今までの規範は通用しない

第19章ケース紹介
2015/1/29
dyson
もくじ
1.ケース紹介の目的
2.リーダーとして必要な資質とは
3.給仕役/教師/設計者としてのリーダー
4.リーダーのクリエイティブ・テンション
5.リーダーはどう生み出されるのか
6.選択の時
7.まとめ
2
1 ケース紹介の目的
■輪読本の言う「リーダーシップ」を実行し、
革新的な事業を生み出した例を知ってほしい!
■あまりなじみのない業界の例を紹介したい!
■クイズによる輪読本の総復習
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2 リーダーとして必要な資質とは
■伝統的なリーダー
考え方:人間は無力、偉大なリーダーが補完せねば!
行 動:部下を働かせようと叱咤激励
■ラーニング・オーガニゼーションのリーダー
考え方:5つのディシプリンに即する
行 動:組織の人々の学習の場となる組織を構築する
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※ 企業・経営者紹介
ある企業が、宅急便事業を開始した際に、
当時の経営者が取った選択は、次のうちどちらでしょうか?
運転手+営業を行う
セールスドライバー
の導入
出典:小倉昌男
経営学/小倉昌男/日経BP社(1999)
現場(運転手)と本社
をむすぶ緊急連絡
ダイヤルの設置
5
※ 企業・経営者紹介
■セールスドライバーとは
『「そこまでやるの」と
・車両の運転と荷物の配送
びっくりするほど、
・お客様の疑問を解決
料金・荷の契約・緊急の集荷・
・決済業務
配達、すべて即時判断で
・新しい荷の契約
行っている』
出典:クロネコヤマトのIT物流戦略/舘澤貢次/オーエス出版社(2001)
ヤマトストラテジー http://www.kuronekoyamato.co.jp/strategy/page00_04.html
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※ 企業・経営者紹介
■今回紹介するリーダー
ヤマト運輸2代目社長
小倉昌男氏
先代の父から社を譲り受けるも
当時のヤマト運輸は倒産寸前…。
宅急便事業で立て直しを図った功労者。
出典:小倉昌男
経営学/小倉昌男/日経BP社(1999)
7
※ 企業・経営者紹介
■今回取り扱うケース
宅急便事業の誕生(1976)
宅急便以前
宅急便開始後
個人宅配という
C2C物流企業
・トラック運送の業績悪化
ブルーオーシャン ・小口貨物輸送を専門に
倒産の危機!
大企業へ発展
└①通運部門
・宅急便商品の拡充
②百貨店部門
B2B物流企業
出典:ヤマトHD IR情報 http://www.yamato-hd.co.jp/investors/financials/operations.html
小倉昌男 経営学/小倉昌男/日経BP社(1999)
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※ 企業・経営者紹介
■今回取り扱うケース
現在でも
主要事業として
業績を上げている!
宅急便事業の誕生
出典:ヤマトHD IR情報 http://www.yamato-hd.co.jp/investors/financials/operations.html
小倉昌男 経営学/小倉昌男/日経BP社(1999)
9
3 給仕役としてのリーダー
■要約
・ビジョン主導型の組織を作るには…
個人のビジョンをこえた「目的物語」を
組織全体に浸透(=給仕)する必要がある
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3 給仕役としてのリーダー
■小倉昌男氏の目的物語
小倉氏のビジョン
「ヤマトは個人
ヤマト運輸の信念
宅配を始めるしか
「エンドユーザー
を大切にしてこそ
生き残る道は
「目的物語」を現場レベルまで浸透させた
ない!」
の商売だ」
成果例:“セールス”ドライバーのモチベーション向上
「現場でのサービスの質が社の命運を握っている!」
→以前はブルーカラーだった、ドライバーのやりがいを創出
出典:小倉昌男
経営学/小倉昌男/日経BP社(1999)
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3 教師役としてのリーダー
■要約
・メンバーの、目的物語(⇐ビジョン)への理解を深め
システム的にものごとをとらえる学習をうながす
・システム的理解がないと、
ものごとにうまく対処できない
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3 教師役としてのリーダー
■小倉氏が考えた構造
「ビジネスモデル=構造」そのものが
問題であることを何度も社員に説いて回った
「百貨店事業と通運事業に依存した収益構造」
出典:小倉昌男
経営学/小倉昌男/日経BP社(1999)
13
百貨店事業
への設備投資
利益
配送量
新規事業
への投資
百貨店事業
への依存
衰退
している
通運事業
への依存
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百貨店事業
への設備投資
利益
ヤマト運輸は、
配送量 負の拡張プロセスに陥っていた
新規事業
への投資
百貨店事業
への依存
衰退
している
通運事業
への依存
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3 設計者としてのリーダー
■要約
・問題を回避する(not解決)
・5つのディシプリンを学ぶための、
実際に使える学習プロセスを設計する
・今までの模範(パラダイム)は通用しない
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3 設計者としてのリーダー
■小倉氏のチーム設計
宅急便事業立ち上げのプロジェクトチーム
小倉氏の工夫
労働組合の反発を事前に回避!
あえて労働組合員をいれた
←新しい物をとりあえず批判する組合の力を弱めるため
←全社員からの支持を集めるため
出典:小倉昌男
経営学/小倉昌男/日経BP社(1999)
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4.リーダーのクリエイティブテンション
■要約
リーダーのクリエイティブテンション
=真実を重んじ、最新の現実の底にある力を
見極めようとする毅然とした態度
このクリエイティブテンションを組織全体に作り出し
調整することがリーダーの基本的役割&存在意義!
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5.リーダーはどう生み出されるのか
■要約
リーダーのディシプリンは
5つのディシプリンと一致する
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5.リーダーはどう生み出されるのか
①共有ビジョン
A.2つの拡張プロセスへの気づき
②メンタルモデルの克服
B.競合他社の追随を許さない
③チーム学習
C.一人の意見による新事業
④自己マスタリー
D.個人宅配 ≠ 郵便局の仕事
⑤システム思考
E.宅急便でしか社を救えない!
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5.リーダーはどう生み出されるのか
①共有ビジョン
シロネコ宅配便
油断しない!
なんてしょぼい
(=ビジョンを
けど… 引き下げない)
A.2つの拡張プロセスへの気づき
②メンタルモデルの克服
ビジョンと
B.競合他社の追随を許さない
現実の
ギャップを認識
③チーム学習
C.一人の意見による新事業
④自己マスタリー
D.個人宅配 ≠ 郵便局の仕事
⑤システム思考
E.宅急便でしか社を救えない!
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[②補足] メンタルモデルの克服
「今までの規範は通用しない」
メンタルモデルを克服し、
ブルーオーシャンへと漕ぎ出した!
出典:宅急便30年の歩み
http://www.kuronekoyamato.co.jp/company/30th/
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[③補足] チーム学習
①現場社員が自分の仮説を呈示
「今までの規範は通用しない」
チーム学習の
②階位を超えた意見の吸い上げ
基本3条件と
合致!
③全社でサービスを展開
出典:宅急便30年の歩み
http://www.kuronekoyamato.co.jp/company/30th/
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6.選択の時
■要約
ラーニング・オーガニゼーションを
選択するかどうかはあなた次第!
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7.まとめ
■輪読本の言う「リーダーシップ」を実行し、
革新的な事業を生み出した例を知ってほしい!
全問正解出来ましたか?
■あまりなじみのない業界の例を紹介したい!
■クイズによる輪読本の総復習
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ご清聴ありがとうございました!
補足資料
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[補足] 売上高と売上高比率
宅急便事業の売上高、売上高比率
(4/1-9/30)
800,000
90.0%
700,000
80.0%
70.0%
600,000
60.0%
500,000
50.0%
400,000
40.0%
300,000
30.0%
200,000
20.0%
100,000
10.0%
0
0.0%
1980年3月期
1990年3月期
2000年3月期
売上 宅急便事業
出典:eolデータベース
http://eoldb.jp/EolDb/
2005年3月期
(百万円) 売上計
2010年3月期
売上比率 宅急便事業
2014年3月期
28
[補足] 宅急便事業の拡大
「今までの規範は通用しない」
出典:宅急便30年の歩み
http://www.kuronekoyamato.co.jp/company/30th/
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[補足] 宅急便事業の拡大
「今までの規範は通用しない」
出典:宅急便30年の歩み
http://www.kuronekoyamato.co.jp/company/30th/
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[補足] チーム学習の例
「今までの規範は通用しない」
出典:宅急便30年の歩み
http://www.kuronekoyamato.co.jp/company/30th/
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[補足] 百貨店事業への依存
「ヤマト運輸にとって、三越はもっとも大事な取引先であった」
日本の企業は、昔からの繋がりを重視する
・創業当初に交わされた配送委託の契約
・「相互の一体感と信頼関係は確固たるものがあった」
収入の2割を占める一大事業
・1959年には、全収入の21%を占めた
三越の社長(売上至上主義)が替わってから、事態は激変・・・
・絵画や時計等、高価なものを買わされる
宅急便の成功に押され、1979年に契約打切
・社長が個人製作した映画のチケット数千枚を買わされる
・配送料の引き下げ、物流センターにおける駐車料金等の徴収
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出典:小倉昌男
経営学/小倉昌男/日経BP社(1999)
[補足] 通運事業への依存
通運とは?
鉄道 を利用しての運送にかかわる各種作業を
収入の2割を占める一大事業
鉄道と荷主の間に立って行う事業。
1955年には、収入の21%を占めるほどの大事業
競合の少ない寡占市場
なぜか? →通運事業には免許が必要だったため、
いわゆる寡占市場であった!
出典:小倉昌男
経営学/小倉昌男/日経BP社(1999)
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