「毒物及び劇物指定令の一部を改正 する政令(案)」に対して寄せられた

「毒物及び劇物指定令の一部を改正する政令(案)」に対して寄せられた御意見・
情報について
平 成 2 8 年 7 月 1 日
厚生労働省医薬・生活衛生食局
医薬品審査管理課化学物質安全対策室
毒物及び劇物指定令(昭和40年政令第2号。以下「指定令」という。)の一部を改正する政
令(案)については、平成28年5月16日から6月18日までインターネットのホームページ等を
通じて御意見・情報を募集したところ、11件の御意見・情報をいただきました。お寄せいただ
きました御意見・情報とそれに対する当省の考え方につきまして御報告いたします。
御意見・情報をありがとうございました。
○ 指定令の一部を改正する政令(案)について
【概要】
1.改正の内容
(1)次に掲げる物を新たに「毒物」に指定する(指定令第1条関係)。
1) (クロロメチル)ベンゼン及びこれを含有する製剤
(CAS番号)100-44-7
(参考)主な用途:染料・合成樹脂・香料の合成原料、医薬品及び農薬の中間体、
紙力増強剤、ガソリン重合物生成防止剤等として使用。
2) メタンスルホニル=クロリド及びこれを含有する製剤
(CAS番号)124-63-0
(参考)主な用途:難燃化剤、写真関連、繊維染料、農業用化学製品、製薬にお
ける合成中間体。安定化剤、触媒、硬化剤、塩素化剤として
使用。
(2)次に掲げる物を新たに「劇物」に指定する(指定令第2条関係)。
1) グリ コ ール 酸 及び こ れを 含 有す る 製剤 。 ただ し 、グ リ コー ル酸 3.6% 以下を 含
有するものを除く。
(CAS番号)79-14-1
(参考)主な用途:皮膚・毛・爪のケア製品(化粧品)、洗浄剤、塗料剥離剤、
繊維加工仕上げ剤、pH調整剤、有機化学合成の出発物質とし
て使用。
2) ビス(2-エチルヘキシル)=水素=ホスフアート及びこれを含有する製剤。た
だし、ビス(2-エチルヘキシル)=水素=ホスフアート2%以下を含有するもの
を除く。
(CAS番号)298-07-7
(参考)主な用途:希土類の選択抽出剤、ウラン化合物等金属塩の抽出剤、核燃
料の精製、金属の抽出、プラスチック製造の界面活性剤成分、
繊維工業における染色助剤、潤滑油、防蝕剤、抗酸化剤とし
て使用。
3) ブチル(トリクロロ)スタンナン及びこれを含有する製剤
(CAS番号)1118-46-3
(参考)主な用途:プラスチック(ポリ塩化ビニル樹脂等)に添加する安定化剤
の中間体。他の有機スズ化合物の中間体。高純度のものはガ
ラス表面処理剤として使用。
4) 2-セカンダリ-ブチルフエノール及びこれを含有する製剤
(CAS番号)89-72-5
(参考)主な用途:樹脂、可塑剤、界面活性剤及び他の製品の製造における化学
中間体。
5) 無水酢酸及びこれを含有する製剤
(CAS番号)108-24-7
(参考)主な用途:アセチルセルロース繊維、プラスチック及び酢酸ビニルの製
造に使用。医薬品(アスピリン等)、染料及び香料の製造に
おいて、アセチル化剤及び縮合剤として使用。
6) 無水マレイン酸及びこれを含有する製剤
(CAS番号)108-31-6
(参考)主な用途:合成樹脂(不飽和ポリエステル樹脂、樹脂改質剤等)及びフ
マル酸合成の原料。塩化ビニル安定剤、塗料・インキ用樹脂、
農薬の原料として使用。
(3)次に掲げる物について、既に2-メルカプトエタノール及びこれを含有する製剤と
して指定されている「毒物」のうち、10%以下を含有する製剤については、毒物
から「劇物」に指定し(指定令第1条関係:①)、10%以下を含有する製剤のう
ち、容量20リットル以下の容器に収められたものであって、2-メルカプトエタ
ノー ル0 .1 % 以下 を含 有 する も のを 「 劇物 」 から 除 外 する (指 定 令第 2 条関 係 :
②)。
① 2-メルカプトエタノール及びこれを含有する製剤。ただし、2-メルカプトエ
タノール10%以下を含有するものを除く。
② 2-メル カプトエタ ノール10 %以下を含 有する製剤。ただし、容量20リット
ル以下の容器に収められたものであって、2-メルカプトエタノール0.1%以下を
含有するものを除く。
(CAS番号)60-24-2
(参考)主な用途:化学繊維・樹脂添加剤。
(4)次に掲げる物について、既にメタバナジン酸アンモニウム及びこれを含有する製剤
と して 指 定さ れ てい る 「劇 物 」の う ち、 0 .0 1% 以 下 を含 有す る製 剤を 「劇物 」
から除外する(指定令第2条関係)。
○
メタバナジン酸アンモニウム0.01%以下を含有する製剤
(CAS番号)7803-55-6
(参考)主な用途:接触法硫酸製造用触媒、ナフタリン・ o -キシレンの空気酸化
による無水フタル酸製造用触媒、ベンゼンからの無水マレイ
ン酸製造用触媒等の製造、陶磁器(タイル)の着色顔料、試
薬。
(5)次に掲げる物について、既に有機シアン化合物として指定されている「劇物」から
除外する(指定令第2条関係)。
○
2,2,2-トリフルオロエチル=[(1S)-1-シアノ-2-メチルプロピ
ル]カルバマート及びこれを含有する製剤
(CAS番号)951242-61-8
(参考)主な用途:農薬の中間体
2.公布日
平成28年6月下旬(予定)
3.施行期日
平成28年7月1日。ただし、劇物の指定から除外する規定(1.の(3)②の指定令
第2条関係、(4)及び(5))については公布の日。
4.経過措置
(1)本改正の施行の際、新たに毒物又は劇物に指定した物の製造業、輸入業又は販売業
を現に営んでいる者が引き続き行う当該営業については、平成28年9月30日(公布
の日から約3か月後)までの間、法第3条、第7条及び第9条の規定を適用しない
ものとする。
(2)新たに毒物又は劇物に指定した物であって、本改正の施行の際現に存するものにつ
い て は 、 平 成 28年9月30日までの間、法第12条第1項(法第22条第5項において準用する場
合を含む。)及び第2項の規定を適用しないものとする。
(3)新たに毒物から劇物に指定した物(1.(3)②の物質)であって、施行の際現に
存し、かつ、その容器及び被包に毒物の表示がなされているものについては、平成
28年9月30日までの間は、引き続きその表示がなされている限り、劇物に係る必要
事項の表示の規定は、適用しないものとする。
(4)新たに毒物から劇物に指定した物(1.(3)②の物質)について、この政令の施
行前に行った行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
○ 意見等を適宜要約したもの及び当該意見等に対する考え方について(回答の重複を含む。)
意見数
3
意見の概要
・劇物対象の無水マレイン酸及びこれ
を含有する製剤、2-セカンダリ-
ブチルフエノール及びこれを含有す
る製剤について、規制される含有量
の下限値を設定していただけないで
しょうか。
意見に対する考え方
・一部の濃度について下限値を設定す
ることにより、劇物の指定からの除
外を希望される場合には、企業等か
ら除外に相当する試験成績を添付し
て申し出ることができます。この申
出がなされた場合、薬事・食品衛生
審議会において毒物劇物の判定基準
(平成19年3月19日改訂)に照らし
、動物実験における①急性毒性、②
皮膚に対する腐食性、③眼等の粘膜
に対する重篤な損傷等について除外
に足りる新たな知見が見いだされた
場合には、当該知見を含めて除外に
ついての検討を行います。
2
・(クロロメチル)ベンゼン及びこれ
を含有する製剤、メタンスルホニル
=クロリドについては、有機化学で
は汎用する試薬であり、医薬品の部
分構造としても多く含まれておりま
すので、毒物管理下で実験するのは
業務への支障が大きいと考えられる
ことから、再考を御検討いただけれ
ばと思います。
・(クロロメチル)ベンゼン及びこれ
を含有する製剤を新たに「毒物」に
指定することについては、再考をお
願いいたしたく、どのような経緯で
毒物としての値が得られたのでしょ
うか。
・日常流通する有用な化学物質のうち
、主として急性毒性及び刺激性によ
る健康被害が発生するおそれが高い
物質を毒物又は劇物に指定していま
す。これらの物質の用途が有機化学
で汎用する試薬であっても、試験研
究等の場で取り扱うだけでなく、製
造及び輸入時並びに流通段階におい
ても、保健衛生上の危害を防止する
ため、毒物及び劇物取締法による規
制の対象となります。
当該物質に関する急性毒性及び刺
激性について、網羅的に信頼性のあ
るデータを収集し、毒物劇物の判定
基準(平成19年3月19日改訂)に照
らして審議した結果(毒物劇物部会
議事録(日時:平成28年3月1日(火)
16:00~ ) http://www.mhlw.go.jp/
stf/shingi2/0000125072.html)、
当該物質が「毒物」と判定されたこ
とから、指定したものです。その根
拠となるデータについては、薬事・
食品衛生審議会毒物劇物部会資料等
(htto://www.mhlw.go.jp/stf/
shingi2/0000116778.html) に 掲 載
しておりますので、御覧いただけれ
ばと存じます。
1
・(3)②の除外規定には、「容量2
0リットル以下の容器に収められた
ものであって、」という容器容量に
ついての付記がなされていますが、
付記の削除を希望します。
・毒物及び劇物の判定基準によれば、
「毒物に判定された物の製剤は、原
則として、除外は行わない。」とさ
れていますが、物質濃度及び製品形
態から保健衛生上の危害発生のおそ
れがあるとは考えられないものにつ
いては、例外的に毒物及び劇物から
除外されています。
2-メルカプトエタノールは原体
の急性経皮毒性により毒物に指定さ
れていますが、低濃度製剤を多量に
使用しても経皮毒性の発揮が緩徐と
なることから、保健衛生上の危害発
生のおそれがあるとは考えられず、
一定の濃度以下の製剤について、毒
物から除外(劇物に指定)したり、
劇物から除外しています。
ただし、市場に流通している最大
容量の製品形態、研究室等での実際
の最大使用量、様々な状況を想定し
た安全性等を考慮して、「容量20
リツトル以下の容器に収められたも
のであって、」と付記して除外して
います。
1
・既に抗体の保存料(容量1ml)とし
て2-メルカプトエタノールを濃度
0.1%±誤差10%と多少の振れ幅を持
たせて設計していますが、このよう
な場合は規格の中心値である0.1%を
含有するものとして取り扱ってよい
のでしょうか。
・取り扱って差し支えありません。
1
・今回新たに「劇物」に指定された当
該化学物質及びこれを含有する製剤
は、毒物及び劇物取締法Q&A(http
://www.nihs.go.jp/mhlw/chemical/
doku/situmon/qa.pdf)の「問3『製
剤』とは何ですか?」や「問5『○
○を含有する製剤』と規定されてい
る物質の場合、濃度がどんなに薄く
ても毒物又は劇物と見なされますか
?」に対する回答を反映するものと
して考えてもよいのでしょうか。そ
れとも、当該成分が製造過程に由来
する不純物として残留した場合も、
結果として劇物とみなされるのか否
かなのかを御教示ください。
・御指摘のとおり、厚生労働省の化学
物質安全対策室の毒物劇物の安全対
策のホームページのよくある御質問
(毒物及び劇物取締法Q&A)の問
3及び問5の回答で示しているよう
に、何らかの効果を発揮させる目的
で意図的に製品中に配合している場
合には、配合量に関わらず、劇物の
規制対象となりますが、通常、製造
過程等に由来する不純物として存在
する場合には、劇物にはなりません。
2
・公布から施行日までの間に仕様を変
更し、劇物対象外とするような検討
を行うことが多々あります。今回の
公布~施行間は短期間過ぎると思い
ます。公布~施行間に期間をいただ
くように、要望します。
・グリコール酸等、施行からの猶予期
・毒物又は劇物に指定されることに伴
い、毒物及び劇物取締法の規定に基
づき、当該物質の製造、輸入又は販
売に係る登録、登録の変更及び毒物
劇物責任者の設置並びに当該物質の
容器及び被包に対する必要事項の表
示を行わなければなりませんが、こ
1
間の3か月について、延長を希望し
ます。
れらの規定に対応するに当たり、施
行日から約3か月の期間は十分な期
間と考えられます。
・毒劇法は安衛法及び化管法と統合し
て発展的解消すべき時期に来ている
と考えます。SDS制度の普及によ
り(GHS制度の導入以降は特に)
多くの化学品の有害性を不特定多数
が詳細に知り得る状況であり、毒物
及び劇物に指定された物質だけの厳
密な管理は実効性が低くなっていま
す。麻薬取締法で脱法ドラッグを有
効に取り締まれず、これに起因する
重大事故も防止出来ていない現状か
ら、このままでは同じ轍を踏むこと
になると予想します。また、毒劇法
は所謂SDS三法の一つであるため
対象物質が変わるたびにSDSやラ
ベルを訂正せねばならず、特に化学
品関連事業者の健全な事業運営を阻
害することにもなるのではないでし
ょうか。
・今後の業務の御参考とさせていただ
きます。