発表資料 - 宇宙線研究室

平成22年度京都大学理学研究科修士論文発表会 2011/02/04
宇宙線研究室 中村 輝石
• 暗黒物質
• 探索実験NEWAGE
• バックグラウンド低減
• エネルギー閾値低下
• まとめ
• 銀河の星の回転速度が外周部で落ちず
⇒ 銀河スケールに暗黒物質
• 銀河団衝突領域で、重力ポテンシャルの
位置がバリオンの分布と異なる
⇒ 銀河団スケールに暗黒物質
• 宇宙論パラメータの測定(CMBなど)から、
バリオンの約5倍の暗黒物質
⇒ 宇宙論スケールに暗黒物質
⇒ 非バリオンな"暗黒物質"
星の回転速度 [km/s]
銀河の回転曲線
銀河の中心からの距離 [pc]
銀河団衝突領域
宇宙のエネルギー組成
• 反応率が小さい
• 安定
• 質量を持つ(10~1000GeV)
⇒WIMP(LSP, LKP, LTP, etc...)
• (他の暗黒物質の候補もある)
• アクシオン
• Q-ボール
• ステラエルニュートリノ
• ...etc
最も軽い粒子がニュートラリーノの
場合、暗黒物質に成り得る
MSSMで追加される粒子
Weakly Interacting Massive Particle
ニュートラリーノと原子核の弾性散乱のファインマン図
σSD=1pb
M=100GeV
target:F
予想されるエネルギースペクトル
6月
12月
計数率の季節変化は
数%程度
• 季節変化(従来)
大量の標的 ⇒ 固体検出器
予想される散乱角θの余弦分布
• 暗黒物質の"風向き"
飛跡を捉える ⇒ ガス検出器(※)
到来方向異方性には
大きな前後非対称性あり
WIMP
(※)名大NITグループはエマル
ジョンを用いた飛跡検出型探索
実験のR&Dをしている
θ
原子核
New general WIMP search with an Advanced Gaseous tracker Experiment
• μ-TPC:反跳原子核の三次元飛跡を捉える
(※)当研究室OB
• NEWAGEの神岡地下での先行研究(nishimura09(※))から制限曲線
SD反応の散乱断面積への制限(90%C.L.)
WIMP
1)
μ-TPC
CF4ガス
2)
先行研究による制限曲線
電子
原子核
μ-PIC
(pitch:400μm)
2)μ-TPC
1)μ-PIC
・・・ Micro Time Projection Chamber
・・・ Micro Pixel Chamber
• 他の実験に棄却されているものの、ポジティブリザルトを主張する
DAMAの領域の探索 (現行の約1000倍の感度で到達)
• バックグラウンド:1/10 (感度10倍)
⇒ ラドン除去システム
• エネルギー閾値:1/2 (感度10倍)
⇒ 低圧力での運用
• 大型化
⇒ 1m3サイズを数台
(現行は30cm3)
SD反応の散乱断面積への予想される制限
(90%C.L.)
ラ
ド ン、除去
容器の壁
検出領域
(76torr CF4)
U
• 気体 ⇒ 検出領域に侵入
Rn
Rn
1days
エネルギースペクトルの時間変化
ガス交換から1日目
3000
5000
7000 keV
count/keV/kg/days
count/keV/kg/days
α崩壊(約6MeV)
12
10
8
6
4
2
0
12
10
8
6
4
2
0
19日目
19days
3000
• 検出器に微量含まれる放射性不
純物からラドン発生
5000
7000 keV
• α崩壊 ⇒ バックグラウンド
容器の壁
検出領域
(76torr CF4)
U
Rn
Rn
• ガス循環し、冷却活性炭を通す
• 冷却(183K):ラドンを液化
• 活性炭:ラドンを吸着
ラドンの沸点:211K
CF4の沸点:145K
α崩壊
循環ポンプ
600ml/min
活性炭160g
・ 螺旋部:60g
・ 円筒部:100g
冷却機
183K
12cm
• F:流量、P:吸着率、VTPC:体積
• 吸着率=1を仮定
⇒ 流量150ml/minで1/10に
容器の壁
検出領域
(76torr CF4)
U
Rn
α崩壊
循環ポンプ
600ml/min
ラドンの量
Rn
ラドンの時間変化
循環なし
(循環なしのときの一定値を1に規格化)
冷却機
183K
30ml/min
60ml/min
活性炭160g
・ 螺旋部:60g
・ 円筒部:100g
150ml/min
ガス交換後からの日数
• ガス交換後20日でのラドン:1/4
エネルギースペクトルの時間変化
冷却活性炭なし
count/keV/kg/days
12
10
8
6
4
2
0
3000
5000
7000 keV
5days
3000
5000
7000 keV
12
10
8
6
4
2
0
• 流量2.5倍以上のポンプで1/10
になると予想される
1days
3000
5000
7000 keV
5days
ラドンの時間変化
ラドン除去システムなし
3000
12
10 19days
8
6
4
2
0
3000
5000
7000 keV
count/keV/kg/days
count/keV/kg/days
12
10 19days
8
6
4
2
0
3000
12
10
8
6
4
2
0
count/keV/kg/days
1days
count/keV/kg/days
count/keV/kg/days
12
10
8
6
4
2
0
冷却活性炭あり
5000
7000 keV
ラドン除去システムあり
5000
7000 keV
低
圧、運用
圧力ごとの飛跡長(SRIM)
• ガス圧低減(152torr → 76torr)
• 飛跡長が約2倍に
長
短
• 低エネルギー(飛跡が短い)事象に感度
• 暗黒物質に対する感度上昇(約10倍)
予想されるエネルギースペクトル
• 確認すべきもの
• 検出効率
(低エネルギーな原子核反跳)
• 角度分解能
(方向性)
σ=1pb, M=100GeV, target:F
252Cf
• 原子核反跳事象の検出効率:
シミュレーションと測定データ(nhit>3)の比
検出器
• 100keV@152torrの検出効率と同等の検出効率を持
つエネルギーが70keV@76torrに低下
• 半分の50keVに達さなかったのは、
ガスゲイン不足
原子核反跳事象
の検出効率
• 飛跡長:2倍⇒長さ当たりの電子数:1/2
⇒ 必要ゲイン2倍
• 使用したゲイン:1.5倍(=1260/860)
赤:76torr
青:152torr
• 1を超過しているのは、シミュレーショ
ンの不定性
252Cf
• 測定データとシミュレーションを比較
(シミュレーションは角度分解能ごとに作成)
中性子
θ
原子核
• 角度分解能:50+7-2度(100-200keV)
(先行研究:55度@152torr)
⇒これまでと同等の分解能。ゲインの確保により向上が見込まれる
カウント数
カウント(相対値)
• 100keV以下:要アルゴリズムの改良
シミュレーションによる余弦分布
(100-200keV、角度分解能ごと)
中性子による原子核散乱の
余弦分布(100-200keV)
青:測定データ
緑:シミュレーション(σ=50°)
方向に感度を持つ暗黒物質
探索実験NEWAGEにおいて
ラドン除去システムの製作・運用
• ラドン量:1/4
展望・・・・ 流量2.5倍UP ⇒ 1/10
低圧力運用(152torr ⇒ 76torr)
• エネルギー閾値(検出効率から)
イメージキャラクター「だあくまたん」
100keV ⇒ 70keV
• 角度分解能
50°@100-200keV
展望・・・・ ゲインUP ・ 方向決定アルゴリズム改良
⇒ エネルギー閾値を50keVに
ありがとうございました
まだだ、まだ終わらんよ
• 活性炭のラドン吸着の限界は?
• 相互作用は?(エネルギー依存性)
• 圧力半分で標的は半分だよね?