ニュースレター『スローワーク vol.15』

第15号 2016年7月11日発行
春の
Vol.15
特別号
累計ワーカー総数
8,066名
(2011年3月15日~2016年6月30日)
東北教区総会を終え、
被災者支援センター、いずみ、と共に
保科 隆
(東北教区副議長・福島教会牧師)
東北教区総会が、5月24日(火)から25日(水)にかけて仙台青葉荘教会を会場
にして開かれました。総会に議案として提出されていた「東日本大震災に関する件」
が賛成多数で可決されました。これにより震災後に取り組んできた被災者支援センターと放射能問題支援対
策室「いずみ」のどちらの働きも、教団の救援対策本部が2017年3月末で閉じられてから以後も、
「2019年3月までは東北教区として継続を目指す」ことが決議されました。しかし、どちらの活動も規模
の縮小などの課題に取り組むことが求められています。
被災者支援センターが、これまで「スローワーク」を標語として歩みを続けてきたことについての思いを
記します。以前に、幼稚園の先生が園児たちに一番多くかける言葉は「速くしなさい」だと聞いたことがあ
ります。「速く歩きなさい」「速く食べなさい」なんでも「速く」と子どもたちをせかしているというので
す。しかし、それと「スローワーク」は別の考え方です。「スロー」に価値を置くのです。震災後の教区の
被災者への取り組みは、「スロー」でも確実な取り組みでありたいと願いつつ歩んできました。これまでの
5年以上の長い歩みに何も問題がなかったわけではありません。それでも「スロー」を心がけてきました。
どちらの働きも教区総会で決議したように、2017年の3月で終わるものではなく継続を願っています。
どうぞ祈りをもって支えてください。
10月以降のワーカー受け入れが変わります
被災者支援センター・エマオは、規模縮小しつつ
も「細く長く」、2019年3月末までスローワーク
の継続を目指します。
そのため、2016年10月1日以降のワーカー受け
入れを次のように変えていきます。
しかし2016年10月以降も、これまでの笹屋敷・
石場地域との繋がりを大切にすることを願い、次の
活動を継続していきます。
・ささっこクラブ
(地域こどもコミュニティー再生支援)
◯ 仮設支援ワーク・ささっこクラブ・フィールド
ワークなどのワーカー受け入れは、当面2017年
3月まで継続します。
◯
・パーソナル・サポート
(高齢者や一人暮らしの方などの訪問や生活支援)
・コミュニティイベントのお手伝い
(「夏祭り」、「3・11の祈り」など)
笹屋敷・石場での農業支援ワークは、2016年
9月末で終了します。
※
詳しくは、随時ホームページにアップしていきます。
よろしくお願いいたします。
1
エマオ
の
いま
被災者支援センター・エマオは、2017年春に大きな節目を迎えます。2017年4月以降を
見据え、与えられた出会いを大切にしながら、新たな繋がりを志向し、エマオ仙台とエマオ石
巻の協働、地域教会の連携を進めています。
4月30日(土)、第5回『笹屋敷deすずめ踊り』
が昨年と同じ石場公園を会場に、笹屋敷町内会主催で行われました。
『笹屋敷deすずめ踊り』は東日本大震災の津波被害によって町内の桜が
なくなり、春の花見に代わるイベントをという思いのもとに、2012年か
ら始まり、今年で5回目の開催となりました。『すずめ踊り』の起源は仙
台城(青葉城)完成の祝いの宴において、石垣積みのために仙台へ来てい
た泉州・堺の石工が即興で扇子を用いて舞ったのが始まりとされています。
現在では仙台の5月の風物詩である『仙台青葉まつり』において市内各所で踊られます。そのための祭連
(まづら)が職場や、地域で組織されています。
七郷地区には以前から『七郷すずめ連』という強豪祭連があり、『仙台青葉まつり』でも常に上位入賞を
果たしており、『笹屋敷deすずめ踊り』では毎年やってきて、その舞を披露していただいております。
ほかに、震災直後の泥かきからのお付き合いである『天理教災害救援
ひのきしん隊』の鼓笛隊とハンドダンスの披露があり、飲食ブースでは
仙台青葉荘教会&仙台青葉(せいよう)学院短期大学有志合同チームの
クレープ、日本キリスト教会仙台黒松教会有志によるチヂミの販売があ
りました。抽選会においては静岡草深教会からの献品を景品として用い
ました。町内の方々にも恒例行事として定着してきた『笹屋敷deすずめ
踊り』が、今後も末永く続いていくことを祈ります。
(エマオ仙台 千葉正彦)
笹屋敷・石場で行われている『ささっこクラブ』。
6月18日(土)のプログラムは「入浴剤作り~お父さん・お母さんの疲れを
取ってあげよう~」でした。2012年8月に笹屋敷・石場で始まり、現在では
笹屋敷・石場という垣根を超え、近隣の地域からも子どもたちが来てくれるよ
うになりました。
なぜ子どもたちが増えてきたのだろうと、考えてみました。保護者の方々と
お話させていただく中で「友達のお母さんを誘っておいたからね」や「私にも
手伝えることがあったら遠慮せず言ってください」というお言葉をいただき、保護者の方たちの支えがあ
ることに気づかされました。それまでは、「子ども」と地域で独居している「高齢者」の二項関係の繋が
りを強くすることばかりを考えていました。
しかし、保護者の方たちとお話させていただく中で「保護者」という存在に感謝しています。
繋がりを、「子ども」と「高齢者」の二項関係から、「保護者」含めた三項関係
へ。ここに『ささっこクラブ』に何度も訪れる一人ひとりのリピーターも繋がり
始めています。そうすると、さらに<項>が増えていきます。どんどん<項>が増え
ていくことで、四角形が多角形になっていきます。それは、いつか円になるはず
です。現町内会長のSさんも「地域を大きな円にしたいんだ」とおっしゃってい
ます。『ささっこクラブ』がその一助になれればと願っています。
(エマオ仙台 内手翔太)
2
5月26日(水)、荒井7号公園仮設で昼食会を開催
しました。退去期限は5月末。それに伴い、6月以降集会室は使えなくなりま
す。2013年12月11日から始めた昼食会も、今日が最後です。食事ボラン
ティアのAさん(仙台青葉荘教会教会員)が、大小さまざまなオカリナを演奏
してくださり、室内にきれいな音色が響きました。
参加してくださったのは、Bさんお一人でした。昨秋、荒井7号から車で10
分の集団移転先へ自宅再建したお子さんと暮らし始めた方です。食事ボランティアは、Bさんとほぼ同世
代。お子さんやお嫁さんと一緒に暮らす悩みなども、話題にのぼりました。食事ボランティアも似たような
経験をされたそうです。お茶飲み話のなかでBさんは、自分だけが悩んでいるのではないと知りホッとされ
たようです。間もなく集会室も明け渡しです。食事が終わって、集会
室の壁に貼られた掲示物を外すお手伝いもさせていただきました。エ
マオの訪問予定表のほかに、神戸の小学生の寄せ書きや、東京の教会
のみなさんが書いてくださった季節のお花やお野菜の絵が入った絵手
紙もありました。いろいろなところから、仮設住宅での不自由な生活
を思い届けられたあたたかいお気持ちを感じました。集会室が使えな
くなっても、近くの市民センターの集会室をお借りして、慣れた方た
ちと同じ時間を過ごせればと願っています。
(エマオ仙台 高橋千沙子)
※ 仙台市はプレハブ仮設住宅退去期限を今春とし、そのため七郷中央公園仮設3世帯、荒井2号公園仮設2世帯、荒井7号公園仮
設0世帯となりました。但し、福島県や石巻市、南三陸町などの仙台市外より移住した方など、転居の目途が立たない方は
特定延長が認められています。
7,579名、6月1日時点の石巻市仮設団地
の入居者総数です。平均入居率が全体で5割を切ろうとしている
ところ、復興公営住宅への入居や新居への引越しなどで、一棟
全体が空室になっている仮設団地も見受けられます。
エマオ石巻が関わってきた多くの住民の方も新しいお住まい
に引越しされたか、引越しの目処が年内にたっています。
しかしながら、復興公営住宅への入居予定が2018年3月とい
う方もおられます。入居したい復興公営住宅の抽選にはずれ、引越しの目処がたたない方もおられます。そ
ういった方々にとって、顔なじみの隣近所の方々が引越していき、仮設団地の空室が増えていくことは取り
残されることそのもの。不安が増していく時期でもあります。最近、仮設団地でのお茶っこでよく話題にあ
がるのが、引越し先でのコミュニティー作りです。復興公営住宅は行政
が懸命に整備してきた結果、設備などのハード面では申し分ない仕様が
ほとんどですが、ソフト面のコミュニティー作りはまだまだこれからの
課題です。特にご高齢の方にとって新しい地域での生活に馴染めるかの
不安は尽きません。希望をもたらすようなニュースが多くなっていくこ
とを望みます。エマオ石巻としても、今後、仮設団地に残る方々と新居
へと移っていく方々とどう関わっていくか、どのように寄り添い、コ
ミュニティーの維持・形成をお手伝いしていくか模索し続けています。
(エマオ石巻 田尻拓)
3
会計支出報告(2011年3月~2016年5月末)
全国募金にご協力ください
温かいご支援に心より感謝いたします。
日本キリスト教団東北教区は「東日本大震災救援を続けるための全国募金」を
呼びかけています。「被災者支援センター・エマオ」、「放射能問題支援対策
室・いずみ」の働きを続けるための全国募金にご協力ください。
<送金先>
ゆうちょ銀行振替口座
口座番号:02220-5-137681
加入者名:日本基督教団東北教区
*趣意書、振替用紙(赤)がお入用の方
は、当センター事務室までご連絡を
お願いいたします。
事業費
¥7,153,038
人件費
¥92,349,938
事務費
¥25,541,057
活動費
¥13,254,084
旅費交通費
車両費
¥14,514,262
繰越金
¥550,082
合計
「教会向け被災地フィールドスタディープログラム」ご案内
9月6日(火)〜8日(木)に仙台を
会場に、第47回日本キリスト教団「み
ん な の 伝 道 協 議 会(旧 開 拓 伝 道 協 議
会)」を開催します。
テーマは『どこで誰とつながるのか
III〜3・11 地震・津波・原発事故のた
だ 中 で 〜』。東 日 本 大 震 災 の み な ら
ず、「熊本地震」からの証言も聴く機
会をつくります。6日(火)の主題講
演、被災教区からの報告・提言は公開
講 演 と す る 予 定 で す。関 心 の あ る 方
は、<http://emao311.org/
archives/7211>をご覧ください。
【プログラム概要】
・オリエンテーション
被災地の現状と課題の学びとエマオの活動紹介
・フィールドワーク
仙台・名取、石巻などの被災沿岸部を訪ねます。
仮設住宅跡地やエマオのワーク先を訪ね、
被災された方々からお話を伺います。
・教会訪問
被災地に立つ教会を訪ね、被災当時の教会の
お話を伺います
・「いずみ」訪問
放射能問題支援対策室「いずみ」の活動と現状
※
まことに勝手ながら、以下の日程で
お休みをいただきます。
・10/2(日)~10/10(月・休)
・11/24(木)~11/30(木)
※
※
「報告会」いたします!
スタッフ
少人数の会にも、喜んで伺います。
どうぞお問い合わせ下さい。
被災者支援センター長
上野和明
教団派遣専従者
エマオ仙台
佐藤真史(仙台)、小川幸子(石巻)
内手翔太、菊池護、高橋千沙子
千葉正彦、八田美夕
関川祐一郎
鎌田仁美、田尻拓、柴田奈都香
永野香織、畑屋武志、戸枝季子(兼)
戸枝季子(兼)
柴田信也(仙台)
日本キリスト教団東北教区被災者支援センター・エマオ
〒980-0012 宮城県仙台市青葉区錦町1-13-6 東北教区センター
Tel 022-265-0173
Fax 022-265-0174
Webサイト
※
お休みをいただきます。
※みなさまのご希望に沿ったプログラムを企画します。
具体的なものがあればお申し付けください。
Facebookページ
お知らせ掲示板
『みな伝協』のご案内
☆実施人数:3名以上(各教会グループ)
☆実施期間:2016年10月~12月
水〜土曜日のうち1泊2日から
メール
¥158,409,260
Information
あの3・11から5年。変わりゆく被災地の本当の姿を
教会の仲間とお誘い合わせ、ご覧ください。
エマオ石巻チャプレン
エマオ石巻
事務局スタッフ(仙台)
教会ボランティアコーディネーター
仮設住宅・復興住宅支援アドバイザー
¥5,046,799
2階
[email protected]
http://emao311.org/
http://www.facebook.com/emmaus.sendai/
*毎月11日に、メールマガジンを配信しています。詳しくは、事務所までお問い合わせください。
4