校長だより第 29 号 平成 28 年 7 月 5 日 防災教育と避難訓練 今日 7 月 5 日は期末試験の最終日で、試験終了後に防災避難訓練を実施しました。内閣府が示す『特集防 災教育』では、防災教育について次のように説明しています。 『防災教育とは、究極的には命を守ることを学ぶことであるが、そのためには、災害発生の理屈を知るこ と、社会と地域の実態を知ること(地域の自然条件を理解すること) 、備え方を学ぶこと、災害発生時の対処 の仕方を学ぶこと、そして、それを実践に移すことが必要となる。文部科学省では、学校における防災教育 のねらいを、一つ目は「災害時における危険を認識し、日常的な備えを行うとともに、状況に応じて、的確 な判断の下に、自らの安全を確保するための行動ができるようにする」 、二つ目は「災害発生時及び事後に、 進んで他の人々や集団、地域の安全に役立つことができるようにする」 、三つ目は「自然災害の発生メカニズ ムをはじめとして、地域の自然環境、災害や防災についての基礎的・基本的事項を理解できるようにする」 としている。 』 今、学校では、 「生きる力」として、基礎・基本を確実に身に付け、いかに社会が変化しようと、自ら課 題を見つけ、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、自らを律しつつ、他人ととも に協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力が挙げ られており、この「生きる力」を育むために様々な教育活動を行っています。そこで、学校においては安全 に関する指導を適切に行うことが必要とされています。今日の火災を想定した避難訓練が、 「訓練をした」と いうことで終わらずに、防災の意識を高めたり災害後のボランティア活動に関心や意欲を持ったり、地域の 環境や災害について学ぼうとする意欲の向上など様々なところにつながってくれるといいと感じています。 今日の避難訓練の講評を、山根教頭が以下のように述べました。 今年度第1回目の防災教育、避難訓練です。今回の避難訓練の目的は、 「火災発生時の避難 経路を確認し、迅速かつ安全に避難するための行動を理解し、規律ある集団行動ができ、自 他の安全を確保するための行動を身に付ける」とあります。要約すると次の3点です。 1 避難経路の確認 2 迅速かつ安全な集団行動 3 自他の安全の確保 です。緊急放送から避難完了までの時間が、6分48秒でした。皆さんの避難の状況を松江 消防署の方や先生方に見ていただきました。報告のあったメモには、特に記載がありません。 松江南消防署からも 4 名の方に 皆さんがきちんとした態度で避難できており、良かったと思います。松江消防署の方にも同 参加いただき、ご指導をいただ じように褒めていただきました。 きました。 皆さんは、保育園や幼稚園に通園する頃から小学校、中学校、高校と必ずこの訓練を受け てきました。ですから、火災や地震などの災害についての知識や避難行動については、意識 が高く、落ち着いて行動するなどの基本的な内容については、よく知っていると思います。 しかし、最近ではゲリラ豪雨、土砂崩れ、竜巻などの自然災害が発生するようになりました。 そのため、学校などの教育現場だけでなく、職場や地域それも地区をあげて、市役所と病院 とが連携するなど、広範囲での避難訓練が行われるようになってきました。最近は、防災教 育と言いますし、 「環境防災科」を設置している学校もあるなど重要なことです。 私たちの活動場所は様々です。遠征に出かけてホテルや旅館に宿泊する、校外活動では、 施設や事業所などが学習活動の場となるといったことは、数多くあります。こうした場所で、 災害が発生すれば、まず指示を聞く、誘導に従うといったこともちろんですが、時には、自 分たちで必要な情報を収集してどこが安全か判断して、行動するといったことも重要です。 ぜひ安全な場所や非常口といったことを確認するなど防災に対する高い意識を日頃から持っ て欲しいと思います。 今日は火災を想定していますので、火災について少しだけ触れておきます。火は、生活に 欠かせないものですから毎日扱っています。学校での扱いは、実験や実習の時などごく限ら れています。扱いについての注意事項は、先生方から指導していただいて皆さんも注意深く実施しますので、大丈夫ですが、住宅 火災では年間で、43,000 件あまり発生しています。原因は、第 1 位が放火、第 2 位がコンロ、第 3 位が放火の疑いなどとなって います。放火は、事件性のあることですので、ここで触れることができませんが、台所のコンロはその場を離れる、消し忘れとい ったことがあるようです。コンロは、皆さんも使っていると思いますので、ぜひ注意をしてもらいたいと思います。この住宅火災 については、逃げ遅れによる死者や負傷者を減らすために、2011 年からすべての住宅において住宅用火災報知器の設置が義務づけ られました。2015 年の推計設置率は、81%とかなり普及しています。皆さんのお家でも付けられたのではないかと思います。 また、皆さんも知っているように、火よりも煙(有毒ガス)が怖く、一酸化炭素がヘモグロビンと結合する力は酸素の 150 倍と 言われ、一息すったら意識がなくなると言われています。このように煙の恐ろしさにも注意しなくてはなりません。根本的には、 この報知器が作動しないように気をつけたいものです。 最後に、こうした機会に災害から身を守る、災害からの被害を最小限に抑える、安全な避難の方法、自分だけでなく周りのこと を考えながら行動すること、例えば自分が避難できて安心して止まってしまい、後ろの人が詰まってしまったということがあるか もしれません。何かあったときに自分だけ助かればいいのではなく、そこに居る全員が安全に避難することが大事、そのために自 分がとる行動を具体的にイメージしてもらいたいと思います。 体育館に入った生徒は、誰一人、一言もしゃべりませんでした。 “集合後は静かに待機する”という教員の指示を生徒た ちは徹底していました。足音だけが響く見事なまでの静寂です。これには正直驚きました。立派な生徒たちです。
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