1 仕様書 1.件名 平成28年度アジア産業基盤強化等

仕様書
1.件名
平成28年度アジア産業基盤強化等事業(TPP発効を見据えたベトナムのものづくり拠点化調査)
2.調査趣旨
(1)目的
本件事業は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の発効後、日系企業によるベトナム投
資の拡大が期待されることを踏まえて、ベトナムに日本型ものづくりシステムを普及・定着させ、
グローバルサプライチェーンの拠点とすることを目的とし、日系企業(製造業)が抱えている課
題(人材確保、部材調達率の向上及び安定的な販路)に対し、必要な基礎調査を行った上で、
今後の支援方策を検討することを目的に実施する。
(2)背景
TPPを契機に、地域の中堅・中小企業には、ベトナムでの新たな事業展開への関心が高ま
っている。関西では東大阪をはじめ、ものづくり中小が集積しており、潜在的には更なる中小も
のづくり企業による進出が見込まれる。こうした中、関西ではベトナムとの取引・進出ニーズの
高まりを受け、関係機関による「関西ベトナム経済交流会議」を設置。近畿経済産業局では、同
交流会議の事務局を務めるとともに、ベトナム商工省やドンナイ省、ホーチミン市などと経済協
力促進にかかる協力文書を締結し、現地投資環境の改善等に努めてきた。
一方、ベトナムでは、裾野産業が極端に脆弱な上、基盤技術を持った現地企業の情報が不
足しており、現地工程分業による日本企業が求める品質での加工が難しい。その結果、価格競
争力に直結する部材の現地調達率が低迷している等の課題が顕在化してきている。こうした中、
日系の中小企業同士が現地でネットワークを築くことにより、品質の高い部材の調達や供給を
可能とし、単体で行うよりも高い競争力を確保しようとする動きも見られる。
また、現地では、2~3年で転職を繰り返すジョブホッピングにより賃金等の向上を図る慣習
があり、将来的に現地法人を任せられるようなマネジャークラスの人材の確保・育成が課題とな
っている。進出企業の中には、予めキャリアパスを提示することにより、起業家精神を養い、長
期的な人材の確保・育成につなげている例があるほか、近年、日本では、ベトナムからの留学
生が急増しており、そうした日本の企業文化等を理解し、日系企業に定着しやすい人材の活用
が期待されている。
そこで、本事業においては、現地における脆弱な基盤技術分野を把握するとともに、現地で
競争力ある生産体制を築くための取組(ものづくりネットワーク構築等)の効果、さらには裾野産
業の育成に欠かせない人材の確保・育成の取組を支援するために必要な調査を実施する。
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3.調査概要
(1) 調査地域
・ベトナム(特に南部のドンナイ省、ホーチミン市を重点地域とする) 及び 日本国内
(関西エリアを中心に)
(2) 調査対象
【ベトナム】
・ベトナム進出の日系企業
・現地の日系企業が所属する日本商工会をはじめとする情報交換や受発注等で連携を
図るネットワーク
例)日越金型クラブ、モノづくり恊働体
・現地政府関係機関、大学等
・技能実習生の送り出し機関等
【日本国内】
・今後ベトナム進出の可能性がある関西のものづくり中小企業
・ベトナムに既に進出している関西のものづくり中小企業
・関西に拠点のある海外人材育成機関、大学等の教育機関を中心に
※アプローチ先となる具体的な機関については、近畿経済産業局と協議の上決定する。
(3) 調査内容・手法
ヒアリングなどによる現状の把握・分析を行い、その結果を用いて、有識者8名程度から
なる研究会(3回程度開催)を設置・開催すること。さらに、研究会の下に「人材確保・育成」
に係る分科会(2回程度開催)を設置し、海外人材の育成、留学生を受け入れている教育機
関などの関係機関5機関程度からの有識者による検討を行った上で、最終的な支援方策を
研究会としてとりまとめる。詳細な事業内容は以下のとおりとする。
Ⅰ.現地における裾野産業の強化に向けた事業
(ⅰ)文献調査・アンケート・ヒアリング等による実態調査の実施
・ベトナム(北部及び南部の2地域)において、不足している裾野産業について、基盤技
術分野(鋳造、鍛造、金型、熱処理、めっき、表面処理 等)別に、以下の調査結果を
参考にしつつ、最新の動向や南北の地域特徴をとらえたリストを作成する。
① ベトナム国開発課題達成のための我が国民間セクターリソースの活用可能性及
び資金支援スキーム設計調査(平成23年7月 (独)国際協力機構)
② 中小企業のベトナム展開支援のための現地ワンストップサービスの整備及び裾
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野産業支援等に向けた調査研究(平成25年2月 近畿経済産業局)
・文献調査だけでなく、現地日系企業等に対して、アンケート及び現地ヒアリングを実施
し、現地での協力工場との連携状況や現地一貫生産体制における課題・不足している
裾野産業の情報等を収集する。
・現地日系企業等へのヒアリングについては、ベトナム北部、南部でそれぞれ1回は行う
こととし、合計20~30社程度を想定。
なお、想定しているヒアリング先は以下のとおり。
日系大企業、大企業の協力企業、単独進出している中小企業、
韓国・台湾等第三国資本の企業、ローカル企業
・アンケートについては、ベトナム北部、南部を対象に200社程度を想定。
(ⅱ)不足している裾野産業を中心としたベトナム未進出企業情報の把握・整理
・不足している裾野産業分野を中心に、関西のベトナム未進出で今後進出の可能性が
ある企業情報をまとめる。アンケート調査を想定しているが、他に効果的な手法があれ
ば、提案すること。
(ⅲ)企業間のネットワーク化を進めるための取組事例調査
・企業ものづくりネットワークについて、現地の取組事例を調査する。(現地出張を想
定)
・主に以下の観点に基づいて整理すること。
① 企業間ネットワークの構築及びその継続にあたっての要件及び課題
② 進出日系企業にとってのネットワーク参画のメリット及び課題
③ 既存団体(現地日本商工会等)との差異(優位性と課題)
・ネットワーク化以外にものづくり拠点化に資する取組があれば、追加または代替する調
査案を提案すること。
Ⅱ.裾野産業の強化に向けた人材確保・育成事業
留学生や技能実習生等として受け入れたベトナム人材が、日本企業(現地の日系企業含
む)への就職及び定着を目指す取組について、関西及びベトナムの関係機関の取組状況
や関西に就職したベトナム人材へのヒアリング等を整理し、今後の人材確保・育成支援策
について検討を行う。
(ⅰ)ベトナム人材の日本企業(現地の日系企業含む)への就職や定着支援等の取組状況
の把握と整理。留学生が日本企業へのインターンシップ等を通じて日本のものづくり等
を学び、就職に至っているようなモデル的ケースを抽出し、新たな支援策の検討につな
げる。
・関西を中心とした海外人材育成・大学等の教育機関へのアンケート及びヒアリングの
実施
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・アンケートは概ね100機関程度。
(ⅱ)現地の政府機関(想定:商工省、ドンナイ省、ホーチミン市)、大学等の高等教育機関
(想定:ドンナイ省内の大学等)との連携に向けた調査(現地ヒアリングを想定)。
・ドンナイ省内の高等教育機関における日系企業からの寄付講座、日系企業とのインタ
ーンシップの実施などの連携状況。
・関西の大学との連携による留学生派遣(インターンの実施)に対する意向調査
(ⅲ)企業のベトナム人材に関するニーズ調査
・ベトナム人材の採用や支援などのニーズを把握する。
(ⅳ)技能実習生の実態及び日系企業への就職事例に関する調査
・裾野産業分野におけるベトナム人技能実習生の受入や帰国後のフォローの状況
などを文献および所管団体へのヒアリングなどからとりまとめる。
・裾野産業分野において、受け入れた技能実習生がベトナムに帰国し、日系企業に
就職している事例を調査。日系企業に就職したベトナム人材の生声による課題の把握
やその際の送り出し機関や受入機関における対応状況などをヒアリングし、モデル事
例をとりまとめる(一部現地調査を想定)。
(Ⅴ)分科会の開催(人材の確保・育成に向けた支援策の検討、とりまとめ)
・本テーマに係る有識者5名程度による分科会を2回、大阪で開催し、調査結果に基づく
支援方策の検討、とりまとめを行う。
人材確保・育成に向けたより効果的な調査があれば、追加または代替する調査案を提
案すること。
Ⅲ.支援方策の検討及びとりまとめ
調査結果に基づくベトナムのものづくり拠点化に向けた支援方策の検討及びとりまとめ
を行う。
(4)調査実施体制
・本調査を効果的に実施するためのベトナムに関する知見及び実績を有する機関が主体的
な役割を担う調査実施体制を組む(これまでの主な取組実績を提案書に記載すること)。
・近畿経済産業局との連絡窓口担当者を明確に定め、事業の進捗状況の報告や調査事業
の進め方についての相談等を迅速に行うことができる調査実施体制を組む。
4.契約の要件
(1)本事業の対象となる経費は、事業の遂行に直接必要な経費及び事業成果のとりまとめに必
要な経費に限り、以下のとおりとする。
(ア)人件費(業務に直接従事する者の従事時間分に対する人件費
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(イ)事業費
a.旅費(調査等を実施するために必要な旅費、宿泊費など)
b.会議費(調査等を実施するために必要な会場借料、資料作成費など)
c.謝金(研究会等に出席した外部専門家等に対する謝金等)
d.附帯費(事務的経費など)
e.外注費(外部に発注する費用など)
f.印刷製本費(報告書等の印刷製本に関する経費)
(ウ)再委託費(業務の一部を他事業者に委託して実施する費用など)
(エ)一般管理費(10%以内)
(オ)消費税・地方消費税
(2)建物等施設に関する経費、当然に備えているべき機器・備品等(机、イス、書棚、事務機器
等)、事業実施中に発生した事故・災害の処理のための経費などは直接経費として計上できな
い。
5.調査期間
委託契約締結日から平成 29 年 2 月 28 日(火)までとする。
6.成果物
(1)納入物:
・調査報告書及び関連資料 電子媒体 1 式
※調査報告書の電子媒体:ワードファイル及び透明テキストファイル付き PDF ファイル
※調査報告書概要版の電子媒体:ワードファイルないしパワーポイントファイル
概要版については、日本語版と越語版を作成すること
※事業の進捗等に応じ、参考資料の提出を求めることがある
(2)納入先:近畿経済産業局通商部国際事業課
(3)納入期限:平成 29 年 2 月 28 日(火)
7.その他
本調査の具体的内容及び実施方法については、調査の進捗状況や現地事情の変化に応じ
て柔軟に対応することとする。なお、調査の進捗状況については、近畿経済産業局の求めに応
じて逐次詳細に報告を行い、調査の実施にあたっては、近畿経済産業局通商部国際事業課と
協議の上決定し、その指示に従い、業務を遂行することとする。
以上
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