ルーチン化された技術

輪読 第5章
製造業とサービス業の組織
かっしー
Pooh
ペダル
▼本章の目的
• 組織の持つ技術がどのようなものであるか、技
術と組織構造の間にどのような関係があるかを
探る.
※技術とは?
インプット
(物資・情報・
アイデア)
ツール・技
法・機械・行
動
変換
プロセス
アウトプット
(製品・サービ
ス)
原材料処理→製造作業→検査→組立
• 本章で問いかける問題
?ある生産工程を取り入れた場合、それを有効にす
るために、組織の構造をどのように設計すべきか?
• 流れ
1. 組織全体にとって技術がいかに組織の構造と
設計に影響を与えるかを検証
2. 各事業部門の技術の違いと、技術が組織のサ
ブユニットの設計とマネジメントに、いかに
影響を及ぼすかを検証
3. 事業部門間の相互依存性が組織の構造にどの
ような影響を与えるかを考察
▼組織レベルでの製造技術
★ウッドワードの研究
マネジメントの原則が
どのように実施されているか?
※1950年代当時に広まっていたマネジメントの考え方は
普遍的やり方としての「管理原則」
一つの尺度:
技術の複雑性高:作業の多くは機械でなされる
技術の複雑性低:労働者が生産工程で大きな役割を果たす
ウッドワードによるイギリスの会社100社の
1. 顧客の注文に応じる単一
生産システム別分類
グループ1
小バッチ単
位の生産
グループ2
大バッチ単
位での生産
グループ3
連続工程生産
製品の製造
2. 技術的に複雑なものを一
つずつ生産
3. 大型装置を段階を追って
組み立てる
4. 小バッチ単位での生産
5. 大バッチ単位で部品を生
産したあと多様に組み立
てる
6. 大バッチ単位での組立ラ
イン方式
7. 大量生産
8. 連続工程生産に大バッチ
単位での大量生産を組み
合わせたもの
9. バッチ単位での化学物質
の連続生産方式
10.液体、ガス、固体の連続
的に流れる生産
低い
技術の
複雑性
高い
グループ1
小バッチ単位での生産
• 顧客の特定のニーズに応える少数の注文品の製造、組
み立て
• 人間のオペレーターに頼る
スタインウェイ・
アンド・
• 高度な機械化はされていない
サンズ
グループ2
大バッチ単位での生産
• 標準化された部品を長い生産ラインで製造
• アウトプットはしばしば在庫に移され、そこから出荷
して注文が満たされる
• 顧客はそれぞれ特別のニーズを持たない
自動車や
トレーラーホーム
の組立ライン
グループ3
連続工程生産
• 全工程が機械化
• スタートもなく、止まることもない
★ウッドワードのデータのなした意味
化学プラント
石油精製工場
酒造所
原子力発電所
• マネジメント階層の数とマネジャーの全従業員に占める
比率は、技術的な複雑性が増すにつれて増加.
• スパン・オブ・コントロールや公式化された手順、中央
集権化などの特徴は、大量生産技術には多く見られるが、
その他の技術では少ない.
• 単位生産技術と連続工程生産の技術には、高度の熟練労
働者や口頭のコミュニケーションが必要.
技術の違いは個人や組織に異なる種類の要求を課し、
それらの要求は適正な構造と
合致しなければならなかった
★戦略、技術、パフォーマンス
戦略的目的についての
パフォーマンス
商業的な
成功の度合い
成功している企業は相互補完的な
組織構造と技術を持つ場合が多い
組織構造の特徴は有機的マネジメントシステム
と機械的マネジメントシステムにまとめられる
有機的構造
• 小バッチ単位
• 連続工程生産
機械的構造
• 大量生産
戦略、組織構造、技術は整合されなければならない
▼CIM
• ウッドワードの研究以後、製造技術に新しい発展
• その究極の技術がCIM
?CIMとは?
ロボット
機械
製品設計
エンジニア
リング分析
一台のコンピュータで統合、調整
CAD:コンピュータを利用して新しい部品の製図、設計、エ
ンジニアリングを行う
すべての部品が
CAM:材料の処理、加工、生産、組み立てにコンピュータ制
御の機械を使うことで各部の製造スピードの大幅な増進
相互依存
統合された情報ネットワーク:会計・購買・マーケティング・
在庫管理・設計・生産などの工場のあらゆる面を結び付ける
★パフォーマンス
• CIMの利点:大きさやタイプ、顧客の要求条件の異な
る製品が組み立てライン上で自由に交錯している
• 今日の製造会社は、無限のバッチサイズで無限に多様な
製品をつくりだせる
カスタマイズ小バッチ単位
新
製
品
の
フ
レ
キ
シ
ビ
リ
テ
ィ
標準化
フレキシブル
マニュファク
チャリング
マス・カスタマ
イゼーション
選択肢
大量生産
連続産式
小
バッチサイズ
大
大量生産およびCIMに伴う組織の特徴の比較
特徴
大量生産
CIM
広い
多い
ルーチン、繰り返し
高い
中央集権化
官僚的、機械的
狭い
少ない
適応性が高い、職人芸
低い
分権化
自治的、有機的
独立
狭い範囲、一度だけ
手作業、技能的
チームワーク
幅広く、頻繁
問題解決
構造
スパン・オブ・コントロール
階層構造のレベル数
タスク
特化の程度
意思決定
組織全体
人的資源
相互作用
トレーニング
専門性
★組織構造とマネジメント・プロセスを設計し直さなければ競争上の重み
★トップマネジャーが従業員に権限を委譲し、学習と知識を生み出す環境
を支援する構造とプロセスの実施に熱意を傾ければ、競争力を高める
組織レベルでのサービス技術
組織の持つ技術にとっての最大の変化
サービスセクターの伸び
サービス技術は特別の組織構造が必要!
サービス会社の定義
主目的を教育、ヘルスケア、輸送、
銀行業、接客などのサービスを生み出し、
提供することによって提供する。
製造技術とサービス技術との違い
サービス
サービスと製品の混在
製品
製造技術
サービス技術
1.無形のアウトプット
2.生産と消費が同時
3.労働と知識の集約
4.顧客との相互要素が多い
5.人的要素がきわめて多い
6.品質は受け取り方に左右
され、測定が難しい
7.迅速な対応がたいてい必
要
8.設備の設置場所がきわめ
て重要
1.有形の製品
2.あとで消費されるまで製
品を在庫できる
3.資本資産の集約
4.顧客との直接の相互作用
が少ない
5.人的要素の重要性が相対
的に低い
6.品質を直接に測れる
7.それほどの即応性が求め
られない
8.設備の設置場所はそれほ
ど重要ではない
サービス業の新しい方向
CIMによってもたらされた
製造業における
マス・カスタマイゼーションへの傾向
顧客がサービス業に
良いサービスを期待する度合が高まる
サービス組織を設計する
構造
サービス
製品製造
1.別個の境界橋渡し役
少ない
多い
多い
少ない
3.意思決定
分権化
中央集権化
4.書面による手順
少ない
多い
高い
低い
対人関係
技術的
2.地理的な分散
人事面
1.従業員のスキルレベル
2.スキルの重点
サービス組織を設計する
サービス技術を理解すること
製造技術とは大きく異なる
戦略と構造とマネジメント・プロセスを
整合する助けになる
製造会社が
サービス志向を強化することができる
事業部門の技術
ペローのフレームワーク
バラエティ
インプットをアウトプットに
転換するプロセスで生じる
予想外で目新しい出来事の頻度
分析の可能性
作業活動が
分析可能かどうか
フレームワーク
低い
職人的技術
ルーチン化
されていない
技術
ルーチン化
された技術
エンジニアリング
少ない
多い
分析の可能性
高い
バラエティ
バラエティの少ない技術
• ルーチン化された技術
客観的で計算処理の可能な
プロセスを使用
Ex.自動車の組立ライン
• 職人的技術
知恵と直感と経験をもとに
無形の要素に対応するため、
集中的なトレーニングが必要
Ex.石油やガスの採掘者
フレームワーク
低い
職人的技術
ルーチン化
されていない
技術
ルーチン化
された技術
エンジニアリング
少ない
多い
分析の可能性
高い
バラエティ
バラエティの多い技術
• エンジニアリング技術
タスクにバラエティがあり、
複雑になりがちだが、
従業員は体系化された
知識を頼りにする。
Ex.一般会計業務
• ルーチン化されていない技術
問題や活動の分析に
かなりの努力が向けられる。
Ex.戦略的な立案
フレームワーク
低い
職人的技術
ルーチン化
されていない
技術
ルーチン化
された技術
エンジニアリング
少ない
多い
分析の可能性
高い
バラエティ
ルーチン化された技術と
ルーチン化されていない技術
分析可能性とバラエティの領域は
事業部門間で相関している場合が多い
バラエティの多い技術は分析の可能性が低くなり、
バラエティの少ない技術は分析可能になりやすい
事業部門の技術の位置を
分析する方法
• バラエティ
1. その仕事はどの程度ルーチン化されて
いるといえるか。
2. この部署のほぼ全員がたいていの時間
に同じやり方でほとんど同じ仕事をし
ているか。
3. 部署のメンバーはそれぞれの仕事をす
る際に繰り返し作業をしているか。
事業部門の技術の位置を
分析する方法
• 分析の可能性
1. 通常、遭遇する主な仕事を行うのに、
はっきりとわかっている方法がどの程
度あるか。
2. その仕事をする際に、よくわかる一連
の手順はどの程度あるか。
3. その仕事をするために、確立された手
順や慣行をどの程度頼りにすることが
できるか。
事業部門の組織の設計
◆技術と組織設計の関係とは?
機械的構造
技術
有機的構造
事業部門の技術はその部門の組織設計を左右する
第5章:製造業とサービス業の組織
事業部門の組織の設計
◆技術と構造上・マネジメント上の特徴の関係
④
スパン・オブ・コントロール
広範囲のコントロールスパン
⑤
コミュニケーションと調整
垂直方向、書面による
コミュニケーション
合致しないと
有効性低下の原因に
中程度から狭い
コントロールスパン
水平方向の
コミュニケーション、会議
第5章:製造業とサービス業の組織
事業部門の組織の設計
◆技術と構造上・マネジメント上の特徴の関係
①
公式化された手順
②
分権化
③
作業者のスキルレベル
高度の公式化
高度の
中央集権化
トレーニングや経験は
あまり必要ない
低い公式の程度
少ない
中央集権化
トレーニング及び
経験
第5章:製造業とサービス業の組織
事業部門の組織の設計
◆技術と構造上・マネジメント上の特徴の関係
職人的技術
エンジニアリング
①中程度の公式化
②中程度の中央集権化
③仕事の経験
④中程度から広範囲の
コントロール・スパン
⑤水平方向、応答の
コミュニケーション
①中程度の公式化
②中程度の中央集権化
③公式のトレーニング
④中程度の
コントロール・スパン
⑤書面と口頭の
コミュニケーション
第5章:製造業とサービス業の組織
事業部間におけるワークフローの相互依存
◆相互依存の3つのタイプ
①プールされた相互依存
POINT
○財務資源を共有し、
各部門の成功が組織全体の成功に寄与
○取次媒介を備えた企業に存在する
○規則と手順を利用して活動を標準化
○部門間での調整を必要としない
Ex,マクドナルド、銀行の支店
第5章:製造業とサービス業の組織
事業部間におけるワークフローの相互依存
◆相互依存の3つのタイプ
②一方向的な相互依存
POINT
○横方向のメカニズムの必要性が高くなる
○「長く連結した技術」の場合に生じる
(一つの組織内における
連続的な段階を生む生産)
○関連する工場や事業部門間
の調整が必要となる
Ex,自動車産業
第5章:製造業とサービス業の組織
事業部間におけるワークフローの相互依存
◆相互依存の3つのタイプ
③相互補完的な依存
POINT
○相互依存のレベルが最も高い
○「集約的技術」の場合生じる
(様々な製品やサービスを組み合わせる)
○各自事業部門が緊密に協力し、
密接な連絡を取り合うことが必要
Ex,病院、新製品開発
第5章:製造業とサービス業の組織
事業部間におけるワークフローの相互依存
組織構造上の優先順位と組織構造への意味あい
高
相互補完的な依存
低
相互依存性
一方向的な相互依存
プールされた相互依存
相互補完的に依存しあう活動は相互に調整しやすい組織構造に!
同じ人間に直属させる、物理的に近い位置に配置、
毎日会議を開く、インターネットコミュニケーション、などなど
第5章:製造業とサービス業の組織
事業部間におけるワークフローの相互依存
組織構造上の優先順位と組織構造への意味あい
高
相互補完的な依存
機能横断チーム
低
相互依存性
一方向的な相互依存
プールされた相互依存
計画
定期会合、タスクフォース
相互調整
直接的コミュニケーション
専任の統合担当者
計画立案
標準化
垂直方向のコミュニケーション
規則
製造業:
設計⇒製造⇒発注⇒流通という過程で相互依存度が下がっていく
第5章:製造業とサービス業の組織
技術が職務のデザインに及ぼす影響
職務のデザイン 従業員が果たすべき目標と作業を割り当てること
POINT
新しい技術の導入=人間の代わりに機械を使う
職務が単純化し、
モチベーションの
退屈な作業の
低下
くり返しに…
第5章:製造業とサービス業の組織
技術が職務のデザインに及ぼす影響
職務のデザイン 従業員が果たすべき目標と作業を割り当てること
先端的な技術を導入
• 認知レベルのスキルを必要とする機会が増える
• 結果に対する従業員の責任が高まる
• 相互依存性が高まり、チークワークや調整のスキルが向上
従業員はより多種多様な業務をこなさなければならない
結果的に職務が充実し、
満足度が上がっています。
第5章:製造業とサービス業の組織
技術が職務のデザインに及ぼす影響
社会技術システム
人間のニーズ
仕事や調整のされ方
技術のニーズ
原材料、機械、プロセス
社会と技術のバランスを考えて最適化を目指すことが重要!
第5章:製造業とサービス業の組織
第5章:製造業とサービス業の組織