主な結果(続き)

European Thoracic Oncology Platform(ETOP)
との共同制作
第39回 欧州臨床腫瘍学会 (ESMO 2014)
2014年 9月26 - 30日
於スペイン・マドリッド
協賛:Eli Lilly社.
本資材の内容については、Eli Lilly社とは独立して制作しております。
Developed in association with the
European Thoracic Oncology Platform
ESMO 2014 Congress
26–30 Sept 2014 | Madrid, Spain
Supported by Eli Lilly and Company.
Eli Lilly and Company has not influenced the content of this publication
Rolf Stahel教授からのメッセージ
ご同輩の皆様へ
謹啓 この度、2014年の主な学会で報告された胸部癌に関する重要な知見をまとめた
ETOPスライドが完成し、皆様にご覧頂けることになりました。このスライドは特に欧州
腫瘍内科学会(ESMO;European Society for Medical Oncology)での報告に焦点をあて
ており、英語、イタリア語および日本語の3ヵ国語でのご提供が可能です。
がんの臨床研究は課題が山積する領域で、日々変化しております。このような状況にあっ
て、われわれは皆、科学者として、臨床医として、そして教育者として、自らの活動をさ
らに推し進める上で役に立つ科学的なデータや研究に触れる機会を大切にしています。胸
部癌における最新の研究成果をまとめたこのスライドが、皆様の研究や診療の一助になり
ますことを願っております。ご意見・ご感想などございましたら、いつでも
[email protected]までお寄せください。お待ちしております。
ETOPのメンバーであるSolange Peters博士およびMartin Reck博士には、このスライドの
編集者として収録するアブストラクトの選定や盛り込む内容の吟味などを担当していただ
き、またSerena Ricciardi博士にはイタリア語への翻訳の監修をお願いしました。皆様が今
ご覧になっているこのスライドは、この方々のご尽力によって完成に至ったものです。
また、今回の複雑ながら価値のある活動の実現のために、Lilly Oncologyから財政上、管理
上および後方業務上のご支援をいただきました。ここに深謝いたします。 謹白
Rolf Stahel
ETOP財団評議会会長
ETOP腫瘍内科学スライド資料2014編集者
担当領域:Stage III~IVのNSCLCと関連バイオマーカー
Dr Solange Peters
Multidisciplinary Oncology Center, Lausanne Cancer Center, Lausanne, Switzerland
担当領域:Stage I~IIのNSCLC/その他の悪性腫瘍と関連バイオマーカー
Dr Martin Reck
Department of Thoracic Oncology, Hospital Grosshansdorf, Grosshansdorf, Germany
目次
• バイオマーカー
• 早期および局所進行NSCLC – stage I、IIおよびIII
• 進行期NSCLC – 根治治療不能なstage IIIおよびIV
– 一次治療
– 二次治療以降
• その他の悪性腫瘍
– SCLCおよび中皮腫
– 稀少腫瘍
バイオマーカー
167O:切除非小細胞肺癌(R-NSCLC)における補助化学療法(ACT)施行時の予後
因子および効果予測因子となりうるバイオマーカー―LACE-Bio – Seymour LKら
• 試験の目的
– R-NSCLCにおいてACT施行後の全生存に関する効果予測因子および予後因子と
なりうるバイオマーカーを特定すること
• 試験デザイン
– 4つの無作為化試験のデータで構築した(LACEメタ解析プロジェクトによる)
高精度注釈情報付きデータベース・組織バンク(約1,500検体を収容)LACEBioのデータを用いて、ACT施行例と非施行対照例とを比較した。
– 1試験で確認された予後因子・効果予測因子と思われる免疫組織化学染色
(ヘマトキシリン・エオジン[H/E]染色および組織化学染色を含む)バイオ
マーカーの妥当性を、残りの3試験で交差検証した。
• 予後予測能および効果予測能を有する傾向だけ認められる場合には、4試験
の併合解析を実施した。
• 主な結果
– 個々の試験で予後予測能または効果予測能を有すると思われる多くのバイオ
マーカーが特定されたが、残りの試験で交差検証するとその大部分は有用性を
確認できなかった(次スライドの表参照)。
LACE=Lung Adjuvant Cisplatin Evaluation
Seymourら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 167O
167O:切除非小細胞肺癌(R-NSCLC)における補助化学療法(ACT)施行時の予後
因子および効果予測因子となりうるバイオマーカー―LACE-Bio – Seymour LKら
• 主な結果(続き)
マーカー
初回検証試験
効果予測能
予後予測能
交差検証結果
ERCC1
IALT
あり
あり
なし
リンパ球浸潤液
IALT
なし
あり
予後予測(OSおよびDFS)
ムチン
CALGB
なし
あり
なし
βチューブリン
JBR10
傾向のみ
あり
予後予測(OSおよびDFS)
P27
IALT
あり
なし
なし
FASL
IALT
傾向のみ
なし
効果予測(OS)
FAS/FASL
IALT
あり
あり
なし
BAX
IALT
傾向のみ
なし
なし
IALTおよびJBR10
なし
なし
なし
IALT、JBR10、CALGB
あり**
あり**
なし
シクリンE/P16*
P53*
• 結論
– 個々の試験における免疫組織化学アッセイではバイオマーカーについて誤解を
招く結果が出ることがあり、臨床で使用する前に検証試験を行うべきである。
*探索的併合解析;**1試験以上で確認
CALGB=Cancer and Leukemia Group B;
IALT=International Adjuvant Lung Trial
Seymourら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 167O
1174O:補助療法としてエルロチニブ(E)をプラセボ(P)と比較したRADIANT
試験におけるEGFRコピー数とKRAS変異状態の予後因子および効果予測因子として
の意義 – Shepherd FAら
• 試験の目的
– Stage IB~IIIAのNSCLC完全切除例においてKRAS変異状態やEGFRコピー数が
予後因子およびエルロチニブの効果予測因子かどうかを検討すること
• 試験デザイン
– RADIANT試験において無作為割り付けされた患者から採取した組織検体を分析
した。
– Coxモデルを用いてKRAS変異陽性(828例)またはEGFRコピー数(921例)と
ベースライン特性との関連性を評価し、EGFR野生型患者におけるEGFRカウント、
最大の解析集団におけるKRAS変異陽性およびEGFR野生型腺癌患者における
KRASの予後因子としての意義、ならびにそれらのDFSおよびOSに関する効果
予測因子としての意義を検討した。
• 主な結果
– EGFR変異陽性だけがベースラインのEGFRコピー数高値と関連性を示した。
• 結論
– KRAS変異状態もEGFRコピー数も予後因子ではなく、補助療法としてエルロチニブ
を投与した場合の効果予測因子でもなかった。
Shepherdら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1174O
1227PD:EGFR変異陰性進行期非扁平上皮肺癌におけるRET融合遺伝子の日本全国
ゲノムスクリーニングと分子標的療法の開発―LC-SCRUM-Japan – Yoh Kら
• 試験の目的
– NSCLCにおける稀少なドライバー変異のスクリーニングを行い、これらの変異
を有する患者に対する個別化標的治療薬を開発すること
• 試験デザイン
– EGFR変異陰性の進行期または再発非扁平上皮NSCLC患者を対象としたプロス
ペクティブな観察試験
– RT-PCR法で腫瘍検体のスクリーニング検査を行い、主としてRET、ROS1および
ALKの有無を調べた。
• 陽性の結果はbreak-apart FISH法で検証した。
• 主な結果
– 2014年7月現在、計940例(男性608例、年齢中央値64歳、93%が腺癌患者)を
組み入れた。
– このうち842例(90%)から採取した腫瘍検体の検査を行った。
– RET融合遺伝子が24例で、ROS1が36例で、ALKが16例で検出された。
Yohら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1227PD
1227PD:EGFR変異陰性進行期非扁平上皮肺癌におけるRET融合遺伝子の日本全国
ゲノムスクリーニングと分子標的療法の開発―LC-SCRUM-Japan – Yoh Kら
• 主な結果(続き)
検出率(%)
– RET融合遺伝子検出例のうち
• 半数以上(17例、71%)が女性
• 全例が腺癌患者
7
• 年齢中央値は62歳
6
(41~79歳)
5
4
• 大多数(79%)は
3
喫煙歴なし
2
患者背景別RET融合遺伝子の検出率
5.1
3.5
2.3
2.8
1.2
0.8
1
0
0
男性
• 結論
6.4
RET
女性 <50歳 ≧50歳
性別
年齢(歳)
腺癌 非腺癌 あり
組織型
なし
喫煙歴
– RET融合遺伝子がEGFR変異陰性の進行期非扁平上皮NSCLC患者の2.8%に認
められた。
– 本邦では、現在、RET融合遺伝子陽性の進行期NSCLC患者を対象としたバンデタニブ
の第Ⅱ相臨床試験(LURET試験)が進行中である。
Yohら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1227PD
早期および局所進行NSCLC
Stage I、IIおよびIII
1177PD:RADIANT試験におけるEGFRの活性化変異 del19/L858R陽性サブグループ
–ベースライン特性、予後因子としての意義およびステージ別無病生存期間(DFS)
– Altorki NKら
• 試験の目的
– NSCLCにおけるEGFR変異陽性の予後因子としての意義を検討すること
• 試験デザイン
– RADIANT試験のデータを用いて、ベースライン特性およびDFSに関してEGFR野生型患者
と変異陽性患者を比較する探索的解析を実施した。
• 主な結果
– 無作為割り付けした973 例中161例がEGFR変異陽性、703例がEGFR野生型であった。
• EGFR変異陽性患者は野生型患者に比べて有意に腫瘍径が小さく(腫瘍径40 mm未満:
70% vs 49%)、腺癌例が多かった(91% vs 52%)が、ステージが高かった(stage
IB:47% vs 52%; stage II:29% vs 34%:stage IIIA:22% vs 14%)。
– プラセボ投与例のうちEGFR変異陽性患者は野生型患者に比べてDFSが短い傾向を示した
(DFS中央値:28.5ヵ月 vs 55.1ヵ月;p=0.23)。
– エルロチニブの投与で、stage IB例(75例)およびstage II例(47例)ではDFSが延長する
傾向がみられた(それぞれHR 0.52;p=0.14およびHR 0.51;p=0.09)が、stage IIIA例
(36例)ではそのような効果はみられなかった(HR 1.12;p=0.78)。
• 結論
– EGFR変異陽性は有意な予後因子ではなかったが、症例数が少ないため明確な結論を
下すことはできない。
– EGFR変異陽性患者の方がNSCLCのステージが高く、それ以外の点でも野生型患者と
異なる可能性がある。
Altorkiら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1177PD
1179PD:切除可能NSCLCにおける腫瘍中および腫瘍間質中の免疫微小環境
マーカーの予後因子としての意義 – Usó Mら
• 試験の目的
– 切除可能NSCLCにおける免疫関連遺伝子の発現の予後因子としての意義を検討
すること
• 試験デザイン
– 早期NSCLC患者117例から採取した原発腫瘍組織検体をレトロスペクティブに
分析した。
– RT-PCR法を用いて、制御性T細胞(Treg)のマーカー(CD127、CD25、
FOXP3、CTLA-4、IL-10、TGFβ-1、LAG-3、GITR、TNFα、CD4およびCD8など)
の発現を調べた。
• 主な結果
– 腫瘍と腫瘍間質の両方でCD25、FOXP3、CTLA-4およびTGFβ-1の過剰発現が
みられたが、TNFαの発現レベルは低かった。
– 腫瘍中のCD8発現レベルが低い患者でOSおよびPFSが有意に短かった(それぞ
れ37.2ヵ月 vs 81.2ヵ月;p<0.001、19.4ヵ月 vs 81.2ヵ月;p=0.001)。同様
に、CD4およびLAG-3発現レベルが低い患者でOSが有意に短かった(それぞれ
49.2ヵ月 vs 81.2ヵ月;p=0.018および36.2ヵ月 vs 69.0ヵ月;p=0.024)。
Usóら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1179PD
1179PD:切除可能NSCLCにおける腫瘍中および腫瘍間質中の免疫微小環境
マーカーの予後因子としての意義 – Usó Mら
• 主な結果(続き)
– 腫瘍間質中のCD25発現高値およびCD127発現低値(「Treg」プロファイル)
を示す患者で、PFSが短かった(中央値12.7ヵ月 vs 35.4ヵ月;p=0.004)。
– 間質中FOXP3/腫瘍中FOXP3比、 間質中FOXP3/腫瘍中CD4比および間質中
FOXP3/腫瘍中CD8比が高い患者で、OSおよびPFSが有意に短かった(表)。
比
OS中央値 (月)
p値
PFS中央値(月)
p値
未到達 vs 42.9
0.002
未到達 vs 19.4
0.001
間質中FOXP3/腫瘍中CD4
81.2 vs 46.6
0.012
37.8 vs 19.4
0.013
間質中FOXP3/腫瘍中CD8
74.3 vs 46.4
0.025
37.8 vs 23.0
0.042
間質中FOXP3/腫瘍中FOXP3
• 結論
– 早期NSCLC患者では、重要な予後因子となりうる免疫バイオマーカーが腫瘍微
小環境内に存在する。
Usóら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1179PD
1176O:非小細胞肺癌根治切除時の検査リンパ節数のステージングおよび生存期間
に及ぼす影響―最低14個のリンパ節を検査するべき – Liang Wら
• 試験の目的
– 切除可能NSCLC患者における検査リンパ節数とOSまたはステージングとの関連性を検討
すること
• 試験デザイン
– 中国のレジストリ(2001~2008年)に登録された5,729例から採取した組織検体を評価
し、別に集積した546例のデータを用いてその結果のバリデーションを行った。
• 主な結果
– 検査リンパ節数と5年OS率との間に正の相関がみられた(R2=0.538、p=0.016)。
5年全生存率
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
R2=0.538、p=0.016
0
1~5 6~10 11~15 16~20 21~25 26~30 31~35 35~40 40~50 50~78
検査リンパ節数
Liangら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1176O
1176O:非小細胞肺癌根治切除時の検査リンパ節数のステージングおよび生存期間
に及ぼす影響―最低14個のリンパ節を検査するべき – Liang Wら
• 主な結果(続き)
– 検査リンパ節数14個を境に生存率に最も大きな差がみられた(χ2=27.2)。
– 検査リンパ節数14個以上の患者の方がOS中央値が有意に長かった。
– 多変量解析で14個以上のリンパ節数を検査した場合の生存期間延長が確認された。
1.0
検査リンパ節数
14個未満(2,552例)
14個以上(3,177例)
全生存率
0.8
0.6
OS中央値:14個以上検査100ヵ月 vs
14未満検査73ヵ月(p<0.001)
0.4
HR 0.73、95%CI 0.66~0.81;p<0.001
0.2
0
0
1000
2000
3000
4000
術後経過時間(日)
• 結論
– NSCLC根治切除患者では検査リンパ節数が多いほどOSが大きく延長した。正確なステージ
ングを行い、生存期間を延長するためには、最低14個のリンパ節を検査するべきである。
Liangら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1176O
1173O:MAGE-A3陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)切除患者に対する補助療法として
recMAGE-A3+AS15癌免疫療法の有効性を評価する第Ⅲ相無作為化プラセボ対照
二重盲検比較試験(MAGRIT試験)– Vansteenkiste JFら
• 試験の目的
– NSCLC切除患者に対して補助療法としてrecMAGE-A3とAS15を併用した癌免
疫療法(MAGE-A3 CI)を27ヵ月間施行した場合にDFSが延長するかどうかを
検討すること
MAGE-A3 CI(13回筋注)群
(1,515例)
主な組み入れ基準
• Stage IB、IIまたはIIIAの
NSCLC
• 腫瘍完全切除例
• MAGE-A3陽性
• PS 0~2
(2,272例)
主要評価項目
• DFS
無作為化
2:1
PD
割り付け調整因子
• 化学療法施行歴
プラセボ(13回筋注)群
(757例)
PD
副次評価項目
• OS、肺癌特異的生存期間、免疫原性
• 安全性、健康関連QOL
Vansteenkisteら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1173O
1173O:MAGE-A3陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)切除患者に対する補助療法として
recMAGE-A3+AS15癌免疫療法の有効性を評価する第Ⅲ相無作為化プラセボ対照
二重盲検比較試験(MAGRIT試験)– Vansteenkiste JFら
• 主な結果
– DFS中央値に関してMAGE-A3 CI群とプラセボ群の間に有意差はなかった
(60.5ヵ月 vs 57.9ヵ月;HR 1.024、95%CI 0.89~1.18;p=0.7379)。
DFS
1.0
MAGE-A3 CI群
プラセボ群
無病生存率
0.8
0.6
MAGE-A3 CI群(597イベント)
中央値:60.5ヵ月(95%CI 57.2~–)
0.4
プラセボ群(298イベント)
中央値:57.9ヵ月(95%CI 55.7~–)
0.2
観察期間中央値 38.8ヵ月
p*=0.7379
HR 1.02(95%CI 0.89~1.18)
0
0
有リスク例
MAGE-A3 CI
プラセボ
6
12
18 24 30 36 42 48 54 60
無作為割り付け後経過時間(月)
1,515 1,257 1,115 1,013 887 656 476
757 639 562 514 448 328 253
*化学療法について層別化し、最小化因子として用いたベース
ライン変数で調整したCox回帰モデルに基づく尤度比検定
339
180
220 127
114 62
19
6
66
72
2
0
Vansteenkisteら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1173O
1173O:MAGE-A3陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)切除患者に対する補助療法として
recMAGE-A3+AS15癌免疫療法の有効性を評価する第Ⅲ相無作為化プラセボ対照
二重盲検比較試験(MAGRIT試験)– Vansteenkiste JFら
• 主な結果(続き)
– 重要な共変量に関するサブグループ解析でもDFSに差は認められなかった。
サブグループ
HRおよび 95%CI
性別
女性
男性
ステージ(TNM6分類)
IB以下
II
IIIa以上
イベント数/例数
MAGE-A3 CI群
プラセボ群
HR(95%CI)
0.1484
154/370
442/1141
67/178
235/577
1.226(0.913~1.646)
0.954(0.815~1.118)
229/710
223/545
144/256
124/345
105/275
68/135
0.887(0.713~1.104)
1.081(0.857~1.363)
1.191(0.893~1.590)
326/802
270/709
155/400
142/355
1.061(0.876~1.284)
0.960(0.783~1.176)
345/735
251/776
166/355
131/400
1.027(0.853~1.236)
0.980(0.793~1.211)
289/727
307/784
596/1511
153/363
144/392
297/755
0.955(0.785~1.162)
1.067(0.876~1.301)
1.011(0.880~1.163)
0.2123
リンパ節郭清の方法
0.4742
限定的/最小範囲
系統的
病理組織型
非扁平上皮癌
扁平上皮癌
化学療法の施行
なし
あり
全体
• 結論
p値
0.7507
0.4365
0
0.5
1.0
1.5
2.0
MAGE-A3 CIが優れる
プラセボが優れる
– NSCLC患者においてMAGE-A3 CIは、補助化学療法施行歴の有無によらずDFS
を延長しない。
Vansteenkisteら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1173O
1195O:Stage IIIA/N2の非小細胞肺癌(NSCLC)を対象としたネオアジュバント化
学放射線療法と化学療法単独を比較した第Ⅲ相無作為化比較試験SAKK 16/00試験の
最終成績 – Pless Mら
• 試験の目的
– Stage IIIA/N2のNSCLCに対してネオアジュバント化学療法(CT)+手術に加えてネオアジュ
バント放射線療法(RT)を施行した場合に治療成績が向上するかどうかを検討すること
化学放射線療法(CRT)群:
ネオアジュバントCT(3コース)
→加速同時ブースト法による放射線
療法→手術
(117例)
主な組み入れ基準
• 切除可能なstage
IIIA/N2のNSCLC
• PS 0~1
• 十分な臓器機能を
保持
無作為化
1:1
割り付け調整因子
• 縦隔リンパ節径(5 cm以上 vs 5 cm未満)、
体重減少(5%以上 vs 5%未満)、施設
(232例)
ネオアジュバントCT単独群:
ネオアジュバントCT→手術
(115例)
主要評価項目
副次評価項目
• 無イベント生存期間(EFS)
• OS、術後30日死亡率、ORR、失敗パターン、
完全切除率、手術可能性
CT=シスプラチン100 mg/m2およびドセタキセル85 mg/m2 1日目3週毎
RT=計44 Gyを3週間に22回に分けて照射
Plessら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1195O
1195O:Stage IIIA/N2の非小細胞肺癌(NSCLC)を対象としたネオアジュバント化
学放射線療法と化学療法単独を比較した第Ⅲ相無作為化比較試験SAKK 16/00試験の
最終成績 – Pless Mら
• 主な結果
– CRTの施行によってEFSもOSも有意に延長しなかった。
EFS
治療群
EFS中央値(95%CI)
RTあり
13.1(9.9~23.5)
RTなし
11.8(8.4~15.2)
HR 1.1(95%CI 0.8~1.4) p=0.665
1.0
0.8
CT/RT/手術
CT/手術
0.6
治療群
OS中央値(95%CI)
RTあり
37.1(22.6~50.0)
RTなし
26.2(19.9~52.1)
HR 1.0(95%CI 0.7~1.4)
p=0.938
1.0
全生存率(ITT集団)
無イベント生存率(ITT集団)
OS
0.4
0.2
0
0.8
CT/RT/手術
CT/手術
0.6
0.4
0.2
0
0
有リスク例
RTあり 117
RTなし 115
24
38
31
48
19
19
72
96
120
時間(月)
9
9
5
3
3
2
144
2
0
168
0
0
0
有リスク例
RTあり 117
RTなし 115
24
48
72
96
120
時間(月)
57
53
27
28
13
15
7
7
5
2
144
168
2
0
0
0
Plessら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1195O
1195O:Stage IIIA/N2の非小細胞肺癌(NSCLC)を対象としたネオアジュバント化学
放射線療法と化学療法単独を比較した第Ⅲ相無作為化比較試験SAKK 16/00試験の最終
成績 – Pless Mら
• 主な結果(続き)
CRT 群(117例)
CT単独群(115例)
客観的奏効率(%)
61
44
完全切除術(%)
91
81
pCR率(%)
16
12
– CTの施行に伴い著明な毒性が発現した(特に、発熱性好中球減少症が多かっ
た)が、RTの忍容性は良好であった。
• 結論
– Stage IIIA/N2のNSCLCに対してCTに加えてRTを施行するとORR、完全切除率
およびpCR率が改善したが、EFSやOSの改善にはつながらなかった。
pCR=病理学的完全寛解
Plessら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1195O
1196O:Stage III/N2の非小細胞肺癌切除後ypN2例における術後放射線療法―近代
的原体照射法は治療成績不良を挽回できるか? – Billiet Cら
• 試験の目的
– 導入化学療法施行後もN2状態が持続するNSCLC患者において、近代的な術後
放射線療法(PORT)を施した場合のOSに対する効果を検討すること
• 試験デザイン
– プロスペクティブなデータベースから、導入化学療法と手術を施行した切除
可能N2 NSCLC患者を選抜した。
– 化学療法後にPDと判定されなかった103例が切除術を受け、このうち95%に
対してFDG-PET検査でステージングを行い、85%に頭部画像検査を行った。
• 不完全切除例またはypN2状態持続例53例に対して、計50~66 Gyを2 Gyずつ
分割照射する3D-PORTを施行した。
• 完全切除がなされ、リンパ節のypN0またはypN1へのダウンステージングが
確認された患者には、PORTを施行しなかった。
Billietら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1196O
1196O:Stage III-N2の非小細胞肺癌切除後ypN2例における術後放射線療法―近代
的原体照射法は治療成績不良を挽回できるか? – Billiet Cら
• 主な結果
– 経過観察期間中央値は46.3ヵ月であった。
– 切除術施行例において
• 5年OS率は31.3%であった。
• 無再発生存率は29.8%であった。
• 累積局所再発率は51.0%であった。
– (多変量解析で)以下の因子が5年OSの有意な共変量と認められた。
• PORT(相対リスク[RR]0.441;p=0.017)
• 化学療法施行後のダウンステージング(RR 0.478;p=0.030)
• 切除の完全性(RR 2.051;p<0.001)
• 結論
– PORTを施行する患者は負の予後因子を有しているが、stage IIIAのNSCLC患者
でypN0/1またはR1/R2の患者にPORTを施行すると生存期間が延長した。
– ypN0例およびypN1例では局所再発率が高いため、PORTはこのような患者にも
有用である可能性が示唆される。
Billietら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1196O
1198PD:ドイツの臨床レジストリ―非小細胞肺癌に対するネオアジュバント化学放射線
療法 – De Wit Mら
• 試験の目的
– ドイツにおいてNSCLC患者に対してネオアジュバント化学放射線療法を施行した場合の
生存期間延長効果を検討すること
• 試験デザイン
– NSCLC患者に対するネオアジュバント療法に焦点をあてて、レジストリADTおよび
KoQKをレトロスペクティブに解析した。
• 主な結果
– NSCLC患者計129,740例を解析対象とした。このうち52.3%は扁平上皮癌、32.5%は
腺癌、5.2%は大細胞癌、10%はその他のNSCLCの患者であった。
– 15,325例(58.6%)はstage IIIB、10,819例(41.4%)はstage IIIAであった
– 生存期間に関して治療時のステージおよび性別による有意差はなかった、ネオアジュバ
ント療法施行例は非施行例に比べて年齢が低かった(女性で60歳 vs 66歳、男性で62歳
vs 67歳)。
– ネオアジュバント療法施行例は非施行例に比べて生存期間が長く(中央値25ヵ月 vs 12ヵ月)、
治療効果も優れていたが、局所再発・転移の頻度は高かった。
• 結論
– ネオアジュバント療法の施行により生存期間が延長した。ただし、この効果が、本療法
施行例の方が若年で診断時のECOG PSが良好であったためかは不明である。
De Witら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1198PD
進行期NSCLC
根治治療不能なstage IIIおよびstage IV
一次治療
1223O:ASPIRATION試験―EGFR変異陽性のアジア人NSCLC患者において
エルロチニブ(E)をRECIST基準に基づくPDまでまたはPD以降も継続する
一次治療 – Park Kら
• 試験の目的
– EGFR変異陽性のアジア人患者を対象にエルロチニブを一次治療として投与した
場合の有効性・安全性を検討すること
• 試験デザイン
– 年齢18歳以上で EGFR変異陽性のstage IVのNSCLC患者に対してエルロチニブ
を150 mg/日の用量で経口投与する第Ⅱ相非盲検単群試験
– 主要評価項目:PFS1(RECIST基準に基づくPDまたは死亡までの時間)
– 副次評価項目:PFS2(エルロチニブをRECIST基準に基づくPD以降も継続した
場合の医師評価によるPDまでの時間)、ORR、DCR、最良総合効果、OSおよび
安全性
• 主な結果
– 207例中171例がRECIST基準でPDとなり、うち93例がPD以降もエルロチニブ
を継続した。
– PFS1中央値は11.0ヵ月(95%CI 9.2~11.1ヵ月)であった。
– PFS2中央値は14.1ヵ月(95%CI 11.5~14.8ヵ月)であった。
– PD以降もエルロチニブを継続した患者におけるPFS1とPFS2の差は3.1ヵ月で
あった。
Parkら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1223O
1223O:ASPIRATION試験―EGFR変異陽性のアジア人NSCLC患者において
エルロチニブ(E)をRECIST基準に基づくPDまでまたはPD以降も継続する
一次治療 – Park Kら
• 主な結果(続き)
PD以降継続例
(93例)
PD以降非継続例
(78例)
p値
11.0(9.1~11.0)
7.4(5.6~9.2)
0.0096
-48.7a
-42.2b
0.0389
投与開始から最良総合効果発現までの時間の
中央値(日)
56
59
0.8840
最良総合効果発現からPFS1までの時間の
中央値(日)
169
113
0.0047
PFS1時にECOG PSが 0または1(%)
95.7
78.2
0.0005
PFS1時にGrade 3以上の有害事象が発現(%)
19.4
19.2
0.9837
PFS1中央値[月](95%CI)
効果の深さの中央値(%)
a90例、b70例
• 結論
– EGFR変異陽性のNSCLC患者においてRECIST基準に基づくPD以降も
エルロチニブの投与を継続することは可能である。
– PD以降もエルロチニブを継続するのが有用と思われる最適の患者サブグルー
プについては、今後検証する必要がある。
Parkら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1223O
LBA41_PR:非扁平上皮非小細胞肺癌(NSq-NSCLC)に対する一次治療として
ドセタキセル+シスプラチンをペメトレキセド+シスプラチンと比較する第Ⅲ相
無作為化比較試験 – Kim Yら
• 試験の目的
– 非扁平上皮NSCLC患者においてドセタキセル+シスプラチンのペメトレキセド
+シスプラチンに対する非劣性を証明すること
ドセタキセル60 mg/m2 +
シスプラチン70 mg/m2
3週毎4コースまで
(76例)
主な組み入れ基準
• Stage IVの非扁平
上皮NSCLC
• 化学療法施行歴
なし
• ECOG PS 0~2
(156例)
割り付け調整因子
無作為化
1:1
• ECOG PS(0~1 vs 2)および性別
ペメトレキセド500
+ シスプラチン70 mg/m2
3週毎4コースまで
(80例)
mg/m2
ペメトレキセド
または
EGFR-TKI
または
ドセタキセル
主要評価項目
副次評価項目
• PFS
• 奏効率、ORRおよび安全性
注:本試験は被験者登録が進まず早期に中止されたため、結果の
解釈は慎重に行うべきである。
Kimら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA41_PR
LBA41_PR:非扁平上皮非小細胞肺癌(NSq-NSCLC)に対する一次治療として
ドセタキセル+シスプラチンをペメトレキセド+シスプラチンと比較する第Ⅲ相
無作為化比較試験 – Kim Yら
• 主な結果
– OSおよびPFSに関し、2群間に差はなかった。
OS
PFS
ドセタキセル+シスプラチン:28.0ヵ月
1.0
(95%CI 7.5~48.5)
ドセタキセル+シスプラチン:4.6ヵ月
(95%CI 3.7~5.6)
0.8
ペメトレキセド+シスプラチン:19.7ヵ月
(95%CI 10.8~28.6) 0.8
ペメトレキセド+シスプラチン:4.7ヵ月
(95%CI 4.4~5.1)
0.6
0.6
0.4
0.4
0.2
0.2
0
0
1.0
0
200
400
600
日
800
1000
HR 1.016(95%CI 0.74~1.40)
0
100
200
300
日
400
500
– 部分寛解率は、ドセタキセル+シスプラチン群で33.3%、ペメトレキセド+
シスプラチン群で31.2%であった。
Kimら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA41_PR
LBA41_PR:非扁平上皮非小細胞肺癌(NSq-NSCLC)に対する一次治療として
ドセタキセル+シスプラチンをペメトレキセド+シスプラチンと比較する第Ⅲ相
無作為化比較試験 – Kim Yら
• 主な結果(続き)
– ドセタキセル+シスプラチン群では、ペメトレキセド+シスプラチン群と比較して
Grade 3/4の好中球減少症および発熱性好中球減少症の発現率が有意に高く、重篤
な有害事象の発現率も高かった。
Grade 3/4の好中球減少症
発熱性好中球減少症
重篤な有害事象の総件数
重篤な有害事象の発現例数
ドセタキセル+シスプラチン群
(72例)
ペメトレキセド+シスプラチン群
(77例)
10(13.9%)**
1(1.3%)
8(11.1%)*
1(1.3%)
42
24
29(40.3%)*
17(22.1%)
*p<0.05、**p<0.01
• 結論
– 非扁平上皮NSCLC患者において、ドセタキセル+シスプラチン併用療法は
ペメトレキセド+シスプラチン併用療法と比較して同等のPFSおよび奏効率
をもたらしたが、重篤な有害事象および毒性の発現が多かった。
Kimら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA41_PR
LBA42_PR:非扁平上皮NSCLCにおけるチミジル酸シンターゼ発現の有無による
シスプラチン+ペメトレキセド(CP療法)とシスプラチン+ゲムシタビン(CG療法)
の比較―バイオマーカーで層別した第Ⅱ相無作為化比較試験 – Ahn Mら
• 試験の目的
– 非扁平上皮NSCLC患者において、チミジル酸シンターゼ (TS)の発現がゲムシタビン
+シスプラチンと比較したペメトレキセド+シスプラチンの効果予測因子かど
うかを検討すること
主な組み入れ基準
• 非扁平上皮
NSCLC
TS陰性
(160例)
CG群
6コース (77例)
PD
1:1
• ECOG PS 0または1
(321例)
PD
無作為化
• Stage IIIBまたはIV
• 十分な臓器機能を
保持
CP群
6コース (83例)
CP群
6コース (79例)
TS陽性
(161例)
PD
無作為化
1:1
CG群
6コース (82例)
主要評価項目
副次評価項目
• 奏効率
• PFS、OS
• 安全性
CP=ペメトレキセド500 mg/m2+シスプラチン70 mg/m2 1日目3週毎
CG=ゲムシタビン1,000 mg/m2 1~8日目+シスプラチン70 mg/m2 1日目3週毎
PD
Ahnら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA42_PR
LBA42_PR:非扁平上皮NSCLCにおけるチミジル酸シンターゼ発現の有無による
シスプラチン+ペメトレキセド(CP療法)とシスプラチン+ゲムシタビン(CG療法)
の比較―バイオマーカーで層別した第Ⅱ相無作為化比較試験 – Ahn Mら
• 主な結果
客観的奏効率 (%)
– TS陰性群ではペメトレキセド+シスプラチンの方がゲムシタビン+シスプラチン
よりも有効性に優れていたが、TS陽性群では有効性に関して2群間に差はなかった。
実施責任医師による評価
独立評価委員会による評価
交互作用 p=0.0084
交互作用 p=0.0077
60
p=0.0008
50
47%
p=1.0
p=0.02
p=0.34
48%
40% 39%
40
40%
39%
30
21%
21%
20
10
0
TS陰性
TS陽性
ペメトレキセド+シスプラチン
TS陰性
TS陽性
ゲムシタビン+シスプラチン
Ahnら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA42_PR
LBA42_PR:非扁平上皮NSCLCにおけるチミジル酸シンターゼ発現の有無による
シスプラチン+ペメトレキセド(CP療法)とシスプラチン+ゲムシタビン(CG療法)
の比較―バイオマーカーで層別した第Ⅱ相無作為化比較試験 – Ahn Mら
• 主な結果(続き)
– 治療レジメンに関わらず、TS発現レベルが低い方がOSが長かった。
1.0
0.9
TS陰性例
TS陽性例
0.8
OS中央値
(月)
30.3
15.2
95%CI
p値
26.4~未到達
11.5~21.0
<0.0001
全生存率
0.7
HR 0.64、95%CI 0.45~0.90
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0
0
有リスク例
TS陰性例
159
TS陽性例
156
10
20
月
30
116
90
52
31
18
8
• 結論
– TSは効果予測因子および予後因子となるバイオマーカーである。
Ahnら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA42_PR
1225O:PROFILE 1014試験における全般的有効性、脳内(IC)有効性と症状悪化ま
での時間―ALK陽性の進行期非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)に対する一次治療と
してクリゾチニブとペメトレキセド+プラチナ製剤を用いた化学療法(PPC)との
比較 – Solomon Bら
• 試験の目的
– ALK陽性の進行期NSCLC患者に対して一次治療としてクリゾチニブを投与した
場合の有効性を標準化学療法と比較すること
• 試験デザイン
– 第Ⅲ相非盲検試験としてPROFILE 1014試験を実施し、343例をクリゾチニブ
250 mg 1日2回経口投与群(172例)またはペメトレキセド+シスプラチンまたは
カルボプラチン(PPC)投与群(171例)に無作為に割り付けた。
– PD後もクリゾチニブを継続したり、PPCからクリゾチニブにクロスオーバー
してもよいこととした。
– 主要評価項目:PFS
– 副次評価項目:OS、脳内TTP、症状(胸痛、呼吸困難または咳嗽)悪化までの
時間(TTDS)および安全性
• 主な結果
– クリゾチニブはPPCに比べてPFSを有意に延長した(中央値10.9ヵ月 vs 7.0ヵ月;
HR 0.45; 95%CI 0.35~0.60;p<0.0001)。
• この効果はほとんどの患者サブグループで認められた。
PPC=ペメトレキセド500 mg/m2 +シスプラチン75 mg/m2または
カルボプラチンAUC 5~6;すべて静注、3週毎6コースまで
Solomonら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1225O
1225O:PROFILE 1014試験における全般的有効性、脳内(IC)有効性と症状悪化ま
での時間―ALK陽性の進行期非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)に対する一次治療と
してクリゾチニブとペメトレキセド+プラチナ製剤を用いた化学療法(PPC)との
比較 – Solomon Bら
• 主な結果(続き)
– クリゾチニブはPPCに比べてOSおよび脳内TTPを有意に延長しなかった。
– クリゾチニブによりTTDSは有意に延長した(中央値 2.1ヵ月 vs 0.5ヵ月;HR
0.62;p=0.0004)。
– 最も多かった有害事象はクリゾチニブでは視覚障害および消化器症状であった
が、PPCでは非選別NSCLC患者で以前に報告されたものと同様であった。
• 結論
– ALK陽性の未治療の進行期非扁平上皮NSCLC患者において、クリゾチニブの
安全性プロファイルは良好で、PPCと比較してPFSおよびTTDSを有意に延長
した。
– このような患者集団にはクリゾチニブを一次標準治療薬とみなすべきである。
PPC=ペメトレキセド500 mg/m2+シスプラチン75 mg/m2または
カルボプラチンAUC 5~6;全て静注、3週毎6コースまで
Solomonら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1225O
1055PD:進行期非小細胞肺癌(NSCLC)を対象にTG4010と一次治療の併用を評価
する第Ⅱb/Ⅲ相TIME試験―第Ⅱb相の結果 – Quoix Eら
• 試験の目的
– NSCLC患者において、トリプルポジティブ活性化リンパ球(TrPAL)のベース
ライン値がTG4010の効果予測因子であることを立証すること
• 試験デザイン
– MUC1陽性のstage IVのNSCLC患者を対象に、一次治療に併用してTG4010または
プラセボを投与した場合の有効性を比較する第Ⅱb/Ⅲ相二重盲検比較試験を実施
した。
– 主要評価項目:PFS
– 副次評価項目:ORR、安全性、OSおよびサブグループ別効果
• 主な結果
– 試験対象とした221例のうち170例はTrPALのレベルが正常であった。PDイベント数
が144に達した時点で、PFSのHRは0.78(95%CI 0.55~1.10)であった。
– サブグループ解析で、TG4010の有意なPFS延長効果が、非扁平上皮癌患者
(195例;HR 0.71、95%CI 0.51~0.97)およびTrPALレベル低値の患者(131例;
HR 0.60、95%CI 0.41~0.88)において確認された。
Quoixら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1055PD
1055PD:進行期非小細胞肺癌(NSCLC)を対象にTG4010と一次治療の併用を評価
する第Ⅱb/Ⅲ相TIME試験―第Ⅱb相の結果 – Quoix Eら
• 主な結果(続き)
PFS
1.0
例数
85
85
無増悪生存率
0.8
イベント数 投与群
70
TG4010
74
プラセボ
0.6
中央値(95%CI)
5.7 (4.4~6.4)
5.1 (4.2~5.9)
HR 0.78, 95%CI 0.55~1.10
0.4
0.2
0
0
有リスク例
TG4010群
プラセボ群
3
6
9
12
15
18
21
24
月
85
85
63
60
36
28
23
16
16
10
9
2
2
0
1
0
0
0
• 結論
– TrPALはTG4010の効果予測因子となるバイオマーカーである。
– TG4010はstage IVのNSCLC患者、特に非扁平上皮癌の患者に有効で、許容可能な安全性プロ
ファイルを有する。
Quoixら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1055PD
LBA32:Stage IVのNSCLCに対する一次治療における新規免疫修飾薬Imprime
PGG―第Ⅱ相多施設共同無作為化比較試験の成績 – Engel-Riedelら
• 試験の目的
– 進行期NSCLC患者において標準化学療法にImprime PGGを併用した場合に
ORRが改善するかどうかを検討すること
主な組み入れ基準
• 未治療のstage IVのNSCLC
• ECOG PS 0または1
化学療法*+
Imprime PGG群
(61例)
ベバシズマブ+
Imprime PGG
維持療法
化学療法*単独
群
(31例)
ベバシズマブ
維持療法
無作為化
2:1
• 余命3ヵ月超
(92例)
主要評価項目
• ORR
副次評価項目
• 奏効期間、TTP、PFS、OS
• 安全性
*標準化学療法(カルボプラチンAUC6、パクリタキセル200 mg/m2静注、
2日目3週毎+ベバシズマブ15 mg/kg静注、1、8および15日目)
TTP=無増悪期間
Engel-Riedelら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA32
LBA32:Stage IVのNSCLCに対する一次治療における新規免疫修飾薬Imprime
PGG―第Ⅱ相多施設共同無作為化比較試験の成績 – Engel-Riedelら
• 主な結果
– Imprime PGGはORRを約16.9%改善し、奏効期間を4.7ヵ月延長した。
対照群(23例)
Imprime PGG併用群(48例)
例数
%[95%CI]
例数
%[95%CI]
ORR
29
60.4[45.3~74.2]
10
43.5[23.2~65.5]
完全奏効
1
2.1
0
0.0
部分奏効
28
58.3
10
43.5
安定
16
33.3
11
47.8
進行
3
6.3
2
8.7
p値
0.2096
– 本試験はイベント発生までの時間の統計学的比較には症例数が不十分であったが、生存
期間中央値が4.5ヵ月延長し、死亡率が34%低下するなど、PFSおよびOSが改善する傾向
がみられた。
• 結論
– 非扁平上皮NSCLC患者において標準化学療法にImprime PGGを併用すると、ORRが改善し、
奏効期間が延長した。
Engel-Riedelら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA32
進行期NSCLC
根治治療不能なstage IIIおよびIV
二次治療以降
LBA40_PR:TARGET試験―葉酸受容体陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対する
二次治療としてビンタフォリド単剤とビンタフォリド+ドセタキセル併用および
ドセタキセル単剤を比較する第Ⅱ相無作為化比較試験 – Hanna Nら
• 試験の目的
– 葉酸受容体(FR)陽性のNSCLC患者に対する二次治療として ビンタフォリド
単剤をビンタフォリド+ドセタキセル併用およびドセタキセル単剤と比較すること
99mTc-etarfolatideスキャン
主な組み入れ基準
• NSCLCのうち
腺癌および扁
平上皮癌
• 前治療(化学
療法)1種類
すべての
標的病変
がFR陽性
無作為化
1:1:1
A群:ビンタフォリド2.5 mg 静注
1、4、8および11日目3週毎
(63例)
PD
B群:ビンタフォリド+ドセタキセル
A群、C群と同じスケジュール
(68例)
PD
C群:ドセタキセル75 mg/m2 静注
1日目3週毎
(68例)
PD
割り付け調整因子
• 前化学療法終了後経過時間(3ヵ月未満 vs 3ヵ月以上)、化学療法の最良効果、
stage IIIB vs IV、EGFR阻害薬投与歴(あり vs なし)
主要評価項目
副次評価項目
• PFS
• ORR、DCR、OS
Hannaら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA40_PR
LBA40_PR:TARGET試験―葉酸受容体陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対する
二次治療としてビンタフォリド単剤とビンタフォリド+ドセタキセル併用および
ドセタキセル単剤を比較する第Ⅱ相無作為化比較試験 – Hanna Nら
• 主な結果
ビンタフォリド
(63例)
ビンタフォリド+
ドセタキセル (68例)
ドセタキセル
(68例)
1.6(1.4~3.2)
4.2(2.8~5.4)
3.3(1.7~4.2)
1.35(0.92~1.96); 0.9421
0.75(0.52~1.09);0.0696
8.4(5.6~12.3)
11.5(7.3~13.4)
1.05(0.68~1.61);0.5818
0.88(0.58~1.36);0.2874
63例
68例
PFS HR(95%CI;vs ドセタキセル);p値†
1.35(0.89~2.04);0.9266
0.78(0.52~1.17);0.1175
OS HR(95%CI;vs ドセタキセル);p値†
0.96(0.62~1.50);0.4396
0.75(0.48~1.18);0.1066
41例
43例
PFS HR(95%CI;vs ドセタキセル);p値†
1.32(0.79~2.21);0.8590
0.68(0.41~1.14);0.0732
OS HR(95%CI;vs ドセタキセル);p値†
0.88(0.51~1.52);0.3274
0.51(0.28~0.94);0.0147
全症例
PFS中央値(95%CI)[月]
PFS HR(95%CI;vs ドセタキセル)*;p値†
OS中央値(95%CI)[月]
OS HR(95%CI;vs ドセタキセル)*;p値†
8.8(5.4~12.6)
層別解析
全症例
腺癌例
*非層別log-rank検定; †片側検定
Hannaら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA40_PR
LBA40_PR:TARGET試験―葉酸受容体陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対する
二次治療としてビンタフォリド単剤とビンタフォリド+ドセタキセル併用および
ドセタキセル単剤を比較する第Ⅱ相無作為化比較試験 – Hanna Nら
• 主な結果(続き)
– OS
全症例
1.0
0.8
全生存率
0.8
全生存率
腺癌例
1.0
0.6
0.4
0.6
0.4
例数 イベント数 投与群
0.2
例数 イベント数 投与群
63
40
ビンタフォリド単剤
68
41
ビンタフォリド+ドセタキセル
68
43
ドセタキセル単剤
0.2
0
41
25
ビンタフォリド単剤
43
21
ビンタフォリド+ドセタキセル
49
30
ドセタキセル単剤
0
0
3
6
9
12
月
15
18
21
0
3
6
9
12
15
18
21
月
• 結論
– ビンタフォリドをドセタキセルに併用すると、ドセタキセル単剤と比較して
PFSおよびOSが延長する傾向を示した。
• 腺癌患者においてより優れた成績が得られた。
Hannaら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA40_PR
1222O:進行期肺扁平上皮癌(SCC)に対するプラチナ製剤を含む一次化学療法後
の二次治療としてアファチニブ(A)をエルロチニブと比較する無作為化非盲検第Ⅲ相
試験―LUX-Lung 8(LL8)試験 – Goss Gら
• 試験の目的
– 一次化学療法失敗後の肺扁平上皮癌(SCC)患者を対象にアファチニブを
エルロチニブと比較すること
アファチニブ40 mg/日
(335例)
主な組み入れ基準
• Stage IIIB/IVのNSCLC
PD
• 組織型が扁平上皮癌
• プラチナ製剤を含む2剤併用
一次化学療法を4コース以上
施行
• ECOG PS 0~1
(835例)
無作為化
1:1
割り付け調整因子
• 東アジア人 vs 非東アジア人
エルロチニブ150 mg/日
(334例)
主要評価項目
副次評価項目
• PFS
• OS、ORR、DCR、腫瘍縮小効果
• 安全性、健康関連QOL
PD
Gossら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1222O
1222O:進行期肺扁平上皮癌(SCC)に対するプラチナ製剤を含む一次化学療法後
の二次治療としてアファチニブ(A)をエルロチニブと比較する無作為化非盲検第Ⅲ相
試験―LUX-Lung 8(LL8)試験 – Goss Gら
• 主な結果
PFS
1.0
PFS率推定値
0.8
PFS中央値(月)
イベント数[例数(%)]
0.6
アファチニブ
(335例)
2.4
202(60)
エルロチニブ
(334例)
1.9
212(64)
HR(95%CI)0.82(0.68~1.00);p=0.0427
0.4
0.2
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
15
5
8
0
8
0
4
0
2
0
2
0
1
0
時間(月)
例数
アファチニブ
エルロチニブ
335
334
266
256
127
112
96
72
54
43
45
34
28
15
25
12
16
6
Gossら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1222O
1222O:進行期肺扁平上皮癌(SCC)に対するプラチナ製剤を含む一次化学療法後
の二次治療としてアファチニブ(A)をエルロチニブと比較する無作為化非盲検第Ⅲ相
試験―LUX-Lung 8(LL8)試験 – Goss Gら
• 主な結果(続き)
– ORRおよびDCRはアファチニブ群の方がエルロチニブ群よりも高かった(それ
ぞれ4.8% vs 3.0%;p=0.233および45.7% vs 36.8%;p=0.020)。
– 有害事象の発現状況は2群間で同等であった。
• Grade 3以上の有害事象の発現率はそれぞれ50.2%および49.1%であった。
• 投薬に起因するGrade 3以上の下痢およびGrade 3の口内炎の発現率はアファチニブ
群の方が高く(それぞれ9.7% vs 2.4%および3.3% vs 0.0%)、Grade 3の発疹・ざ瘡
の発現率はエルロチニブ群の方が高かった(5.5% vs 9.0%)。
• 結論
– 進行期肺扁平上皮癌患者にアファチニブを投与すると、エルロチニブを投与した
場合よりも優れたPFSおよびDCRが得られた。
• 有害事象の発現状況は2群間で同等であった。
• 上記の成績の臨床的意義は明らかではない。
Gossら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1222O
1224O:JP28927試験におけるクリゾチニブ既治療のALK遺伝子再構成陽性NSCLC
患者に対するアレクチニブの抗腫瘍活性 – Seto Tら
• 試験の目的
– ALK遺伝子再構成陽性のNSCLC患者においてアレクチニブの複数用量間の生物学的同等性
および食事の影響を評価すること
• 試験デザイン
– クリゾチニブ既治療の患者28例に対してアレクチニブ(300 mg 1日2回)を医師の評価で
クリニカルベネフィットが確認される限り投与した。これらの患者における有効性・安
全性の最新データを報告する。
• 主な結果
– 141日(中央値)経過観察した時点で、21例がPDとなることなく治療を継続していた。
– 標的病変を有する24例中18例で30%以上の腫瘍縮小効果が得られた。
– 奏効率は58.3%(95%CI 36.6~77.9%)、DCRは83.3%(95%CI 62.6~95.3%)であった。
– 28例中19例に治療開始時に脳転移を認めたが、このうち13例はPDとなることなく
アレクチニブの投与を継続していた。
– アレクチニブはこれまでの報告と同様に優れた安全性を示し、安全性の問題で投与を中
止した患者はなかった。
• 結論
– クリゾチニブ既治療のALK遺伝子再構成陽性NSCLC患者において、アレクチニブは優れた
忍容性と期待できる抗腫瘍効果を示した。
Setoら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1224O
LBA38_PR:BRAF V600E変異陽性の進行期非小細胞肺癌(NSCLC)患者における
ダブラフェニブ―多施設共同非盲検第Ⅱ相試験(BRF113928試験) – Planchard Bら
• 試験の目的
– BRAF V600E変異陽性の進行期NSCLC患者におけるダブラフェニブの有効性を
検討すること
主な組み入れ基準
• Stage IVのNSCLC
• BRAF V600E変異
陽性
• 全身化学療法中に
病勢進行を来した
• ECOG PS 0~2
無作為化
1:1:1
ダブラフェニブ150 mg 1日2回
第1段階
(20例)
第2段階
(20例)
PD
拡大
(20例)
主要評価項目
副次評価項目
• ORR
• PFS、奏効期間、OS
• 安全性、忍容性
• 母集団薬物動態
Planchardら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA38_PR
LBA38_PR:BRAF V600E変異陽性の進行期非小細胞肺癌(NSCLC)患者における
ダブラフェニブ―多施設共同非盲検第Ⅱ相試験(BRF113928試験) – Planchard Bら
• 主な結果
– ダブラフェニブの投与でORR 32%、DCR 56%が得られた。
二次治療以降
(78例)
PR[例数(%)]
25(32)
SD*[例数(%)]
19(24)
PD[例数(%)]
23(29)
評価不能[例数(%)]
11(14)
奏効率=確定CR+PR(95%CI)[%]
32(21.9~43.6)
病勢コントロール率=確定CR+PR+SD(95%CI)[%]
56(44.7~67.6)
*SD判定が12週(治療開始後2回目の評価実施予定時期)以上
持続した場合と定義した。
Planchardら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA38_PR
LBA38_PR:BRAF V600E変異陽性の進行期非小細胞肺癌(NSCLC)患者における
ダブラフェニブ―多施設共同非盲検第Ⅱ相試験(BRF113928試験) – Planchard Bら
• 主な結果(続き)
– 奏効期間中央値は11.8ヵ月で、奏効例の48%が病勢進行を来した。
– PFS中央値は5.5ヵ月で、62%の患者が病勢進行を来すか死亡した。
二次治療以降での奏効例
25例
病勢進行[例数(%)]
12(48)
効果持続中[例数(%)]
13(52)
奏効期間
転移後に実施した
全身治療レジメン数
1
≥2
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
• 結論
中央値[月](95%CI)
11.8(5.4~未到達)
6ヵ月未満[例数(%)]
11(44)、4例持続
6ヵ月超[例数(%)]
14(56)、9例持続
9ヵ月超[例数(%)]
10(40)、8例持続
12ヵ月超[例数(%)]
6(24)、4例持続
PFS中央値*[月](95%CI)
5.5(2.8~7.3)
10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
投与期間(月)
– ダブラフェニブは、BRAF V600E変異陽性のNSCLC患者において臨床上意義のある抗腫
瘍活性と持続的な客観的奏効を示した。
*62%の患者が病勢進行を来すか死亡した。
Planchardら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA38_PR
LBA43:併合解析による進行期非小細胞肺癌(NSCLC)患者におけるペンブロリズマブ
(Pembro;MK-3475)の抗腫瘍活性とprogrammed death ligand 1(PD-L1)発現
強度との相関性 – Garon Eら
• 試験の目的
– EGFR陽性またはALK陽性の進行期NSCLC患者を対象とした複数の試験の併合解析により、
ペンブロリズマブの有効性・安全性を評価すること
非無作為化
(33例)
• PD-L1陽性a
• 前治療2種類以上
非無作為化
(40例)
• PD-L1陰性a
• 前治療2種類以上b
無作為化
3:2
Pembro
10 mg/kg
3週毎
主要評価項目
• ORR
Pembro
10 mg/kg
2週毎
Pembro
10 mg/kg
3週毎
非無作為化
(45例)
• PD-L1陽性a
• 前治療1種類以上b
無作為化
(45例)
• PD-L1陽性a
• 前治療なし
無作為化
(144例)
• PD-L1陽性a
• 前治療1種類以上b
無作為化
1:1
Pembro
10 mg/kg
2週毎
Pembro
2 mg/kg
3週毎
Pembro
10 mg/kg
3週毎
Pembro
10 mg/kg
2週毎
Pembro
2 mg/kg
3週毎
副次評価項目
• 免疫関連効果判定基準
a適格性評価のためのPD-L1発現検査は原型法で行い、別に指定されたIHC法
を用いた再検査を実施した。
bプラチナ製剤を含む2剤併用療法1種類を含む。
c無作為割付により、最初の11例には2 mg/kgまたは10 mg/kgを3週毎に投与
し、残りの34例には10 mg/kgを2週毎または3週毎に投与した。
2 mg/kgを3週毎に投与した非無作為化例45例については、解析のカットオフ
日を2014年9月11日とした。
Garonら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA43
LBA43:併合解析による進行期非小細胞肺癌(NSCLC)患者におけるペンブロリズマブ
(Pembro;MK-3475)の抗腫瘍活性とprogrammed death ligand 1(PD-L1)発現
強度との相関性 – Garon Eら
• 主な結果
– 進行期NSCLCの未治療例でも既治療例でも、評価したすべての用量およびすべての投与
スケジュールにおいて一貫して抗腫瘍活性が認められた。
100
100
80
80
全生存率(%)
無増悪生存率(%)
未治療例
既治療例
OS
PFS(RECIST v1.1に基づく中央評価)
60
40
20
60
40
20
0
0
0
有リスク例
未治療例 45
既治療例 217
8
16
39
159
25
81
24
32
時間(週)
11
33
4
13
40
48
0
2
4
2
2
0
0
45
217
41
192
38
146
未治療例
 PFS中央値:27週(95%CI 14~45)
 24週PFS率:51%
既治療例
 PFS中央値:10週(95%CI 9.1~15.3)
 24週PFS率:26%
6
8
時間(月)
10
12
14
24
77
7
8
2
0
0
0
13
33
未治療例
 OS中央値:未到達(95%CI 推定不能~推定不能)
 6ヵ月OS率:86%
既治療例
 OS中央値:8.2ヵ月(95%CI 7.3~未到達)
 6ヵ月OS率:59%
Garonら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA43
解析のカットオフ日:2014年3月3日
LBA43:進行期非小細胞肺癌(NSCLC)患者の併合解析におけるペンブロリズマブ
(Pembro;MK-3475)の抗腫瘍活性とprogrammed death ligand 1(PD-L1)発現
強度との相関性 – Garon Eら
• 主な結果(続き)
- 腫瘍のPD-L1発現が強陽性の患者で効果、PFSおよびOSが優れていた。
OS
100
100
80
80
全生存率(%)
無病生存率(%)
PFS(RECIST v1.1に基づく中央評価)
60
40
20
60
40
20
0
0
0
8
16
44
53
49
28
43
30
18
17
15
有リスク例
強陽性
弱陽性
陰性
強陽性
弱陽性
陰性
24
32
時間(週)
17
12
7
9
6
1
40
48
6
0
0
3
0
0
0
2
4
6
8
時間(月)
10
12
44 43 38 38 34 32 30 27 21 18 9
53 51 48 40 34 31 26 22 18 11 8
49 42 38 34 29 26 21 14 8 6 4
8 5
7 5
2 0
14
5
5
0
4
4
0
結論
- ペンブロリズマブは進行期NSCLCに対して未治療例でも既治療例でも有効であった。
- 特に、腫瘍のPD-L1発現強度が高い患者に有用と思われる。
PD-L1強陽性は腫瘍細胞の50%以上が染色された場合、PD-L1弱陽性は腫
瘍細胞の1~49%が染色された場合、PD-L1陰性は腫瘍細胞がまったく染色
されなかった場合とした。データカットオフ日:2014年3月3日
Garonら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA43
LBA39_PR:HER2体細胞変異を有する非小細胞肺癌(NSCLC)患者における
ネラチニブ(N)単剤とネラチニブ+テムシロリムス(TEM)併用の比較―国際共同
無作為化第Ⅱ相試験 – Besse Bら
• 試験の目的
– HER2陽性NSCLC患者においてネラチニブ単剤とネラチニブ+テムシロリムス
併用を比較検討すること
ネラチニブ240 mg/日
(13例)
PD
主な組み入れ基準
• Stage IIIB/IVのNSCLC
• HER2変異
無作為化
1:1
• 一次治療以降
止瀉薬の予防投与**
ネラチニブ240 mg/日+
テムシロリムス8 mg/週*
(14例)
PD後にクロス
オーバー可
PD
主要評価項目
副次評価項目
• ORR
• クリニカルベネフィット率、奏効期間、
PFS、OS
*テムシロリムスの投与量は、1コース終了後に忍容性に問題が
なければ15 mg/週(静注)に増量した。
**一次予防として全例に高用量ロペラミドを21日間投与すること
とした。
• 安全性、健康アウトカム
Besseら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA39_PR
LBA39_PR:HER2体細胞変異を有する非小細胞肺癌(NSCLC)患者における
ネラチニブ(N)単剤とネラチニブ+テムシロリムス(TEM)併用の比較―国際共同
無作為化第Ⅱ相試験 – Besse Bら
• 主な結果
– ネラチニブとテムシロリムスを併用した群のPFS中央値は4ヵ月であった。
1.0
ネラチニブ単剤
ネラチニブ+テムシロリムス
生存率
0.8
打ち切り
0.6
0.4
0.2
中央値(95%CI)
2.9(1.4~推定不能)
中央値(95%CI)
4.0(2.9~9.8)
0.0
0
例数
ネラチニブ単剤
ネラチニブ+テムシロリムス
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
2
0
月
13
13
7
5
4
3
2
2
0
14
14
14
10
7
2
2
2
2
Besseら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA39_PR
LBA39_PR:HER2体細胞変異を有する非小細胞肺癌(NSCLC)患者における
ネラチニブ(N)単剤とネラチニブ+テムシロリムス(TEM)併用の比較―国際共同
無作為化第Ⅱ相試験 – Besse Bら
• 主な結果(続き)
– ネラチニブとテムシロリムスを併用した群のORRは21%であった。
最良総合効果[例数(%)]
部分奏効
安定
進行
ネラチニブ単剤
(13例)
ネラチニブ+テムシロリムス
(14例)
0(0)
7(54)
6(46)
3(21)*
11(79)
0(0)
– HER2変異のタイプと抗腫瘍効果との間に特に相関は認められなかった。
*3例中2例で効果が確認された。
Besseら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA39_PR
LBA39_PR: HER2体細胞変異を有する非小細胞肺癌(NSCLC)患者における
ネラチニブ(N)単剤とネラチニブ+テムシロリムス(TEM)併用療法の比較
―国際共同無作為化第2相試験 – Besse Bら
• 主な結果(続き)
ネラチニブ単剤
(13例)
ネラチニブ+テムシロリムス
(14例)
下痢
10(77)
14(100)
無力症
6(46)
5(36)
悪心
6(46)
7(50)
下痢
5(38)
8(57)
呼吸困難
4(31)
7(50)
嘔吐
3(23)
8(57)
貧血
3(23)
6(43)
食欲低下
3(23)
6(43)
どちらかの群で発現率>40%を
示した有害事象[例数(%)]
• 結論
– HER2経路とPI3K経路の両方を阻害する戦略はHERS経路だけを阻害する戦略
よりも優れていると思われた。
– 予防措置を講じれば下痢は治療の妨げにならなかった。
Besseら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA39_PR
LBA2_PR:ゲフィチニブによる一次治療で病勢進行を来した上皮成長因子受容体
(EGFR)変異陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)に対するゲフィチニブ+化学療法併用
と化学療法単独の比較―無作為化第Ⅲ相試験(IMPRESS試験) – Mok Tら
• 試験の目的
– ゲフィチニブによる一次治療に耐性となった進行期NSCLC患者において、
ゲフィチニブを継続した上に化学療法を併用した場合と化学療法を単独で施行
した場合とを比較すること
主な組み入れ基準
• Stage IIIB/IVのNSCLC
ゲフィチニブ250 mg+
シスプラチン75 mg/m2+
ペメトレキセド500 mg/m2
6コースまで
(133例)
PD
プラセボ+
シスプラチン75 mg/m2+
ペメトレキセド500 mg/m2
6コースまで
(132例)
PD
• EGFR変異陽性
• WHO PS 0~1
• 一次治療のゲフィチニブが奏効*
• 試験前のPD期間が4週未満
(265例)
無作為化
1:1
主要評価項目
副次評価項目
• PFS
• OS、ORR、DCR
• 安全性・忍容性、健康関連QOL
*CR/PRが4ヵ月以上持続またはSDが6ヵ月超持続
Mokら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA2_PR
LBA2_PR:ゲフィチニブによる一次治療で病勢進行を来した上皮成長因子受容体
(EGFR)変異陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)に対するゲフィチニブ+化学療法併用
と化学療法単独の比較―無作為化第Ⅲ相試験(IMPRESS試験) – Mok Tら
• 主な結果
– ゲフィチニブを継続投与してもPFSの有意な延長は認められなかった。OSは
プラセボ群の方が優れる傾向がみられたが、観察期間がまだ十分ではなかった。
PFS
1.0
OS(33%にイベント発生)
1.0
ゲフィチニブ プラセボ
(133例) (132例)
PFS中央値
5.4
5.4
[月]
イベント数
98(73.7) 107(81.1)
[例数(%)]
0.8
0.8
OS率
PFS率
0.4
0.6
0.4
0.2
0.2
0
0
0
有リスク例
ゲフィチニブ133
プラセボ 132
2
4
6
8
10
12
14
無作為化後経過時間(月)
110
100
88
85
40
39
a共変量を考慮したCox回帰分析(主解析)
25
17
12
5
OS中央値
14.8
17.2
[月]
イベント数
50(37.6) 37(28.0)
[例数(%)]
HRa(95%CI)1.62(1.05~2.52);p=0.029
HRa(95%CI)0.86(0.65~1.13);p=0.273
0.6
ゲフィチニブ プラセボ
(133例) (132例)
0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26
無作為化後経過時間(月)
6
4
0
0
有リスク例
ゲフィチニブ133 125 111 88 64 43 27 19 12 8
プラセボ 132 129 119 94 76 55 39 27 16 10
4
7
2
4
0
2
0
0
Mokら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA2_PR
LBA2_PR:ゲフィチニブによる一次治療で病勢進行を来した上皮成長因子受容体
(EGFR)変異陽性の非小細胞肺癌(NSCLC)に対するゲフィチニブ+化学療法併用
と化学療法単独の比較―無作為化第Ⅲ相試験(IMPRESS試験) – Mok Tら
• 主な結果
– ORRおよびDCRに群間差はなかった。
DCR
ORR
オッズ比(95%CI)
1.39(0.74~2.62);p=0.308
84.2
80
60
40
100
31.6
34.1
DCR(%)
ORR(%)
100
オッズ比(95%CI)
0.92(0.55~1.55);p=0.760
80
60
40
20
20
0
0
ゲフィチニブ
(133例)
プラセボ
(132例)
78.8
ゲフィチニブ
(133例)
プラセボ
(132例)
• 結論
– IMPRESS試験の結果、二次治療としてプラチナ製剤を含む2剤併用化学療法を
用いる限り PD後にゲフィチニブを継続投与することの意義は認められなかった。
Mokら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA2_PR
1229PD: 進行期NSCLC患者における喫煙歴とニボルマブの効果 – Hellman MDら
• 試験の目的
–
NSCLC患者においてニボルマブの効果に対する喫煙の影響を検討すること
• 試験デザイン
–
–
既治療の進行期NSCLC患者129例のうちニボルマブ投与歴を有する89例についてレトロスペクティブ
な解析を行った(NCT00730639)。
患者を、喫煙歴なしまたは少ない(5箱・年以下)群と、過去または現在喫煙している(5箱・年超)群に分
けた。
• 主な結果
–
–
–
ORRは過去/現在喫煙群で30%(95%CI 20~43%)で、喫煙歴なし/少群(0%[95%CI 0~23%])
に比べて有意に高かった(p=0.018)。
過去/現在喫煙群において抗腫瘍効果と禁煙してからの時間との間に関連性はなかった(ORRは現在喫煙者で
27%、1~5年前禁煙者で46%、6~15年前禁煙者で17%、15年超前禁煙者で 26%;p=0.12)。
PFSは過去/現在喫煙群で喫煙歴なし/少群よりも有意に長かった(2.2ヵ月 vs 1.7ヵ月;HR 0.41;p=0.003)
が、OSに差はなかった(10.1ヵ月 vs 13.7ヵ月;HR 1.34;p=0.44)。
• 結論
–
–
–
進行期NSCLC患者におけるニボルマブの効果は、喫煙歴なしまたは少ない患者に比べて過去または現在喫煙
している患者で有意に優れていた。
このことから、PD-1経路阻害薬の治験において喫煙歴を割り付け調整因子として使用するべきかと考えら
れた。
喫煙歴とPD-L1発現との相関性について検討する必要がある。
Hellmanら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1229PD
その他の悪性腫瘍
小細胞肺癌および中皮腫
1463O: Memorial Sloan Kettering Cancer Center(MSKCC)における包括的な
変異解析プログラム(MAP)を用いた小細胞肺癌(SCLC)のプロスペクティブな
分子プロファイル評価 – Krug LMら
• 試験の目的
– 進行期SCLC患者において包括的な変異解析を試みること
• 試験デザイン
– 本試験は進行中で、治療中の進行期SCLC患者から採取した生検材料を分析する。分析と
して、FISH、質量分析法に基づくアッセイ法(Sequenom)による点突然変異遺伝子型
解析、次世代シーケンシングなどを行う。
– レトロスペクティブに確認したSCLC患者において実現性評価を行った。
• 主な結果
– 実現性評価の対象となった21例のうち、次世代シーケンシングに十分な検体が採取され
ていたのは10例であった。
• わずか15 ngのDNAで、RB1およびTP53の反復変異、FGFR1およびMET遺伝子増幅が
検出された。
– これまでに治療中の36例から採取した検体について分析を行った。
• SequenomでAKT1 E17変異およびPIK3CA E542K変異を確認した。
• 次世代シーケンシングで、RB1欠失、TP53、MLL3およびEPHA 5の変異、CDKN2C、
MYCL1、SOX2およびFGFR1の遺伝子増幅(後者はFISHで確認)を検出した。
• 結論
– 臨床で採取した検体を用いてSCLCの包括的な分子プロファイル評価を実施できる。
Krugら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1463O
1556O_PR:悪性胸膜中皮腫(MPM)におけるprogrammed cell death ligand 1
(PD-L1)発現の分析 – Cedres Sら
• 試験の目的
OS率
– 悪性胸膜中皮腫(MPM)患者においてPD-L1の発現を評価すること
• 試験デザイン
– 2000年から2014年にかけてMPM患者を連続して組み入れ、ウサギ抗PD-L1
モノクローナル抗体を用いてPD-L1の発現を確認した。
• 主な結果
– 119例中77例から腫瘍組織検体が得られ、この
1.0
PD-L1陰性 16.3ヵ月
うち16例(20.8%)がPD-L1陽性であった。
PD-L1陽性 4.8ヵ月
0.8
p=0.012
– OSは13.8ヵ月で
0.6
• PS 0~1の患者で2~3の患者より有意に長く
(20ヵ月 vs 2.4ヵ月;p<0.001)
0.4
• 上皮型の患者でそれ以外の型の患者より有意に
0.2
長く(16.4ヵ月 vs 5.5ヵ月;p<0.001)
0
• PR例やSD例でPD例より有意に長かった
0
10
20
30
40
50
60
時間(月)
(26.2ヵ月、17.5ヵ月 vs 7.8ヵ月;p=0.003)。
– PD-L1は有意な予後因子であった*(HR 2.08、95%CI 1.12~3.88;p=0.021)。
• 結論
– MPM患者においてPD-L1陽性は負の予後因子である。
*performance status、組織型および化学療法の効果について調整後
Cedresら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 15560_PR
LBA37_PR:悪性胸膜中皮腫(MPM)に対するネオアジュバント化学療法+胸膜外
肺全摘術(EPP)後の 片側胸郭放射線療法の検討―多施設共同無作為化第Ⅱ相試験
SAKK17/04試験の最終成績 – Stahel Rら
• 試験の目的
– 悪性胸膜中皮腫(MPM)患者を対象に、ネオアジュバント化学療法と胸膜外肺全摘術
(EPP)後の短期の転帰を評価し、EPP後に片側胸郭放射線療法を施行した場合の長期の
転帰を施行しない場合と比較すること
• 試験デザイン
– パート1:プロスペクティブな第Ⅱ相試験。ネオアジュバント化学療法(シスプラチン75 mg/m2
+ペメトレキセド500 mg/m2 3週毎3コース)後に再ステージングとEPPを施行し、RFS
を主要評価項目とした。
– パート2:肉眼的に完全切除しえた患者を対照群または放射線療法(2 Gyずつ計56 Gy)
施行群に無作為に割り付け、RFSを主要評価項目とした。
• 主な結果
– 登録された153例のうち99例が完全切除可能で、54例を対照群(27例)または放射線療
法施行群(27例)に割り付けた。
– パート1の初回CT・手術後のRFS中央値は8.8ヵ月(95%CI 7.3~10.7ヵ月)であった。
– パート2において、放射線療法を施行した群のRFSは施行しない群に比べて有意に延長し
なかった(9.4ヵ月[95%CI 6.5~11.9]vs 7.6ヵ月[95%CI 4.5~10.7])。
• 結論
– 本試験の結果はネオアジュバント化学療法+EPP後の片側胸郭放射線療法のルーチンな
施行を支持しない。
RFS=無再発生存期間
Stahelら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr LBA37_PR
その他の悪性腫瘍
稀少腫瘍
1557PD:GTF2I変異が胸腺上皮腫瘍で高頻度にみられる – Petrini Iら
• 試験の目的
– 胸腺上皮腫瘍における遺伝子発現を調べること
• 試験デザイン
– 胸腺上皮腫瘍患者28例から採取した腫瘍および血液検体をエクソームキャプチャー法で
調べ、シーケンシングと変異の探索を行った。
• 主な結果
– 胸腺癌では胸腺腫に比べて変異数が有意に多かった(43.5 vs 17.4;p=0.001)。
– 胸腺癌ではTP53、CYLD、BAP1、CDKN2AおよびPBRM1に反復変異がみられた。
– 胸腺腫の42%にGTF2Iの一塩基変異(chr7:74146970T/A)がみられた。この変異は、
これまで癌やdbSNP137データベース中の遺伝子多型として報告されたことがない
ミスセンス変異(ロイシン→ヒスチジン)で、タンパク質の骨格、ひいてはその機能を
変化させると考えられた。
• 拡大コホート解析で、GTF2I変異が胸腺腫のA型で82%、AB型で74%、B1型で32%、
B2型で22%、B3型で21%、胸腺癌で8%の 頻度で検出された。
• 結論
– GTF2I変異は胸腺上皮腫瘍(特にA型およびAB型)で高頻度にみられ、GTF2I変異は良好
な予後と相関する。
Petriniら Ann Oncol 2014; 25 (suppl 4): abstr 1557PD