吉田 悠一 Szemerediの定理のk=3の場合の証明の概要を述 べる。iが成り立つと仮定してi+1を証明する。1の証 明は5章で行う。 1. Regularity Lemma ◦ 任意のグラフは定数サイズの近似表現を持つ 2. Triangle Removal Lemma ◦ グラフがo(n3)個の三角形しか含まなければ、o(n2)個の枝を 取り除くことで、全ての三角形を取り除ける。 3. 有限群に対するSzemerediの定理(k=3) 4. 整数に対するSzemerediの定理 定理2.1.1: 有限群に対するSzemerediの定理(k=3) 任意のdに対して、あるnが存在して、任意のN>nに 対して、任意のA{1,…,N}, |A|dNは長さ3の等差 列を持つ(あるa,b,cAが存在してb-a=c-b(mod N))。 定理2.1.2: 整数に対するSzemerediの定理(k=3) 任意のdに対して、あるnが存在して、任意のN>nに 対して、任意のAZN, |A|dNは長さ3の等差数列を つ(あるa,b,cAが存在してb-a=c-b)。 上を仮定して、下を示す。 dを固定し、適当なA{1,…,N}, |A|dNを選ぶ。 AをZ2Nの部分集合と思うと|A|d/2(2N)である。 定理2.1.1より、Nが十分大きければ、a,b,cAが存在 してb-a=c-b(mod 2N)が成り立つ。 しかしa,b,cは1からNの中から選ばれているので、b-a とc-bの取りうる範囲は1-NからN-1までである。 なので、b-a=c-b(mod 2N)は、b-a=c-bを意味する。よっ て定理2.1.2が成り立つ。 定理2.2.1(Triangle Removal Lemma) 任意のdに対して、あるe(d)が存在し、任意のn 頂点のグラフGは次のいずれかを満たす。 1. Gからdn2本未満の枝を削除することでtrianglefreeに出来る。 2. Gはen3個以上の三角形を含む。 定理2.2.1から定理2.1.1を証明する。 Hを群、 A H |A| d|H|とする。 V=X Y Z, |X|=|Y|=|Z|=|H|を頂点集合とするグラフGを 作る。X,Y,Zの各頂点はHの各要素と対応する。 もし a A s.t. y=x+aならば、x Xとy Yを結ぶ。 もし c A s.t. z=y+cならば、y Yとz Zを結ぶ。 もし b A s.t. z=x+b+bならば、x Xとz Zを結ぶ。 X y=x+a x z=y+b+b Z Y y z=y+c z 任意のx Xとa Aに対して(x,x+a,x+a+a)は三角形に なっており、しかもそれらはすべて互いに素。 なのでGをtriangle-freeにするのには、少なくとも |H||A| d|H|2 dn2本の枝の削除が必要。 e=e(d)とすると、定理2.2.1からGは少なくとも en3=9e|H|3の三角形を含む。 グラフGの三角形とAの長さ3の等差数列は|H|対1の 関係にある。 ◦ 三角形x,y,zがあったとすると、y=x+a,z=y+c,z=x+2bなので、ab=b-c。 ◦ 逆に等差数列a,b,cから、任意のx Xに対して、三角形 x,x+a,x+2bが作られる。 よってAは少なくとも9e|H|2個の等差数列を含む。 自明なもの(a=b=c)を除くと y=x+a X x y 9e|H|2-d|H|個。 z=y+b+b z=y+c |H|が十分大きければ正。 Z z Y 互いに素な頂点集合AとBの密度を d(A,B)=(AB間の枝数)/|A||B|と定義する。 互いに素な頂点集合AとBは任意のS A,|S| e|A|と T B,|T| e|B|に対して|d(S,T)-d(A,B)| eを満たす時、 A B S T 定理2.3.3(Semeredi’s Regularity Lemma) 任意のe,tに対して、あるk(e,t)tが存在し、任意のグラ フG=(V,E)は分割(V1,…,Vk), |V1|=|V2|=…=|Vk-1||Vk|を持ち、 少なくとも(1-e)kC2個の組(Vi,Vj)はe正則である。 定理2.3.3からTriangle Removal Lemmaを示す。 任意のdに対して、あるe(d)が存在し、任意のn頂点 のグラフGは次のいずれかを満たす。 1. Gからdn2本未満の枝を削除することでtriangle-free に出来る。 2. Gはen3個以上の三角形を含む。 e=d/10, t=10/dとしてグラフGにRegularity Lemmaを適用して得られた分割を考える。 Gから不要な枝を取り除く。 V1 正則でない V2 V6 V3 密度がd/2以下 V5 V4 Viの内部の枝 Gに以下の操作を施してG’を作る。 ◦ 正則でないペア(Vi,Vj)の間の枝を取り除く: 正則でないペアは多くともdkC2/10個であり、それぞれ高々 (n/k)2本の枝を持つので、全体で高々dn2/10本。 ◦ 各Vi内の枝を取り除く: 一つのVi内で高々n/kC2本。全体で高々kn/kC2=n2/k dn2/10本。 ◦ 密度がd/2以下のペア(Vi,Vj)の間の枝を取り除く: 各ペアにつき高々d n/kC2/2本。全体でkC2ペアあるので、全 体で高々dn2/2本。 合計でdn2/10 + dn2/10 + dn2/2 dn2本 もしG’が三角形を含まなければTriangle Removal Lemmaの一つ目の条件が成立している。 以下では一つ目の条件が成立しなかったと仮定して、 G’がen3個の三角形を持つことを示す。 G’中のある三角形が所属する部をA,B,Cとする。 AとBに枝が有るということは、G’の作り方からAとBに は沢山枝があるということである。 m=n/k(Viの大きさ)と置く。 Bのdm/4頂点以下にしか隣接していないAの頂点は 高々m/4個である。 もしそうでなければ、A’A, |A’||A|/4が存在して、 d(A’,B)d/4となる。d(A,B)d/2であったから、 |d(A,B)-d(A’,B)|d/4d/10となり、AとBの正 盾。 同様にCのdm/4頂点以下にしか隣接していないAの 頂点は高々m/4個である。 Aの少なくともm/2頂点はBにもCにもdm/4点以上隣接 している。 そのような性質を満たすAの頂点vを考え、vに隣接し ているBの頂点集合をS, Cの頂点集合をTと置く。 |S|,|T| dm/4である。 d(B,C) d/2であり、B,Cはd/10正則なので、SとTの間 の枝の数は少なくとも(d/2-d/10)|S||T| d3m2/64である。 B A v S T C Aの1頂点からd3m2/64個の三角形が得られた。 A全体ではm/2*d3m2/64=d3m3/128=d3n3/128k3個の 三角形が存在する。 Regularity Lemmaの証明は5章で行う。
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