群馬県内市町村でお金はどう流れているか

(2016 年 7 月号掲載)
群馬県内市町村でお金はどう流れているか
~RESAS の「地域経済循環マップ」分析にみる経済循環~
一般財団法人群馬経済研究所
主任研究員
斎藤
知宏
【 要 約 】
1.内閣府の地域経済分析システム(RESAS)上で公開された 「地域経済循環マッ
プ」によって、地域のお金の流れが、①生産(付加価値)、②分配(所得)、③
支出(消費、投資他)の3つの段階で可視化できるようになった。
2. 2010 年の群馬県の生産(付加価値)は7兆 5,330 億円で、内訳は第3次産業の割合が大
きい。しかし地域外から稼ぎを得る力(特化度)が強いのは輸送用機械製造業、一般機械製
造業、食料品製造業などである。
3.県内市町村の状況としては、分配(所得)では、桐生市、みどり市などで雇用者所
得の流入が多い。一方、大規模工場が立地する太田市、前橋市、千代田町などで
は 、 地 域 外 に 住 み 同 地 に 通 う 雇 用 者 へ の 所 得 流 出 が み て と れ る 。 支 出 (消 費 、投
資他)の面では太田市、安中市、邑楽町などで地域外へ民間消費の流出が目立つ
一方、前橋市・高崎市の都市部のほか川場村や長野原町などでも他地域からの民間
消費の流入がある。
4.資金の流出を防ぐ施策だけでは、地域の経済は外に向かって閉じる方向に向かって
しまう。まずは地域の稼ぐ力をアップさせ、他地域との交易を深く太くしていくこ
とが地域の活性化につながる。