平成28年度事業計画 基 本 方 針 平 成 27 年 9 月 に「 農 業 委 員 会 等 に 関 す る 法 律 」が 改 正 さ れ 、本 年 4 月 か ら 施 行 さ れ るが、農業委員会の所掌事務に、農地等の利用の最適化の推進(農地等として利用す べき土地の農業上の利用の確保並びに農業経営の規模の拡大、耕作の事業に供される 農地等の集団化、農業への新たに農業経営を営もうとする者の参入の促進等による農 地等の利用の効率化及び高度化の促進)が加えられた。さらに、農地利用最適化推進 委員の制度が設けられ、農地利用最適化推進委員は農地中間管理機構との連携に努め なければならないとされた。 ま た 、 2015 年 農 林 業 セ ン サ ス の 概 数 値 に よ る と 、 本 県 の 基 幹 的 農 業 従 事 者 数 は 51,235 人 、平 均 年 齢 は 68 歳 で あ り 、そ の 内 、60 歳 未 満 が 占 め る 割 合 は 21% と な っ て いる。このままで推移すると、近い将来、担い手が急激に減少するとともに、借り手 や買い手がいない農地が急増することが予想される。 以上のことから、本県においても農地中間管理事業の目的である「農業経営の規模 の拡大、耕作の事業に供される農用地の集団化、農業への新たに農業経営を営もうと す る 者 の 参 入 の 促 進 等 に よ る 農 用 地 の 利 用 の 効 率 化 及 び 高 度 化 の 促 進 を 図 り 、も っ て 、 農業の生産性の向上」の推進を、農業委員会とも連携して急ぐ必要がある。 しかし、農用地の中には集団的な優良農地から市街化が進んでいる地域の中にあっ て小区画で分散しているものまであり、農地の権利移動にあっては、必ずしも農地中 間管理事業のみが適正な事業とは言えず、農地法や農業経営基盤強化促進法の利用権 設定等促進事業の中の様々な事業等とのすみ分けも必要と思われる。また、担い手へ の農地集積・集約にあたっては、農道や農業用・排水路等の維持管理、土地改良区の 賦課金の支払い等について、誰がどのようにするかの取り決めも重要となってくる。 よって、農地中間管理事業の推進にあたっては農業委員会のみならず、県、市町、 農 地 利 用 集 積 円 滑 化 団 体( 農 協 )、土 地 改 良 区 等 と も 連 携 し 、人・農 地 プ ラ ン や 多 面 的 機能支払、農地整備事業等の推進と併せて取り組むとともに、県段階や地域段階、市 町段階における推進体制の整備、農業や農地に関係した事業や制度に詳しい人材の確 保・育成についても同時に進めて行く必要がある。 また、新たな担い手を確保するためには、法人化による農業経営の継続性や人材の 確保も重要であるので、新規事業として法人化に向けた専門家の派遣についても取り 組んで行く。 Ⅰ 1 農地集積対策 基本方向 農業経営の規模拡大、農用地の集団化、並びに新たに農業経営を営もうとする 者の参入を促進することによって、農用地等の利用の効率化及び高度化を図り、 農業の生産性の向上に資するため、公益社団法人静岡県農業振興公社(以下「公 社 」と い う 。)は 、県 、市 町 、農 業 委 員 会 、農 業 協 同 組 合 等 関 係 機 関・団 体 と の 円 滑な連携体制を築いて、農地中間管理事業及び農地売買等事業を進める。 2 事業計画 (1) 農 地 中 間 管 理 事 業 農業経営の規模拡大、農用地の集団化、並びに新たに農業経営を営もうとす る者の参入の促進等により農用地の利用の効率化及び高度化を図るため、離農 又は規模縮小する農業者から農用地等を借り入れ、担い手に農用地等を貸し付 けるとともに、必要に応じて保全管理及び利用条件の改善を行う。 農地中間管理事業計画 区 ( 単 位 : ha) 分 26 年 度 27 年 度 28 年 度 農地中間管理権(借受)面積① 72.3 450 1,000 利用権(貸付)面積② 14.9 500 750 作業委託で管理している面積 0 1.2 10 条件整備の面積 0 0 10 (2) 農 地 売 買 支 援 事 業 ( 農 地 売 買 等 事 業 ) 農地中間管理機構の特例事業として、農地売買等事業を実施する。農業経営 の規模拡大、農地の面的集積を促進するため、離農又は規模縮小する農業者か ら農用地等を買入れ、その農用地を担い手農家に売渡す事業等を積極的に推進 する。 農地売買支援事業計画 区 ( 単 位 : ha) 分 農地売買支援事業 公社単独農地集積事業※ 合 計 買入面積 売渡面積 10.4 10.4 2.4 2.4 12.8 12.8 ※(公社)全国農地保有合理化協会の融資要件を満たさないものを公社単独事業 で実施。 (3) 農 地 貸 借 事 業 ア 農地保有合理化事業 農 地 保 有 合 理 化 事 業 は 平 成 26 年 3 月 末 を も っ て 廃 止 さ れ た が 、 同 事 業 に よる貸借事業を期間満了まで継続する。 所在地:富士宮市根原 借入(貸付)面積 33,799 ㎡ 期 間 満 了 日 : 平 成 29 年 9 月 30 日 イ 茶園集積システム推進事業 茶園の基盤整備を行い、認定農業者へ農地を集積し、茶園を農家に貸付け る。 所在地:掛川市伊達方 借入(貸付)面積 5,987 ㎡ 期 間 満 了 日 : 平 成 32 年 3 月 20 日 (4) 農 地 集 積 の 推 進 農地集積を促進するため、市町、農地利用集積円滑化団体等と連携し、農地 集積に係る啓発、調整及び農地集積と基盤整備の一体的な推進を行う。 (5) 農 業 法 人 等 育 成 対 策 ア 企業参入支援センターの設置・運営 企業参入支援センターを設置し、県や市町、関係機関・団体と連携して、 企業の農業参入を支援する。 項 目 容 参入企業の掘り起こ し、活動支援 ・企業参入相談窓口の設置 ・営農プラン策定に関する指導・助言 ・企業参入セミナーの開催 等 企業の農業参入を支 援する関係機関との 連携 ・営農候補地の選定に資する情報収集 ・農地確保、関係機関との連携 農業参入した企業の 活動支援 法人化に向けた専門 家の派遣(新規) イ 内 ・静岡県農業参入法人研究会の活動支援等 ・企業が栽培技術等を習得できる研修の実施 ・企業の取組強化、スキルアップに係る業務 ・農業者や農地所有適格化法人を設立して農業 参 入 す る 法 人 に 、税 理 士 や 社 会 保 険 労 務 士 な ど を派遣し、農業の法人化を支援 静岡県農業法人協会に対する活動支援 静岡県農業法人支援協議会に参画し、静岡県農業法人協会が行う会員の経 営力強化に関する活動等を支援する。 (6) 農 地 耕 作 条 件 改 善 事 業 農地の耕作条件の改善を機動的に実施し、農地中間管理機構による担い手へ の農地集積・集約化を促進する。 ( 単 位 : a) 地 区 面 積 内 容 島田市笹間石上 155 茶園の改良。区画の拡大、農作業道など 牧之原市大江片浜 176 茶園の改良。区画整理 牧之原市和田・蛭ケ谷 98 茶園の改良。末端畑地かんがい施設など Ⅱ 1 担い手育成対策 基本方向 農業従事者の高齢化や農家出身の後継者不足等により地域農業が脆弱化してい る 中 で 、新 規 就 農 者 を は じ め と し た 多 様 な 担 い 手 を 育 成・確 保 す る た め 、 「農業経 営基盤強化促進法」に基づく青年農業者等育成センター業務並びに自立就農を志 す青年等に対し支援等を行う。 2 事業計画 (1) 青 年 農 業 者 等 育 成 セ ン タ ー 業 務 ア 就農相談活動 就農啓発や就農相談を行う窓口を設け、新規に就農しようとする青年等を 対象に、面談やインターネットによる相談を行う。また、全国段階で開催さ れる就農相談会等に参加し、就農相談や情報提供に努める。 また、無料職業紹介事業にも取り組み、農業法人等への就職希望者への職 業紹介を行う。 イ 関係機関との連携による就農促進 市町で開催される青年等就農計画認定会議や特別融資制度推進会議、国や、 県で開催される就農関係会議等に出席し、新規就農者の育成・確保をはじめ とした就農対策の推進を図る。 ウ 青年農業者の交流促進 農家後継者を中心とした農業青年クラブの諸活動を支援し、青年農業者の 交流促進を図る。 (2) 青 年 等 の 自 立 就 農 支 援 がんばる新農業人支援事業の実施 静岡県内で自立就農を目指す青年等を対象に、先進的な農業経営者のもと で農業技術や経営ノウハウ等を習得するための実践的な研修(1 年間)を行 うため、研修生の募集や研修受入先の地域受入連絡会等の支援を行う。 ア 研修生の募集人数 イ 研修内容 30人 (ア) 新 人 材 育 成 タ イ プ *研修対象者 概ね45歳未満の非農家出身者または第2種兼業農家出身者 *研修メニュー ・地域受入型 研修受入先である地域受入連絡会(研修受入農家、農協、市町、農 業委員会、県等で組織)が、地域での就農に向けた実践研修や就農 準備等の支援を実施し、研修終了後は研修地域で就農する。 ・農業法人等受入型 研修受入先である農業法人等が、 「 の れ ん 分 け 」等 に よ る 就 農 に 向 け た実践研修や就農準備等の支援を実施し、研修終了後は県内で就農 する。 (イ) 後 継 者 強 化 タ イ プ *研修対象者 概ね45歳未満の兼業農家後継者(Uターン就農者等) *研修メニュー 研修受入先である農業法人等が、 「 新 規 作 目 の 導 入 」や「 加 工・販 売 等 の 新 規 事 業 の 立 ち 上 げ( 6 次 産 業 化 )」に 係 る 実 践 研 修 や 就 農 準 備 等 を 支 援し、兼業農家後継者の経営の強化を促進する。 (3) 指 導 的 農 業 者 組 織 等 の 支 援 地域農業の指導的役割を担っている静岡県農業経営士協会と静岡県青年農業 士会の総会・理事会の開催、運営など組織活動の支援及び会計事務を行う。 農業経営士、青年農業士の資質向上と会員相互の情報交換を行うため、全体 研修会の開催など諸活動を支援する。
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