第6講

マーケティングの本質
企業にとっての顧客の意味
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AMAの定義
• 1935年から幾度となく定義を変更
• 2007年10月の定義
– マーケティングとは、
– 顧客、依頼人、パートナー、そして社会全体に
とって
– 価値ある提供物を
– 創造・伝達・配達・交換するための
– 活動、一連の制度、過程である
2
コトラーによる定義
•
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•
•
•
•
•
ターゲット市場を選択し、
優れた顧客価値を
創造し、
提供し、
伝達することによって、
顧客を獲得し、維持し、育てていく
技術および科学である
3
企業活動とは
• マーケティングは、商品が生産された後に必要
な販売活動であると理解される
• 顧客は、製造方法、加工方法、特許、原材料、
広告費、販売方法などには全く無関心
• 企業活動は、製品を生産するプロセスでもなけ
れば、製品を仕入れて販売するプロセスでもな
い。
• 企業活動とは、
① 顧客のニーズを明らかにして触発
② 新たな顧客のニーズを創造
③ 顧客に少しでも多くの満足を与えられる価値を創造
4
マーケティングとは
• 「ニーズとウォンツ」へ「企業活動」を結び付け
• 企業の資源とエネルギーに一定の方向を与
える
• その方向が「顧客(志向)」
• 企業に目標と努力の方向を示すマップ
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企業の運営指針
① 生産コンセプト
② 製品コンセプト
③ 販売コンセプト
④ マーケティング・コンセプト
⑤ ソサイエタル・マーケティング・コンセプト
⑥ ホリスティック・マーケティング・コンセプト
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生産コンセプト
• 顧客は製品の入手可能性と安い価格を好む
• 生産性を向上させてコストを削減
• 大量生産・大量流通・大量販売を通じて利益
を確保
• 開発途上国における耐久消費財など
7
製品コンセプト
• 顧客は品質や性能または革新的な技術的特
徴がある製品を選好する
• 既存製品の改良、新技術による新製品開発
に重点をおく
• 適切な価格、チャネル、広告、販売が行われ
なければ、顧客の価値と満足には結び付か
ない。
8
販売コンセプト
• 企業側が何もしないと顧客は製品を購入して
くれない
• 顧客が求めるものを生産するよりも自社が生
産した製品を販売することを目的
• 積極的にプロモーションと販売促進活動を実
施
• 「顧客は必ず自社の製品に満足してくれる」こ
とが前提
9
マーケティング・コンセプト
• 顧客を理解しつくした企業によって提案され
る製品は自然と顧客に求められる
• 製品を購入したいと思う顧客が創造されれば、
企業はその製品を用意するだけで良い
• 製品を生産、供給し、最終消費に至るまでの
全てのプロセスに関わるもので顧客のニーズ
と満足に焦点が当てられる
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ソサイエタル・マーケティング・コンセプト
• 地球環境の悪化、資源の枯渇、爆発的な人
口増加、世界的飢餓と貧困などの様々な問
題に直面
• 企業の利益、顧客の満足、社会の利害をバ
ランスさせる
• 顧客と社会の幸福を維持・向上させながら、
要望に沿う満足を効果的かつ効率的に提供
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ホリスティック・マーケティング・コンセプト
• 変化するマーケティング環境に企業が適応して
いくためには、全体的で包括的な方針が必要
• マーケティング活動にかかわる要素と相互依存
性を認識し、統一感のある方針に基づき実践
• 4つの要素
①
②
③
④
リレーションシップ・マーケティング
統合型マーケティング
インターナル・マーケティング
社会的責任マーケティング
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リレーションシップ・マーケティング
• 利害関係者との間で相互にビジネス関係を
築き、相互に支え合う
• 利害関係者と経済的、技術的、社会的な結
びつきをマーケティング・ネットワークという独
自の資産へと発展させることを目的
• CRMとPRMにより高い顧客ロイヤルティと顧
客価値を創造
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統合型マーケティング
• 企業は、標的市場から望ましい反応を引き出
すために様々なマーケティング・ツール使う。
• マーケティングのツールは、製品、価格、流通、
プロモーションの4つグループに分類
• 組み合わせることがマーケティング・ミックス
• マーケティング・ミックスを考案、価値を創造し、
提供し、伝達するための統合されたプログラ
ムを作成
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インターナル・マーケティング
• 企業の内部において、十分な準備ができてい
ないにもかかわらず、顧客に対して価値を約
束することはナンセンス
• 経営幹部をはじめとする組織内の全ての従
業員にマーケティングの原理を理解
• 企業内部に向けてのマーケティング活動は、
企業外部に向けてのマーケティング活動以上
に重要
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社会的責任マーケティング
• マーケティング活動の影響は、顧客のみなら
ず社会全体にまで影響を与える
• 消費者の生活を変え、文化を変え、文明を変
える
• マーケティングを実践する際は、社会、倫理、
文化などの側面にも十分な配慮が必要
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マーケティングの革新と本質
•
•
•
•
マーケティング1.0は製品中心の考え方
マーケティング2.0は消費者中心の考え方
マーケティング3.0は人間中心の考え方
消費者の満足を目指すことは共通
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顧客の購入しているもの
• 顧客は、マーケットに存在する無数の提供物
の中から最も価値あるものを選択・購入
• 顧客は、企業が生産し、販売する製品を購入
するのではない
• 製品から得られる価値と満足を購入
• 企業は価値を生産することも満足を供給する
こともできない
• 企業は、顧客が価値を感じ、満足を得る手段
をつくって引き渡すのみ
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マーケティングの成果
• 顧客は合理的に意思決定を行う。
• 顧客は「最も好ましいもの」を選ぶ
• そこに「最も好ましいもの」がなければ「買わな
い」ことを選択可能。
• そのような顧客の合理性に適応することもしくは
顧客に認められる新たな論理を創造することこ
そが企業の仕事・課題・責任
• 顧客を理解した上で、顧客に価値と満足を提供
することが、マーケティングの最終的な成果
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ドラッカーによる顧客の概念
• 企業と事業を外部から分析
• 顧客と非顧客に注目し、顧客にふさわしい製
品を創造
– 自社製品の価値を認識している顧客
– 自社製品を購入しない非顧客
• 川上・川下の利害関係者も顧客の一部
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ニーズ
• ニーズとは、「お腹がすいた」、「のどが渇い
た」などのような人間が生きるために必要と
する基本的な要件
• 生理的なニーズだけではなく、教育、趣味、
娯楽などに対するニーズも存在
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ウォンツ
• 「ニーズ」が具体的な製品に向けられたもの
が「ウォンツ」
• 「ニーズ」を持つ顧客の関心が製品に向けら
れた時に初めて企業のマーケティング活動の
成果としてウォンツが現れるのである。
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需要
• 企業から生産された優秀な製品であっても顧
客による支払と購入という行為がない限り、
それはモノにすぎない。
• 企業は、顧客のニーズをウォンツに変えてい
くためのマーケティング活動の以前に、支払
能力を持つ需要となり得る顧客を見分けるこ
とが重要な課題となる。
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企業の限界
• 企業が顧客のニーズをつくりだすことは不可
能
• 企業は顧客のニーズを特定の製品やサービ
スに向けさせるわずかな影響を与えるのみ
• 顧客が考えたこともなく、ニーズとして自覚し
たこともないような新しい製品をマーケットに
出して顧客を夢中にさせてしまうような創造
的なマーケティングを展開する企業も多数存
在する
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受取価値-顧客コスト=顧客満足
• 顧客コスト
– 交通費・時間・肉体的負担・心理的負担
• 顧客が受け取る価値
– 製品から受け取る価値・販売店が提供する価値・
販売員による価値・社会的認識
• 顧客満足
–顧客の総受取価値 ≧ 総顧客コスト
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顧客満足と顧客維持
• 多くの企業は新規顧客の獲得を重視
• 新規顧客獲得には既存顧客維持の5倍のコ
スト
• 顧客満足は製品に対するロイヤルティをもた
らし、競合ブランドからの影響を受けにくく、好
意的な意見を広報
• 新たな製品のアイデアを提供する場合あり
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