2.人々との繋がりを大切にする知の結節点-社会連携研究センター- 2 人々との繋がりを大切にする知の結節点-社会連携研究センター 滋賀大学 理事・副学長 須江 雅彦 大学とは何かという議論は中々難しいように思えますが、大学が社会の中で新しい知識を生み出しつつ、 教育等を通じてその成果を社会に広めるという基本的役割を否定する方はあまりいらっしゃらないと思いま す。 私たち滋賀大学には、教育・研究の成果や大学が有する知的資源を社会に還元することにより、地域社会 との多様な連携を積極的に構築し、開かれた大学として、地域社会の発展に寄与するという目標があります。 さる 4 月、位田滋賀大学長は、入学者に対する告示の中で「大学が社会にとって不可欠の知的活動と人材 育成を行っている」ことを述べるとともに、研究の成果を社会の抱える課題解決に結びつけていくことの重 要性も示唆しています。 大学からの知識の普及・還元には、知識の現実社会への適用という側面があります。知のシステムとして の大学と社会との連携は、時に非常に実践的であり、また新しい発見への契機ともなることでしょう。 新千年紀、21 世紀の始まりに Creation(創造)、Cooperation(協同) 、Contribution(貢献)を掲げ作ら れた滋賀大学の理念は今もなお社会に開かれた大学の目指すべき方向性を示しているのです。 さて言うまでもなく、大学の知と社会との繋がりは、人と人との繋がりでもあります。私は今年、内閣府 が行っている次世代のグローバルリーダーを育成するための事業である第 28 回シップ・フォー・ワールド・ ユース・リーダーズ(28th Ship for World Youth Leaders)に、団長として日本を含む 11 か国 240 人余り の青年たちとともに参加しました。船上研修が始まる際、参加国のナショナルリーダーの一人であるタンザ ニアのムッサに対し皇太子殿下から「MILIMA HAIKUTANI BUNADAMU HUKUTANA」という「スワヒリ語」のお言 葉を賜りました。その意味は「山と山は近づくことはできないが、人と人は出会うことができる」という意 味なのだとムッサは感動して語っていました。このお言葉どおり、多様なバックグラウンドを持つ青年たち は出会い、近づき、お互いの繋がりを深めました。多様性を前提にお互いを理解し、繋がり、社会的な課題 に取り組もうとする彼らの真摯な議論・コミュニケーション、そして数えきれないほどの活き活きとした表 情は実に素晴らしいものでした。 私たちは、滋賀大学の社会連携研究センターをいわば「知の結節点」として、今後とも人と人との繋がり を大切にしながら社会との連携を進めてまいります。大学人が創造(Create)し保有する知識や知性を、こ のセンターを中核にしながら、社会の様々な課題に取組む人々と大学人とが近づき、その繋がりを通じて協 同(Cooperate)し、解決・改善に結びつけていく、社会への貢献(Contribute)を行う大学でありたいと考え ています。 皆様の幅広いご理解とご協力・ご支援をよろしくお願いいたします。
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