1号機・非常用復水器 - みやぎ脱原発・風の会

2013.12.14
みやぎ脱原発・風の会 公開学習会 vol.3
<臆病ネコの嘘を見破れるか?>
―1号機は設計ミスだった?―
仙台原子力問題研究グループ
石川徳春
1
福島第一原発1号機(北西側・免震重要棟側より)
爆発後
爆発前
ブタの鼻(ICベント管の先端)
天井部分に鉄骨なし?
航
空
機
墜
落
や
テ
ロ
に
対
し
て
も
大
丈
夫
だ
っ
た
?
2
1号機建屋断面図
4
階
は
こ
こ
!
地上
地上
A 原子炉建屋
B タービン建屋
3
単なるレイアウト変更?(設置許可と工事認可の軽さ
設置許可申請書での配置
プールは東西に長い形状
)
実際の配置(工事認可?)
プールは南北に長い形状
4
階
平
面
図
ブタの鼻
4
◎発電用原子炉の設置、運転等の法規制
★原子炉等規制法(福島原発事故後の改正版:規制委主体に)
○第4章・第2節 発電用原子炉の設置、運転等に関する規制(43条の3の5~)
「設置許可・変更許可の基準」(43条の3の6、43条の3の8)
1号 平和目的 *原子力委員会の意見聴取義務(43条の3の6 3項)
2号 設置に必要な技術的能力及び経理的基礎
※「経理的基礎」も規制委が判断?⇒東電にあるか? 柏崎刈羽の再稼動?
▲除染費未払いについて石崎東電副社長「経営状況が悪いことを理由に」11.2朝日
▲KK再稼動は借入のため=今は「経理的基礎なし」と自認? 分社化でしっぽ切り?
3号 重大事故発生・拡大防止、適確運転に必要な技術的能力
4号 位置・構造・設備が災害防止上支障なし
⇒技術的能力が東電にあるか? 地震・津波・火山+テロ・ミサイル攻撃?
○法43条の3の24 「保安規定」
2項 災害防止上不十分なら、規制委は認可してはならない。
4項 原子炉設置者・従事者は保安規定を守らなければならない。
⇒福島事故の教訓は反映されているか? 事故時の運転操作・マニュアルの
不備等をきちんと検証しているか?
5
★実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則(実用炉規則)
<大幅(全面?)改訂=電気事業法による規定を移行整理>
○発電用原子炉の設置(変更)許可申請書 記載事項(3条1項2号)
イ 原子炉施設の位置
以下のものの「構造及び設備」
ハ 原子炉本体
ホ 原子炉冷却系統施設
ト 放射性廃棄物廃棄施設
リ 原子炉格納施設
ロ 原子炉施設の一般構造
二
へ
チ
ヌ
核燃料取扱・貯蔵施設
計測制御系統施設
放射線管理施設
その他附属施設
○申請書の添付書類1~11(3条2項)
8 原子炉施設の安全設計に関する説明書
10 事故発生時の対処に必要な施設・体制整備に関する説明書
⇒「説明」が不十分でも許される? 「図」は違っていても構わない?
○別表1「中欄」規定の工事計画(主に各種設備等の「改造」)は、着手前に認
可が必要(43条の3の9 1項)
○別表1「下欄」規定の工事計画(主に各種設備等の「修理」)は、事前届出(4
3条の3の10 1項)
※改正前、法27条設計・工事方法の変更認可は法73条で発電炉適用外!
6
1号機・非常用復水器(IC)の概要
①
I
C
作
動
条
件
(東電の図に加筆)
②設計上は‥
ブ
タ
の
鼻
3通
弁常
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開い
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動で
。、
第
7
東電の事故時対応は適正?(IC作動概況)
○A・B2系統、「弁」が各4つ。復水器(冷却水タンク)上流側=蒸気管に2つ(1弁、2
弁)、下流側=ドレン管に2つ(3弁、4弁)。格納容器内に2つ(1弁、4弁:交流駆
動、15秒で閉)、復水器近くに2つ(2弁、3弁:直流駆動、20秒で閉)。
○通常は下流・復水器側第3弁が閉じられ、残り3つは開状態。非常時(7.13MPa
以上の原子炉圧力が15秒間以上継続<2011.9.9東電報告・添付資料7-10>)に
第3弁が開き(全弁「開」で)すぐに作動。原子炉からの水蒸気がタンク内で冷や
され水(復水)となり、自重で原子炉へ(重力で自然循環・駆動用電源不要)。
14:46 地震・自動スクラム、その後主蒸気隔離弁閉鎖
14:52 A・B2系統とも自動起動(3A弁・3B弁が自動開)
15:03 両系統とも運転員が手動停止(「温度降下率」遵守で?⇒後述)
15:17~15:19 A系統のみ手動で起動・停止(3A弁の開閉)
15:23~25、15:32~34にも A系統のみ作動させ、原子炉圧力維持
15:37頃 津波により?全交流電源喪失・直流電源も喪失(SBO)
隔離信号で4つの弁が「閉または不完全閉」?(各電源がいつ完全喪失?)
※15:36:59データ「1A,2A,1B,2B,3A,4A,3B,4B」:「1,1,0(閉),1,0,1,0,0(閉)」の謎も。
17:19 タンク水量確認に運転員が現場へ(17:50原子炉建屋高線量で撤退)
IC不作動=冷却なしで、この頃炉心損傷(+逃し安全弁「作動音なし」の謎も?)
18:18(や21:30)の直流電源回復時、3A弁を手動開(短時間作動?)。
8
IC隔離弁の動作イメージ
(事故分析検討会(第5回)資料1より)
9
IC弁の電気設備構成
(事故分析検討会(第5回)資料1より)
な
ぜ
違
い
が
生
じ
た
の
か
?
10
電気設備の配置
(事故分析検討会(第5回)資料1より:次の2枚も)
青
矢
印
が
津
波
の
進
入
方
向
(
東
電
推
定
)
11
こ
こ
か
ら
浸
水
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、
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う
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拡
大
?
12
1
B
・
4
B
も
開
閉
不
明
?
13
◆ICタンク水量(維持管理)の「日常的手抜き」?
設置許可申請書の基準
ところが実際は‥‥
・タンク有効保有水量(胴側冷却水量)
2系統とも106m3(100%)
(ちなみに、80%なら85m3 )
・事故直前 ⇒日常的手抜き?
A系:約80% 、 B系:約80%
・事故後H23.4.3(中央操作室計器)
A系:63% 、 B系:83%
・事故後H23.10.18(現場調査)
A系:65% 、 B系:85%
・冷却性能
補給なしで8時間
(ちなみに、80%なら6時間半)
・東電報告書(運転員の認識?)
6時間(左下※) ⇒上記手抜き前提?
でも、前述のとおり、14:52作動後約2時
間半の17:19にタンク水位確認のため
運転員が現場へ。(しかし原子炉建屋
高線量で17:50「IC組」撤収)。
⇒上記の認識自体なかったのでは?
※事故時運転操作手順書(事象ベース)
でも「約6時間」(p.12-4-1、p.12-4-21)
14
◇IC冷却水水位・水温の変化(推定)
東電H23.11.22参考資料「1号機非常用復水器の動作状況の評価について」より
地
震
前
か
ら
日
常
的
に
!
14:46地震後に自動起動
A系3回手動操作後に100℃程度に?
15
計測機器故障の原因究明こそが重要!
こ
の
高
温
の
原
因
は
?
原因究明こそが重要!
2011.12.02東電中間報告添付資料10-5 2/316
「マニュアル遵守」でICを手動停止?
○敦賀1では、過去10年間に2回の作動実績<2011.11.18保安院ニュースリリース>
『手順書』で「ICを使うという決め打ち」がされている。
<2011.11.25保安院「技術的知見に関する意見聴取会」第3回議事録p.18>
・「①H15.12.19」と「②H16.6.8」、タービン加減弁急速閉によるスクラム後、
「主蒸気隔離弁全閉」で1系統を手動操作(弁を開閉)し、原子炉冷却を維持。
・原子炉圧力は、①6.37~6.86MPa(ゲージ圧):約7時間で18回操作
②6.37~6.86MPa(ゲージ圧):約7.5時間で18回操作
・約4~5回作動後、冷却水温度は沸騰点(100℃)に到達=水蒸気発生が継続。
・隔離弁を復旧させ主復水器冷却へ移行して操作終了。<2011.11.18日本原電>
○1号機では直近20年作動実績なし(逃し安全弁優先?)。<同議事録p.18>
14:52自動起動後、『手順書』の「温度降下率55℃/h以下」遵守で手動停止?
⇒通常時6.8MPaから4.5MPaへの急低に“動揺”して止めただけでは?
⇒3回のA系手動操作時、圧力は6~7MPa=不慣れ +早期運転再開準備?
15:37に3A弁「閉」状態で電源喪失・隔離信号。
⇒誰も電源喪失後「ブタの鼻息=IC作動」を確認せず、早期炉心熔融に!
17
6~7MPaの間で(なんとか)制御!
0
2
4
6
8
4
.
5
M
P
a
へ
の
急
激
な
低
下
に
驚
い
た
だ
け
で
は
?
18
老朽化による「脆(ぜい)性破壊」回避優先?
○東電はなぜ「温度降下率55℃/h以下」の手順書遵守を繰り返し主張?
刑事責任・損害賠償等の法的責任回避のため? 運転員ミス=東電の責任!
○事故時運転操作手順書(事象ベース) 1章、1-1 原子炉スクラム、
(B)主蒸気隔離弁閉の場合◆の主要項目「12 原子炉減圧」(p.1-1B-14)で、
「温度変化率55℃/h以下」が枠囲い。⇒水位・圧力安定後の冷温停止移行時!
・12章、12-4 全交流電源喪失、2 操作のポイント、2.1全般的な注意事項では、
「(3) ‥不用意な運転操作によってICの運転継続を損なわせてはならない。」
・さらに、その主要項目「5 原子炉減圧操作」(p.12-4-24)でも、
「温度変化率55℃/h以下」が枠囲い。⇒電源復旧後の冷温停止移行時!
○なお、同手順書105次改訂(2010.7.6)で、IC動作設定値を「7.27→7.13MPa」に、
圧力制御範囲は「6.37~7.26→6.27~7.06MPa」に(第26回定検改造に伴い)。
⇒ 脆性遷移温度(NDT)が50℃:2008予測⇔設置許可上は寿命末期で55℃!
「老朽原発(40年目)」で「脆性破壊」への懸念ゆえの「温度降下率」遵守?
19
『保安規定』で温度降下率はスクラム時「適用外」!
○手順書の上位『保安規定(2011.3)』では、4章 運転管理、3節 運転上の制限
・37条(原子炉冷却材温度及び原子炉冷却材温度変化率)2項(2)②(p.4章-159)
:原子炉状態が起動・高温停止・冷温停止において「55℃/h以下」を確認。
・しかし、4節 異常時の措置、77条(異常時の措置)3項(p.4章-234)
:76条1項の異常発生(スクラム信号発信等)から当直長が異常収束を判断する
まで、「3節運転上の制限(温度変化率55℃/h以下等)」は適用されない!!
・そして、添付1「原子炉がスクラムした場合の運転操作基準(77条関連)」の
1号炉「表1」の「1 原子炉制御、(1)スクラム、①目的」では、
原子炉を停止、十分な炉心冷却状態を維持、冷温停止状態まで冷却、等の記述。
★保安院も、津波襲来前は手順書◆1-1(B)「6 圧力調整段階」(P.1-1B-6)と指摘
(意見聴取会・中間とりまとめP.67)=後手順「12 原子炉減圧段階」ではない!
∴巨大地震でスクラムした3.11の異常時は「温度降下率」は適用外=当たり前!
=事故対応上の重大な過ち!(運転員への老朽化プレッシャーが原因?)
<「温度降下率」は圧力容器等の財産保護目的 (近藤駿介・原子力委員長2012.6.29朝日)>
20
再掲:非常用復水器(IC)の概要
(東電の図に一部加筆)
ブ
タ
の
鼻
なんとなく不自然な「遠回り」
21
配管接続図の間違い!‥どっちが?
設置許可申請書の図
非常用復水器系
東電が説明に使用した別の図
「
他
の
再
循
環
ラ
イ
ン
へ
」
と
い
う
こ
と
は
?
原子炉配管系統図
2011.5.23東電報告の別紙より
2
つ
並
べ
た
の
は
作
図
上
の
工
夫
?
この図では最短距離に。
再循環系の片方だけに接続。
22