2016年 7月号(PDF) - 社会福祉法人恵泉福祉会 光の子保育園

社会福祉法人 恵泉福祉会
光の子保育園
園 長 長島 博樹
探究
○ 神さまの創られた自然にふれ、親しむ。
○ 土、砂、水にふれ、心と身体を開放させて遊ぶ。
○ やりたいことや一緒にいたい人がはっきりしてきて、遊びが続く
ようになる。
○ 子どもの育ちを保護者と共に分かち合う。
どんな願い事であれ、あなたがたのうち二人が地上で心を一つにして
求めるなら、私の天の父はそれをかなえてくださる。
(マタイによる福音書18章19節)
行
事
予
7月
8月
定
02 日(土) 誕生日会・大掃除・祭結成式
04 日(月) 避難訓練
05 日(火) キャンプ荷物出し練習(4・5 歳児)
13 日(水) ランチデー
13(水)~15 日(金) 4・5 歳児サマーキャンプ
20 日(水) キッズフォーク(りす)
25 日(月) 森の日(合同「Fun Fun」)
27 日(水) キッズフォーク(3 歳児)
21 日(木) パパママゴスペル練習(ジェンナさん指導)
12 日(金) ランチデー
16 日(火) 流しそうめん(ファミリー)
17 日(水) 流しそうめん(未満児)
5・3 歳児プール(上座公園プール)
18 日(木) 4 歳児プール
(上座公園プール)
19 日(金) 避難訓練
20 日(土) ひかりのこ祭
子どもフェスティバル
光の子 2016 が始まり、まだ 3 ヶ月とは思えないほど、内容の濃い一学期だったと感じ
ます。イースター・親子遠足に始まり、6 月のフェスティバルと光陰矢の如し、いよいよ
4・5 歳児サマーキャンプが近づいてきました。
フェスティバルでは多くの保護者の皆様に、子どもたちの「困っている人の為に頑張る」
という思いに賛同して頂き、ご協力をいただけた事、本当にありがとうございました。
準備は子どもたちから出た「やってみたい事」を形にしていくことから始まります。
「どん
なことをしたら、大人の人達に喜んでもらえるだろう?」と悩み考え、作り上げて漸く形
になりました。その間には、くじけそうになったこともあり、やめたくなった子もいまし
た。その中で、
「お絵かき屋」と提案した年長児の子たちが、会話で成長を感じた場面があ
りました。
「当日 何人お客さんが来るかわからないから、何人書いても、飽きたり疲れたりしない練習をしよ
う」という事で、1 日 5 人から一人づつ増やして、描く練習をしました。
ある日、Mちゃんがお昼ご飯を食べ終わり、トイレへ入ろうとしている所で、私と目が合いました。
「先生、Mね、ちょっとお腹が痛くなっちゃったの。だからトイレ行ってくるね。でも、大丈夫、大丈
夫だからね。安心して。明日までに必ず治すからね。先生心配しないでね。安心してね。」
「なんと気高い精神か!」と感動しました。大人でもそれだけの責任感を持って、仕事しているだろ
うかと。
暑さの中で、1時間といえども、外で頑張ってゲーム屋さんをやり遂げた子ども達。
3 歳児の水族館では、1 時間に 3 回も公演をしてくれました。
ある 3 歳児の「お布団屋さん」に立候補したSちゃんは、最初、歌うのが恥ずかしく、やりたいと
言ったものの、練習が始まると、なかなか喜んでできませんでした。しかし、「あひる組の赤ちゃん
に、歌って寝かせて上げよう」と 0,1 歳児のお部屋でお昼寝の手伝いをしたSちゃん。最初は泣い
ていましたが、Sちゃんの歌で眠った赤ちゃんを見て、自信を付け、当日は生き生きと元気に、自
信満々に「布団屋さん」に取り組んでいました。
これこそ、成長だと一人ひとりのフェスティバルで乗り越え、付けた力は何物にも代え
がたいものと感じました。そして、当日のフェスティバルの心得の通り、
「どんなことでも
楽しむべし!」祖父母の方からお兄さん、お姉さんまで、みんなで楽しんで下さったこと
が、何より子どもたちの達成感を高めたことでしょう。
「乳幼児期から育む自尊感情、生きる力、乗り越える力」
-近藤卓 著-
自尊感情は、基本的自尊感情と社会的自尊感情のバランスがとれていることが大切です。
と書かれています。基本的自尊感情とは、
「自分で自分を大切な存在として尊重する、絶対
的で、無条件の感情」で「生きていていい」
「自分は自分」と自然に思える感情のことです。
これは、
「共有体験」を信頼できる他者と、五感を通じた体験を共にし、その時、その場で
ともに感じ合う事によって、育まれるとされます。
この最も重要な共有体験は、家庭です。夕食を共にする、喧嘩をして仲直りすること、
一緒にテレビを見て笑ったり、泣いたりすることも共有体験です。また、社会的自尊感情
は、要求に応えることで達成感を得たり、その成功について周りから称賛されたり、さら
に、次の成功を求めて挑戦したり、それだけの能力に見合った役割を、与えられたりして
膨らみます。そして、この基本的自尊感情を支える基盤を形成するためには、
「基本的信頼
の獲得に加え、無条件の愛+無条件の禁止があります。」
無条件に愛を与えても、無条件の禁止が欠けていると、子どもに愛が実感できないという
のです。
「世の中には、無条件に駄目なことがあります。たとえば、なぜ人を殺してはいけ
ないのか・・・・
『いかなる理由があってもいけない』という絶対的な禁止以外ありません。
「何がなんでも、駄目なものは駄目」と絶対的な禁止を伝えることができて、初めて「理由
などなく、お父さん、お母さんはあなたを愛している」というメッセージが届くのです。
この両極端のあり方を知っていることで、友達と、又先生と、様々な人との関係で、
暮らしの中で試行錯誤しながら、失敗、衝突して、その範囲を身につけ、適切な距離を
保ち、生活ができるようになるという事です。
この文章を読むと、子ども達が保護者の方々に、共有体験していただいたフェスティバ
ルは、まさにこのような体験だったと実感します。子ども達は、自分が人の為に役立つ存
在である成功体験の中、保護者の方にも喜んでいただきつつ、自分が今日は食べたり、楽
しむのではないという、自分の中で「我慢」をしながら、自分で律する時間を守る経験が
できました。
これは、子どもの成長を信じ願う保護者の方の応援と、愛の力がなければできない時間
です。子ども達は、自分が与えられたり、喜ぶことは簡単にできますが、自分が我慢する
という経験は、イライラしたり甘えが出て、家庭では難しい経験となります。しかし、社
会性を育む上で、とても重要な力でもあります。
フェスティバルで、映画館に立候補した年長児 Y 君は、撮影中何度か同じセリフや立ち位置を
変える中、飽きたり疲れたりし、「もうやらない」と先生に言いました。先生方は集中力や持久力、逃
げないでやり遂げる達成感を味わってほしいという願いを持ちつつ、Y 君に「それなら、園長先生
に自分で言ってらっしゃい」と私の所へ連れて来ました。その時すでに迎えに来られていたお母
様に事情を伝えると、「Y が強く乗り越えて欲しいから、先生にお任せします。」と一旦お家へ帰ら
れ、待っていてくれました。Y 君に「今 Y 君があきらめてしまったら、これから色々な難しいこともや
りたくなくなっちゃうよ。先生は、Y 君に強くなって欲しいし、絶対できるって信じているよ」「お母さ
んも、お友達も応援してくれてるし、それでもやめるならいいよ。」と話しました。しばらく考え「やる」
「頑張る」と返事をしてくれました。Y 君を家まで職員が送って行き、お母様に Y 君が自分で話した
ところ、涙を流して「うれしいよ」と抱きしめてくださいました。
「生きる力、乗り越える力」このように愛があるから禁止があり、子どもの努力を促す我
慢が大人にも必要なのではないでしょうか。家庭だけでは出来ないが、社会的自尊心の高
まりは、こうして社会的集団と信頼し合う家庭とが協力し合って、強め合います。
「出来な
いからやらない」「つまらないから」「難しいから」でなく、子どもの可能性を信じて、共
に努力しあう親子関係、またはその関係に携わる園の先生、保護者同士、お友達と共有
体験を通して育まれる重要な力となるのです。
これは大人になってからは育て直しが厳しい力であり、逆に、大人へと成長過程にあっ
て、挑戦したり新しい「つまらない、面倒くさい」を無駄にせず、世界を開拓してゆく大
きな力となるのです。
今、年長児はお祭りに向けて太鼓の練習を始めていますが、Y 君のお母様は、
「フェステ
ィバルの一件以来、努力することから逃げなくなりました。」と言ってくださいました。
それと同じくして、保護者の方々が、お忙しい中、太鼓の出し降ろしの当番や、当番で
ない日でも「今日早く来たから」と、毎回お手伝いしてくださるお父様。芝植の為に祖父
母の方々までお集まりくださいました。また、お祭りに向け、子ども達の思い出に残る夏
をと、ファイヤーマン・お化け屋敷・ゴスペル・屋台作りに手を上げてくださったお父様、
お母様。先生方が遅くまで残って作業している中、
「差し入れです」と美味しいスウィーツ
を差し入れてくださるお父様方に支えられている愛に感謝致します。
また、その様な大人の方々の後ろ姿を見て、子ども達は社会的自尊感情を、益々高めて
行く夏と確信しております。
さぁ!夏祭りに向けて
光の子共有体験
Let‛s move!