沖縄県泡瀬干潟埋立公金支出 差止等請求事件 概要 • • • • • 沖縄県泡瀬干潟埋立公金支出差止等請求事件 住民訴訟 第一審 那覇地裁 平成20年11月19日判決 控訴審 福岡高裁 平成21年10月15日判決 確定 • 原告 沖縄県及び沖縄市の住民 • 被告 沖縄県知事、沖縄市長 事業について 中城湾港 埋立予定地 Google 埋立事業者 沖縄県総合事務 局(国の機関) 基盤整備事業 委託・売却 埋 立 完 了 沖縄県 ( 沖縄県 埋立面積 約187ha 事業費 約490億円 平 成 24 年 度 ) 一部売却 沖縄市 マ リ ー ナ ・ リ ゾ ー ト ( マ リ ン シ テ ィ 泡 瀬 ) 商業施設 人工ビーチ 埠頭 マリーナ などを建設 約130haの土地を 民間へ売却 • 昭和62年3月 東部海浜地区開発計画(沖縄市) 基地依 存経済からの脱却・自律経済への転換を図るための計画 の一つ • 昭和63年~ 中城湾港の港湾計画調査作業(沖縄県)の 中で検討される • 平成2年 東部海浜地区開発計画は泡瀬地区として整理 された • 平成元年頃 沖縄市 地元協議を進めるが、合意形成に 難航。その後、海岸線を残した出島方式の埋立てに計画 変更(平成7年)。 • 平成5年~ 総合事務局により環境影響評価に向けた調 査開始 • 平成12年3月 総合事務局沖縄県に対し環境影響評価書 を提出 • 平成12年12月、沖縄県(中城湾港管理者)は沖縄県(事業 者)に対し、埋立事業について免許を付与し、総合事務局 (事業者)に対し、埋立事業について承認した。 • 平成14年 第Ⅰ区域工事着手 http://www.dc.ogb.go.jp/nakagusukuwankou/awase2.html 沖縄総合事務局 那覇港湾・空港整備事務所 中城湾港出張 所HPより 原告の主張 被告の主張 • 環境影響評価に問題があ る 本件環境影響評価が杜撰 • 本件埋立事業等に関する 財務会計上の行為が違法 である 必要最小限度を超える予 算支出を禁じた地方自治 法2条14項及び地方財政法 4条、国土の適正かつ合理 的利用と、環境保全に配慮 を求めた公有水面埋立法4 条1項に違反する。 • 環境影響評価手続きは適切にさ れた。 調査方法等については様々な 考え方があり、原告らが主張す る調査方法等を採用しなければ 手続きが違法になるというもので はない。 • 経済的合理性はある 埋立事業等の目的は、集客性 の高い観光・リゾートや商業など の都市機能が集積した拠点地区 を形成し、新たな雇用の場を確 保し、地域の活性化を図り、県土 の均衡ある発展に資することで ある。また、埋立事業は、出島方 式を採用することによって、計画 全体で82%の干潟が残る計画内 容となっている。 請求の関係図 原告 請求① 財務会計行為の差止 市民 被告 請求② 沖縄県 地方自治法242条の2 第1項1号 同項4号 請求③ 財務会計行為の差止 同項1号 損害賠償請求 沖縄市 国と前知事 判旨 ①本件埋立免許及び承認の適法性について ⇒平成12年の埋立免許及び承認の時点において 、経済的合理性を欠くものであったとまでは言う ことができない ②財務会計行為の適法性について ⇒現時点においては、本件埋立事業に係わる財務 会計行為は、予算執行の裁量権を逸脱するもの として、地方自治法2条14項及び地方財政法4条 1項に違反なものというべきである。 公有水面埋立法4条1項 1号国土利用上適正且合理的な ること 3号 …土地利用又は環境保全に関 する…法律に基く計画に違背せざる こと • 原告:アセスが不十分、浚 渫土砂処理・リゾート建設 の合理性の欠如 • 原告:重要湿地として指定 されるため、環境保全に関 する国の法令に基づく計画 に違背する。 • 裁判所:アセスが違法であ るとは言えない。免許・承 認の当時において、一応の 根拠があり、経済的合理性 を欠くとは言えない。 • 裁判所:自然環境保全法、 自然公園法の地域地区指 定が無い等、3号の要件を 満たさないとは言えない。 埋立免許・承認が、同法4条1項各号の要件を欠く違法なものであったとは言え ない。 沖縄県知事に対する、前知事・国に対する損害賠償請求の義務付けを求める 請求(地方自治法242条の2第1項4号)は理由が無い。 Q&A • • • • • • • Q「出島方式」で埋立をすることとし、合意形成ができたとあった。それにもかかわ らず、今回のような訴訟はなぜ起きたのか? A平成3年に地元住民との合意はとれた。しかし、経済状況の変化によって事業 の収益性や自然環境への影響が再度懸念されるようになり、今回の住民監査請 求・住民訴訟に至ったようである。 Q事業計画の見直しの「方針表明」は「市長」のものなのに、県・国の事業に関す る裁判で影響しているのか? A方針表明では、「市民参画により現在の土地利用計画を見直すとともに、国及 び沖縄県と事務協議を重ね、必要な法的手続きを取る予定である」との見解を表 明した。(本件方針表明) 事業の背景としては、H12年埋立免許承認→経済的事情の変化→埋立事業の見 直しを迫られる事態→(市)方針表明→(市)海浜開発事業の見直し作業→(市) 土地利用計画の見直し中、というものである。(その後、公有水面埋立法に基づく 免許・変更許可となる予定か。) 裁判では、「土地利用計画の全容が明らかになっていない現段階においては、こ れに経済的合理性があると認めることはできないと言わざるを得ない」とし、差止 の可否を判断した。 (参考に、次のページに沖縄市による事業についての説明を載せておきます。) http://www.city.okinawa.okinawa.jp/sitemanage/contents/attach /9553/yakuwari.pdf 沖縄市HPより 補 住民訴訟について 【地方公務員承認試験問題研究会編,「完全整理 図表でわかる地方自治法」学 陽書房,2007年より】 • 住民訴訟(地方自治法242条の2) 住民監査請求*をした者が、請求に係わる違法な行為又は怠る事実につ き、裁判所に出訴することが可能。 *住民監査請求の対象(地方自治法242条) 長・委員会・委員・職員を対象とし、公金の支出、財産の取得・管理・処分、契約の締結・履 行、債務その他の義務の負担、公金の賦課・徴収、財産の管理という財務に関する行為。 請求人は普通地方公共団体の住民。 監査委員 議会・長・その他の 執行機関・職員 監査の結果に不服、勧告に不服、 監査・勧告を60日以内に行わない 措置に不服 、 勧告の措置を行わない ↓請求 ・執行機関・職員に対する当該行為の全部又は一部差止 ・当該行為の取消又は無効確認 ・執行機関・職員に対する怠る事実の違法確認 ・執行機関・職員に対し、当該職員、当該行為・怠る事実に係わる 相手方に損害賠償又は不当利得返還を求める
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