2nd Edition - 地理空間的思考の教育研究プロジェクト

2011年1月27日
第2章 空間データの取得と作成
6. データの統合と修正
河端 瑞貴
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地理情報科学教育用スライド ©河端瑞貴
ここで学ぶこと
デジタイジングなどの図形入力や観察データに
欠落があったり、未知のデータがあったりする
場合の、データの統合や修正について学ぶ。
• 接合(モザイク(mosaic))
• ベクタ編集(エッジマッチングなど)
• 欠落情報の補足(統計的手法,補間の概念)
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接合(モザイク(mosaic))
• 複数のラスタデータをマージしたデータセット
を作成
– 広い地域を分析する場合、しばしば複数枚の空
中写真や衛星画像を切り貼り、修正して、一枚の
大きな画像データにする必要がある。
モザイク化
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ベクタ編集(エッジマッチングなど)
• デジタイジングなどの図形入力のミスを修正する。
– 入力ミスの例:アンダーシュート、オーバーシュート、
スパイク、オーバーラップ、エッジアンマッチング、ポ
イントアンマッチングなど
• 誤りのデータは、線分の削除、新しい点・線デー
タの入力、個別図形データそのものの削除、新
しい図形データの追加などの修正を行う。
• 入力ミスの発見・修正には、基本的にオペレータ
自身の目視による点検が必要となる
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入力ミス:オーバーシュートとアンダー
シュートの修正
アンダーシュート
オーバーシュート
ラインを延長して修正
ラインを切り詰めて修正
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ベクタ編集
中庭が入力されていなかった建物内に、中庭を入力
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ベクタ編集
外枠、中庭が入力されていない建物内に外枠、中庭を入力
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ベクタ編集
2つに分割して入力されていた建物を一つのポリゴンに修正
マージ
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ベクタ編集:エッジマッチング
• ある範囲のフィーチャのエッジを隣接範囲の
該当するフィーチャに揃える
修正前
修正後
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欠落情報の補足(統計的手法,補間
の概念)
• データに欠落があったり、未調査のデータが
あったりする場合に、既知のデータからデー
タを補足すること
• 空間補間(spatial interpolation):データを取
得した地域内でデータのない地点の値を推
定する方法。内挿ともいう。
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空間補間、内挿
(spatial interpoliation)
• 値が既知の地点のデータをもとに、値が未知
の地点の値を推定すること
• 補間法:IDW(逆距離加重法)、スプライン、ク
リギングなど
既知の地価のポイントデータ
ポイントから補間された地価のラスタデータ
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補間の前提
• 空間的に近い観測点のデータは類似の特性
を持つ傾向がある
• ある地点の属性地は、その近傍にある地点
の属性値に依存している
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空間補間の活用例
• 測候所や直接測量のない場所における降雨
量、気温等の推定
• DEM(Digital Elevation Model)の観測地点以
外の場所における標高値の推定
• ラスターデータを他のグリッドに変換する際の
再サンプリング
• 観測地点間のどこに等高線を引くかの推測
Lonley, et al. (2005, p.333)
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補完法の例:スプライン法
• サーフェス全体の曲率を最小にする数学関
数を用いて推定
• ゴム製のシートをフィットしたサーフェスのイ
メージ
• 緩やかなサーフェスのデータに適している。
• 外れ値の影響大きい
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補完法の例:逆距離加重法
(IDW:Inverse Distance Weighted)
• 各セルの近傍にあるサンプルデータポイント
の値を平均することによりそのセルの値を推
定する方法。
• 推定するセルの中心にポイントが近いほど、
加重が大きくなる。
• 一様に分布している地点のデータに適してい
る。
• 外れ値の影響大きい
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補完法の例:クリギング
• 値が既知の地点 のデータから地球統計学的
手法により未知の地点の値を推定
• 観測されたデータの共分散を距離で表した共
分散関数によって空間相関を構造化すること
によって任意地点の空間予測する手法
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クリギング
• クリギングは、Z(Xo)の推定値を以下のように求
n
める。
Z ( x0 )   i Z ( xi )
*
i 1
Z(X0): 地点 i の観測値
λi:地点iの観測値の加重
X0:予測地点の推定値
n:観測値の個数
• 加重には観測値から得られたバリオグラム、共
分散関数を利用する。
• 加重は、観測地点の自己相関モデル、予測地点
までの距離、予測地点周囲の観測値間の空間
的関係によって決まる。
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いろいろなクリギング
• 通常クリギング(ordinary kriging)
– バリオグラムを用いて予測
• 普遍クリギング(universal kriging)
– 通常クリギング+可変トレンド
• 単純クリギング(simple kriging)
– 既知のトレンド
• 指示クリギング(indicator kriging)
– 離散変数を利用
• 共クリギング(cokriging)
– ある変数と高い空間相関を持つ補助変数を利用して、変
数内の空間相関+変数間の空間相関を構造化
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2009年公示地価データ
(東京23区)
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IDW、Splineによる内挿
IDW
乗数:2
検索半径タイプ:可変
検索半径:12ポイント
出力セルサイズ:50m
スプライン
スプライン手法:レギュラー
加重:0.1
ポイント数:12
出力セルサイズ:50m
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クリギングによる内挿
通常クリギング
セミバリオグラムモデル:Spherical
検索半径タイプ:可変
検索半径:50ポイント
出力セルサイズ:50m
普遍クリギング
セミバリオグラムモデル:Linear with
Lineaar drift
検索半径タイプ:可変
検索半径:50ポイント
出力セルサイズ:50m
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参考文献
• 井上亮(2009)時空間クリギングによる東京23 区・全用途地域を
対象とした公示地価の分布と変遷の視覚化」GIS-理論と応用,
17(1),13-24.
• 高橋昭子(2010)「基礎からのArcGIS第4章空間データの取得」<
http://teku2.csis.u-tokyo.ac.jp/>
• 長谷川均(1998)『リモートセンシングデータ解析の基礎』古今書院.
• 町田聡(2004)『新訂 GIS・地理情報システムー入門&マスター』
山海堂.
• Longley, P. A., Goodchild, M. F., Maguire, D. J., Rhind, D. W.
(2005) Geographic Information Systems and Science,
Second Edition. West Sussex, England: John Wiley & Sons.
• Wachernagel, H. (2003) Multivariate Geostatistics: An
Introduction with Applications, 2nd Edition. Berlin: Springer.
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