巻頭言 The Opening Article 社員を育てよう! 数字は 「売場」 にあり、売場の活性化は 「人・組織」 にあります。数字は、店舗の運営システ ムではなく、あくまでシステムを活用する人・組織によって左右されます。 企業力は人材力であり、無形の資産と言われていますが、会社として 「社員育成」への計 画的かつ継続的な推進はできているでしょうか。情勢下、企業として 「いま必要とする人材、 今後必要となる人材」 を想定する中、しっかりとした 「育成方針・育成計画」 を立て、企業に 合った適切な 「育成体制」 の中で、短期・中長期の中で進めることが肝要と思います。 いま必要とする人材とは、当面の会社方針・目標を現場段階で確実に具現化できる社員で あり、今後必要な人材とは、新たなマーケットの中で商売ができる社員、マネジャーとし ての能力とリーダーとしての能力を備え、考えて行動できる社員、次世代を担える後継者、 中堅幹部社員の育成です。例えば、最近の研修・セミナー・現場コンサルティング活動から 感じる人材育成の重点課題は次のように考えます。 ◦現場実態を踏まえた人材育成の方向性・方針を共有化できているか 経営者・経営幹部、人事部と商品部・販売部との人材育成の方針・方向性のすり合わせがで きているか。また、そのために必要な社員の実態と課題の把握ができているか。 商売の基本である 「小売業の基本」 「チェーンストアの基本」 「マネジメント能力」 、人・組 織の円滑推進に必要な 「コミュニケーション能力」 「リーダーシップ」 「部下育成」から、今 後特に重視したい 「経営意識」 「問題の発見・解決能力」 「計数能力」 「情報活用能力」 、 また 「お 客様視点からの発想と創造」 「挑戦する意識と行動力」 です。 ◦短期・中長期計画において、教育計画、体制づくりができているか 対象とする社員(パート社員含む)に対して、知識・技能習得に最適な教育ツール・教育計画、 単発でない継続フォローアップ体制をあらためて構築することです。また、人事部だけに 依存するのではなく、商品部・販売部としての人材育成のための役割分担、連携した教育体 制づくりも不可欠です。学ぶ、教えるツールにはいろいろありますが、効率と効果から習 得のために最適なツールを選定することです。 ◦社員自身に自己啓発・キャリアデザインの重要性を認識させているか 人材育成の最大の難しさが、この自己啓発・自己の能力向上への社員自らの意識と行動で す。現状は、会社の評価体制と連動させ、その中で認識させることが多いですが、一番良 い方法は、社員個々人と個別面談、仕事上で社員個々人と接する中で、社員に目標を持たせ、 そのために必要な知識・能力を自覚させ(キャリアデザイン)、知識・技能の習得への動機づけに 拍車をかけることです。 「社員は育っているか」 「どんな社員を育成したいのか」 が、人材育成のスタートです。 一般社団法人 公開経営指導協会 常任理事 木村 晴則
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