すぐに使える学校情報(生徒指導) いじめの積極的な認知について 義務教育課 いじめ防止対策推進法が施行されて,3年目に なります。本県でも基本方針に基づいて,いじめ の認知や対応が行われています。ここでは,「本 県におけるいじめの現状」,「いじめの正しい定義 による認知」を踏まえて,いじめの問題の積極的 な認知について以下に示します。 【いじめ防止対策推進法の定義】 児童等に対して,当該児童等が在籍する学校に在籍してい る等当該児童等と一定の人間関係にある他の児童等が行う心 理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じ て行われるものを含む。)であって,当該行為の対象となっ た児童等が心身の苦痛を感じているもの。 学校生活において,ついつい,「人間関係のト 本県におけるいじめの現状 ラブルは成長に必要だ。」, 「あれは,からかいだ。」, 文部科学省が毎年度実施している,問題行動等 「これ位は大丈夫だ。」などの理由で,いじめら 調査によると,本県公立学校における,いじめの れている児童生徒を見過ごしていないでしょうか。 認知件数は,全校種で,平成 24 年度は 32,031 件, いじめ防止対策推進法第2条による,いじめの定 平成 25 年度は 14,196 件,平成 26 年度には,5,094 義を踏まえ,いじめについての認識を改めて振り 件へ減少してきています。これは,「いじめ問題 返ってみることが必要ではないでしょうか。 について考える週間」が全県で定期的に行われた いじめの問題の積極的な認知のポイント り,いじめアンケートによる実態把握が丁寧に行 例えば,学校によっては,認知件数が「零」と われたりしたことにより,いじめの問題が解消し いう学校があったとします。その場合,児童生徒 ているものと考えることができます。しかし,そ 及び保護者向けに公表し,検証を仰ぐことで認知 の一方で,いじめの問題が長期化したり,いじめ 漏れがないか確認する必要があります。また,基 の認知もれがないように留意が必要です。 本方針の毎年度の見直し,不登校になった場合の 対応,組織での対応など,いじめの問題の認知を 本県におけるいじめの認知件数の推移 する上で,いずれも欠かせないポイントです。1 件 学期が終わるこの機会に,ぜひ,学級や学校の状 25000 22469 況を振り返ってみましょう。 平成26年度問題行動等調査を受けての対応 -いじめの問題への対応のポイント- 20000 15000 10000 約10分の1 平成24年度 平成25年度 8447 平成26年度 6208 5000 4028 2183 2034 840 0 小学校 ② 学校いじめ防止基本方針は,毎年,PDCAサイクル をもとに検証し,見直しを行う。 3266 1653 中学校 高等学校 ① 認知件数が零であった学校は,そのことを児童生徒や 保護者に対し公表し,認知漏れがないか確認を行う。 88 68 37 特別支援学校 平成26年度児童生徒の問題行動等調査結果より いじめの定義の再確認を いじめの定義は,いじめ防止対策推進法第2条 に示されているとおりです。ここでは,従前に言 われていた, 「自分より弱い者に対して」とか, 「一 方的」といったことは示されていないことに留意 が必要です。いじめの認知については,過去の定 義や社会通念上の定義によるのではなく,いじめ 防止対策推進法第2条に示された定義によって判 断することが求められています。 ③ 不登校になったきっかけがいじめの場合,特段の事情 がない限り,「重大事態」としての対応が必要となる場 合がある。 ④ いじめの対応については,学校全体(組織)として 対応する責務がある。担任等の個のみで対応した場合は, 過失として問われる可能性がある。 本県では,いじめを1件でも多く発見し,それ らを解消していくことが大切であると考え,いじ めの積極的な認知を行っています。通知等(平成 28 年3月29日付鹿教義第809号「いじめの正確な認知 に向けた教職員間での共通理解の形成及び新年度 に向けた取組について(通知)」など)を参照し, 今後も,各学校で適切にいじめの認知がなされる よう期待しています。
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