材料評価学 第 10 回 前回: 硬さ試験における ・計装化押込み試験 今回: 衝撃試験における ・ 「衝撃試験」とは ・衝撃吸収エネルギーと破壊形態 ・延性−ぜい性遷移 「材料評価学」第 10 回 10. 衝撃試験 10.1 「衝撃試験」とは?: ・一般的: 図 10.1 切欠き付き試験片の衝撃曲げ試験 10.2 シャルピー衝撃試験 ●試験方法: ●定義式 ・衝撃吸収エネルギー: ・シャルピー衝撃値: 1 図 10.2 シャルピー衝撃試験片 「材料評価学」第 10 回 ・ 例題:焼入れした構造用炭素鋼 S45C 試験片にシャルピー衝撃試験を行ったところ,β = 138.1°であった.W = 38.84 kgf,R = 0.725 mm,α = 141.0°のときの材料の衝撃吸収エネ ルギーE を求めよ. 10.3 衝撃吸収エネルギーと破壊形態 図 10.3 荷重−たわみ 曲線と破面 ●シャルピー衝撃試験の荷重−たわみ曲線: ●荷重−たわみ曲線下の面積: 曲線の形態 破面 形式Ⅰ 形式Ⅱ 形式Ⅲ 形式Ⅳ 2 「材料評価学」第 10 回 10.4 延性−ぜい性遷移 ●鋼においてぜい性破壊が生じやすい条件: (1) (2) (3) ・シャルピー衝撃試験には(1),(3)の要素が含まれている ・ ・衝撃吸収エネルギーの大小: ・ある温度を境にして,衝撃吸収エネルギーや ぜい性破面率の遷移が生じる: 図 10.4 衝撃吸収エネルギー, ぜい性破面率と温度の関係 ●延性−ぜい性遷移温度の定義: (1) (2) 3 「材料評価学」第 10 回 ・問い:fcc 金属(例:アルミ合金,ステンレス鋼)における,試験温度と衝撃吸収エネルギー の関係はどのようになるか? ●鋼の延性−ぜい性遷移温度へ影響を及ぼす因子: (1) (2) (3) (4) (5) (6) 4 「材料評価学」第 10 回 10.5 本講義に関する意見・感想・質問のまとめ ●意見・感想 ・特になし:29 ・今回学んだことを実験にもいかしていきたい,実験と結びつけて考えたら分かりやすかった,ちょうど実験 でやったばかりなのでうまくレポートに活かしていきたい:3 ・シャルピーはまだなので先に授業でやれてよかった,シャルピー衝撃試験も楽しみ:2←意外と試験片があ っさり壊れるのでむしろ拍子抜けするかもしれません. ・引張試験で割とびっくりした,先週の実験で引張試験の破断音にびっくりした:2←よく見ていないといきな り壊れるのでびっくりしますよね. ・しっかりと復習する,期末テストが近づいてきたので分からないままにしていることが無いように復習する: 2←もし本当に分からないところがあるなら,メールでも直接でもいいので問い合わせてください. ・小テストが難しかった,テストの出来が悪かった:2 ・以下一人ずつ: 同じ材料で同じ力なのに違う変形が起こるのは面白い,思っていたよりハンマーが大きかったので驚いた, ありがとうございました, おいしいラーメンが食べたい←私が最近好きなのは南区の「俺のラーメンジョー」ですね.既に有名な店 ですが,外れなしです! エネルギーを吸収するほど破面が延性破面になるとことが少しよく分からなかった(見た目が汚い破面に なる?)←エネルギーを吸収するということは,試験片が破断するまでに変形(塑性変形)する量が大きい ということで,これが延性破壊です.一方,ぜい性的な破壊では,ほとんど塑性変形しないので吸収エネ ルギーが低いです.また,延性破壊とぜい性破 壊が示す破面として,以前説明した微視的破 壊形態の図を右に示します(左:微視的延性破 壊,右:微視的ぜい性破壊).このように,微視 的延性破壊では塑性変形が進行した結果とし てディンプルという特徴的な凹凸の激しい破面 を呈します.一方,微視的ぜい性破壊ではリバ ーパターンというへき開破壊特有の比較的平 滑な破面を示します. 補講希望:4 限:36 5 限:4 ←この結果から,基本 4 限を第一候補として進めます.決まったら学 務情報システムでお知らせします. プロジェクターの映像 or 字が少し見にくい,字が小さい:8←もう少し工夫できないか,考えてみます. ●質問 ・持ち上げ角を 141.0°に定めるのは何か理由があるのか?←確認したところ,持ち上げ角αは各試験機に よって異なる(試験機毎に較正を行い,それによって持ち上げ角を定める)ようです.うちにあるシャルピ ー衝撃試験機の角度が 141.0°だったので,てっきりそれが決まった角度かと思いこんでいました.指摘 ありがとうございました. ・小テストでは K は与えられていたがε は無かった→K やε も覚えなければならないのか?←難しいところで す・・・確かに,K やε は圧子形状によって変わるので,そこは値を与えておいても良かったですね.今後の 参考にさせてもらいます. 5 「材料評価学」第 10 回 ・ ・ 6 「材料評価学」第 10 回 10.6 第 9 回小テスト解答 Q.1 計装化押込み試験について述べた次の文章中の空欄に当てはまる語句を記入せよ. [各 2 点,計 6 点] 計装化押込み試験の特徴は,圧子にかかる[ ① ]と圧子の押込み深さを連続的に計測し,それらを 用いて材料の機械的特性値を評価する点である.押込み硬さ HIT の算出及びビッカース硬さ HV への換 算は以下の手順で行う. A.1 ・圧子の接触深さ hc = hmax − [ ② ] ①[ 試験力 ] ・圧子の接触投影面積 Ap = 24.50 ⋅ hc2 ②[ ε ( hmax − hr ) ・押込み硬さ H IT = [ ③ ] ③[ Fmax Ap ] ] ・ビッカース硬さ HV への換算 HV = 0.0945⋅ H IT (ビッカース圧子の場合) Q.2 以下の押込み線図より HIT を算出し,HV へと換算せよ.[4 点] A.2(解答例,実測値は多少の誤差も OK とする) Test force F [gf] hr = 4.50 µm (最小目盛り 0.5µm なので 0.05µm 刻みで 読み取り) hmax = 5.25µm Fmax = 200. gf = 0.200 kgf = 1.96 N hc = hmax − ε ( hmax − hr ) = 5.25 – 0.75×(5.25 – 4.50) = 5.25 – 0.75×0.75 =5.25 – 0.5625 =4.69µm = 4.69×10-3 mm Indentation depth h [µm] Ap = 24.50 ⋅ hc2 = 24.50×(4.69×10-3)2 = 5.320…×10-4 mm2 = 5.32×10-4 mm2 H IT = Fmax Ap = 3684.21… = 3.68×103 MPa → HV = 0.0945⋅ H IT = 347.76 = 348 注:このような線図からの読み取りの場合,グラフの目盛りから直接読み取るより,グラフのある長さ(例: 横軸の 0~5µm)を定規で測り取り,定規の目盛りの読みから換算するとより正確な測定が可能となる. 7
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