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III 長期の実物経済
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長期の実物経済理論
成長戦略
第7章 生産と成長
さまざまな成長の経験(184頁、表7-1)
国
期間
期初の1人当たり
GDP(ドル)
期末の1人当たり
GDP(ドル)
成長率(年率、%)
日本
1890~2000
1,256
26,460
2.81
ブラジル
1900~2000
650
7,320
2.45
メキシコ
1900~2000
968
8,810
2.23
カナダ
1870~2000
1,984
27,330
2.04
ドイツ
1870~2000
1,825
25,010
2.03
中国
1900~2000
598
3,940
1.90
アルゼンチン
1900~2000
1,915
12,090
1.86
アメリカ
1870~2000
3,347
34,260
1.81
インド
1900~2000
564
2,390
1.45
インドネシア
1900~2000
734
2,840
1.35
イギリス
1870~2000
4,107
23,550
1.35
パキスタン
1900~2000
616
1,960
1.16
バングラディッシュ
1900~2000
520
1,650
1.16
7.生産と成長.pptx
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1.世界の国々の経済成長
成長率の格差の要因は何か?
例えば、日本は他の国に比べて成長率が高かっ
たため、順位を上げた
ある国々が急成長する一方で、別の国々が遅れ
を取るのはなぜか?
アメリカの富豪ロックフェラー(1839~1937)
と我々は、どちらが生活の水準が高いか?
経済への新しい財の導入が物価指数に反映され
ていないので、実質経済成長率は過小評価され
ているかもしれない
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7.生産と成長.pptx
2.生産性:その役割と決定要因
世界の国々の生活水準の格差は、生産性の
違いで説明できる
生産性とは、労働者が単位時間当たりに生
産できる財・サービスの量をいう(Y/L、労働
生産性)
『ロビンソン・クルーソー』の例と同様、生産性
が高い国ほど高い生活水準を享受できる
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生産性の4つの決定要因
物的資本(K)
財・サービスの生産に用いられる設備と建造物
人的資本(H)
教育、訓練、経験を通じて労働者が獲得する知識と技能
天然資源(N)
土地、河川、鉱床のように、自然が供給する財・サービスの生産への投入物
技術知識(A)
財・サービスを生産する最善の方法に関する社会の知識
Lを労働量とすると、生産性Y/Lは、A, K/L, H/L, N/Lによって
決定されると考えられる。
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3.経済成長と公共政策
貯蓄と投資の重要性
投資の累積によって物的資本が形成されるので
、投資は重要
投資を促すような政府の政策は意味がある
閉鎖経済ならば投資=貯蓄(8章参照)、開放経
済でも投資率≒貯蓄率の関係がある。したがって
、いまの消費の我慢して貯蓄することが将来の
所得を高める
投資率が高い国は、成長率の高い傾向にあるこ
とがデータ上も認められている(図7-1)
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経済成長と公共政策(2)
ある国が貯蓄率を高める政策を採ったらどうなるか
?
 貯蓄率の上昇が成長率を高めるのは一時的であり、や
がて元の成長率に戻る
←資本の限界生産力逓減のため(別スライド参照)
 長期においては、貯蓄率の上昇によって生産性と所得の
水準は上昇するが、生産性と所得の成長率は上昇しない
資本の限界生産力逓減のため、他の条件が一定で
あれば、相対的に貧しい状態から出発したほうが、
成長は容易(キャッチアップ効果)
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経済成長と公共政策(3)
外国からの投資は、一般には成長にプラス
教育は、人的資本(H)への「投資」である
 長期的な経済成長に不可欠
所有権と政治的安定性は、投資の必要条件
 投資の果実を横取りされるリスクがあれば、誰もその国で
は投資したがらない
自由貿易は、分業の利益(3章参照)が享受できる
ため、生産性を高める
研究開発は、その国の技術知識(A)を直接向上さ
せる
 研究開発の一般的な奨励制度として、特許制度がある
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経済成長と公共政策(4)
人口成長が経済成長にどのような影響を与えるか
については、諸説ある
 天然資源の乱用説(マルサス)―マイナスの影響
» 天然資源(土地)は有限なので、人口の増加により一人当たりの
生産性は下がるはず
→現実には技術知識(A)の上昇によりカバーできている
 資本ストックの希薄化説―マイナスの影響
» 人口増加率が高ければ、Kの伸びがLの伸びに追いつかないの
で、K/Lが減少する
 技術進歩の促進説(マイケル・クレマー)―プラスの影響
» 人の頭数が多ければ多いほど、画期的なアイディアも生まれや
すいはず
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