自然環境の概要 1) 気候 本 市 の気 候 は年 間 を通じ て 比 較的 温 暖で 、 平成 23 年 の平 均 気温 は 16,1 度 、 年間 降 水 量 は 1,333mm と な って い ま す 。 5,000 30 年間降水量(㎜) 20 3,000 15 2,000 10 1,000 平均気温(℃) 25 4,000 年間降水量(mm) 平均気温(℃) 5 0 0 14 15 16 17 18 19 平成(年) 20 21 22 23 年 間 降 水量 と 平均 気 温の推 移 2) 地形 本市の地形は、北部の丘陵地、相模川や小出川周辺の沖積低地、丘陵地から海岸ま で の 砂 丘地 帯 によ り 構成さ れ て いま す 。 丘陵地 : 北 部 の 丘陵 地 は高 座 丘陵と 呼 ば れ、 香 川・ 甘 沼・赤 羽 根 以北 に 位置 し て い ま す。 丘 陵面 を 小出川 や 駒 寄川 な どが 浸 食し、 芹 沢 ・行 谷 ・堤 ・ 下 寺 尾 など の 谷戸 を 形成し て い ます 。 沖 積 低 地: 河 川 の 洪水 時 に土 砂 が堆積 し て 出来 た 微高 地 である 自 然 堤防 が 、河 川 に 沿 っ て平 行 に形 成 されて い ま す。 自 然堤 防 の外側 に 位 置す る 後背 湿 地 は 、 以前 は 水田 ・ 荒地・ 沼 地 等で し たが 、 多くが 埋 め 立て ら れ、 住 宅 地 や 工業 地 とし て 利用さ れ て いま す 。 砂 丘 地 帯: 北 部 の 丘陵 地 から 海 岸線ま で の 約 4 キ ロメ ー トルに わ た る地 域 に分 布 し 、 東 西方 向 に砂 丘 列があ り ま す。 3) 地質 丘陵地は、通称赤土と呼ばれる関東ロ-ム層で覆われており、その下部には、高座 -1- 丘陵砂礫層や相模野礫層と呼ばれる砂礫層が堆積しています。沖積低地の自然堤防に は砂層が堆積し、後背湿地には粘土層が分布しています。砂丘地帯 には砂が堆積して います。 4) 水系 本 市 は、 藤 沢市 遠 藤を水 源 と する 小 出川 、 藤沢市 城 南 5 丁 目 (旧 羽 鳥村 四 家 ) を 水 源とし、市街地を流れる千ノ川、北部丘陵を水源とする駒寄川 が流れており、赤羽根 十三図には小糸川の源流域があります。平塚市との境には、相模川が流れています。 ま た 、 これ ら の河 川 と周辺 の 農 地や 谷 戸を 結 ぶ無数 の 細 流や 用 水路 が ありま す 。 茅 ヶ 崎 市周 辺 の地 形 と水系 ※ 「 茅 ヶ崎 市 みど り の基本 計 画 」よ り 5) 植生 (1) 現 存 植 生 北 部 の 丘 陵 地 に は 、 ク ヌ ギ ・コ ナ ラ 群 集 、 ス ギ ・ヒ ノ キ ・サ ワ ラ 植 林 、 畑 地 雑 草 群 落 、 水 田 雑 草 群 落 等 か ら 成 る 谷 戸 環 境 を 中 心 に 、 ゴ ル フ 場 ・芝 地 、 路 傍 ・空 地 雑 草 群 落 等 が 分布しています。市の中部は市街地や工場地として利用されており植生は貧弱で 、小 出川周辺や萩園地区や西久保地区の一部が畑地や水田として利用されていることから、 畑地雑草群落、水田雑草群落が 分布しています。南部は古砂丘地帯が造成されて住宅 地として利用されており、植生は貧弱となっています が、海岸沿いに防風林または防 砂 林 と して 植 栽さ れ たクロ マ ツ 植林 が 海岸 と 平行に 帯 状 に分 布 して い ます。 -2- 現 存 植 生図 -3- 6) 動植物 本市には、樹林地、農地、草地、水辺やこれらが集まる谷戸などの自然環境、生き 物を育み地域に潤いをもたらす河川、地域の人たちによって守られてきた社寺林や屋 敷 林 な ど、 多 様な 動 植物の 住 処 が残 さ れて い ます 。 (1) 谷 戸 樹林、水田、湿地、細流、草地等が一体となった谷戸は北部丘陵に多く、多様な 動植物を育んでいます。特に「茅ヶ崎市自然環境評価調査」により特に重要度の高 い 自 然 環 境 ( コ ア マ ッ プ 対 象 地 区 ) と さ れ た 「 柳 谷 」「 行 谷 」「 清 水 谷 」「 赤 羽 根 十 三 図 」 では 、 多様 な 動植物 の 生 育・ 生 息が 確 認され て い ます 。 茅 ヶ 崎 市の 主 な谷 戸 柳谷 約24haの規模を有する市内最大の谷戸であり、神奈川県立茅ケ崎里山公園の一部となっています。 谷戸にはオオハナワラビ、イカリソウ、ハンノキなどの植物、シオヤトンボ、トゲナナフシなどの昆 虫類、シュレーゲルアオガエル、ニホンアカガエルなどの両生類や、オオタカ、ヤマガラをはじめとす る野鳥も数多く見られます。 行谷 地区全域が谷戸地形で、素掘りの細流や、耕地整理されていない水田、畑など、昔ながらの景観が残 っています。 細流では水生昆虫のタイコウチが生息しており、周辺の湿地ではヒゲナガハナノミやカトリヤンマな どの昆虫が見られます。オオハリイ、キクモなどの湿性植物も生育しています。アマサギ、チュウサ ギ、タシギ等の水辺を好む鳥類も見られ、初夏には、シュレーゲルアオガエルの声が響き、オギ原では カヤネズミが営巣しています。斜面林はアカガシを主とする常緑広葉樹林となっており、カケスやアオ ゲラ等の野鳥が見られます。 清水谷 堤字天神原にある数ヘクタールの谷戸で、源頭部にある湧き水は駒寄川の源流の一つとなっていま す。 細流にはホトケドジョウが生息しており、周辺の湿地には市内ではここだけしか確認されていないカ サスゲが生育しています。また、谷戸底の池でニホンアカガエルが産卵しています。谷戸底を囲む樹林 地にはシュウブンソウやツリバナが生育しており、オオタカ、カケス、シロハラといった野鳥も見られ ます。 赤羽根十三図 引地川水系の小糸川の源流にあたる谷戸です。 細流にはホトケドジョウが生息し、市内ではここだけしか確認されていない昆虫のネグロセンブリも 生息しています。周辺の湿地にはイヌヌマトラノオ、ヒメシロネ等の植物が生育しており、周辺の樹林 には、ヤマユリやダイコンソウが生育しており、イボタノキを食草とするウラゴマダラシジミが生息し ています。草地には、ホオジロ、チョウゲンボウ、モズ等の野鳥が生息しています。 -4- (2) 草 地 「茅ヶ崎市自然環境評価再調査」により久保山から行谷にかけての小出川沿いは、 草 地 評 価が ラ ンク 5 と高 く 、 小出 川 沿い の 農地、 適 度 に管 理 され た 自然の 土 手 、起 伏に富んだ地形等の存在により、ホオジロやヒバリ等の草地を好む鳥類、ギンイチ モンジセセリ、シブイロカヤキリモドキ等の昆虫類が生息しています。また、帯状 の 草 地 が残 さ れて い ること か ら 、カ ヤ ネズ ミ の確認 数 も 多い 地 域と な ってい ま す 。 (3) 河 川 相模川の河川敷に広がった畑や草地は動植物の生育・生息の場としてだけはなく、 昆 虫 や 小 型 哺 乳 類 の 移 動 経 路 と し て も 重 要 な 役 割 を 果 た し て い ま す 。「 茅 ヶ 崎 市 自 然環境評価再調査」により特に重要度の高い自然環境( コアマップ対象地区)とさ れた「平太夫新田」は、水際にヨシ原が広がり、オオヨシキリやカヤネズミの繁殖 地となっています。ギンイチモンジセセリ、ジャコウアゲハ、キリギリス、マツム シ 等 の 昆虫 類 も生 息 してい ま す 。 水域に目を向けると、小出川には アユ、ウグイ、ニゴイ、ウナギ等の魚類や、ヌ カエビ、モクズガニ等の水生動物などが生息しています。千ノ川には、ウナギ、ア ユ、ギンブナ、ニゴイ等の魚類や、テナガエビ、マシジミ、モクズガニ等の水生 動 物 が 生 息し て いま す 。 (4) 海 岸 相 模 湾 に 面 し た 海 岸 沿 い に は 、「 茅 ヶ 崎 市 自 然 環 境 評 価 再 調 査 」 に よ り 特 に 重 要 度の高い自然環境(コアマップ対象地区)とされた「柳島」に代表される砂浜と砂 防林のクロマツ林が広がっています。サイクリングロード沿いやクロマツ林等には、 コウボウシバやハマヒルガオ、ハマエンドウ、スナシバといった砂浜で確認できる 植物が生育しています。昆虫類では、オサムシモドキ、クロマメゾウムシ、キリギ リ ス 等 が生 息 して い ます。 ま た 、ミ ユ ビシ ギ 等の渡 り 鳥 も確 認 され て います 。 (5) 浅 海 域 沖 合 約 1.6km の と こ ろ に あ る 姥 島 は 、 30 数 個 の 島 か ら な り 、 そ の 中 に 烏 帽 子 岩 ( 標 高 14.7m) の そ び え る エ ボ シ 本 島 が あ り ま す 。 烏 帽 子 岩 は 、 ク ロ ダ イ や イ シ ダ イのよい釣り場となっています。また、カゴカキダイやメジナ、ニシキベラ、ネン ブツダイも確認されています。その他、イボタマキビガイ、アコヤガイ、アオウミ ウシ、マダラウミウシなど暖海に生息する動物が多く確認されており、黒潮の影響 を 受 け てい る こと が うかが え ま す。 -5- (6) 市 街 地 市街地に点在する公園、緑地、社寺林、屋敷林等が、動植物の貴重な生育・生育 の場所となっています。例えば、高砂緑地には、クロマツを中心とした樹林があり、 フユノハナワラビ、ネズミガヤ、タチツボスミレ、センダングサ等の生育が確認さ れています。また、住宅地内にクロマツ等の緑が多い中海岸地区(茅ヶ崎市文化資 料 館 敷 地) で は、 ハ クビシ ン や タヌ キ が確 認 されて い ま す。 (7) 生 態 系 ネッ ト ワー ク 相模川や小出川といった河川、北部丘陵の斜面林やそれをつなぐ水田や畑、海岸 域に沿って分布するクロマツ林などは、重要度の高い自然環境(コアマップ対象地 区 ) を つな ぎ 、生 き ものの 移 動 経路 や 生育 ・ 生息の 場 と して 利 用さ れ ていま す 。 生 態 系 ネッ ト ワー ク 図 ※「茅ヶ崎市みどりの基本計画」p58より -6-
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