コリオリ力の復習資料 見延 庄士郎(海洋気候物理学研究室) 本授業の受講者のほとんどは,すでにコリオリ力を学んでい るはずです.ただし,ごくまれにコリオリ力を初めて学ぶ学 生がいたり,また既に学んだ学生でも,あやふやになってい る部分もあるでしょう.そこで,この資料で復習をしてくだ さい. まずコリオリ力の効き目がよくわかるyou tube の二つのビデ http://www.youtube.com/watch?v=_36MiCUS1ro オを見よう. http://www.youtube.com/watch?hl=ja&gl=JP&v=49JwbrXcPjc つぎに2ページ目にある穴埋め問題に挑戦してみてください. これに正答できる人は,復習の必要はありません.そうでな い人は,復習資料をやってみましょう.最後にまた同じ問題 があります. 1 コリオリ力のまとめのまとめ(復習資料 から) 角速度W>0で回転する回転系で,速度|v|で運動する 物体は,進行方向 右向き に加速度 2vW で加速する ように見える.この時,物質の質量をmとすると, 力 2|v|Wm が働いたように見え,これを コリオリ • 地球の角速度ベクトルの,それぞれの地点での鉛直 力という. 成分を2倍したものを,コリオリ・パラメータとい い,f で表す.地球の自転角速度をW(=2 p/自転周期) として,緯度qでのコリオリパラメータは, f = 2 W sin q である. • コリオリ力以外の力が働かない場合に,回転系での 運動方程式は,以下のとおりである. du dv = fv =f u dt dt 2 大気と海洋の最大の特徴=回転している そのため コリオリ力という見かけの力が働く. 見かけというのは,回転している系で はこの力が働いているように見えるが, その外ではそう見えないため. 北(南)半球では進行方向右(左)向きにv f ( f =2W sinq)の加速度がかかる. ここでvは速度,Ωは地球の自転の角速 度(2π/自転時間),θは緯度である. 3 準備:角速度 速度は距離/時間だった,回転の速い遅いもどうように, 回転についての速度( 角 速度 という)を定義すれば便 利である. 2p w そこで周期をTとして,角速度を T と定義す る 角速度はベクトルで表すことができ,その大 きさは角速度の大きさ,向きは右図のとおり, 定義する. w 角速度 w と,半径 r の地点での速度vとの関係を考えよ v う. 2p r v= 一周する際に,移動する距離は 2pr T よって速度vは, = wr r 周期Tと r を使って書くと 4 平らな面が回転する場合の コリオリ力 レコードプレーヤーのように,平らな面が回転する場合を, まず考えよう. 慣性系(等速直線運動)慣性系を見る (並行移動) v 6 慣性系から慣性系を見る(並行移動) Vt r = vt 大文字のVは座標系が動く速度, 小文字のvは座標系に対する相対速度 並行移動(札幌で340m/s)していても,していなくても関 係なし 7 慣性系から回転系を見る 角速度W r 8 慣性系で見ると Vt = t rW r = vt 角速度W r ボールの移動は並行移動の場合と同じ 9 慣性系で見ると Vt = t rW r = vt 角速度W r V ' t = (r r )Wt = (r vt )Wt = rWt vWt 2 ボールの移動は並行移動の場合と同じ 受け手は並行移動の場合より大きく移動 10 回転系で見ると 距離 vWt 2 だけ右に曲がる 回転系で見ると,回転方向の逆に曲がり,その加速度は d2 a = 2 (vWt 2 ) = 2vW dt 11 まとめて書くと vWt 2 V ' t = (r r )Wt = (r vt )Wt = rWt vWt 2 Vt = r Wt r = vt 角速度W vWt 2 r 右に曲がる 12 逆に投げてもやはり右に曲がる 慣性系で見ると vWt 2 r = vt 角速度W r 回転系で見ると vWt 2 2vW したがって加速度はやはり右向きで大きさは 13 コリオリ力を含めた運動方程式 外力が働かない場合,質点は等速直線運動をする. この場合,慣性系(inertia(慣性), iの添え字をつけて示す) では, dui dvi = 0, =0 dti dti 独立変数 未知の従属変数 x, y: 東向き・北向き座標,t: 時間 u, v: 東向き・北向き速度 しかし,回転系(rotationのrの添え字をつけて示す)では, 進行方向に右向きで,大きさは 2|v|W で加速が生じるよう dur dvr に見えるので, = 2W ur = 2W vr dtr dtr 地球上でのコリオリ力 地球は球体であるために,水平面と回転軸との関係が緯 度によって変わり,コリオリ力も緯度の影響を受ける. コリオリ パラメー W タ q 大気海洋は薄く,主に水平方向に 運動するので,緯度によって地球 回転の効果が変わる. 地球の自転の角速度ベクトルを, 水平面に直交・並行成分に分解す ると,直交成分(図の赤矢印)は W sinq. 前のスライドから,Wの角 q 速度で回転する円盤上で速 度vで動く物体に生じるみ かけの加速度が2Wである ので,上の角速度成分に対 応する加速度は,2 W sinq vで,物体の速度によらな い部分を コリオリ・パラ メータとよび,fで表す. f 16 地球上でのコリオリ力 コリオリ力以外の外力が働かない場合の,地球上 での運動に伴う加速度は,コリオリ・パラメータ f を用いて dv du r dtr = f vr r dtr = f ur コリオリ力のまとめ(2枚目のスライドと 同じです) 角速度W>0で回転する回転系で,速度|v|で運動する 物体は,進行方向 右向き に加速度 2vW で加速する ように見える.この時,物質の質量をmとすると, 力 2|v|Wm が働いたように見え,これを コリオリ • 地球の角速度ベクトルの,それぞれの地点での鉛直 力という. 成分を2倍したものを,コリオリ・パラメータとい い,f で表す.地球の自転角速度をW(=2 p/自転周期) として,緯度qでのコリオリパラメータは, f = 2 W sin q である. • コリオリ力以外の力が働かない場合に,回転系での 運動方程式は,以下のとおりである. du dv = fv =f u dt dt 18
© Copyright 2024 ExpyDoc