張を伴うジストニア、パーキンソン様の振戦が認められる.
乳児期 には躯幹の筋緊張低下を示し、乳児期後半から幼兜期には舞踏運動や球麻痩症状を認めることも
ある。睡眠により一部の運動障害の改善がみられ 、眼球 回転発作の消失をみることもある。
4 治療法
効果的な治療法として、神経伝達物質の前駆物質である L
-ド-パと51=ドロキシトリプトファン(
5
HTP)
捕
充療 法が必要で、運動症状には脱炭酸辞素 阻害剤 (
カルビドーパ)
を含む L
-ドーパ製剤 が著効を呈する。
5
HTP は乳 幼児期 の治療 としては必 須であるが 、国 内では薬剤 として入手できないため 、成 人期 には
LDOP
A単独での治療が行われている。L
DOP
Aの内服を中止すると数 日以内に症状が再発するため、長
期 の療養 は、生涯 にわたって注意深い治療と経過観察が必要である。
5.予後
早期 に発見し治療を行えば予後 は良好と考えられるが、実際には治療の時期により予後は様 々である。
治療によく反応するため治療を開始すれ ば長期的予後は著明に改善すると考えられるが、治療 を中止する
と数 日以内に症状が再発するため、生涯にわたって注意深い治療 と経過観察が必要である。
24
○ 要件の判定に必要な事項
1.患者数
1
00人未満 (
約 1人)
2 発病の機構
不明 (SPR 遺伝子異常が原因であるが、高フェニルアラニン血症にならない桜橋が不明である点など、発
病の根橋、病態が未解明である部分が多い。)
3.効果的な治療方法
未確立 (
対症療法のみであ り、L ドーパ と 5
-ヒ ドロキシ トリプ トファン
(
5
H
T
P
)の 2剤で治療が
可能であるが、治療開始年齢によ り効果が異なる可能性が ある0
)
4.長期の療養
必要 (
治療の開始時期と症状の進行の程度により予後は様 々であるが、予後不良で進行性である。)
5 診断基準
あり (
研究班が作成し、学会が承認した診断基準)
6. 重症度分類
日本先天代謝異常学会による先天性代謝異常症の重症度評価を用いて中等度以上を対象とする。
l
O情報提供司
・日本小児科学会、日本先天代謝異常学会
当該疾病担当者 大阪市立大学大学院 医学研究科発達小児医学分野 教授 新宅治夫
・
厚生労働省難治性疾患政策事業「
新しい先天代謝異常症スケ)-ニング時代に適応した治療ガイドラインの
作成および生涯にわたる診療体制の確立に向けた調査研究」
研究代表者 熊本大学大学院 教授 遠藤文夫
・日本 医療研究開発棟構 難治性疾患実用化研究事業「
新生児タンデムマススクリーニング対象疾患の診療ガ
イドライン改定、診療の質を高めるための研究 」
研究代表者 岐阜大学大学院 教授 深尾敏幸
25
<診断基準 >
De
f
l
ni
t
e、Pr
obabl
eを対象とする。
セピアプテリン還元酵素 (
sR)欠損症の診断基準
A 症状
1 認知機能発達遅滞が認められる。
2
. 日内変動を伴う運動障害や早期からの眼球 回転発作が認められる。
3. 初期に低緊張を伴うジストニア、パーキンソン様の振戦が認められる。
4. 乳児期 には躯幹の筋緊張低下を示 し、乳児期後半から幼児期 には舞踏運動や球麻痔症状を認めることも
ある。
5 睡眠により一部の運動障害の改善がみられ 、眼球回転発作の消失をみることもある。
B 検査所見
1 髄液ホモバニリン酸 (
ho
mo
van
i
l
i
caci
d・
HVA).
5ヒドロキシ酢酸 (
5
-h
ydr
ox
yF
ndol
ea
ce
t
i
ca
cl
d:
5HI
AA)
値は低
値(
正常下限以下、表 1参照 )
である。
2.髄液プテリジン分析では、ビオプテリンが高値 (
正常上限以上、表 2参照)である.
3.赤血球 ではなく培養皮膚繊維芽細胞で SR活性の低下を明らかにする。
C.鑑 別診 断
以下 の疾患を鑑別する。
BH4欠損症 、瀬川病 、若年性パーキンソン病 、芳香族アミノ酸脱炭酸酵素 (
AADC)欠損症
D.遺伝学的検査
i SR欠損症の原因遺伝子 と考えられている S
PRの遺伝子解析をおこない 、2つのアレルに病因となる変異 が
同定されること。
<診断のカテゴリー >
De
f
i
ni
t
e:
Aのうち 1項 目以上 +Bのうち 1項 目以上を満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外し、Dを満たすもの
pr
oba
bE
e・
Aのうち 1項 目以上 +Bのうち 1項 目以上を満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外したもの
Pos
s
i
bl
e:
Aのうち 1項 目以上 +Bのうち 1項 目以上
<添付資料 >
表1
.髄液 中 5HI
AAとHVAの正常範囲
Ag
e
HVA
nmo】
/I
5Hー
AA
nmol
/ー
HVA
n
gt
′m,
5H
Ⅰ
AA
く6mo
31
0-11
00
ー
5
0-80
0
59
.
3-21
0.
3
ng】
/ml
6m0
-1yr
295
-9
32
11
4-336
56.
4
2
-4y
r
211
-871
1
05
-29
9
5
-1
0yr
1
44
-8
01
-1
88
5
-1
46
.
5
2.
7
-1
78.
2
20.
9-61
.
5
40.
3-1
66
.
5
19.
2-5
4.
8
表 髄液中プ
2 髄液中のプテリ
テリ
ジン分析の正常値
新生児 (
8
-30
d
a
ジ
ン分析
N*(
nM)
B*(
nM)
.一3
0.
5
20.
3
-5
2.
2
n
t
h)
小 児(
2
-1
2
yea
r
)
ー
0
.
3-3
4
.
6
8
.
0-2
5
.
0
1
6
,
4-36.
9
成 人
.
6
7
.
3-31
1
0.
0-2
0.
0
乳 児(
1
-ー
2
moy)
8
一
<重症度分類 >
先天性代謝異常症の重症度評価 (日本先天代謝異常学会)
を用いて中等症以上を対象とする。
点数
薬物などの治療状況く
以下の中からいずれか 1つを選択する )
治療を要しない
対症療法のために何らかの薬物を用いた治療を継続している
疾患特異的な薬物治療が中断できない
急性発作時に呼吸管理、血液浄化を必要とする
食事栄養治療の状況 (
以下の中からいずれか1つを選択する )
食事制限など特に必要がない
軽度の食事制限あるいは一時的な食事制限が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの中程度の食事療法が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの疾患特異的な負荷の強い(
厳格な)食事療法の
継続が必要である
経管栄養が必要である
酵素欠損などの代謝障書に直接関連した検査 (
画像を含む)の所見 (
以下の中からい
ずれか 1つを選択する)
特に異常を認めない
軽度の異常値が継続している
(目安として正常範囲から 1
.
5SDの逸脱)
中等度以上の異常値が継続している (目安として 15SDから 2.
OSDの逸脱)
高度の異常値が持続している
(目安として 2.
OSD以上の逸脱)
現在の精神運動発達遅滞、神経症状、筋力低下についての評価 (
以下の中からいず
れか1つを選択する)
a
異常を認めない
b
軽度の障害を認める
(目安として、I
Q7
0未満や補助具などを用いた自立歩行が可
1
能な程度の障害)
C
中程度の障害を認める (目安として、I
Q50未満や自立歩行が不可能な程度の障害)
d
高度の障害を認める
(目安として、I
Q35未満やほぼ寝たきりの状態)
現在の騰器障害に関する評価 (
以下の中からいずれか 1つを選択する)
a
肝臓、腎臓、心臓などに機能障害がない
b
肝臓、腎臓、心随などに軽度機能障害がある
(目安として、それぞれの臓器異常による検査異常を認めるもの)
C
肝臓、腎臓 、心臓などに中等度機能障害がある
(目安として、それぞれの臓器異常による症状を認めるもの)
d
肝臓、腎臓、心臓などに重度機能障害がある、あるいは移植医療が必要である
(目安として、それぞれの臓器の機能不全を認めるもの)
28
2
Ⅵ
生活 の 自立 .
介 助などの状況 (
以下の 中か らいずれ か 1つを選択する)
自立 した生活が可能
何 らか の介助 が必要
日常生 活の 多くで介助が必要
生命維 持 医療 が必要
総合評 価
ⅠかⅥまでの各評価 及び総合点をもとに最終評価を決定する。
(1)4点の項 目が 1つでもある場 合
重症
(
2)
2点 以上の項 目があり、か つ加 点した総点数 が 6点以上 の場 合
重症
(
3)加 点した総 点数が 3
-6点の場合
中等症
(
4)
加 点した総 点数が 0
-2点の場 合
軽症
注意
1
診 断と治療 についてはガイドラインを参考 とすること
2
疾 患特異 的な薬 物治療 はガイドラインに準拠 したものとする
3
疾 患特異 的な食事栄養治療 はガイドラインに準拠 したものとする
※診 断基 準及び重症 度分類 の適 応 における留意事項
1.病 名診 断に用 いる臨床症状 、検査所 見等に関して、診 断基 準上 に特 段の規 定がない場合 には、いずれの時期
のものを用 いても差 し支えない (
ただし、当該疾病 の経過を示す臨床症状等であって、確 認可能なものに限
る) 。
2.治療 開始後 における重症度 分矧 こついては、適切 な医学 的管理 の下で治療が行われている状 態で、直近 6カ月
間で最も悪 い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状 の程 度が上記 の重症度分類等で一定以上 に該 当しない者であるが、高 額な医療 を継続することが必
要 な者については、医療 費助成 の対象とする。
29
非ケトーシス型高グリシン血症
巨二
重要
1 概要
アミノ酸のひとつであるグリシンを分解する酵素である、グリシン開裂酵素 系の活性が先天 的に欠損して
いるために体 内にグリシンが蓄積する、先天性アミノ酸代謝異常症の一つである。生後数 日で意識 障害 、
呼吸困難 、など脳症様の症状で発症する事が 多い。中枢神経系の障害による症状が大部分を占め、肝臓
や腎臓などの他 の臓器 障害 は基本 的に認めない。新生児期 の急性期 の症状 は重 篤であり、大部分の症
例 で人工呼吸器による呼吸管理が必要 になる。急性期を脱 した後 は中枢神経 の障害を残すことが多く、生
涯にわたる療養が必要 になるO発症に男女差はなく、我が国における発症頻度は 5
0-1
0
0万出生 に1人と
推定される。
2 原図
中枢神経 系、肝臓 、腎臓 のミトコンドリアに分布する、グリシン開裂酵素 と呼 ばれる複 合酵素 系がその構
成酵素をコードする遺伝子の変異 によりその活性を失うために発症すると考えられている。グリシン開裂酵
素 はグリシン異化の主経路であるため、その欠損により血梁や髄液などの体液中に大量のグリシンが蓄積
する.グリシン開裂酵素 系は、4つの構 成酵素 (
p-、T一、
日
-、L
一蛋 白質と呼ばれている)からなる複 合酵素
である。p-、
ト 、H-、L一蛋 白質は、それぞれ G
L
DC
,ANT
,GCSH
,DLD 遺伝子 にコードされている(
但し、
DLD遺伝子がコードしているL蛋 白質は、ピルビン酸脱水素酵素複 合体などの構成蛋 白であるE3と共通で、
この蛋 白の異 常は、高乳酸血症などを呈する Lei
gh 脳症となり NKH にはならない)。大部分の症例 で、
GL
DC遺伝子または AMT遺伝子の遺伝子変異を認める.グリシンは中枢神経系で神経伝達物質として働
くため、中枢神経 系でグリシンが蓄積することで神経障害をきたすと推定されているが、その発症機序は未
だ明らかでない0
3.症状
新生児型と乳児型の2病型がある。
①
新生児型
症例 の 80%を占め、典型と考えられる。出生後数時間から数 日以内に哨乳 力低下、昏睡 、吃逆 、筋緊張
低下 、呼吸障害 、などの症状で気づかれ 、NI
CUに入室することが多い。意識障害を伴う呼吸障害は重篤で、
人工呼吸器による呼吸管理を要する症例 が多い。NI
CU における血液や髄液のアミノ酸分析で本症 と診断
されるo新生児の急性期を乗 り切った大部 分の症例 は 自発呼吸 にもどるが、精神運動発達 遅滞 や けいれ
んは改善せず、重症心身障害を残す。
②
乳児型
新生児期 は無症状に過 ごし、生後 2
-1
2ケ月で筋緊張低下、発達の遅れ 、けいれん、などの症状が出現
してくる非典型例を乳児型と呼んでいるO新生児型 r
=比べ生命予後 は良い。幼児∼学童期 には、衝 動的行
動 、注意欠陥 ・
多動性障害様行動 、自閉症様行動 、など行動面での異常を示す。軽度から中等度 の知的障
害を示す。大分部の症例 はてんかんを持つが 、欠く症例も存荏する0
4.治療法
30
有効な治療法は未だ確立していない。急性期の対症療法として、①安息香酸ナトリウム 、
NMDA型グルタ
ミン酸受容体アンタゴニスト、抗けいれん薬、などが使われている0
①
安息香酸ナトリウム
安息香酸と結合したグリシンは馬尿酸となって尿中に排池されるため、体内に
蓄積したグリシンを除去する目的で投与される。グリシンは脳脊髄関門を通過できないため、血中グリ
シン濃度が低下しても、髄液グリシン濃度の低下は軽度である。中枢神経症状の改善に一定の効果を
示すことが多い。
② N
MDA型グルタミン酸受容体アンタゴニスト:高濃度のグリシンは、中枢神経系に存在する NMD
A型
グルタミン酸受容体を過興奮させると推定されている。その過興奮を抑制する目的で、同受容体のアン
タゴニストである、デキストロメトルファンやケタミンが投与されている。晴乳力や脳波所見の改善の報
告があるが、長期予後の改善効果は不明。
③
抗けいれん薬
本症に伴うけいれんは、一般に抗けいれん薬治療に抵抗性である。フェノバール、ジ
アゼパム、クロバザム、ゾ二サミド、などが用いられている。パルプロ酸ナトリウムは、その副作用として
高グリシン血症が報告されているため使用されない。
新生児期を乗り切った新生児型症例や、乳児型では、抗けいれん薬によるけいれんのコントロールと適
切な療育の提供が治療 目標となるO乳児型の学童期では、行動異常に対する薬物治療も行なわれてい
る。
成人期においては、中枢神経症状に対する治療が中心となり、けいれんのコントロールなどの対症療法
や行動異常に対する薬物療法が行われる。
5.予後
新生児期を乗り切った新生児型症例の多くは、重症心身障害を伴う。乳児型症例では、成人期に至って
も、知的障害や行動異常が生涯に渡り認められる。また、安息香酸ナトリウムおよび抗けいれん薬を服用
することにより、生命予綾が比薮的よくなる。
○ 要件の判定に必要な事項
1. 患者数
1
00人未満
2 発病の横棒
不明 (
GL
DO
,
ANT
,GCS
H遺伝子異常の関与が示唆されているが、発病の機構、病態が未解明である
部分が多い)
3.効果的な治療方法
未確立 (
根本治療法が確立していない)
4 長期の療養
必要 (
知的障害、運動発達遅滞、てんかん、行動異常が生涯に渡るため)
5.診断基準
あり(
研究班が作成し、学会が承認した診断基準)
6 重症度分類
日本先天代謝異常学会による先天性代謝異常症の重症度評価を用いて中等症以上を対象とする。
31
1
0情報提供元l
・日本小児科学会、日本先天代謝異常学会
当該疾病担当者 東北大学大学院医学系研究科小児病態学 教授 呉繁夫
t
厚生労働省難治性疾患政策事業「
新しい先天代謝異 常症スクリーニング時代に適応した治療ガイドラインの
作成及び生涯にわたる診療体制の確立に向けた調査研究」
研究代表者 熊本大学生命科学研究部小児科学分野教授 遠藤文夫
・日本医療研究開発板橋 難治性疾患実用化研究事業「
新生児タンデムマススクリーニング対象疾患の診療ガ
イドライン改定、診療の質を高めるための研究」
研究代表者 岐阜大学大学院 数技 深尾敏幸
3
2
<診断基準 >
発症時期により新生児型と乳児型とに分類し、各診断カテゴリーの De
f
i
ni
t
eを対象とする。
① 新生児型
A 症状
新生児期に次の症状を呈する。
1
)筋緊張低下
2
)けいれん重積
3)意識障害(
多くは呼吸障害を伴う昏睡)
B 検査所見
1
)脳波所見が、サプレッションリマ
ースト 又はヒブス・
アリスミア
2)尿有機酸分析で異常を認めない。
3)髄液グリシン濃度が 1
8L
LmoVL以上であり、かつ髄液/血祭グリシン濃度比が 007以上o
C 特殊検査
1
)1
3Cグリシン呼気試験で、異常低値
2
)肝組織を用いたグリシン開裂酵素系の活性が異常低値
D 遺伝子変異検索で、GL
DC
,
AMT,
GCSHいずれかの遺伝子に病因と考えられる変異を認める
<診断のカテゴリー>
De
f
l
ni
t
e:
(1) Aのうち 1つ以上 +Bのすべてを満たす
(
2) Aのうち 1つ以上 +Bの 2
)
3
)
+Cのうち1つ以上を満たす
(
3)Aのうち 1つ以上 +Bの 3)
+Dを満たす
pr
obab一
e:
Bの 2
)
3)
のみを満たす
② 乳児型
A 症状
乳児期以降に次の症状を呈する(
新生児期は、原則無症状)
1
)筋 緊張低下
2
)けいれん
3)精神発達遅滞
4)行動異常(
多動、自閉症様症状など)
B 検査所見
1)尿有機酸分析で異常を認めない。
2)髄 液グリシン濃度が 1
5f
LmoVL以上であり、かつ髄液/血祭グリシン濃度比が 0.
03以上
C 特殊検査
1
)1
3Cグリシン呼気試験で、異常低値
2)肝組織を用いたグリシン開裂酵素系の活性が異常低値
D遺伝子変異検索で、GL
DC.
AMT,
GCSHいずれかの遺伝子に病因と考えられる変異を認める
3
3
<診断のカテゴリー>
De
f
i
ni
t
e:
(
1)Aのうち 1つ以上+Bのすべて +
Cのうち1つ以上を満たす
(
2)Aのうち 1つ以上 +Bの 2
)
+Dを満たす
pr
obab一
e:
Bの 1
)
2)
を満たす
3
4
<重症度分類>
日本先天代謝異常学会作成の重症度分類を用い、総合評価が中等症以上を対象とするo
点数
薬物などの治療状況 (
以下の中からいずれか 1つを選択する )
治療を要しない
対症療法のために何らかの薬物を用いた治療を継続 している
疾患特異的な薬物治療が中断できない
急性発作時に呼吸管理、血液浄化を必要とする
食事栄養治療の状況 (
以下の中からいずれか 1つを選択する )
食事制限など特に必要がない
軽度の食事制限あるいは一時的な食事制限が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの中程度の食事療法が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの疾患特異的な負荷の強い(
厳格な)
食事療法の
継続が必要である
経管栄養が必要である
Ⅰ
Ⅱ
酵素欠損などの代謝障害に直接関連した検査 (
画像を含む)の所見 (
以下の中からい
ずれか 1つを選択する)
特に異常を認めない
軽度の異常値が継続している
.
5SDの逸脱)
(員安として正常範囲から 1
.
5SDから2.
OSDの逸脱)
中等度以上の異常値が継続している (目安として 1
高度の異常値が持続している
Ⅳ
OSD以上の逸脱)
(目安として 2.
現在の締神運動発達遅滞、神経症状、筋力低下についての評価 (
以下の中からいず
れか 1つを選択する)
a 異常を認めない
b
軽度の障害を認める
(目安として、I
Q7
0未満や補助具などを用いた自立歩行が可
1
能な程度の障害)
C
中程度の障害を認める (目安として、I
Q50未満や自立歩行が不可能な程度の障害) 2
d
高度の障害を認める
(目安として、I
Q35未満やほぼ寝たきりの状態)
現在の巌器障害に関する評価 (
以下の中からいずれか 1つを選択する)
a
肝臓、腎臓、心臓などに機能障害がない
b
肝臓、腎臓、心臓などに軽度機能障害がある
(
目安として、それぞれの臓器異常による検査異常を認めるもの)
C
肝臓、腎臓、心臓などに中等度機能障害がある
(目安として、それぞれの臓器異常による症状を認めるもの)
d
肝臓、腎臓、心臓などに重度機能障害がある、あるいは移植医療が必要である
35
(目安として、それぞれの臓器の機能不全を認めるもの)
生活の 自立 ・
介助などの状況 (
以下の中からいずれか 1つを選択する)
自立した生活が可能
何 らかの介助が必要
日常生活の 多くで介助が必要
生命維持医療が必要
総合評価
ⅠかⅥまでの各評価及び総合点をもとに最終評価を決定する。
(1)4点の項 目が 1つでもある場合
重症
(
2)
2点以上の項 目があり、かつ加 点した総点数が 6点以上の場合
重症
(
3)
加点した総点数が 3
6点の場合
中等痩
(
4)加点した総点数が 0-2点の場合
軽症
注意
1
診断と治療 についてはガイドラインを参考とすること
2
疾患特異的な薬物治療はガイドラインに準拠 したものとする
3 疾患特異的な食事栄養治療はガイドラインに準拠 したものとする
※診断基準及び重症度分弟の適応 における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状 、検査所見等に関して、診 断基準上に特段の規 定がない場合には、いずれの時期
のものを用いても差し支えない (
ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限
る)。
2.治療 開始後 における重症度分矧 こついては、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態で、直近 6カ月
間で最も悪 い状態を医師が判断することとする。
3.T
u
1
.
お、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該 当しない者であるが、高額な医療を継続することが必
要i
1
:
者については、医療費助成の対象とする。
36
芳香族アミノ酸脱炭酸酵素 (
AADC)欠損症
匝:
重責
1. 概要
芳香族アミノ酸脱炭酸酵素 (
Ar
oma
t
i
cL
-a
ml
n
Oaci
dd
eca
r
bo
x
yl
a
s
e:
AADC)は L ドーパをドパミンに、5
ヒドロキシトリプトファンをセロトニンに脱炭酸化する酵素であり、神経伝達物質であるドパミン、ノルエピネ
フリン、セロトニンの合成に必須の酵素である。その欠損症の典型例 は、乳児期早期からの発達遅滞およ
AAの低
び間歓的な眼球回転発作など眼球運動異常と四肢ジストニアで発症し、髄液中の HVAおよび5HI
値など特徴的な所見で診断される。ドパミンアゴニストなどを用いた内服治療が試みられているが予後は不
良で多くは寝たきりで発語の無い状態にとどまる0
2.原 因
7p1
21
-p1
23に存在する AADC遺伝子異常に起因する遺伝性疾患で常染色体劣性の遺伝形式を取る。
AADC 活性の欠損 は①髄液検査 、②血渠 中酵素活性 にて証 明される。髄液検査 では 、AADC の基質
(
L-DOPAおよび 5HTP)とその代謝産物である 3
-0
-me
t
h
y】
dopaの髄液中濃度が上昇し、生成物のモノアミ
ンとセロトニンの代謝産物である homovanl
"
E
Ca
ci
d(
HVA)
.
5-h
yd
r
ox
yi
ndol
a
ce
t
l
CaCE
d
(
5Hz
AA)
は著滅している.
血 渠中ド-パ脱炭酸活性は低下し多くは測定感度以下となるO遺伝子変異は 30数例の報告があり多くは
l
VS6
+4
A〉
T)
が報告されている。
ミスセンス変異であるが、台湾においては単一のフレームシフト変異の集積(
現 在のところミスセンス変異の集積傾向は無い。L-DOPA 反応性の軽症例で報告された基質結合部位で
のアミノ酸置換をおこす GI
O2S変異や軽症例の S250Fなど特徴的な変異も見つかってきている.画像検査
では、ドパミン合成障害を反映して 18F-dopaPET検査で線条体-の取り込みが消失する。しかし頭部 MRI
検 査では異常は認めず 、TRODAT-1SPECT検査では線条体への結合が確認できるなど、脳の構造とくに
線 状体のドパミン神経終末の構造は保たれていると考えられている。
3.症状
ocul
o
gy
r
i
cCr
i
s
i
s)と四肢のジストニアで発症し精神
典型例では 6 ケ月以内に、間歓的な眼球回転発作 (
運 動 発 達 は遅 滞 す る。その他 に頻 度 の 高 い症 状 として は 、随意 運 動 の 障 害 、易 刺 激 性 、ocu一
a
r
con
ve
r
ge
nces
p
as
m、口腔顔面ジストニア、ミオクローヌスなどがある.診察上は筋緊張は低下し、深部臆反
射 は先進するがバビンスキ-反射は陰性である。多くは寝たきりで発語のない状態にとどまるが、一方で
筋 緊張低下と眼振下垂を主症状とし独歩と会話が可能であった軽症例の報告もあり症状の幅は広い。脳
性 麻痔との鑑 別が困難な場合もあり、正しく診断を受けていない症例も多いと考えられる。この点について
は診断基準作成など本研究の課題である。病態としては、AADC 欠損症例の FDGIPET 検査でドパミン神
経 の投射が多い線条体と前頭前野での韓代謝低下の所見が報告されていることから、線条体の機能不全
は AADC 欠損症の主な運動症状であるジストニアと随意運動の障害の原因となり、前頭前野の機能不全
が 精神遅滞症状をひきおこす原因の一つとなっていると考えることができる。
4.治療法
ドパミンアゴニスト、モノアミン酸化酵素阻害剤、補酵素であるビタミン B6などを用いた内服治療が行われ
て いるが、典型例に対してはわずかな効果しか期待できない。そのために現在 は遺伝子治療に期待がか
37
けられている。AADC欠損症では脳の構造がたもたれていること、さらに AADC遺伝子の導入はパーキンソ
ン病の治療として研究されている手法が流用できることが有利な点である。適切な薬剤治療や リハビリテー
ションの知見を蓄積 しながら、遺伝子治療の実現にむけた研究を進めて行くことが必要である。
5 予後
ドパ ミンアゴニス トな どを用 いた内服治療が試み られて いるが予後 は不良で、多 くは寝た き りで発
語の無 い状態 に とどまる。生涯にわた って注意深 い治療 と経過観察が必要で ある。
○ 要件の判定に必要な事項
1.患者数
1
00人未満
2 発病の機構
不明 (DDC 遺伝子異常が原因であるが、同じ遺伝子変異でも未発症例 や重症例 があることなど、発病の
機構 、病態が未解明である部分が多い。)
3.効果的な治療方法
未確立 (
対症療法が主であるが 、201
5年に本邦でも遺伝子 治療が始まっている。)
4.長期の療養
必要 (
一般的に予後不良で進行性であるが、早期に遺伝子治療を行えば予後は良好と考えられる。)
5 診断基準
あり (
研究班が作成し、学会が承認した診断基準)
6.重症度分類
日本先天代謝異常学会による先天性代謝異常症の重症度評価を用いて中等症以上を対象とする。
E
o 情報提供司
・日本小児科学会、日本先天代謝異常学会
当該疾病担 当者 大阪市立大学大学院 医学研究科発達小児 医学分野 教授 新宅治夫
・
厚生労働省難治性疾患政策事業「
新 しい先天代謝異常症スクリーニング時代に適応した治療ガイドラインの
作成および生涯にわたる診療体制の確立に向けた調査研究」
研究代表者 熊本大学大学院 教授 遠藤文夫
・日本医療研究開発模様 難治性疾患実用化研究事業「
新生児タンデムマススクリーニング対象疾患の診療ガ
イドライン改定、診療の質を高めるための研究 」
研究代表者 岐阜大学大学院 教授 深尾敏幸
38
<診断基準 >
De
f
i
ni
t
e、Pr
ob
a
bE
eを対象とするo
AADC)
欠損症の診断基準
芳香族アミノ酸脱炭酸酵素 (
A 症状
1
. 新生児期 よ り晴乳障害、低体温、低血糖などの異常を認める。
2
. 乳児期早期か らの間歌的な眼球回転発作など眼球運動異常 と四肢 ジス トニアで発症する。
3. 認知機能発達遅滞が認め られ る。
B 検査所見
1
. ドーパ (
L
-D
o
p
九)および 5 ヒ ドロキシ トリプ トファン (
5
h
y
dr
o
x
y
-tr
y
p
t
op
h
a
n.
5
日
T
P) とその代謝産
物である 3
0
me
th
yE
d
o
p
aの髄液中濃度が上昇 し、ホモバニ リン酸 (
h
o
mo
va
n日日caci
d:H
VA),5
ヒ ドロキシイン ドール酢酸 (
5
-h
y
dr
o
x
yi
n
d
ol
a
c
e
ti
ca
ci
dI5
HI
A
A)は著滅 (
正常下限以下、表 1参
照) している。
2 血祭の A
ADC活性は、極めて低値である.
C.鑑別診断
以下の疾患を鑑別する。
B
H
4欠損症、瀬川病、若年性パーキ ンソン病、セ ピアプテ リン還元酵素 (
S
R)欠損症
D.遺伝学的検査
A
A
DC遺伝子 と考 え られている D
DCの遺伝子解析 をお こない両方のア レルに病因 となる変異が同定 され る
こと。
<診断のカテゴリー>
De
f
i
ni
t
e:
Aのうち 1項 目以上 +Bのうち 1項 目以上を満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外し、Dを満たすもの
pr
o
b
a
b
一
e:
Aのうち 1項 目以上 +Bのうち 1項 目以上を満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外したもの
Po
s
s
i
bl
e:
Aのうち 1項 目以上 +Bのうち 1項 目以上
<添付資料>
表 1.髄液中 5HI
AAとHVAの正常範囲
Age
HVA
nmol
/I
5HⅠ
AA
nmol
/【
HVA
ngl
/nl
l
5日
Ⅰ
AA
<6mo
3101100
150800
210.
3
593-
ngl
/mⅠ
6m0-1yr
295932
11
4336
56.
4
24yr
211871
105299
510y「
144801
133551
88
ll16y「
178
.
27.
5146.
5
178[
2
20.
961.
5
40.
3166.
5
19.
254.
8
27.
3153.
1
16.
132.
6
<重症度分類>
先天性代謝異常症の重症度評価 (日本先天代謝異常学会)を用いて中等症以上を対象とする。
点数
薬物などの治療状況 (
以下の中からいずれか 1つを選択する )
治療を要しない
対症療法のために何らかの薬物を用いた治療を継続している
疾患特異的な薬物治療が中断できない
急性発作時に呼吸管理、血液浄化を必要とする
食事栄養治療の状況 (
以下の中からいずれか 1つを選択する )
食事制限など特に必要がない
軽度の食事制限あるいは一時的な食事制限が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの中程度の食事療法が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの疾患特異的な負荷の強い(
厳格な)
食事療法の
継続が必要である
経管栄養が必要である
Ⅲ
酵素欠損などの代謝障害に直接関連した検査 (
画像を含む)の所見 (
以下の中からい
ずれか 1つを選択する)
特に異常を認めない
軽度の異常値が継続している
SDの逸脱)
(目安として正常範囲から 15
.
5
SDから 20SDの逸脱)
中等度以上の異常値が継続している (目安として 1
高度の異常値が持続している
.
OSD以上の逸脱)
(目安として 2
現在の精神運動発達遅滞、神経症状、筋力低下についての評価 (
以下の中からいず
れか 1つを選択する)
a
異常を認めない
b
軽度の障害を認める
(目安として、I
Q70未満や補助具などを用いた自立歩行が可
1
能な程度の障害)
C
中程度の障害を認める (目安として、I
Q5
0未満や 自立歩行が不可能な程度の障害) 2
d 高度の障害を認める
(目安として、I
Q3
5未満やほぼ寝たきりの状態)
現在の臓器障害に関する評価 (
以下の中からいずれか 1つを選択する)
a
肝臓、腎臓、心臓などに穏能障害がない
b
肝臓 、腎臓、心臓などに軽度機能障害がある
(目安として、それぞれの臓器異常による検査異常を認めるもの)
C
肝臓、腎臓、心像などに中等度機能障害がある
(目安として、それぞれの随器異常による症状を認めるもの)
d
肝臓、腎脇、心臓などに重度棲能障害がある、あるいは移植医療が必要である
0
4
(目安として、それぞれの臓器の機能不全を認めるもの)
生活の 自立 t
介助などの状況 (
以下の中からいずれか 1つを選択する)
自立した生活が可能
何らかの介助が必要
日常生活の多くで介助が必要
生命維持医療が必要
絵合評価
王かⅥまでの各評価及び総合点をもとに最終評価を決定する。
(
1)4点の項 目が 1つでもある場合
重症
(
2)2点以上の項 目があり、かつ加点した総点数が 6点以上の場合
重症
(
3)加点した総点数が 3
-6点の場合
中等痩
(
4)加点した総点数が 0-2点の場合
軽症
注意
1
診断と治療についてはガイドラインを参考とすること
2
疾患特異 的な薬物治療はガイドラインに準拠したものとする
3
疾患特異的な食事栄養治療 はガイドラインに準拠 したものとする
※診 断基準及び重症度分其の適応 における留意事項
1.病 名診断に用いる臨床症状 、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規 定がない場合には、いずれの時期
のものを用いても差し支えない (
ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限
る)0
2.治療 開始後における重症度分矧 こついては、適切な医学的管理の下で治療が行われている状 態で、直近 6カ月
間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分芙賀等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必
要な者については、医療費助成の対象とする。
41
メチルグルタコン酸尿症
匡重要
1 概要
尿 中にメチルゲルタコン酸 の排滑をきたす疾 患を総じてメチルグルタコン酸尿症 と呼称されており、異 質
性が高く、現在 5つの疾患群 に大別されている。
メチルゲルタコン酸尿症 Ⅰ型 は、メチルグルタコニル C
o
Aヒドラターゼ欠損症を指す。メチルグルタコ二ル
co
Aヒドラターゼはロイシン代謝の5段階 目に位置し、Ⅰ型は常染色体 劣性遺伝性の有機酸代謝異常症で
ある。Ⅱ型は B
a
r
t
h症候群、Ⅲ型 はCo
s
t
e
f
f症候群にあたる(
それぞれ X連鎖性劣性遺伝 、常染色体劣性
遺伝)
。尿中にメチルグルタコン酸 の排雅を認めながら、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ型にあたらないものがⅣ型とされ 、種 々
のミトコンドリア呼吸鎖異常症 がⅣ 型として報告されている。最近 、拡張型心筋症と小脳失調を伴う疾患群
(
DCMA症候群)
が Ⅴ型と呼称されるようになった。(
Ⅳ型 、Ⅴ型はミトコンドリア病として扱う)0
2 原因
王型 は AUF
l遺伝子の変異 に原 因する.
Ⅱ型は T
AZ遺伝子 、Ⅲ型は OPA3遺伝子の変異に原因するOこの 2つはミトコンドリアタンパクをコー ド
する遺伝子であり、ミトコンドリア機能異常で尿中にメチルゲルタコン酸が排池される機序は不明である。
3 症状
① Ⅰ型
・
小児期 に非特異的神経症状で発症するO発語の遅れ程度のものから急性脳症 、重度の精神運動発達
遅滞 に至る例まで報告されており、小児期における病像 は一定しない。
・
近年 、成人で緩徐に進行する白質脳症を呈する Ⅰ型症例が報告されたo認知症 、小脳失調、視神経萎
縮などを症 状としている。
② Ⅱ型
・
心筋症 .
多くの症例で心不全症状が乳幼児期までに顕在化し、心内膜線維 弾性性変化や撤密化障害
を認める。乳幼児期死亡の主因の 1つである.心棒冗進程度の症状しかみ られない簸症例もある。
・
周期性好中球減少 :
軽度から重度までみられ、新生児期には致死性の細菌感染が生 じることもある。
・
骨格筋ミオパテ- .
近位筋を中心とした軽度から中程度の筋力低下
・
低身長 :
-3SD∼-2SD
③ Ⅲ型
・
両側視神経萎縮 :
乳児期から認められるO眼振や斜視を伴うことがあるo
・
舞踏病様運動 、痘縮 、失調 小児期後期から認められる。車いすの使用を要するようになる例もある
。
・
一部 に軽度の認知障害が認められる。
なお、成人期 以降についても、上記のような各症状に対する対症療法が必要 となる。
4 治療法
① Ⅰ型
42
・
症例が少ないこと、小児期の病像が軽症から重症と一定していないことから、治療の必要性に関し現時
点では定見はない
・
ロイシン制限食、カルニチン補充
② Ⅱ型
・
治療法として特異的なものはなく、症状ごとの対症療法となる0
I
心不全 :
利尿剤 、ACE阻害剤 、β遮断薬など。海外では心移植の報告もある。
・
好中球減少 :
著明な低下には G-CSFが使用されているO
③ Ⅱ型
・
治療法として特異的なものはなく、症状ごとの対症療法となる0
5.予後
Ⅰ型の生命予後はよく、成人症例も確認されている。
Ⅱ型は乳児期に心不全、敗血症で死亡する例もある。
Ⅲ型においては神経症状 ・
眼科的症状は進行するものの、生命予後は悪くない。
○ 要件の判定に必要な事項
1.患者数
1
00人未満
2.発病の機構
不明 (
Ⅰ
型の AUH遺伝子変異 、Ⅱ型の TAZ遺伝子変異 、Ⅲ型の OPA3遺伝子変異が原因であるが、同じ
遺伝子変異でも未発症例や重症例があることなど、発病の機構、病態が未解明である部分が多い。)
3 効果的な治療方法
未確立 (
対症療法のみで、根本治療法が確立していない)
4.長期の療養
必要 (
重大な障害を残すことも多く、生涯にわたり治療を必要とする)
5.診断基準
あり (
研究班が作成し、学会が承認した診断基準)
6.重症度分類
日本先天代謝異常学会による先天性代謝異常症の重症度評価を用いて中等症以上を対象とする。
E
o情
報提供元
・日本小児科学会、日本先天代謝異常学会
当該疾病担当者 東北大学大学院医学系研究科小児病態学分野 准教授 坂本修
・
厚生労働省難治性疾患政策事業「
新しい先天代講す
異常症スクリ-ニング時代に適応した治療ガイドラインの
作成および生涯にわたる診療体制の確立に向けた調査研究」
研究代表者 熊本大学大学院 教授 遠藤文夫
43
・日本医療研究開発棟構 難治性疾患実用化研究事業「
新生児タンデムマススケ)-ニング対象疾患の診療ガ
イドライン改定、診療の質を高めるための研究 」
研究代表者 岐阜大学大学院 教授 深尾敏幸
4
4
<診断基準>
e
f川l
t
eを対象とする。
Ⅰ型 、Ⅱ型、Ⅲ型 とも D
Ⅰ型
A症状
1
.
小児期 :
発語の遅れ、急性脳症、運動発達遅滞
2
.
成人期 :
認知症、小脳失調、視神経萎縮
B検査所見
1
.
代謝性アシドーシス、低カルニチン血症、低血糖
2.
頭部 MRI
:
基底核病変、白質脳症
3.
アシルカルニチン分析 :
C5-OHの上昇
4.
尿有機酸分析 :
メチルグルタコン酸、メチルグルタル酸、ヒドロキシイソ吉草酸の著明な排湛増加
C鑑別診断
以下の疾患を鑑別する。
メチルゲルタコン醸尿症 Ⅱ型 、メチルグルタコン酸尿症Ⅲ型、3
-メチルクロトこル C
o
Aカルボキシラーゼ欠損症、
3
-ヒドロキシ-3
-メチルグルタル酸血症
D遺伝学的検査
1
.
酵素 活性測定 :
線維芽細胞、リンパ球
2遺伝子検査 :
AUH遺伝子の南アレルに機能喪失型変異を認める
<診断のカテゴリー>
De
f
i
n
i
t
e:A1
,
2のいずれかを認め、Cの鑑別すべき疾患を除外でき、B
4もしくは D1もしくは D2のいずれか
を認めたもの。
pr
o
b
a
bl
eA
-1
,
2のいずれかを認め 、Cの鑑別すべき疾患を除外でき、ら3を認めたもの.
Ⅱ型
A症状
1心筋症、撤密化障害
2周期 性好中球減少
3∵
骨格 筋ミオパチー
4
.
低身長 :
3
SD∼2
S
D
B検査 所見
1
心 エコー.
拡張型心筋症、心室撤密化障害
2周期 性好中球減少、骨髄検査での骨髄球の段階で成熟停止
3骨格 筋生検(
Ⅰ線維に脂肪滴の沈着)
4.
尿有機酸分析 .
メチルゲルタコン酸、メチルグルタル酸の経度∼中等度の排涯増加
45
C鑑 別診断
以下の疾患を鑑別する。
メチルゲルタコン酸尿症 Ⅰ型 、メチルゲルタコン酸尿症Ⅲ型、特発性心筋症 、慢性好中球減少症
D遺伝学 的検査
1カルジオリピン分析 :ろ紙血、血 小板 、線維芽細胞を用いて L
4
カルジオリピンの低下を検出
2遺 伝子検査 ・TAZ遺伝子に機能喪失型変異を認める
<診 断のカテゴリー >
Def
l
ni
t
e:A-l.2,3,
E
L4のうち 3つ以上を満たし、Cの鑑 別すべき疾患を除外でき、Dのいずれかを認めたもの。
pr
obabl
e:A-1
,2,3,
ら-4のうち 3つ以上を満たし、Cの鑑 別すべき疾患を除外したもの。
Ⅲ型
A症状
1乳児期からの両側視神経萎縮
2.
舞踏病様運動 、疫縮 、失調
B検査所見
1眼底検査 :
視神経萎縮
2.
視覚誘発電位(
VEP):
潜時の延長
3.
網膜電図(
ERG)
:
正常
4.
尿有綴酸分析 :
メチルゲルタコン酸 、メチルグルタル酸の軽度∼中等度 の排誰増加
C鑑別診断
以下の疾患を鑑別する。
メチルゲルタコン酸尿症 Ⅰ型 、メチルグルタコン酸尿症 Ⅱ型、先天性視神経 萎縮、レーバー遺伝性視神経症
D遺伝学的検査
opc3遺伝子の両アレルに機能喪失型変異を認める
<診断のカテゴリー >
De
f
J
nl
t
e:A-1,
2および B-4の全てを満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外でき、Dを認めたもの。
pr
obabl
e.A-1,
2および B-4の全てを満たし、Cの鑑別すべき疾患を除外 したもの。
46
<重症 度分類>
先天性 代謝異常症の重症度評価 (日本先天代謝異常学会)を用いて中等症以上を対象とする。
点数
薬物などの治療状況 (
以下の中からいずれか 1つを選択する )
治療を要しない
対症療法のために何らかの薬物を用いた治療を継続している
疾患特異的な薬物治療が中断できない
急性発作時に呼吸管理、血液浄化を必要とする
食事栄養治療の状況 (
以下の中からいずれか 1つを選択する )
食事制限など特に必要がない
軽度の食事制限あるいは一時的な食事制限が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの中程度の食事療法が必要である
特殊ミルクを継続して使用するなどの疾患特異的な負荷の強い(
厳格な)
食事療法の
継続が必要である
経管栄養が必要である
酵素欠損などの代謝障害に直接関連した検査 (
画像を含む)の所見 (
以下の中からい
ずれか 1つを選択する)
特に異常を認めない
軽度の異常値が継続している
(目安として正常範囲から 15SDの逸脱)
OSDの逸脱)
中等度以上の異常値が継続 している (目安として 15SDから 2.
高度の異常値が持続している
OSD以上の逸脱)
(目安として 2.
現在の清神運動発達遅滞、神経症状、筋力低下についての評価 (
以下の中からいず
れか 1つを選択する)
a
異常を認めない
b
軽度の障害を認める
(目安として、I
Q7
0未満や補助具などを用いた自立歩行が可
1
能な程度の障害)
C
中程度の障害を認める (目安としてJQ50未満や 自立歩行が不可能な程度の障害) 2
d
高度の障害を認める
(目安として、I
Q35未満やほぼ寝たきりの状態)
現在の巌器障害に関する評価 (
以下の中からいずれか 1つを選択する)
a
肝臓、腎肢、心臓などに機能障害がない
b
肝臓、腎肢、心臓などに軽度機能障害がある
(目安として、それぞれの臓羊異常による検査異常を認めるもの)
C
肝臓、腎臓、心臓などに中等度機能障害がある
(
目安として、それぞれの臓器異常による症状を認めるもの)
d 肝棒、腎臓、心臓などに重度桟能障害がある、あるいは移植医療が必要である
(目安として、それぞれの臓器の機能不全を認めるもの)
47
Ⅵ
生活の 自立 ・
介助などの状況 (
以下の 中からいずれか 1つを選 択する)
自立した生活が可能
何 らかの介助が必要
日常生活の多くで介助が必要
生命維持医療が必要
総合評価
ⅠかⅥまでの各評価及び総合点をもとに最終評価を決定する。
(1)4点の項 目が 1つでもある場合
重症
(
2)2点以上の項 目があり、かつ加点した総点数が 6点以上の場合
重症
(
3)加点した総点数が 3-6点の場合
中等症
(
4)加点した総点数が 0-2点の場合
軽症
注意
1
診断と治療についてはガイドラインを参考とすること
2
疾患特異的な薬物治療はガイドラインに準拠したものとする
3
疾患特異 的な食事栄養治療 はガイドラインに準拠したものとする
※診 断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1 病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時
期のものを用いても差し支えない(
ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに
限る)0
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態で、直近6
カ月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3 なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該 当しない者であるが、高額な医療を継続すること
が必要な者については、医療費助成の対象とする。
48
大理石骨病
匝二
重司
1. 概要
大理石骨病は破骨細胞の楼能不全による骨吸収障害により、ぴまん性の骨硬化を呈する症候群である。
破骨細胞機能不全をもたらす原因は多相であるため遺伝的異質性の高い疾患であり、症状も早期に発症
する重症の新生児型/乳児型、中等度の中間型、軽症の遅発型まで多様である。未熟骨 (
一次骨梁)の成
熟骨 (
撤密骨)
への置換が障害される結果、未熟骨で覆い尽くされた骨は硬化しているにも関わらず脆い。
また、過剰な未熟骨は骨髄腔の狭小化をもたらし、骨髄桟能不全 (
貧血、易感染性、出血傾 向、肝牌臆な
ど)を引き起こす。頭蓋底の骨肥厚による脳神経症状 (
難聴、視力障害 、顔面神経麻痔)を呈することもあ
る。
2.原因
破 骨細胞 の形 成や機能 に関連する複数 の遺伝子異 常 (T
C
I
RGl
、CL
CN7
、OST
Ml
、7
WFS
Fl
l
、
T
NFRSFl
l
、PL
E
KHMl
、C
A2
、L
RP5
、NE
MO、K
I
ND3
、Ca
I
DAGGE
Fl)が報告されている.新生児
型/乳児型および中間型は常染色体劣性遺伝、遅発型は常染色体優性遺伝である。
3 症状
新生児型/乳児型は早期より重度の骨髄機能不全、脳神経症状、水頭症、低カルシウム血症、成長障害
などを呈する。汎血球減少となるため感染や出血を生じやすく、幼児期までの死亡率は高い。中間型は小
児期に発症して骨折、骨髄炎、難聴、低身長、歯牙の異常など種々の症状を呈するが、骨髄機能不全は重
篤ではない。遅発型では骨髄機能不全は認められず、病的骨折、下顎の骨髄炎、顔面神経麻痩などで診
断されることが多い。このタイプでは他の理由で施行されたレントゲン検査によって偶然発見されることもあ
る。X線所見としては、頭蓋底や眼高禄の骨硬化像、長管骨骨幹端の under
mode
H
ng(
Er
l
enme
yerフラスコ
状変形)、椎体終板の硬化像 (
サンドイッチ椎体、ラガージャージ椎体)などを共通とする。
4.治療法
重症の新生児/乳児型では骨破移植 、造血幹細胞移植などが試みられているが、確立されたものはない。
種 々の症状に応じての対症療法が中心となるが、骨折に関しては著しい骨硬化により手術による固定材の
刺 人が極めて困難であり、また骨癒合も遷延化するため難治性となることが多い。特に成人期 以降の骨折
治療は極めて難渋するo骨髄炎は遷延化することが多く、長期にわたる薬物治療を要するO進行性の難聴
に対しては補聴器が必要となる0
5 予後
新生児/乳児型では重度の貧血 、出血 、肺炎、敗血症などにより乳幼児期に死亡するものがある。中間
型の長期予後に関しては不明な点が多いO遅発型の生命予後は良い。成人期以降では骨折の遷延治癒
や偽関節、骨髄 炎、進行性の難聴などが 日常生活における問題となり、長期にわたる治療が必要となるこ
とがある。
49
○ 要件の判定に必要な事項
1.患者 数
約1
00人
2.発病の機構
不明(
破骨細胞の機能不全が関与しており、複数の責任遺伝子が同定されている。)
3.効果的な治療方法
未確立 く
骨髄移植、造血幹細胞移植、インターフェロンやプレドニンによる薬物療法などが試みられてい
る。)
4.長期の療養
必要 (
新生児/乳児型は生命維持のための治療が必要である。軽症型でも骨折、骨髄 炎、視 力、聴 力障
害の危険性が生涯にわたり潜在する。)
5.診断基準
あり(日本整形外科学会作成)
6.重症度分類
新生児/乳児型では生命維持が問題となる。中間型および遅発型では骨折 、視 力・
聴 力障害、骨
髄炎などにより重症度が変化するため modl
f
;
edRanki
nScal
e(
mRS)を用いて3以上を対象とするo
L
情報提供頚
日本整形外科学会 (
小児整形外科委員会)
当該疾病担当者 名古屋大学整形外科 准教授 鬼頭浩史
日本小児科学会
当該疾病担当者 東京大学医学部附属病院リハビリテーション科 教授 芳賀信彦
5
0
<診断基準 >
De
f
i
ni
t
e、Pr
oba
bl
eを対象とする。
大理石骨病の診断基準
A症状
1.病的骨折
2.肝牌腫
3.脳神経症状 (
視 力・
聴 力障害、韓面神経麻痔など)
4 骨髄 炎
5.歯 牙形成不全
B検査所見
1.血液 ・
生化学的検査所見
(
か
貧血 (110g/dL以下)
②
白血球減少 (
3,
0
0
0
/〃L以下)
③
血小板減少 (
1
0万/〟L以下)
④
低カルシウム血症 (
総血祭 Ca濃度 8.
0mg/dL以下)
2 画像検査所見
①
ぴまん性骨硬化像
②
頭蓋底や眼憲縁の骨硬化像
③
長管骨骨幹端の Er
l
enme
yerフラスコ状変形
④
サンドイッチ椎体 う ガージャージ椎体
C 鑑 別診断
以下の疾患を鑑別する。
濃化異 骨症、骨斑紋症、流蝋 骨症、骨線状症 、骨幹異形成症 camur
a
t
i
-En
g
eE
r
r
.
an
n病、異 骨性骨硬化症
D遺伝学的検査
TCl
RGl
、CLCN7
、OSTMl
、TNFSFll
、T
NFRSFll
、PLEKHMl
、CA2、LRP5、NEMO、KI
ND3、
Ca/
DAG-GEFlいずれかの遺伝子変異を認める
<診断のカテゴリー>
De
f
i
ni
t
e:
(
1)
Aのうち 3項目以上 +Bのうち 4項 目以上を満たしCの鑑別すべき疾患を除外したもの
(
2)
Aのうち 1項目以上 +Bのうち 3項 目以上を満たしCの鑑別すべき疾患を除外しDを満たすもの
pr
obabl
e・
Aのうち 2項目以上 +Bのうち 3項 目以上 (
ただしB2のいずれかを含む)を満たしCの鑑別すべき疾
患を除外したもの
51
<重症度分類 >
modi
f
i
edRa
nki
nSca
l
e
(
mRS)
の評価スケールを用いて、3以上を対象とするo
f
l
edRanki
nSca一
e(
mRS)判定基準書
El
木版 modE
modi
f
l
edRanki
nSc
al
e
参考にすべき点
0-
まった く症候がない
自覚症状および他覚徴候が ともにない状態である
し
症候はあっても明らかな障害はない こ
自覚症状および他覚徴候はあるが、発症以前から行っ
日常の勤めや活動は行える
ていた仕事や活動に制限はない状態である
軽度の障害 :
発症以前から行っていた仕事や活動に制限はあるが、
発症以前の活動がすべて行えるわ けではない
日常生活は自立 している状態である
2_
が、自分の身の回 りのことは介助な しに行える
3_
4_
中等度の障富 :
買い物や公共交通機 関を利用 した外出な どには介助
何 らかの介助を必要とするが、歩行は介助な し
を必要 とするが、通常歩行 、食事、身だしなみの維持、
に行える
トイレな どには介助を必要 としない状態である
中等度から重度の障害 :
通常歩行、食事、身だ しなみの維持、トイ レな どには
歩行や身体的要求には介助が必要である
介助を必要とするが、
持続的な介護は必要 としない状
態である
5二
重度の障害 :
常に誰かの介助を必要 とする状態である。
寝たきり、失禁状態、常に介護 と見守 りを必要
とする
6
死亡
※診断基準及び重症度分類の適応 における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状 、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規 定がない場合には、いずれの時期
のものを用いても差し支えない (
ただし、当該疾病 の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限
る)0
2.治療 開始後 における重症度分矧 こついては、適切L
j
:
医学的管理の下で治療が行われている状態で、直近 6カ月
間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分殺等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必
要な者については、医療費助成の対象とする。
52
[
車
重垂
□
指定難病 (
平成 29年度実施分)として指定難病検討委員会で検討を行う疾病 (
一覧)
※今後検討を行う予定の疾病であり、厚生科学審議会の意見を聴取した結果、指定難病の要件を満たさないと判断する
疾病が多数含まれるものである。また、疾病名については今後変更の可能性がある。
※表中「
O」は小児慢性特定疾病ではない疾病を示す.小児慢性特定疾病の追加の検討と併せて検討するO
麗 べ
濁済
怒
二
村
軸糸
繋、
J
.
…
賢
へ
鞘
縫
q
、
賛〟
、
数浴、浴<1、
.
枚持,
/、
托、
11
7
β
-ヒ ドロキシステロイ ド脱水素酵
素欠損症
2
32
聖
重複症候群
1
q
コラーゲン異常症関連疾患
43
-ヒ
ドロキシ3
メチル クルタ リルC
o
A合成酵素欠
53
ヒ ドロキシHMGCo
A合成酵素欠換
損症 (
メチルクロ ト
Co
Aカルボキシラ
63o
Aリア ーゼ欠損症
3二ル
メチルクルタ
リルC
746.
ーゼ欠損症
××精巣性性分化疾患
9 085
還元酵素欠損症
1
0A
u
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t
欠失症候群
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3
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2B盲
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バー ド 一ホ ック .デエペ)症候群
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g
Du
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3Co
w
(
BHD)
Bウイルス関連血球貴食
性リンパ組織球症
1
4E
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症候群
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1
5F
6G
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o
c
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h
Hn
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角膜内皮変性症
症候群
1
ー
7HSD1
0
病
1
9王
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症候群
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8Ⅰ
C
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2
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症候群
2
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2
3P
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症候群
症
e
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z
j
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g
h
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候群 Q
2
4QT延長症候署y先天性
T延長症候群
2
5 qT
短縮症候群 (
S
AF
RO症候群 qTS)
2
6T
2
7TRP
V4異常症
2
8WAGR症候群
2
9 β-ケ トチオ
ラーゼ欠損症
3
0ア
ロマタ
-ゼ過剰症
3
2
1アロマ.
ラ-ゼ欠損症
3
3異形成一
アン ドロゲン不応症
性陸療
3
4 萎縮型加齢黄斑変性
3
5遺伝性 自己
3
6遺伝性
炎症性疾患
3
7 インス 毛髪疾患
リン受容体異常症
We
b
e
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Ch
r
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3
8 ウエーバ ー .ク リスチャン病 (
M'
奪
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、
支え
発嚢
= 肇.
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奈落
●
●
○
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○
○
●
●
●
●
●
●
●
●
[
車
重亘]
指定難病 (
平成29年度実施分)として指定難病検討委員会で検討を行う疾病 (
一覧)
※今後検討を行う予定の疾病であり、厚生科学審議会の意見を聴取した結果、指定難病の要件を満たさないと判断する
疾病が多数含まれるものである。また、疾病名については今後変更の可能性があるO
※表中r
OJは小児慢性特定疾病ではない疾病を示すO小児慢性特定疾病の追加の検討と併せて検討する。
a
=涼 - -
47 褐色細胞腫 .パラガン
48 力テコラミン喜
斉
グ リオーマ
Ca
n
a
V
an
)病
49 カナバン (
発多形性心室頻拍
50 化膿性汗腺炎
51 過敏症症候群/薬剤性過敏症
52 ガラク トキナーゼ欠
症候群
53 カラムテ ィ .エンゲルマン症候群
損症
54 カルニチ
55 力口リ ン回路異常症
病
56 肝外門脈閉塞症
57 関節聖若年性特発性関節炎
58 乾療性関節炎
59 肝内胆管減少症
60 肝内結石症
61 眼類天痛癒
62 稀少部位子宮内
6
3偽
膜症
性低アル ドステロン症
6
6
4 偽性軟骨無形成症
5 急性壊死性脳症
66
キャッスルマン病
67 急性膵炎後遺症
68 急性帯状潜在性網膜外層症
69 急性低音障害型感音
薫朗恵
70 強度近視性網膜脈絡膜萎
縮
71 偽 落屑角膜内皮症
72 ロ ー顔 一指症候群 Ⅰ型
73 ク リクラー .ナ
75
4 痘撃性発声障害
グルココルチコイ
ド抵抗症
ジャー症候群
76 劇症肝炎
7
7 血小板無力症
78 限局性
ドステロン症
強皮症
79 原発性アル
80
1勝
硬化性萎縮性舌癌
原線維糸球体沈着症 :C
o‖
a
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「
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好酸球性筋膜炎
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82
83 甲状腺中毒性ク リーゼ
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●
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●
●
●
●
●
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琶
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冒
打
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指定難病 (
平成29年度実施分)として指定難病検討委員会で検討を行う疾病 (
一覧)
※今後検討を行う予定の疾病であり、厚生科学審議会の意見を聴取した結果、指定難病の要件を満たさないと判断する
疾病が多数含まれるものであるoまた、疾病名については今後変更の可能性がある。
O」は小児慢性特定疾病ではない疾病を示す。小児慢性特定疾病の追加の検討と併せて検討するD
※表中「
磁
三
三一
…
欝務
,
・洋
も
93 自己免疫性vonW川eb「
a
94 四肢形成不全
95 視床下部過誤腫
蔓.
、
9
淡実、
汲
泣
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浮
、
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染糸.
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●
○
●
96 う′
ステ ン屍
症
97 シ 卜リン欠損症
●
98 若年性/
ポ リポーシス症候群
●
●
99 周期性 帽吐症候群
100 周産
●
期 心筋症
1
01
●
1
02 漕飯
収縮性
.鼻癌
心膜炎
●
ー
03 種痘
●
ッハマン .ダイアモン ド症候群
104 シユバ
様水癌症
●
1
05 症候群 性難聴
●
ローラン ド .シル ビワスてん
1
07
6 小児悪性
掌臆角化症
●
かん
1
08 小
●
109 小児期
発症急
1型糖尿病
児期発症
110 小児
●
性肝不全 (
昏睡型)
●
交 互性片麻痩
線維筋性異形
112 胃血管性高血圧
心筋撤 密化障害 (
l1
3 進行性 家族性肝内胆汁うっ滞症成による)
111
●
●
●
1ー
4 進行性 心臓伝導障害
●
●
116
5 新生児糖尿病
新生児 .小児遺伝性血栓症
●
1
ー17 新生児へモクロマ トーミ/
ス
心内膜 線維弓
単性症
8 胃性低
119
尿酸血症
●
●
●
●
SCOT) 欠損症
120 スク三/二ル ー
CoA:3ケ ト酸CoAトランスフェラーゼ (
121 スティ ッ
●
(
全身硬直症候署羊)
1
22 スミス .プパーソン症候群
レム リ .オ ピッ
●
ツ症候群
123 成
●
因不 ランゲルハンス細胞組織球症
明肝硬変症
124 成人聖
125
●
(
LCH)
●
12 精巣形 成不全
●
127
声門下
ピア 狭窄症
プテ リン還元酵素 (
SR)欠損症
6セ
●
●
1
ー
28
9 先天
前眼部 形成異常
●
●
130
性 GP
Ⅰ
欠損症
131 先天性 角化不全症
●
●
二㌧…
叫
指定難病 (
平成29年度実施分)として指定難病検討委員会で検討を行う疾病 (
一覧)
"
㌫V
、
象
●
●
●
※今後検討を行う予定の疾病であり、厚生科学審議会の意見を聴取した結果、指定難病の要件を満たさないと判断する
疾病が多数含まれるものである。また、疾病名については今後変更の可能性がある。
O」は小児慢性特定疾病ではない疾病を示す.小児慢性特定疾病の追加の検討と併せて検討する.
※表中 「
1
39 先天性僧帽弁狭窄
1
40 先天性胆汁酸
症
1
41
代謝異常症
トキソプラズマ感染症
1
42 先天性
先天性胆道
拡張症
1
43 先天性嚢胞性肺疾
1
44 先天性
患
1
45 先天性門脈欠損症
無虹彩症
1
47
6 線毛不動症候群
先天性両側性傍シル
ピウス裂症候群
(
カルタゲナ
-K
a
r
t
a
g
e
n
e
1
48 早期再分極症候群
「
症候群を含む)
ネイル パテラ症候群)および LMXIB関連腎症
1
49 爪膝蓋骨症候群 (
1
5
0 ターナー症候群
1
51 大理石骨症
ー
52 多発性 内分泌
ー
5
3 多発性 内分泌腫
腫療症 1聖
1
5
4多
療症 2聖
1
発性軟骨性外骨腫症
1
6 短腸症
中鎖 アシルCoA脱水素酵
5
5
1
57
素欠損症
1
5 中枢末梢連合脱髄症
ペルオキシソーム病を除 く
ー
59
点状軟骨異形成症
ド線維腫症(
8 デスモイ
ー
6
0特
○ )
ー
61 特発性肝内胆管減少症
発性角膜内皮炎
1
6
2 特発性血栓症 (
1
6
3 特発性周辺部角膜
濃療
先天性血栓性素因による)
1
6
4 特発
1
6
5
性心室細動
1
6
6 特発性両側性
特発性正常圧水頭症
1
6
7 突発性難聴 感音難聴
1
6
8 トリーチャーコ リンズ症候群
1
6
9 内軟骨腫症
0
1
7
1 腰様滴状角膜変性症
軟骨低形成症
1
7
2 乳酸上昇を伴 い脳幹 .脊髄を含
産素断裂
1
7
3 乳児特発性僧帽弁月
む白質脳症
1
7
4 尿細管性 アシ ド
1
7
5 ネ フロン嬢
ーシス
1
76 脳ク レアチン欠乏症候群
ー
●
●
○
○
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
●
○
●
●
●
●
●
●
●
○
●
●
●
●
●
●
○
●
●
●
●
「重工]
指定難病 (
平成 29年度実施分)として指定難病検討委員会で検討を行う疾病 (
一覧)
※今後検討を行う予定の疾病であり、厚生科学審議会の意見を聴取した結果、指定難病の要件を満たさないと判断する
疾病が多数含まれるものである。また、疾病名については今後変更の可能性がある。
※表中r
O」は小児慢性特定疾病ではない疾病を示すO小児慢性特定疾病の追加の検討と併せて検討するO
ー
85 ビールス症候
○
186 非ケ トーシス聖高グ
群
リシン血症
1
87
●
頁型白質脳症
188 皮質下露胞をもつ大豆
月
巴厚性硬膜炎
●
ー
89 微絨毛封入体病
●
190 左肺動脈右肺動脈起
●
191 ピッ トホプキン
192 非定型
始症
ス症候群
●
●
193 び
良性小児部分てんかん
.ヒツ′
くル .リン ドウ病
194 フォン
まん性特発性骨増殖症
●
195 副腎 隆クツシンjl
症候
●
196 不整脈
●
●
群
197 フリーマンシェル ドン症
源性右室心筋症
●
候群
198
●
ー
99 プルカタ症候群
●
200 蚊刺過敏
フルク トース-1′6-ビスホスファターゼ欠損症
201 ′
くル-ミ′
ド角膜辺縁変性
症
202 ′
ヾルナ-ル .ス-リ工
●
●
●
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「
)症候群
(
Be
r
n
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r
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So
203 ヘルマンスキーパ ドラック症候群合併肺線維症
●
●
204 芳香族 アミノ層鮎
AADC) 欠損症
托炭酸酵素 (
ノール ピル ビン酸 カルボキシキナー
206 ホスホエ
癌疹状皮膚炎
207 ホモミ′
ステン屍症
ゼ欠損症
キューン
.
オルブライ
ト
症候群
208 マッ
205
●
●
●
●
209 慢性移植片対宿主
210 慢性活動性 E
Bウイ病
●
211 ミ トコン ドリア遺伝子変異によ
ルス感染症
21
2 ムンプス難聴
●
る難聴
●
●
21
3 メチノレグ
2ー
4 メ二二
ルタコン酸尿症
215 優性遺伝形式を
-ル病 とる遺伝性難聴
●
●
第14回 指定難病検討委員会資料
指定難病咽せ津廿∴一
船主
指定難病の要件について<
1
>
(1) 「
発病の機構が明らかでない」ことについて
○ 以下のように整理する。
① 原因が不明又は病態が未解明な疾病が該当するものとする。
② 原因遺伝子などが判明している場合であっても病態の解明が不十分な場合は、①に
該当するものとする。
③ 外傷や薬剤の作用など、特定の外的要因によって疾病が発症することが明確であり、
当該要因を回避 ・
予防することにより発症させないことが可能な場合は、(
かに該当し
ないものとする。
④ ウイルス等の感染が原因となって発症する疾病については、原則として① に該当し
ないものとする。ただし、ウイルス等の感染が契機となって発症するものであって、一
般的に知られた感染症状と異なる発症形態を示し、症状が出現する機序が未解明
なものなどについては、個別に検討を行うものとする。
⑤ 何らかの疾病 (
原疾患)によって引き起こされることが明らかな二次性の疾病は、原
則として①に該当しないものとして、原疾患によってそれぞれ判断を行うものとする。
2
指定難病の要件について<
1
>
i
補足 1「
他の施策体系が樹立していない」ことについて
○ 以下のように整理する。
・① 難病の要件に含まれている基本的な考え方は、他の施策体系が樹立していない疾
病を広く対象とするものとされている。
② 「
他の施策体系が樹立している疾病」とは、厚生労働省において難病法以外の法律
等を基に調査研究等の施策が講じられている疾病で、がんや精神疾患、感染症、ア
レルギー疾患などがこれに当たり、難病法にいう難病として想定していない。
③ ただし、横断的に疾病の症状や病態の一部に着 目した施策が体系的に講じられて
いたとしても、疾病を単位とした施策が講じられていない場合は、他の施策体系が樹
例えば、小児慢性特
立しているものとして一律には取り扱わず、個別に検討する。(
定疾病対策の対象疾病は、小児期に限って施策が行われており、疾病を単位として、
その患者の一生涯について施策が行われているものではないことから、他の施策体
系が樹立しているものとして一律に取り扱うことは行わず、個別に検討する。)
3
指 定 難 病 の 要 件 に つ い て < 1>
月串足 2 が ん に つ い て
平成 28年 1月1日
○ がんについては、「
がん対策基本法」
及び「
がん登録等の推進に関する法律」(
施行)
を中心に、難病対策とは別の施策体系が講じられている。
○ がんの定義は、学会等の統一された見解はないが 、「
がん登録等の推進に関する法律」
第2条
第 1項において、「
悪性新生物その他の政令で定める疾病」
とされており、同法施行令第 1条で、以
下の疾病が規定されている。
がんの範囲)
(
1)
施行令第 1条関係 (
「
がん」の定義として、次に掲げるものを規定すること。
暮
悪性新生物及び上皮内がん(
ただし、以下に掲げるものを除く.)
・
髄膜又は脳、脊髄、脳神経、その他の中枢神経系に発生した腰痛
・
消化管 問質腰癌
・
一部の卵巣腫癌
「
がん登録等の推進に関する法律」
で「
がん」
と定義された疾病については、「
他の施
○ このため 、
策体系が樹立しているもの」として取り扱う。
○ ただし、複数の疾病が併存して発生する症候群についてはがんを合併するものであっても、がん
によらない他の症状が指定難病の要件を満たす場合には、その症候群について指定難病として
取り扱う。
4
指定難病の要件について<1
>
○
精神疾 患 については、体 系的な施策として障害者総合支援法 における精 神通院 医療
CDIOにおいてF
でコー ドされている
の制度を実施 しており、その対象範 囲となる疾病 は I
疾病及 び G40でコー ドされている疾病 (
てんかん)とされている。
○
これを踏 まえ、障害者 総合支援法 における精神通院 医療 の対象 となる疾病 は、基本
的 に指定 難病の要件を満たさないものとする。
○
ただし、複 数の疾病が併 存 して発 生する症候 群 については、精神症 状やてんかん症
状を合併 するものであっても、精神症状 やてんかん症状 によらない他 の症状が指定難
病 の要件 を満たす場 合 には、その症候 群 について指定難病 として取 り扱うこととする。
指定難病の要件について<2>
(
2) 「
治療方法が確立していない」
ことについて
○ 以下のいずれかの場合に該当するものを対象とする。
① 治療方法が全くない。
② 対症療法や症状の進行を遅らせる治療方法はあるが、根治のための治療方法
はない。
③ 一部の患者で寛解状態を得られることはあるが、継続的な治療が必要である。
○ 治療を終 了することが可能となる標準的な治療方法が存在する場合には、該当し
ないものとするが、臓器移植を含む移植医療については、機会が限定的であること
から現時点では根治のための治療方法には含めないこととする。
指定難病の要件について<3
>
i(
3) 「
長期の療養を必要とする」ことについて
○ 以下のように整理する。
① 疾病に起因する症状が長期にわたって継続する場合であり、基本的には発症し
てから治癒することなく生涯にわたり症状が持続又は潜在する場合を該当するも
のとする。
② ある一定の期間のみ症状が出現し、その期間が終了した後は症状が出現しない
もの (
急性疾患等)は該当しないものとする。
③ 症状が総じて療養を必要としない程度にとどまリ、生活面への支障が生じない疾
病については、該当しないものとする。
7
指定難病の要件について<
3>
○ 症状が 総 じて療養を必要 としない程度 にとどまリ、生活面
に
へ の支障が生 じない疾病
の療養
ついては、
を必要と
致死
する」という
的な合併症を発症するリ
要件 に該 当しないものと
スクがある場合であっても、基本 的に「
長期
○
しか しなが ら、遺伝性脂 質代謝異 常症 のように、心筋梗塞
する。 等の致死
症するリ
の高 い治スクが著
療を頻 回かつ継続
しく高 く、その
的に必
リスクを軽減するためにアフェレーシス治療等
的な合併症を発
の侵襲性
○
したが って、診 断時点では必ず しも日常生活
に支障 のある症状を認
めないが 、致死
要 としている疾病が
ある。
(
手致
的な合併
死 的症を発症するリスクが高 い疾病 については、
軽
② 致死 的な合併症を発症するリ
な合併症を発症するリスクを
スクが若年で通常より
著 しく高いこと
(
例:
ア
減するための治療 として、侵襲性 の高い治療
を満たすフェレーシス治療)
場合 は、「
長期 の療養
を頻を必要
回かつ継続
とす 的に必要 とすること
る」という
要件
に該
当するものとする。
指定難病の要件について
こおいて一定●
の人
数に
う
<
4>
I
.
O 「
一定の人数」として規定している「
おおむね人口の千分の-(
0
J
二つl
.
I
I)-I
.
1%)
①
て、本検討会で議論
以下のように整理する。
程度に相当する数」につい
※本 邦の人 口は約 1
.
27
億 人時点で入手可能な直近の情報に基づいて、
、その0
.
1
%は約 1
2.
を行う
計算する。
1
5%未満を目安とすること
し
具体的には患者数が
8
万人
0
.
1
42%)
未満
② 当面の間は、0.
(
「
人、
口推
計」(
平成 2
6
年1
月確 定値1
)
(
総務省(
統計局)
から
)
7万人と
③ あった場合には
この基準の適用に当
「
0.
1%程度以下」に該当するものとする。
で
指定難病の要件について<5
>
警
ヱ
ヂ し客観 的な指標 による 定の基準が定まっていること」 ぎ
○ 以下のように整理する。
(
D 血液等の検体検査、画像検査、遺伝子解析検査、生理学的検査、病理検査等
の結果とともに、視診、聴診、打診、触診等の理学的所見も、客観的な指標とす
る。
② 「
一定の基準」とは、以下に該当するものとする。
i
. 関連学会等 (
国際的な専門家の会合を含む。)による承認を受けた基準や、
すでに国際的に使用されている基準等、専門家間で一定の合意が得られて
いるもの。
l
l iには該当しないものの、専門家の間で一定の共通認識があり、客観的な
指標により診断されることが明らかなもので、iの合意を得ることを目指し
ているなど iに相当すると認められるものoこの場合、関連学会等の取りま
とめ状況を適宜把握する。
指定難病の要件について<5
>
喜
補足 5 小児慢性特定疾病の診断の手引きについて
○ 小児慢性特定疾病の診断に関しては、日本小児科学会が主体となり作成した「診
断の手引き」
がある。この「
診断の手引き」の多くは、主として小児科の医師が、小児
を対象として診断を可能にするという観点で取りまとめられたものとされている。
○ この「診断の手引き」については、成人を対象とした診断基準を基に小児に対する診
断基準としての適否の検討を行ったものや、小児にのみ用いられることを前提とした
診断基準として取りまとめられたものなどがある。
○ そのため、指定難病の要件である診断基準の有無の検討に当たり、小児慢性特定
疾病の診断で用いられている「
診断の手引き」のみを根拠とする場合には、成人に
p13-14)
を満たすかどうか、個別
適用したならば「
認定基準についての考え方」(
に検討を行うこととする。
ll
・
認定基準についての考え方 <
1
>
∩L
L
J
L一u
L
・ ・ 、 一
・
.
I
○ 医療 費助成 の対象患者 の認定基準 については、確 立された対象疾病 の診 断基準 と
それぞれ の疾病 の特性 に応 じた重症度分類等を組み込んで作成 し、個 々の疾病ごと
に設定する。
○
これ らの認 定基準 については、検 討時点 において適切 と考 えられる基準を設定する
とともに、医学 の進 歩 に合わせて、必要 に応 じて適宜見直 しを行う。
○
診 断基 準 の検討 に当たっては、以下の事 項 に留意する。
(
D 必要な検査を列挙 し、満たすべき検査値などについても具体 的に記載すること。
② 複 数 の検査 や症 状の組合せを必要 とする場合 は、一義 的な解釈 となるようにす
ること。
③ 診 断基準 の 中に不全型 、疑い例 等が含まれ る場合 については、それぞれ の定
義を明確 にし、医学 的に治療を開始することが妥 当と判 断され るものが認定さ
れ るようにすること。
認定基準についての考え方 <
2
>
○ 重症度分類等の検討に当たっては、以下の事項に留意する。
⑳ 「日常生活又は社会生活に支障がある者」という考え方を、疾病の特性に応じて、医学的
な観点から反映させて定めること。
⑳ 治癒することが見込まれないが、継続的な治療により症状の改善が期待できる疾病につ
いては、その治療方法や治療効果を勘案して、重症度を設定すること。
◎ 疾病ごとに作成されている重症度分類等がある場合は、原則として当該分類等を用いる
こと。
⑳ 疾病ごとに作成されている重症度分類等では日常生活若しくは社会生活への支障の程
度が明らかではない場合、又は、重症度分類等がない場合は、以下のような対応を検討
する。
① 臓器領域等ごとに作成されている重症度分類等を、疾病の特性に応じて用いる。
※例:
心、肺、肝、腎、視力、聴力、ADL等
(
多 段階的な重症度分類等の定めはないが、診断基準自体が概ね 日常生活又は社会
生活への支障の程度を表しているような疾病については、当該診断基準を重症度分
類等として用いる。
※例:
家族性高コレステロール血症(
ホモ接合体)
1
3