柔軟な優先度制御が可能な キャンパス間無線LANローミング ○渡辺俊貴,木下峻一,後藤英昭,曽根秀昭 東北大学サイバーサイエンスセンター 2012年5月24日(木) 第31回インターネット技術 第163委員会研究会 -ITRC meet311 発表の流れ • 研究背景 • SPおよびIdP機関のアクセスポリシーを反映可能な アクセス制御システム • 柔軟な優先度制御が可能なキャンパス間無線LANローミング • まとめ 2 研究背景 • 無線LANインフラの普及 • 学生や研究者が機関間を移動する機会の増加 – 大学間単位互換制度・講義,国際会議,研究会 ⇒機関間ローミングへの需要が高まっている. 機関A 機関B 訪問 3 無線LANローミング基盤(1/2) • eduroam – ヨーロッパのTERENAで提案された無線LANローミング基盤 • ヨーロッパのほか,アメリカ,カナダ,アジア太平洋地域で導入が進む. • 日本には,2006年に東北大学が初導入し,運用・開発の責任校となる. • http://www.eduroam.org/ ※TERENA:Trans-European Research and Education Networking Association 4 無線LANローミング基盤(2/2) • IEEE802.1X認証とRADIUSプロキシツリーの組合せによりローミングを実現 – 所属機関で発行されたアカウントを使い訪問先からネットワークに接続 – RADIUSプロキシツリーを介して利用者のホーム機関で認証 • realm(RADIUS packetの転送先の決定に利用される情報)を参照して転送先 を決定 RADIUS Access-Request RADIUS Access-Response EAP packet ID: [email protected] realm RADIUS proxies Top level RADIUS proxy RADIUS proxy Institution A Access point RADIUS proxy Institution B RADIUS server SP (Service Provider) RADIUS server IdP (Identity Provider) 5 無線LANローミングにおける課題とアクセス制御 • ニーズの多様化やセキュリティへの関心の高まりにともない, より柔軟なアクセス制御が必要 – 外部からの訪問者に対しても,必要に応じて訪問先機関のローカル リソースにアクセスを許可 • ネットワークプリンタ,ファイルサーバ等 – インターネット上の特定サイトへのアクセスやサービスの利用を制限 • 違法な動画サイト等 SPおよびIdP機関のポリシーを反映可能なアクセス制御システム ユーザの属性に応じて各種リソースへのアクセスやサービス利用の 許可/禁止を細かく柔軟に設定可能 6 未解決の課題と研究目的 • 課題 – 利用者の増加にともない,アクセス可否だけでなくユーザの属性に 応じて通信の優先度を柔軟に設定する必要がある. • 授業等で利用するファイルサーバに対して,教員が優先的に資料にア クセスできるよう,教員に帯域を割り当てる. • 研究会等のアクセスポイントからは,プログラム表や論文データが 置いてあるサーバへのアクセスを最優先 • 研究目的 – ユーザの属性情報やあて先等に応じた通信の優先度制御の実現 アプローチ ユーザ認証時に取得可能なユーザ情報と, パケットヘッダの情報を基に優先度を設定する. 7 SPおよびIdP機関のポリシーを反映可能な アクセス制御システム • IdP機関からユーザ情報やアクセスポリシー情報を取得し, 各ユーザに対して柔軟にアクセス権限を設定するシステム – SP側でユーザの所属機関を把握 – IdP側はRADIUS packet内に以下の属性情報を含めてSPに返信 • ユーザのカテゴリ情報(学生/教員,学年,等) • IdP側のアクセスポリシー (自機関のユーザに対して,アクセス許可/禁止するリソースの情報) SP側は,取得したユーザ情報に基づき,細かく柔軟にアクセス権限を設定 Identify user’s affiliation RADIUS (SP) ・Category information ・IdP’s access policy RADIUS Proxies RADIUS (IdP) 8 SPおよびIdP機関のポリシーを反映可能な アクセス制御システム • IdP機関からユーザ情報やアクセスポリシー情報を取得し, 各ユーザに対して柔軟にアクセス権限を設定するシステム – SP側でユーザの所属機関を把握 – IdP側はRADIUS packet内に以下の属性情報を含めてSPに返信 • ユーザのカテゴリ情報(学生/教員,学年,等) • IdP側のアクセスポリシー (自機関のユーザに対して,アクセス許可/禁止するリソースの情報) 各ユーザの属性情報に応じて,アクセスの可否だけでなく SP側は,取得したユーザ情報に基づき,細かく柔軟にアクセス権限を設定 通信の優先度制御も重要 Identify user’s affiliation RADIUS (SP) ・Category information ・IdP’s access policy RADIUS Proxies RADIUS (IdP) 9 優先度制御システムの概要 • 柔軟な優先度制御が可能な無線LANローミングシステム – 認証システムと連携し,ユーザ単位,フロー単位で通信の優先度を 制御を行う. [優先度制御のアプローチ] – 1)ユーザ認証時: • IdPからユーザの属性情報を取得することでユーザ情報を把握 – 2)データ通信時: • データの通信内容を把握 – ユーザがアクセスしてきたアクセスポイント(AP)の設置場所 – パケットのあて先 – 3)収集したユーザの属性情報および通信内容を基に,その通信 (フロー)に対する優先度を設定 10 優先度の定義 • 本提案システムでは,以下の2種類の優先度を想定 – 数値で設定 • 1)各機関が独自に自由に定義できる数値 • 2)既存プロトコルで利用できる数値 – TOS(Type of service)フィールド,DSCP(Differentiated services code point), CoS(Class of service)対応 – 帯域(平均/最大割り当て帯域など)で指定 11 優先度制御システムのまとめ • ユーザの属性情報やあて先等に応じて優先度を設定する システム 優先度の判断基準 優先度の定義 認証時に取得できる ユーザ属性情報(所属,カテゴリ等) 割り当て帯域を決定 パケットのあて先 優先度数値を決定 アクセスポイントの設置場所 ・決定された優先度を既存の優先度制御プロトコル(既存フィールド等)に落とし込む. ・独自の優先度の指標をソフトウェア/ハードウェア的に制御する仕組みを追加する. ⇒具体的な実現例として,まずはOpenFlowを利用したシステムを検討 12 OpenFlow • OpenFlow – データプレーンとコントロールプレーンが 独立したネットワーク制御技術 • OpenFlow Controller(OFC)が集中的に 経路制御等を行う. Control-plane OpenFlow Controller OpenFlow protocol packet – VLAN数の制限やコストの問題を解決 – 適宜通知されるIdPのアクセスポリシーを 即座に反映可能 OpenFlow Switches Data-plane – 優先度制御システムでは,OFCに優先度情報を通知し – OFCが各OFSに優先度制御ルールを反映させることで,フロー 単位の優先度制御を実現 13 優先度制御の実現案(動作概要)(1/3) • 優先度制御の処理の流れ – (1)SPはあらかじめ優先度ポリシーを定義(Priority DB) • 取得可能なユーザの属性情報やあて先・AP情報と,それに対応する 優先度のマッピング情報 優先度制御機構 Priority DB OpenFlow Controller RADIUS proxies RADIUS server OpenFlow Switches Service server Internet RADIUS server AP Roaming user SP-side IdP-side 14 優先度制御の実現案(動作概要)(2/3) • 優先度制御の処理の流れ – (2)ユーザ認証時にレルム(所属情報),カテゴリ情報を取得 – (3)通信時にAP情報,パケットのあて先情報を取得 優先度制御機構 ・カテゴリ情報 ・realm(所属) ・・・・ Priority DB [ユーザのカテゴリ情報] OpenFlow Controller RADIUS proxies RADIUS server [realm] OpenFlow Switches Service server Internet RADIUS server AP Roaming user SP-side IdP-side 15 優先度制御の実現案(動作概要)(2/3) • 優先度制御の処理の流れ – (2)ユーザ認証時にレルム(所属情報),カテゴリ情報を取得 – (3)通信時にAP情報,パケットのあて先情報を取得 優先度制御機構 ・パケットの宛先 ・送信元AP ・・・・ ・カテゴリ情報 ・realm(所属) ・・・・ Priority DB OpenFlow Controller RADIUS proxies RADIUS server OpenFlow Switches Service server Internet RADIUS server AP Roaming user SP-side IdP-side 16 優先度制御の実現案(動作概要)(3/3) • 優先度制御の処理の流れ – (4)取得した情報を基に,そのパケットの優先度を決定 – (5)決定した優先度ルールをOpenFlow Switchに通知 優先度制御機構 優先度 ・パケットの宛先 ・送信元AP ・・・・ ・カテゴリ情報 ・realm(所属) ・・・・ Priority DB OpenFlow Controller RADIUS proxies setting RADIUS server OpenFlow Switches Service server Internet RADIUS server AP Roaming user SP-side IdP-side 17 今後の検討項目 • 優先度制御における詳細部分の検討 – 複数の優先度が混在する場合の調整基準 – IdP側からの優先度指定の考慮 – 優先度制御に有効な属性情報の検討 • 具体的な機器による実現方法 – 優先度制御に必要な機器 – 制御対象のネットワークの範囲 18 まとめ • 柔軟な優先度制御が可能なキャンパス間無線LANローミング – ユーザ認証時にIdPからユーザの属性情報を取得 – データ通信時にあて先やAPの設置場所を確認 – 収集した情報を基に優先度を設定 • [今後の課題] – 優先度制御における詳細部分の検討 – 具体的な機器による実現方法 19 謝辞 • 本研究の一部は,総務省の委託研究「情報通信ネットワーク の耐災害性強化のための研究開発(大規模災害においても 通信を確保する対災害ネットワーク管理制御技術の研究開 発)」プロジェクトで実施された. 20
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