uganda_coffee industry1

ウガンダのコーヒー産業
東京大学文科二類一年
澤山友佳
ウガンダ経済とコーヒー
 2013年度国内生産量:350万袋分(一袋60kg)
 ウガンダの経済にとってコーヒーは重要な作物
−1957年以降常に輸出品目の第一位
−外貨獲得源の20〜30%
 ウガンダは世界的にも重要なコーヒー輸出国
−コーヒー輸出量アフリカ内2位
cf. 1位はエチオピア
−世界の輸出量の約3%
 350万の家族がコーヒー産業によって支えられている
 生産量は漸増、2015年には450万袋に達する見込み
コーヒーの貿易事情①
 コーヒーの主な輸入国
ロシア24%、フィリピン15%、ウクライナ11%、カナダ11%、
日本、タイ、アメリカ、インドネシアなど
*ウガンダコーヒーの主な輸出先
ドイツ、イタリア、スペイン、ベルギー、アメリカ、インド
コーヒーの貿易事情②
価格変動を受けやすい
特にウガンダで主に栽
培されるロブスタ種は
ベトナムでの生産増加
に伴い1994〜2006に
かけ価格急落
コーヒーの基礎知識① 品種
 コーヒーにはロブスタ種とアラビカ種がある
アラビカ種
ロブスタ種
原産地
エチオピア
コンゴ
作物としての特徴
高地で栽培
産地の環境(土壌や気候)の違いが味に
現れやすい
病害・霜害に弱く、成長が遅い
高温多湿の低地でも栽培可
病害に強く、成長が早い
商品としての特徴
味・香りが優れる高級品種
*モカ・ブルーマウンテン・キリマン
ジャロなどは全てアラビカ種
苦みが強く、独特の異臭を持つため安
価
缶コーヒーやインスタントコーヒーの
増量用にブレンドして使われる
価格(2014年1月)*1
¢132.91/pound
世界総生産(2013
年)
86,660千袋*2
¢94.16/pound
*2013年度の世界総生産量(一袋=60kg)
63,805千袋
*1: ICO Indicator Prices Annual and Monthly Averages: 2001 to 2014より。
米国、ドイツ、フランスの3大市場の現物の成約価格を収集し、ICOの定める方法で加重平均を算出した値。
*2: 一袋=green beans60kg
コーヒーの基礎知識② 製造
 栽培されたコーヒーが商品となるまでには、
収穫→精製(乾燥・脱穀)→選別→焙煎→(ブレンド)→粉砕→包装
のプロセスを経る
 収穫:完熟した実を手で摘み取る
 精製:以下の2種類の方法でコーヒーの果実から生豆を取り出す
①ウェットプロセス(主にアラビカ種)
収穫後すぐ水につけながら機械で果肉を削ぎ取り、干して乾燥させ、
皮の部分を機械で取り去って生豆に加工
精製度が高く仕上がりがきれいなため、高く売れる
②ドライプロセス(主にロブスタ種)
収穫後農家が天日干しし、加工工場で皮ごと果肉を剥ぎ取り生豆に加工
コーヒーの基礎知識② 製造(続)
 焙煎(roast):加熱処理によって味や香りを生み出す
焙煎の度合いが高い深煎りと低い浅煎りがある
*最も焙煎の度合いが高いのがイタリアンコーヒー
 ブレンド:数種類の豆を混ぜ合わせる
1種類では出せない香りや酸味、苦味を生み出せる
 粉砕(grind):焙煎豆を機械で砕く
その細かさによって細挽き・中挽き・粗挽きに分類
ウガンダのコーヒー生産事情
 プランテーションではなく、50万の零細農家により生産
←90%のコーヒー農家が2.5ha以下の土地で生産
 背の高いシェードツリー(バナナやマメ科の木)と混栽 ←コーヒーは直射日光に弱い
単一栽培:収量多/収穫が容易
シェードツリーとの混栽:環境負荷小/コーヒー以外の収入源あり
 労働集約的、肥料の投入は少ない
 生産量の70%がロブスタ種
ロブスタ種が主にブガンダ地域・ブソガ西部
アラビカ種がケニア国境の山麓付近
ウガンダのコーヒー加工
 基本的に国内では収穫・精製まで
商社や多国籍企業により買い付けられ、焙煎・粉砕・包装は輸出先
で
 国内で焙煎を行っているのは12社のみ
←規模の大きい多国籍企業との購入価格競争で負けてしまい、質の
高い生豆を仕入れられない
←設備導入が難しい
*Good African Coffeeは初めて焙煎・粉砕・包装までのプロセスを
全てウガンダ国内で行うことに成功
 国内消費は生産量の3〜5%、消費者は中産階級以上に限られる
問題点
生産者がコーヒーの小売価格の約0.5%しか受け取っていない
 原料は国内で生産されているのに、小売ブランドがウガンダの企
業の所有でない
→加工・販売プロセスに参画しないと価格決定の主導権を握るこ
とができず、正当な収益が得られない
 ウガンダで主に栽培されているのが価格の安いロブスタ種
 生産性が低い(ウガンダのコーヒーの木のほとんどが50年以上前
に植えられたもの)
 農民が銀行の融資・政府の補助金が受けられない
→利益が小さいため、高品質なものを栽培するために機械や高級
な種を購入する資金が不足
Cup of Excellence
 途上国の経済的自立促進を目的とした、
コーヒーの生産者と消費者を結ぶコンペティション組織(1998〜)
 世界中のコーヒー豆が審査され、インターネットオークションにか
けられ、世界のコーヒー業者が入札、オークションで決まった入札
価格が全て生産者に渡される
 ウガンダの他、ブラジル・パプアニューギニア・エチオピア・ブル
ンジが生産国に
 厳格なモニタリングシステム・トレーニングシステムにより、世界
で最も質の高いプログラムとされている
→高品質のコーヒーへの需要はある
信頼のある機関が品質を正当に評価することが一つの解決策
Kibale Wild Coffee Project
 ウガンダのロブスタ種コーヒーのブランド化を目指し
たプロジェクト(1999〜)
 USAID、フォード財団、世銀からの支援
 スウェーデンの格付け会社によるオーガニック認定
 失敗に終わる
→プレミアム市場ではロブスタ種の需要がないことが
明らかに