2013.07.09 新学術領域研究「コンピューティクス」 H25年度第1研究会 ナノマテリアルの 非線形光学応答特性の 分子設計に向けて (阪大院基礎工)重田育照 研究体制 研究代表 重田育照 これまで(H22-24年度・連携研究) 研究課題(H25-26年度・公募研究) 「Siナノドットの非線形光学特性変化に対する動力学的解析」 白石 中野 研究協力 中野雅由 教授 (大阪大学) 非線形光学応答量の分子設計 白石賢二 教授(現名古屋大学) 半導体・表面理論・計算物理 重田 領域内共同研究体制 押山 淳 教授(東京大学) 岩田潤一 講師 小泉健一 研究員 「実空間基底に基づくCar-Parrinello分子動力学法の実装」 鷹野優 助教(大阪大学) 「電子構造-機能相関に基づく人工タンパクの分子設計」 立川仁典 教授(横浜市立大学) 「核酸塩基の陽電子状態に関する研究」 =>? &(%&2" $&2@ &#*$&#*(/182/1$/&3 45 &9*$" 26 $" , <&&!#& #*$&%(6 - '#, " $2- %&, : %2/9A2" &2@ &#B 2&9*2#2" %&( 2/1$/&$C. (#$&,&6 2'$. - '$&,&*() *$/&$" $/) D&%#, #$< 非線形光学特性(NLO)の分子設計の深化 光電場によって物質中の電子が分極 !$800+*: &5. 24$. ;$, 78 E (. /2@ , : /(. , A2" NO&29A. , '&6 $6 2/D 分極p 電場F p = a : F + b : FF + g : FFF + 第二超分極率:γ 高次の項 → NLO現象 NLO現象の例 ・高調波発生 ・多光子吸収 ・非線形屈折 etc. E (. /28: - ''&%. - '9#- /$& B (#*&#*$&'2" ) &2@ &KJ &m6 F<&G, B , #, 7&$#&,'<7&& ! " #$%&7&<=>7&697 HI J J KL& F<&G, B , #, &$#&,'<7& ' ( &) *+, &- <&=??7&KMMM&HI J J J L& → 三次元光メモリ 三次元光造形などに応用 従来の設計指針 主に閉殻分子 共役長延長・D-A基導入・電荷導入 新たな設計指針 M. Nakano et al. J. Phys. Chem. A 109, 885 (2005) M. Nakano et al. Phys. Rev. Lett. 99, 033001 (2007). 分子の開殻性を表すジラジカル因子y 0 < y < 1で大きな γ を持つ 閉殻系 y =0 開殻系 0 < y £1 新たな制御方法 =ナノ系の環境効 開殻性の指標 y と γ の相関に基づく分子設計 M. Nakano et al., J. Chem. Phys. 125, 074113 (2006) H2分子モデルの解離過程 結合距離R 増加 H H H R小 0 共有結合=弱相関 ジラジカル因子(y):ジラジカル性の程度、 結合の弱さを表す 定義 K. Yamaguchi Chem. Phys. Lett. 33 330 (1975). y = 1- 2T 1+ T 2 nHOMO - nLUMO 2 nHOMO、nLUMO : 自然軌道の占有数 T= H H H R中 R大 y 1 完全解離=強相関 H2分子におけるyとγのR依存性 第2超分極率γの計算手法 時間依存摂動論で導出したγの計算式(励起状態計算の負荷大) i 2 i i (mni 0 )2 (Dm nn ) (mn0 )2 (m m0 )2 g iiii = 4å -4 å 3 2 E E E n0 n0 m0 n¹0 n,m¹0 +8 å n,m¹0 (m¹n) i i i i m0n Dmnn mnm m m0 E Em0 2 n0 +4 å n,m¹0 (m¹n, n¢ ) i i m 0n m nm m mi n¢mni ¢0 En0 Em0 En¢0 有限場法で導出したγの計算式(Eの4階微分係数:計算容易) g iiii 1 = E(3Fi ) -12E(2Fi ) + 39E(Fi ) - 56E(0) 4 ( 36Fi +39E(-Fi ) -12E(-2Fi ) + E(-3Fi )) 線形応等理論によるγの計算(固体系では未実装) 固体系での有限場法 3次元周期境界条件 2次元以下周期境界条件 適用 不可 非周期系のプログラム PCM等 プログラム修正 2次元Ewald法 2次元クーロンカットオフ法 M. Kawata, M. Mikami, Chem. Phys. Lett., 340, 157 (2001). C. A. Rozzi et al., Phys. Rev. B 73, 205119 (2006). 有限場法を用いるための静電場存在下のコード 2次元周期系に対する構造最適化用コード 実空間密度汎関数法(RSDFT)に実装 J.-I. Iwata et al., J. Comp. Phys. 229, 2339 (2010). グラフェンナノリボン(GNR) 無限炭化水素系の1,3-dipole結合の効果 N-2 例:GNRの開殻性=エッジ状態 y [-] 固体表面、鎖状分子等… 無限のサイズ → 周期的構造を持ち 特徴的な性質を示す 有限サイズの開殻分子と相互作用・結合 → 開殻性や光学応答特性に どのような変化がおこるのか? N S. Motomura et al. Phys. Chem. Chem. Phys. 13, 20575-20583 (2011) 新たな設計指針や制御可能性 GNRの一種であるポリアセンと1,3-dipoleの結合系 ⇒開殻分子の第二超分極率 γ への影響を検証 着目分子系 1,3-dipole UNOs/6-31G* y LC-UBLYP/6-31G**+ pd X = NH(1), BH(2), O(3), CO(4), CH2(5) 中心原子Xを変更 → 開殻性を変更可能 開殻性が変化 → 第二超分極率が変化 中間的な開殻性を持つX = BHに着目 1 y 2 3 4 5 0.140 0.369 0.381 0.556 0.907 γzzzz [×102 a.u.] 51 81.9 139 72 46 K. Kubota et al. Chem. Phys. Lett. 477, 309 (2009) R. Kishi et al. J. Chem. Phys. 132, 094107 (2010) 着目分子の光学応答特性に対する 分子以外からの効果(=環境効果)について研究 以後、X = BHの分子を単に1,3-dipoleと呼ぶ Model systems and Calculation details (2D infinite system) 計算詳細 格子ベクトル(立方晶) [a.u.] GNR[4C] GNR[16C]の基本セル z æ x ö æ 4.65 ( 4C atom ) or 18.59 (16C atom ) ç y÷ = ç 20 ç ÷ ç 28 è z ø çè ö ÷ ÷ ÷ ø 交換相関汎関数: UPBE x DP-GNR[16C]の基本セル グリッド数(x, y, z) Fine grid (0.2 a.u.) (24 or 94, 100, 140) 超分極率算出法:有限場法 1,3-dipoleに周期的GNR (ポリアセン)が結合した系→周期DP-GNR x ラジカルソース導入による 非線形光学応答特性の変化を検証 Model systems and Calculation details (Finite system) 有限DP-GNR using Gaussian09 電場方向:z軸方向 z 1 unit system 3 units system 有限DP-GNRの1unit = 1,3-dipole+アントラセン結合系 有限から無限類似系への拡張 ⇒ 1 unit → 3 units ※3unitsでは得られた値を 3で割ることでユニットあたりの値とする 第二超分極率 γ の変化を 周期DP-GNRでの結果と比較、検証 Comparison of γ for conjugated system with that of 1,3-dipole system Closed-shell case The large enhancement of γ by conjugation did not occur. Open-shell case The hyperpolarizability / unit of the finite conjugated system is about 200 times as large as 1,3 dipole system and 5 time as large as the infinite conjugated system. →Finite system has an intermediate open-shell character, while the infinite system close to completely spin polarization(see figure below) γzzzz [a.u.] 7.2×104 ×36 same order 2.6×103 1,3-dipole FDP-GNR 1 unit 2.0×103 ×180 IDP-GNR 3 units 3.6×105 ×30 1.2×104 Nonacene Differences in spin polarization (edge state) of finite and infinite systems Polyacene (oligoacene) γ=1.5×103 No spin polarization 1-3 dipole, Polyacene (oligoacene) γ=2.6×103 γ=1.2×104 γ=3.6×105 γ=1.1×104 γ=7.2×104 When the edge state appears, the enhancement of γ / unit is remarkable 1,3 dipole group enhances the γ / unit non-additively No spin polarization 今後の研究:シリコンナノドット 量子サイズ効果 不純物添加効果 電子状態変化=物性機能変化 Energy conduction band valence band atom bulk Size Nano-dot サイズ効果によるカラーチューニング 先行研究として、実験によるシリコンナノクリスタルへのPドーピング効果 で、3次非線形応答量の増大が報告(神戸大学・藤井先生のグループ) 研究の狙い:不揮発性メモリとの類推 白石賢二教授との共同研究事例 窒化膜中の原子レベルの欠陥に電荷を出し入れし、 データの書き込み/消去(電荷トラップ型) 利点:高い集積性(記憶保持部は原子レベル) ゲート SiO2 しかしながら、、、 SiN SiO2 ソース 電荷の変化 ドレイン q=0 電子状態の変化 q≠0 不可逆構造変化はメ モリ機能を劣化 シリコン基板 MONOS(Metal-Oxide-Nitride-Oxide-Silicon) 型不揮発性メモリー 原子構造の変化 原子核の感じる断熱ポテンシャル面が変化 「書き込み/消去で何が起こるのか?」 A. 半導体メモリの動作挙動の原 原子レベルの構造解析 レベル解析 陥密度 陥密度とO、Nの分布 O混 陥モデル N空孔 陥モデル DFTに基づく第 原理計算による書き込み/消去時の安定構造の探索: Fig. 11: The structure obtained after Fig. 10: The most stable atomistic one P/E cycle. Schematic view is also structure after 波基底(36 hole injection. Schematic 般化密度勾配近似、擬ポテンシャル、平 Ry)、 2つの独 なk点 shown. view is also shown. 構造最適化前後の電 酸素混 陥モデルで、 電荷放出状態 (q=0) の最安定構造から、電荷注 (q=2)へ移り構造最適化し、再び電 荷放出状態で構造最適化 異なる構造・電 特性 プロファイル A. 半導体メモリの動作挙動の原 レベル解析 化学者・物理学者の知見の融合 Otake et al, IEICE Trans. E94.C, 693 (2011) 書き込み/消去後の構造変化の模式図とメモリ特性 N空孔による O混 陥モデル(可逆) による 同 3配位O 書き込み 書き込み 消去 陥モデル(不可逆) の構造 消去 O 消去 ヤン・テラー効果 N空孔 (量 Si 学的効果) Si 最安定構造 異なる構造 準安定構造 書き込み 書き込み 書き込み 消去 消去 消去 最安定構造 構造が可逆的・不可逆的、両 準安定構造 ̃ 1 eV の場合がある事を理論的に提案 プレリミナリーな結果 Si5H12に電荷を注入後、構造緩和 zzzz [a.u.] あ 電荷注入 あ あ 構造緩和 あ あ あ 電荷排掃 あ 構造緩和 ○ 電荷注入後γ値は102〜4倍に増加 ○ 構造緩和(ヤンテラー効果)によりγは減少 電子系(依然として大きなγ値)ホール系(すぐに0価と同じ値) ダイナミクスによる構造緩和の実時間解析 RSDFT project: Tokyo, Tsukuba, and RIKEN 実空間DFTコードによる超並列第一原理計算 J. Iwata et al. MPI ( Message Passing Interface ) libraryを使用 実空間差分法 疎行列 FFTが要らない Gordon-Bell prize (2012) 直径6.6nmのドット(Si7055H1596) ・Troullier-Martins pseudopotetial ・LDA ・Mesh size = 0.847 (a.u.) (~14Ry) 約1,000coreで、10,000原子の 1点計算が5日間掛かる 10,000原子の1点計算よりも 1,000原子の分子動力学計算をターゲット Performance on K computer Si 1000atom strong scaling (sec/1 step) Cut off 20Ry Hybrid parallelization at K-computer grid parallel Lagrange Spline grid/band parallel Lagrange Spline 1024MPI-8192 core (sec) 4.88 4.43 3.65 3.50 512MPI-4096 core (sec) 7.11 6.94 4.56 4.33 8MPI-64 core (sec) 184.32 175.41 184.32 175.41 64-8192 Performance(%) 29.5 30.9 39.5 39.2 64-4096 Performance(%) 40.5 39.5 63.2 63.3 総括 ポリマー・固体に対する非線形光学応答量の近似計算手法 ・2D系に対するEwald法およびクーロンカットオフ法 ・2D系に対する構造最適化コード ・有限場法を行うための静電場存在下の計算コード をRSDFTに実装 開殻一重項分子である1-3Dipoleを置換したGNRの光学応答特性を検証 → 開殻系では(超)分極率がより増大 → 開殻系においても光学応答特性を正しく評価
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