業種別パート 連関から見据えた日本株式市場 前回のおさらい • 代表的株価指数のショック=共通ショック →妥当性を検討 →日経平均株価は適切に日本株式市場のショッ ク を表現 • (ある業種が受ける共通ショックの大きさ)/(ある 業種が受ける全体のショック) の比を比較の対象 とする • 規模別についての変更→次スライド 規模別でみた連関 • 業種別と同様に日経平均株価、TOPIX Core30、 東証二部、JASDAQ INDEXをそれぞれ、代表的株 価指数、大、中規模、新興ベンチャー企業とし て考え、推定 全体を通して、規模が大きい程、連関も大きい ショック分解のための新しい試み • 日経平均株価、TOPIXを共通ショックのみから成 るとする (これらを日本経済の趨勢を表すものと考えると 極端な仮定ではない) 2変数の場合でもショックの分解が可能 ショックの分解の不具合をほぼ解消できる 具体的には・・・ 1 日経平均、TOPIXについてはAR過程で表現 日経平均株価が他変数 によって構成さ れる要素は自身の過去の値に反映されているものと考える VARの枠組み内で可能 2残差の分散共分散行列を分解 対角成分、一列目、一行目からa,b, を推定。 , 3 連関を考える上での指標 • (ある業種が受ける共通ショックの大きさ)/(ある 業種が受ける全体のショック) の比を比較の対象 とした 単純に共通ショックを比べることはできな い。 • ある業種v のショックは共通ショックを 、 共通ショックの受けやすさをa、業種特有の ショックを として、ある業種が受ける全体の ショックは • つまり、 を検討の対象とする。 ショック全体のうち、どの程度が共通 ショックによって説明されるかという割合を示 す。 妥当性の検討 下線部により、共通ショック 、個 別ショックは一意に定まるが、同時に(2,3)(及 び、(3,2))成分つまり、 は別に観察でき、 これから求めた と比較 • この時、 “代表的株価指数の受けるショックが 株式市場における共通のショックである”という 仮定が正しいのであれば、 は1に近い値を示 すはず・・・ 日経平均株価、東証業種別株価36種から二種 の三変数のVARモデル630通りを用いて実験。 使用データ • 東証業種別株価36種(1991/1-2009/1)月次終値 水産・農林業 鉱業 建設業 食料品 繊維製品 パルプ・紙 化学 医薬品 石油・石炭製品 ゴム製品 ガラス・土石製品 鉄鋼 非鉄金属 金属製品 機械 電気機器 輸送用機器 精密機器 その他製品 電気・ガス業 陸運業 海運業 空運業 倉庫・運輸関連業 通信業 卸売業 小売業 銀行業 証券、商品先物取引業 保険業 その他金融業 不動産業 サービス業等 その結果・・・ 外れる値がわずかにあるものの概ね 1に近い値を示す これは、モデルの当てはまりの良さを 示すだけでなく、日経平均株価という 株価指数が様々な業種に共通する ショックをある程度、適切に反映して いることを表していると言える。 日経平均と各業種における連関の特徴 • 高野が考案したモデルを採用し、日経平均と個 別業種の2変数でVAR、shock分解 • 個別業種は引き続き東証業種別株価を用いた • データは月次、期間は1991/1~2009/4 • 全体期間の計測のほか、期間を3つに分けての計 測も行う 産業間におけるショックの特徴② ~金融業界を切り口に~ 方法 ・個別業種は東証業種別株価を用いる ・データは1991/1~2009/4 ・1990年代と2000年代で分ける 検証 ・検証① 金融系業界と不動産の連関について ・検証② 金融系業界内の連関について ・検証③ その他産業内の連関について 仮説 ・検証① 金融系業界と不動産の連関について common shock 第一期 第二期 specific shock cs/ss 日経 0.06285994 0 0 不動産 0.05855656 0.04603038 0.786084 銀行 0.07663138 0.05174254 0.675213 日経 0.05853086 0 0 不動産 0.036589795 0.0494544 1.35159 銀行 0.060918884 0.07500742 1.231267 ・考察 不動産と金融の連関は弱まっている・ 仮説 ・検証② 金融系業界内の連関について 金融 銀行 証券 保険 その他金融 第一期 0.5922909 0.4730329 0.617552 1.0942654 第二期 0.6414412 0.650328 0.825336 0.8828561 1.082983379 1.374805008 1.336465 0.80680254 ・考察② その他金融を除いて、 業界内の連関は弱まっている。 仮説 ・検証③ その他産業の連関について 金融 銀行 証券 保険 機械 その他金 融 機械 電気機 器 輸送機 器 精密機 器 自動車 第一期 0.59229 1 0.473033 0.61755 2 1.0942654 0.17993 6 0.643384 0.530416 1.207209 0.57714 5 第二期 0.64144 1 0.650328 0.82533 6 0.8828561 0.32362 7 0.383918 0.704283 1.133511 0.61577 7 1.08298 3 1.374805 1.33646 5 0.80680254 1.79856 5 0.596716 1.327795 0.938952 1.06693 6 素材 化学 非鉄・金 属 繊維 運輸 鉄鋼 陸運 海運 インフラ 空運 倉庫 電力 ガス 水道 第一期 0.43243 6 0.5252 0.51747 9 0.3236467 0.91018 2 0.61986 0.887166 0.856333 2.20675 9 0.77642 4 0.55924 5 第二期 0.56034 0.700417 0.96203 7 0.6839878 1.00326 7 1.214922 1.207751 0.621647 29.2935 1 10.7118 5 14.0441 8 1.29577 6 1.333621 1.85908 5 2.11337795 1.10227 1.959992 1.361358 0.72594 13.2744 5 13.7963 9 25.1127 7 仮説 ・検証③ その他産業の連関について ・考察③ 産業内の連関はどの業種間でも弱まっていること が分かった。 近年、同産業内の連関より 他産業間での連関が強く なっていることが可能性が 考えられる 期間の分け方-金融ビッグバンを軸 に • 第一期: 1991/1 - 1996/10 ⇒バブル後 • 第二期: 1996/10 - 2001/12 ⇒第一次金融ビッグバン • 第三期: 2002/1 - 2009/4 ⇒第二次金融ビッグバン 構造改革、リーマンショック 結果 結果 結果全体の傾向 0.7 0.6 0.5 0.4 平均値 中央値 0.3 0.2 0.1 0 全体 第一期 第二期 第三期 各産業の特徴:①インフラ • 電力・ガスは非常に連関が低い • 一方で通信は連関が比較的高め ITバブルを挟んで 順位上昇? 電力・ガスの第二期について • 似たような結果なので電力のみ紹介 負の相関! 電力の共通ショックを求める際に求められる係数はa=-0.05222 個別ショック0.035864 に対し、共通ショックは-0.003117 ととても小さい 誤差の連関はやはり小さいといえる ここまでのまとめ • 期間的には二期で弱まり、三期でまた強まる • インフラ(電力、ガス、通信)の連関が弱い ←通信は比較的高く、ITバブル期以降に高まる • 電力、ガスの二期には負の関係! ←でも連関はやはり小さめ その他考察中。 • 化学を筆頭に工業関連株の連関が高い一方、 水産・鉱業については連関低い傾向 • ただし自動車はそこまで連関が強くない • 機械、精密機械が二期以降、上昇 • 金融関連に注目すると、証券の連関高い一方、 銀行・保険に関しては割合低め
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