MANETにおける確率密度関数を 用いたノードクラスタ化に関する検討 Nodes clustering method which uses probability density function in MANET ‘11/2/3 早稲田大学大学院 国際情報通信研究科 修士2年 樋口 太祐 佐藤研究室(旧富永研究室) 1/28 目次 • 研究背景、目的 • 既存手法 – Multicast flooding† – OLSR (Optimized Link State Routing)‡ • • • • 既存手法の問題点 提案手法 シミュレーション結果 結論、今後の予定 †…Young-Bae Ko,Nitin H. Vaidya,“Geocasting in Mobile Ad Hoc Networks Location-BasedMulticast Algorithms,”Department of Computer ScienceTexas A & M University ‡… T. Clausen and P. Jacquet : Optimized Link State Routing Protocol (OLSR),RFC 3626, 200 2/28 研究背景 • 今日,無線情報通信技術が発達し,様々な研究が行わ れている. – 例.LAN: Local Area Network, MAN: Metropolitan Area Network • 様々な端末デバイスに小型の無線機器が搭載され, MANET (Mobile Ad hoc NETwork)が注目されている. • MANETは「いつでも」「どこでも」通信可能というユビキタス 社会を実現する上で大きな力になる. 3/28 3 研究目的(1/2) • MANETでは端末が移動性を有するため,ネットワークが不 安定である. – 従って,オーバーヘッドが発生してしまう. – 送信先ノードが移動し,パケットが到達しない可能性がある. • パケットを送信する際はより近くのノードに送信するべきで あると考えられる. -> パケットを確実に到達させるためにクラスタ化を行い, リンクの総距離を減らす必要があると考えられる. …node …link 4/28 研究目的(2/2) • MANETでノードが存在する場合として以下の2つがある. – ランダムに存在する場合(Gossipアルゴリズム†等) – ノードがある一定の場所にある程度固まっている場合 • 本手法では後者,即ち,ある分散値をもったモデルを対象 とする. †…”Multiscale Gossip for Efficient Decenrealied Averaging in Wireless Packet Networks,” Konstantions I. Tsianos and Michael G.Rabbat 5/28 既存手法(1/2): マルチキャストフラッディング • すべてのノードがパケットを送信するので,MAENTの中では パケット到達率は最大であると考えられる. • しかし,すべてのノードがパケットを送信してしまうと,ネット ワークに負荷がかかってしまう. ->リンクの数,距離を減らす工夫が必要である. d j i b u h g a c f 6/28 e 5 既存手法(2/2): OLSR WILL_ALWAYS S F A H G D B N WILL_HIGH C WILL_NEVER J I 2 N N E 2 L M K …Source …MPR N 7/28 既存手法の問題点 • リンクの距離が長くてもパケットを送信してしまうので送信先 ノードにパケットが到達できない可能性がある. • 各ノードは依然無駄なリンクを有している.特に,送信元 ノードは送信可能範囲全てのノードへのリンクを有している. →これらの問題を解決するためにリンク数を抑え,リンク の総距離(コストと定義)を削減する手法を提案する. 8/28 提案手法 • 既存手法の問題点を解決するために,ネットワーククラスタ リングを以下のフローによって行う. 1. 累積密度関数(CDF)作成 2. 確率密度関数(PDF)作成 3. ローカルクラスタ化 4. グローバルクラスタ化 5. クラスタの場合分け 9/28 1. 累積密度関数作成 • ノードをクラスタ化するために確率密度関数を作成する.そ のために,原始関数となる累積密度関数を作成する. • X軸の値が大きくなるにしたがってY軸の値が大きくなる. • 下図は距離のCDF. Observer d 3 d5 累積密度 d1 d1 d2 d4 1 d1 d2 d3 d4 d5 10/28 距離 1. 累積密度関数作成 累積密度 • 位相に関しても同様にCDFを作成する. 位相 11/28 2. 確率密度関数 • 累積密度関数(CDF)を微分することによって確率密度関 数(PDF)を作成する.本手法では位相のPDFを作成する. • CDFが急である程,そこではノードが密集していることを意 味している.そこはPDFの極大値とほぼ同義である. • PDFの極大値は次のノードクラスタで使用する. probability density function cumulative density function Maximum value d dx 12/28 3. ローカルクラスタ化 • 作成されたPDFのなかで最大値のものを選択し,そのときの X軸の値をθsとし,以下の式で距離依存のクラスタ化を行う. • そのときに作成されたクラスタをローカルクラスタとし,Clocalの 範囲でクラスタが作成される. 𝜃𝑠 − 𝜋 𝜋 < 𝐶𝑙𝑜𝑐𝑎𝑙 < 𝜃𝑠 + 𝑁 𝑁 • その範囲を登録し,ローカルクラスタとして登録する. • 既に登録済みだった場合,該当クラスタを飛び越えて,別 のクラスタとして登録する. 13/28 3. ローカルクラスタ化の例: 最大グループ数 = 4 Probability of density 3 4 3 1 3 4 2 4 3 2 1 2 3 4 5 14/28 6 7 8 1 phase 4. グローバルクラスタ化 • 作成されたローカルクラスタの中でノードの数が最大のもの を選択し,暫定平均ノード数𝐶𝐴𝑣によってクラスタ化する. • ローカルクラスタを𝐶𝐴𝑣によって複数登録し,複数(場合に よっては1つ)のローカルクラスタをグローバルクラスタ化する. • 原則,そのローカルクラスタの隣接するローカルクラスタを同 じクラスタとするが, 𝐶𝐴𝑣𝑛𝑒𝑤 を超えたらクラスタ化をしない. • 𝐶𝐴𝑣𝑛𝑒𝑤 はグローバルクラスタ化毎に下記の式で再計算を 行う. 𝐶𝐴𝑣𝑛𝑒𝑤 = 𝐶𝐴𝑣𝑜𝑙𝑑 − 15/28 𝑛 𝜃𝑖 − 𝐶𝐴𝑣𝑜𝑙𝑑 𝑟𝑒𝑚𝑎𝑖𝑛𝐿𝐶 4. グローバルクラスタ化の例: 最大グループ数= 4 Probability of density Micro Clustering 1/4< 1 2 3 4 1/4< 5 6 7 8 1 2 phase 1 2 3 16/28 4 1 4. グローバルクラスタ化の例: 最大グループ数= 4 Probability of density Macro Clustering 2 phase 1 2 3 17/28 4 1 4. クラスタ化のイメージ: 最大グループ数= 4 Cluster 1 Cluster 4 Cluster 2 Cluster 3 2 18/28 5. クラスタの場合分け 距離rにおける確率密度関数 PDF(r) a 位相θにおける確率密度関数 PDF(θ) γ α b β 0.5(積分値) 0.5(積分値) 0.25(積分値) (b,α) (a,β) g2 (a,α) δ 0.25(積分値) 0.25(積分値) 0.25(積分値) (b,α) C_n通り分のクラスタ群が考えられる (a,β) , β )clusters will be consider There are( aC_n g1 G_g1…( a , α ) nd ・・・ G_g1…( G_g2…( ab , α β) Cn n( a ,!δ ) gk (a,γ) G_g2…( G_g3…( b a , γβ )) k 1 ab , γδ ))( b , γ ) G_g4…( ( bG_g3…( ,δ) G_g4…( b , δ ) g4 … ノードクラスタ Cluster of Node 19/28 (b,γ) (b,δ) g3 5. クラスタ群の予想 expectation of cluster group g2 g2 g3 g1 g1 g3 g4 20/28 g4 シミュレーションモデル,評価項目 • Javaで実装した. • シミュレーションモデル – 2次元空間 (800m x 600m)モデルを用いる. – ガウシアンに従ってノードが分布する. – パラメータは基本的にノード数n=3000, 分散 σ=50を設定する. • 評価項目 – コスト(リンクの総距離) – パケット到達率 pg n( g k ) Cost min p ( d k 1 l 1 Gk , nl ) min_p… クラスタ群のなかで最小のパターン p_g…パターンpの中のグループ数 n(g_k)…クラスタg_kにおけるノード数 n_l…クラスタg_kにおけるノード G_k…クラスタの重心 d_a,b…aとbの距離 21/28 シミュレーションモデル 800m Observer 600m 22/28 シミュレーションモデル 23/28 シミュレーション結果(1/4) コスト[m] ノード数とコストの関係 400000 350000 300000 提案手法(σ=50) 250000 OLSR(σ=50) 提案手法(σ=30) 200000 OLSR(σ=30) 提案手法(σ=70) 150000 OLSR(σ=70) 100000 50000 0 0 500 1000 1500 2000 24/28 2500 3000 ノード数 シミュレーション結果(2/4) コスト[m] 分散値とコストの関係 300000 250000 提案手法(n=1000) 200000 OLSR(n=1000) 提案手法(n=500) 150000 OLSR(n=500) 提案手法(n=2000) 100000 OLSR(n=2000) 50000 0 0 20 40 60 80 25/28 100 120 分散σ シミュレーション結果(3/4) ノード数とパケット到達率の関係 パケット到達率 1 0.9 0.8 0.7 0.6 OLSR 0.5 提案手法 0.4 0.3 0.2 0.1 0 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 ノード数n 26/28 シミュレーション結果(4/4) 分散値とパケット到達率の関係 パケット到達率 1 0.9 0.8 0.7 0.6 OLSR 0.5 提案手法 0.4 0.3 0.2 0.1 0 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 分散σ 27/28 まとめと今後の予定 • 既存手法に比べ、総リンク数を最大約43%抑制すること ができ,分散値が小さいとより総リンク数を抑制できた. • パケット到達率は分散値が大きいと,OLSRより劣るが,分 散値が小さいとOLSRとほぼ同じ到達率であった. • 今後の課題 – 位相のPDFを中心に使用したが,距離のPDFを使用したらどうな るか評価すべきであると考えられる. – 同じ位相上でノードが密集しているときは適切なクラスタ化ができ ないと考えられるのでPDF値を使用した最適な提案を行いたい. – 本手法は最大クラスタが固定値だったが,PDFによって変動する 手法も必要であると考えられる. 28/28
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