演題:アスファルト混合所設備の環境対策技術

アスファルト混合所設備の環境対技術
~ 現状と課題 ~
日工株式会社
平成28年7月4日
蓬莱秀人
1Research and Development Center
日工株式会社概要
〇 商
号
日工株式会社(NIKKO CO.,LTD.)
〇 本社所在地
兵庫県明石市大久保町江井島1013
〇 設立年月日
大正8年8月13日(1919年)
〇 資
91億9,760万円
本
〇 従業
金
〇 売
員数
上
高
807名(連結:平成28年3月期)
341億円(連結:平成28年3月期)
〇 証券取引所
東京第一部
〇 主要
建設機械の製造・販売
業務
2Research and Development Center
日工株式会社の開発製品
アスファルトプラント
アスファルトプラント
バイオマス燃料バーナ
アスファルトプラント
木材チップ燃焼キルン
アスファルトプラント
AP用ドライヤ
AP用ドライヤ内部
木材チップ乾燥プラント
ガスバーナ
木材チップ燃焼システム
予熱空気バーナ
アスファルトプラント 3,000基以上の納入実績
木材チップ燃焼・乾燥、土壌浄化プラントその他
3Research and Development Center
アスファルトプラントの黎明期Ⅰ
○ 明治40年頃
国内で舗装がはじまる
○ 大正7年
サミュエル・ヒル氏来日
【道路改良急務】
○ 大正10年
アメリカよりプラント輸入
○ 昭和2年
乳剤の製造始まる
○ 昭和13年
AT式簡易舗装始まる
4Research and Development Center
アスファルトプラントの黎明期Ⅰ
大正12年~昭和3年
カンマー式1号
5Research and Development Center
アスファルトプラントの黎明期Ⅰ
昭和6年
高野式国産第3号(800ヤード)
6Research and Development Center
アスファルトプラントの黎明期Ⅱ
○ 昭和20年
日本道路建設業協会設立
○ 昭和22年
日本道路協会設立
○ 昭和25年
日本建設機械化協会設立
○ 昭和26年
東京~神戸間高速道路調査
○ 昭和27年
道路法公布
○ 昭和31年
日本道路公団設立
○ 昭和32年
名神高速道路建設決定
7Research and Development Center
アスファルトプラントの黎明期Ⅱ
昭和22年頃
杉浦鉄工所(300ヤード/H)≒30t/h
8Research and Development Center
アスファルトプラントの黎明期Ⅱ
昭和37年
日本工具製作㈱製アスファルトプラント
9Research and Development Center
アスファルトプラントの大型化
○ 昭和33年
○ 昭和42年
○ 昭和43年
○ 昭和45年
○ 昭和46年
○ 昭和47年
国産1号機プラント完成
公害基本対策法公布
150t/hプラント完成
大気汚染防止法・騒音規制法
東名高速に国産プラント採用
大阪万国博覧会開催
合材サイロ開発
高速道路用180t/hプラント完成
国内最大240t/hプラント完成
10Research and Development Center
アスファルトプラントの大型化
昭和45年
合材サイロ開発
11Research and Development Center
アスファルトプラントの大型化
昭和46年
高速道路用大型プラント180t/h
12Research and Development Center
アスファルトプラントの大型化
大型プラント用マルチクロン(集塵機)
13Research and Development Center
アスファルトプラントの大型化
昭和47年
国内最大のプラント240t/h
14Research and Development Center
アスファルトプラントの公害対策
○ 昭和46年
定置式プラントの普及
○ 昭和48年
第一次オイルショック
公害問題の顕在化
バグフィルタ製造開始
○ 昭和49年
独ベニング社との技術提携
NBバーナ開発(低NOx化)
○ 昭和50年
環境対応型プラント開発
15Research and Development Center
アスファルトプラントの公害対策
昭和48年
日工式バグフィルタ開発
16Research and Development Center
アスファルトプラントの公害対策
昭和49年
独ベニングホーヘン社と技術提携
NBバーナ開発
(低NOx、低騒音)
17Research and Development Center
リサイクルプラント創成期
○ 昭和52年
○ 昭和53年
○ 昭和54年
○ 昭和55年
○ 昭和56年
リサイクルプラント開発
建設廃棄物実態調査開始
東京都再生アスコン採用
米ボーイング社と技術提携
横浜市・川崎市再生アスコン採用
ドラミキプラント完成
札幌市再生アスコン採用
リサイクルユニット完成
再生合材技術指針(案)作成
18Research and Development Center
リサイクルプラント創成期
昭和54年
米ボーイング社と技術提携
昭和54年
米ボーイング社と技術提携
(ドラムミキシング)
19Research and Development Center
リサイクルプラント創成期
昭和56年
リサイクルユニット開発
20Research and Development Center
リサイクルが主役へ
○ 昭和58年
BonDシリーズ発表
NRK・NRU・NRP全盛
○ 平成元年
2in1ドライヤ開発
○ 平成2年
都市型プラント発表
○ 平成4年
ファクトリーBonD発表
○ 平成5年
TOP型リサイクルドライヤ開発
21Research and Development Center
リサイクルが主役へ
平成4年
ファクトリーBonD 発表
22Research and Development Center
リサイクルが主役へ
TOPドラムシリーズ
・ATOP-30
・ATOP-45
・ATOP-60
・ATOP-100
平成5年
トップドラム式のリサイクルドライヤ開発
23Research and Development Center
環境適応型アスファルトプラントへ
○ 平成7年
直接燃焼式脱臭炉開発
○ 平成8年
地下式サテライトシステム
○ 平成9年
新燃焼システム完成
RAVシステム・WELLバーナ
○ 平成13年
ダブルホットビンシステム
○ 平成14年
ダブルドライヤシステム
○ 平成15年
新型バーナシリーズ完成
24Research and Development Center
環境適応型アスファルトプラントへ
排ガス臭気
重油噴霧
アスファルトプラントの
臭気発生箇所
重油噴霧
B
R
R
P
B
油煙
P
出
荷
重油噴霧
油煙
重油噴霧
油煙
25Research and Development Center
環境適応型アスファルトプラントへ
平成7年
直接燃焼式脱臭炉開発
26Research and Development Center
環境適応型アスファルトプラントへ
平成9年
新燃焼システム
RAVシステム開発
27Research and Development Center
環境適応型アスファルトプラントへ
新燃焼システム
Vファン
RAVシステム
バグフィルタ
煙突
Rファン
EGR
ファン
Rドライヤ
脱臭バーナ
脱臭炉
Vドライヤ
28Research and Development Center
環境適応型アスファルトプラントへ
平成9年
RAV-140納入
29Research and Development Center
環境適応型アスファルトプラントへ
・低空気比
・低騒音
・省燃費
・燃焼範囲拡大
NTBバーナ
・低NOx
WELLバーナ
NBバーナ
30Research and Development Center
温室効果ガス
(出典) IPCC第4次評価報告書(2007)より作成
31Research and Development Center
二酸化炭素排出量
32Research and Development Center
大気中の二酸化炭素濃度
33Research and Development Center
日本の気温と猛暑日
34Research and Development Center
低炭素社会の実現
◎ 全世界で326億㌧のCO2を排出
◎ 日本は13億9,500万㌧のCO2を排出
◎ 国内のアスファルトプラントからは
138万5,000㌧のCO2を排出
35Research and Development Center
AP用バーナ燃焼技術の進化
液体燃料
気体燃料
新型NTB
スカム油
LNGサテライトシステム
バイオマス燃料バーナ
ガスバーナ
微粉炭バーナ
予熱空気バーナ
固体燃料
木材チップ燃焼システム
木材チップ燃焼システム
木材チップ燃焼
36Research and Development Center
シェールガス、シェールオイルの
技術的回収可能資源量
(出典) EIA「Technically Recoverable Shale Oil and Shale Gas Resources」(2013年)を基に作成
37Research and Development Center
LNGの電力、都市ガス用販売量の推移
(出典)経済産業省「エネルギー生産・需給統計年報」、財務省「日本貿易月表」、資源エネルギー庁「電力調査統計
月報」「ガス事業統計月報」を基に作成
38Research and Development Center
AP専用LNGサテライトシステム
•
LNGとは液体天然ガスの略語であり、Liquefied Natural
Gasの頭文字を取ったものである。天然ガスは-162℃
の極低温まで冷却すると液体になる。
•
気体の状態に比べると体積が約1/600になる為、大量
輸送と貯蔵が可能。輸送、貯蔵の際には断熱が必要と
なる。
•
米国からのシェール層から採取されるLNG輸入が2017
年より開始。
39Research and Development Center
AP専用LNGサテライトシステム
全国のLNG受入基地からローリーで輸送されたLNGを
受入れ、工場内で貯蔵、気化(ガス化)し、ガスを製造・
供給するシステムで、LNG貯槽、気化器等から
構成されている。
ローリーが走行可能であればガス導管が敷設されて
いない地域でもガス供給が可能である。
写真1. LNG貯槽とローリー車
写真2. LNG気化器
40Research and Development Center
AP専用LNGサテライトシステム
熱交換器
バグフィルタ
排風機
煙突
温水
水
温水式
気化器
ドライヤ
バーナ
燃焼装置
LNG貯槽
41Research and Development Center
AP用バーナ燃焼技術の進化
液体燃料
気体燃料
新型NTB
スカム油
LNGサテライトシステム
バイオマス燃料バーナ
ガスバーナ
微粉炭バーナ
予熱空気バーナ
固体燃料
木材チップ燃焼システム
木材チップ燃焼システム
木材チップ燃焼
42Research and Development Center
バイオマス燃料バーナ
43Research and Development Center
バイオマス燃料バーナ(木質タール)
・木質タール単独燃焼 ⇒ 良好
(木質タール温度70℃)
・排ガス分析
⇒
有害物質生成無し
・木質タールの品質に関わらず
燃焼性良好
排ガス分析表(燃焼量430L/h))
木質タール
計量項目
計量結果
補正値
0.023
0.026
ばい塵濃度[g/Nm3]
硫黄酸化物[ppm]
2.4
窒素酸化物[ppm]
48.1
54.7
酸素濃度[%]
16.6
燃料
A重油
計量結果
補正値
0.010
0.017
3.1
-
16.5
27.5
18.0
-
44Research and Development Center
バイオマス燃料バーナ(廃グリセリン)
<テスト条件>
バーナ:バイオマス燃料バーナ
NTB-10T特
ファン周波数
:44.5Hz
A重油燃焼量
:約350L/h
廃グリセリン燃焼量 :約90L/h
廃グリセリン加熱温度 :約50℃
排ガス分析結果
計量の対象
計量の方法
計量値
排ガス量(湿り)
JIS Z 8808
11000 m3N/h
排ガス量(乾き)
JIS Z 8808
9500 m3N/h
ダスト濃度
JIS Z 8808(円筒ろ紙法)
0.422 g/m3N
フッ素化合物濃度
JIS K 0105(ランタン-アルザリン
コンプレキソン吸光光度法)
JIS K 0109(4-ピリジンカルボン
酸-ピラゾロン吸光光度法)
シアン化合物濃度
塩化水素濃度
JIS K 0107(イオンクロマトグラフ法)
塩素濃度
JIS K 0109(4-ピリジンカルボン
酸-ピラゾロン吸光光度法)
JIS K 0085(チオシアン酸水銀
(Ⅱ)吸光光度法)
臭素濃度
硫黄酸化物濃度
JIS K 0103(イオンクロマトグラフ法)
窒素酸化物濃度
JIS K 0104(PDS法)
NTB-10T特バーナ
15 mg/m3N
<1 mg/m3N
1 mg/m3N
<1 mg/m3N
廃グリセリン
<1 mg/m3N
<10 ppm
56 ppm
火炎の状態
45Research and Development Center
バイオマス燃料バーナ(廃グリセリン)
廃グリセリン混入割合の燃焼比較
廃グリセリン混燃割合(%)
燃焼量 A重油
(L/h) 廃グリセリン
排ガス O2濃度(%)
状態 CO濃度(ppm)
0
450
0
17.9
90
25
450
150
16.7
428
40
450
300
15.9
714
50
450
450
-
バーナファン
背面から
画像 火炎状態
排煙状態
46Research and Development Center
バイオマス燃料バーナ(ヤトロファオイル)
<テスト条件>
バーナ :バーナテスト機
(40~300L/h)
燃焼量 :約110L/h
ヤトロファオイル加熱温度:約80℃
ヤトロファオイル単独燃焼
バーナテスト機
スロート : キャスター施工
ノズル : 1流体ノズル
ヤトロファオイル
排ガス分析結果
項目
ダイオキシン類
(毒性等量)
ジオキシン・ジベン
ゾフラン(実測濃度)
コプラナーPCB
(実測濃度)
O2
CO
計測値
ngTEQ/m3N
計測方法
0.0012 JIS K 0311(2008)
ng/m3N
0.20 JIS K 0311(2008)
ng/m3N
0.088 JIS K 0311(2008)
v/v%
v/vppm
ヤトロファ
火炎の状態
14.0
30
○燃焼状態良好
○ヤトロファオイル単独での
着火、燃焼可能
○1流体ノズルでも問題なく燃焼
47Research and Development Center
AP用バーナ燃焼技術の進化
液体燃料
気体燃料
新型NTB
スカム油
LNGサテライトシステム
バイオマス燃料バーナ
ガスバーナ
微粉炭バーナ
予熱空気バーナ
固体燃料
木材チップ燃焼システム
木材チップ燃焼システム
木材チップ燃焼
48Research and Development Center
アスファルトプラントの燃焼設備
既設バーナを固形バイオマス燃料
燃焼設備に入れ替え
49Research and Development Center
固形バイオマス燃料の
アスファルトプラントへの適応例
アスファルトプラントに導入した
固形バイオマス燃料燃焼システム
50Research and Development Center
固形バイオマス燃料の
アスファルトプラントへの適応例
建設廃材の木材チップ
木材チップの燃焼灰
ロータリーキルン内部
木材チップ燃焼状態
RPF
51Research and Development Center
固形バイオマス燃料の
アスファルトプラントへの適応例
52Research and Development Center
固形バイオマス燃料燃焼設備の課題
① 間欠運転に不適
② 急速予熱に不適
③ 燃焼装置の設置スペースが無い
④ 設備費が高額
⑤ ハンドリング性が悪い
53Research and Development Center
微粉炭バーナの開発が必要
微粉炭バーナ全景
ノズルケーシング内部
ミックスチャンバー内部
ノズル詳細
54Research and Development Center
アスファルトプラントの燃焼設備
既設バーナを
微粉炭バーナに入れ替え
55Research and Development Center
難利用材から木炭燃料を製造
〇 再生可能エネルギーの有効利用
→ 難利用材(森林未利用材)
〇 木質バイオマス発電の電力変換率は
20~25%と低い。
〇 直接APへ熱利用しAPで余剰となる
化石燃料を高効率の発電所で適用。
56Research and Development Center
難利用材
未利
用材
森林
バイオマス
発電所
木材市場
製材所
難利用材
難利用材
抜根材・竹材
土場バーク
土場バーク
(野積み状態のバーク
竹林
抜根材
災害
倒木・流木
自立
燃焼型
炭化炉
炭
化
物
アスファルト
プラントの
代替燃料として
有効活用
57Research and Development Center
自立燃焼型炭化プラント
木材チップの流れ
水蒸気
バグフィルタ
400℃
砂の流れ
木材チップ乾燥ドライヤ
熱風の流れ
排風機
木材チップ
(原料)
放熱排ガスの流れ
排出スクリュ
予熱空気の流れ(凝縮器)
投入スクリュ
乾留排ガスの流れ
排出ガスの流れ
乾燥木材チップ
400℃
凝縮器
木材チップ
乾留
キルン
200℃
製品
燃焼排ガス
+水蒸気
<木材チップのフロー>
木材チップ → 木材チップ乾燥ドライヤ → 乾燥木材チップ
70℃
投入スクリュ
→木材チップ乾留キルン → 木炭+ガス
木酢液
→熱風発生キルン → 灰分
木炭
木質
タール
砂(wet)
800℃
120℃
800℃
バグフィルタ
砂乾燥ドライヤ
予熱空気バーナ
(助燃)
排出スクリュ
排風気
煙突
800℃
熱風発生炉
排出スクリュ
排出スクリュ
灰分
乾燥砂
58Research and Development Center
開発事業の全体像
林業
(森林組合)
購入
販売
道路建設業
(アスファルト合材工場)
利益還元
乾燥砂
アスファルト合材用砂 省エネ
難利用材チップ
砿業
(砕石工場)
〇
〇
〇
〇
〇
〇
高含水砂
利益還元
本事業で
新規開発する
エネルギー
自立型
炭化プラント
収益
省燃費
炭化物
本事業で
新規開発する木炭粉
バーナでAP用代替燃
料として使用
CO2削減
省燃費
重質タール
アスファルト合材用
バインダーの増量材
省資源
省コスト
収益
自立燃焼型炭化炉とAP用微粉炭バーナを開発
難利用材を購入し木炭燃料と重質タールを製造
木炭燃料 → APの代替燃料として販売
重質タール → アスファルトの増量材として販売
炭化プラントの排熱 →乾燥砂 →APの骨材として販売
林業 ⇔ 砿業 ⇔ 道路建設業との連携
59Research and Development Center
開発事業を実施することによる効果
林業への効果
〇 難未利用材を適正価格で販売
砿業(砕石工場)への効果
〇 砂を適正価格で販売
〇
〇
〇
〇
〇
〇
道路建設業(アスファルトプラント)への効果
乾燥砂 →ダンプ輸送効率の増大 →省エネ・CO2削減
乾燥砂 → APの燃費削減 →省エネ・CO2削減
微粉炭バーナ → 設備費削減・省スペース化
木炭燃料 → APの代替燃料 → CO2削減
重質タール → アスファルトの増量材 → コスト削減
低炭素社会の実現と循環型社会の構築に貢献
60Research and Development Center
主要都道府県下での事業化
61Research and Development Center
ご静聴
ありがとうございました。