林地台帳整備のイメージ - 鹿児島県森林組合連合会

森林吸収源対策等の推進にかかる
地方財政措置の活用について
平成28年2月
全国森林組合連合会
平成28年度地方財政措置のポイント
○ 平成27年12月末に総務省より示された「平成28年度地方財政対策のポイント」において、重点課題対応分
として「森林吸収源対策等の推進」のために500億円が地方財政計画に計上され、地方交付税として自治体に
交付されることとなった。
○ この背景には与党税制改正大綱(森林環境税(仮称)の創設)を踏まえて、今後市町村が主体となって森林
整備を円滑に進めていくための基盤づくりを行う目的があり、新税を見据えて積極的に活用する必要がある。
■ 重点課題対応事項
重点課題対応分総額
2500億円
・ 自治体情報システム構造改革推進事業 1500億円
・ 高齢者の生活支援等の推進
500億円
・ 森林吸収源対策等の推進
500億円
■ 「森林吸収源対策等の推進」の具体事項
重点課題対応の背景
与党税制改正大綱に、「市町村が主体となった森林・ 林業
施策を推進することとし、(中略)市町村による継続的かつ安
定的な森林整備等の財源に充てる税制(森林環境税(仮称))
等の新たな仕組みを検討する」 とされた。
(1)林地台帳の整備の推進
・森林整備に必要な基礎情報を林地台帳として整備
(2)森林所有者の確定、境界の明確化、施業の集約化の促進
これを受けて、森林環境税が導入された際に、市町村が主体
となった森林・林業施策を実施できるよう、基盤づくりを行うた
めに今回総務省において地方財政措置に盛り込まれた。
(3)林業の担い手対策
・新規に就業しようとする若者等に対する研修、定住促進
・就業者へのキャリアアップ研修や福利厚生の充実 など
(4)間伐等により生産された木材の活用
・公共施設への木材利用
今回の地方財政措置の500億円が十分に活用できないと
森林環境税(仮称)の導入にも影響を及ぼす恐れがある。
・木質バイオマスエネルギーへの活用の推進 など
1
地方交付税の仕組み
○ 地方交付税(普通交付税、特別交付税)は補助金と異なり使途の裁量が大きく、都道府県・市町村が独
自予算を組むことによって初めて森林・林業分野に活用することが可能。
○ このため、各地の森林組合および都道府県森連が具体的な事業を都道府県・市町村に企画・提案し、予
算化してもらう必要がある。
■ 普通交付税
一般的な財政需要(日々の行政運営に必要な経費)に対する財源
不足額に見合いの額として算定され交付されるもの。
普通交付税の額は、定められた計算式によって算定した
財源不足額を基準に7月頃に決定。年4回に分けて交付。
<算定方式>
普通交付税は、算定根拠に関わらず
使途は自由であり、予算化しないと
森林・林業関係以外に使われてしまう。
出所:総務省「平成27年版地方財政白書ビジュアル版」
(例)市町村の林野水産行政費 測定単位:林業および水産業の従事者数
(平成27年度)
単位費用:1人あたり250,000円
補正係数:寒冷・積雪地域に対する上乗せなど
■ 特別交付税
特別交付税の額は、各自治体の特別の財政需要等を
ふまえて、12月および3月に決定・交付。
普通交付税の基準財政需要額の算定方法で捕捉されないものや、
災害等臨時の財政需要等に対応するために交付されるもの。
○地域特有事情に対する経費(豪雪・離島等)
○臨時的・突発的な経費(台風、地震等)
○重点課題に対する経費
特別交付税は、特別な財政需要が
あった場合のみ措置されるため、事業
を実施しないと交付されない。
2
地方財政措置の活用に向けて
○ 今回の地方財政措置は平成28年度当初予算から活用することができるが、すでに当初予算の内容は
ほぼ固まっている。したがって平成28年度補正予算に向けて働きかけを行うこととなる。
○ 森林組合系統では、これまでも地方交付税を活用して必要な事業を推進してきた。今回も都道府県森連
が中心となって次期系統運動方針の推進に向けた戦略を十分に練った上で、各森林組合は市町村等の予
算審議スケジュールを見据えて、組織的に提案を進めていくことが重要。
■ 平成28年度の各自治体の議会スケジュール(イメージ)
平成28年度補正予算の審議
6月議会
9月議会
平成29年度当初予算
12月議会
3月議会
※上記日程はイメージであり、実際は各自治体においてスケジュールは若干異なる。
※平成29年度当初予算は、28年度の3月議会で審議されるが、その大枠は夏ごろに固まっていることに注意。
■ 過去に全国運動として取り組んだ事例
① 森林管理巡視員の設置
市町村長が森林組合職員を森林管理巡視員として任命(委託事業)。巡視員は市町村内の
森林を定期的に巡回し、災害の発生状況や間伐の必要性等を確認する。全国で1,000名を超
える者が任命された。
② 森林共済・保険の加入促進
市町村有林の森林共済・保険加入を全国一斉に推進した。
都道府県全体の戦略を踏まえて、各森林組合が県下市町村に集中的に提案することが有効
3
提案例1
林地台帳の整備の促進
○ 市町村主体の森林・林業施策を推進するために、森林所有者や境界の情報を整理した林地台帳を各市
町村において作成することが検討されている。
○ 一方で、林地台帳の情報をより正確なものにするためには、森林組合の協力が必要不可欠であることか
ら、調査等の委託事業を各市町村に働きかけることが有効。
■ 事業として考えられる例
■ 林地台帳整備のイメージ
※ 別添事例集P1参照
都道府県
不動産登記簿等から計画対象民有林に係る所有者情報を抽出
市町村にデータで提供
新たな森林の土地所有者届出、森林経営計画認定の情報等
市町村が有する既存の情報による修正や追加
市町村
林地台帳整備作業の委託
・市町村からの委託を受けて、都道府県と市町
村が保有するデータの突合を森林組合におい
て実施する。
・施業集約化や林地台帳作成のために必要な
基礎情報を収集する(不明森林所有者の把握、
境界明確化等)。
林地台帳の公表(個人の権利利益を害するものを除く)
所有者・
森林組合等
所有者からの修正申出
新たに土地所有者と
なった者からの届出
所有者・境界明確化活動
地籍調査の結果の反映
※ 森林所有者と現地を確認する様子
市町村
市町村が台帳を修正(森林所有者、林業事業体等の協働)
出所:日本林業調査会「林政ニュース第526号(平成28年2月10日)」
(注)各都道府県・市町村で予算化した事業が今回の地方財政
措置の対象となるかどうかの査定権は総務省にあるため、
例示したものが対象となるかは不確定。
4
提案例2
施業集約化の促進
○ 施業集約化の促進に当たっては、森林整備地域活動支援交付金等で助成が行われているところだが、
様々な交付条件が定められていることから、今回の地方財政措置を活用して、地域の実情に合わせた事業
を予算化してもらうことが有効。
○ 施業集約化については、次期系統運動方針においても重要な位置づけとしているところ。
■ 事業として考えられる例
※ 別添事例集P2、3参照
①地域協議会等による施業集約化の推進
・森林所有者等を構成員とする地域協議会設立等のための費用(協議会運営経費、現地調査・境界確認費用等)を助成する。
・不在村森林所有者に対する施業提案にかかる費用(旅費・相談会開催費等)を助成する。
② 境界確認・境界明確化の重点実施
・3D画像を活用した境界確認にかかる費用(解析ソフト、3Dメガネ等の購
入費用含む)を助成する。
・過去に「森林整備加速化・林業再生基金」において措置されていた「森林
境界の明確化(45,000円/ha)」と同様の事業を創設する。
・GPSやデジタルコンパスの購入費用を助成する。
※森林整備地域活動支援交付金では、「境界の確定」の内容は不在村森林所有者
に対するGPSを用いた調査しか対象となっていない。
※ 3Dメガネで空中写真を立体視することで境界を
判読する様子(秋田県・雄勝広域森林組合)
(注)各都道府県・市町村で予算化した事業が今回の地方財政措置の対象となるかどうかの査定権は総務省にあるため、例示したものが対象となるかは不確定。
(参考)次期系統運動方針「JForest森林・林業・山村未来創造運動」(H28~32年度)
取組項目Ⅰ-1 施業集約化の推進
取組項目Ⅰ-5 行政機関との連携
• 組合員の所有林から効率的・計画的に木材を生産し、利益還元を行い
つつ木材の安定供給を進める手段として、森林経営計画の作成を始めと
した施業集約化を進める。
・都道府県や市町村との連携を強化して、公有林を含めた施業集約化や
林道整備、森林所有者による管理が行われなくなった森林の管理主体等
の対策を進める。
5
提案例3 林業の担い手対策
○ 認定森林施業プランナーや現場技能者の育成については、国の補助事業等で助成が行われているが、
認定取得(または研修終了)後の活動に対して十分な支援が行われていない。
○ 次期系統運動方針では、組織づくりの一環として、「人材育成」「現場技能者の地位向上・安全対策」に取
り組むこととしており、その推進に向けた取組を実施。
■ 事業として考えられる例 ※ 別添事例集P4、6参照
① 認定森林プランナーの活動支援
・認定森林施業プランナーの資格取得および認定取得後の集約化
活動に対する経費を助成し、施業集約化および林地台帳作成を
集中的に実施できる体制づくりを行う。
【森林施業プランナーの育成状況】
② 現場技能者等の定着化
出所:森林施業プランナー協会業務資料
・研修を受けた現場技能者等が林業に定着するよう、地域材住宅建設
等住宅確保に係る費用を助成するほか、各種保険加入や資格取得
支援等福利厚生費用の一部助成を実施する。
③ 安全対策
・現場技能者が安全に作業できるよう現場監督者の設置に係る費用
(人件費等)を助成する。また、高性能林業機械や安全具の導入費用
を一部助成する。
認定森林施業プランナー数:1,025人(886人)
※平成26年度累計(括弧内はうち森林組合系統所属人数)
【「緑の雇用」事業による現場技能者の育成状況】
フォレストワーカー(林業作業士):2,822人
フォレストリーダー(現場管理責任者):784人
フォレストマネージャー(統括現場管理責任者):285人
※平成26年度累計
(注)各都道府県・市町村で予算化した事業が今回の地方財政措置の対象となるかどうかの査定権は総務省にあるため、例示したものが対象となるかは不確定。
(参考)次期系統運動方針「JForest森林・林業・山村未来創造運動」(H28~32年度)
取組項目Ⅲ-4 人材育成
取組項目Ⅲ-5 現場技能者の地位向上・安全対策
• (前略)森林組合監査士や認定森林施業プランナーを始めとした各種
研修への参加および資格取得を進める。現場作業に携わる者においては、
フォレストリーダー等の研修参加を通じて、現場作業・設計・監理能力の
向上を図る。
・現場技能者の人材確保に向けて、待遇改善等の地位向上に努めると
ともに、安全具の装着徹底等労働災害の発生を防止するための取組
を進める。
6
地方財政の仕組み
(参考資料)
○ 地方財政とは、自治体(都道府県、市町村)が行政サービスを担うための財政(歳出・歳入)を指す。
○ 自治体の歳入額のうち、住民が自治体に納める税金(地方税)の割合は3分の1。一方、 地方交付税や
国庫支出金など国から来ているお金は3分の1以上を占める。
■ 地方財政(歳入額)の構成比
国から来ているお金
地方交付税
自治体間の財源不均衡を調整するため、
国が配分するもの(次ページ参照)
地方特例交付金
恒久的な減税の影響による地方の減収を
補てんするために創設された交付金
(例:児童手当特例交付金)
地方譲与税
本来は自治体が徴収すべきものを国が
代わりに徴収し、自治体に譲与するもの
(例:地方揮発油譲与税)
国庫支出金
国が自治体に対して,特定の事業を促進
する目的で使途を指定して交付する金
出所:総務省「平成27年版地方財政白書」
【参考】 森林整備事業など都道府県を通じて交付される補助金(国庫補助金)は国庫支出金の中に含まれる。
国庫支出金の種類
※国庫支出金は定められた
用途しか使用できないため
一般財源に含まれない。
① 国庫負担金
➢ 自治体によって行われる事業のうち、国家的にも重要なもののため国が経費の一部を負担するもの。
(義務教育職員給与、生活保護費等)
② 国庫委託金
➢ 本来国が行うべき事業を、自治体が実施するもの。(国会議員選挙、国勢調査等)
③ 国庫補助金
➢ 自治体が特定の施策に取り組むのを促すために、必要に応じて国が任意に支出するもの。
参考